[ゼロから始めるプロジェクトマネジメント] プロジェクトが予定通りかではなく、障害はないかを確認しよう
情報システム室の進地@日比谷です。
プロジェクト管理と聞くとどんなイメージを貴方は抱くでしょうか?
古代のピラミッド建設の鞭を持った監督官のように、メンバーの行動を管理し、とにかく予定通りにプロジェクトを進めることに注力するイメージを持つかもしれません。強制労働のイメージですね。厳しく、サボらせないように、追い立てて、計画通りに進める。
確かに、そういうプロジェクトがあることも否定はできません。そのプロジェクトの達成だけにフォーカスした場合は最適解であることすらあります。1
しかし、もっと良い方法があります。それは予定よりも障害の存在に注目する
ことです。
障害を誰よりも早く発見し、除去する
まず前提の確認です。
基本的に人間は物事を予定通り進めたいと思っています。あえて遅らせたいとか、予算オーバーしたいとか、バグだらけにしたいとか、そんな人は極稀です。2
では、そんな人達が集まってプロジェクトを進めているのに、なぜ予定通り進まないのでしょう?
それは何らかの障害があるからです。
予定通り進めたいのに、障害があって進められない。進みたい道の途上に大岩があって通れない。そんなイメージです。逆に考えれば、障害がなければ、放っておいても予定通りプロジェクトメンバーは仕事を進めてくれるわけです。
であれば、PMである貴方のやるべきこと、仕事は明確です。誰よりも早く障害を発見し、それを除去すること
です。大岩をミサイルで破壊しておくことです。
勘違いしやすいのですが、予定通りというのは結果であって直接どうこうすべきものではないということです。一度引いたおみくじに対して何をしても結果が変わらないように、結果に何をしたって変わりません。それが結果というものですから。そうではなく、「予定通り」という結果を生むために邪魔になる「障害」を取り除くことに注目、注力しましょう。
進捗会議は進捗を確認する場ではない
進捗会議やデイリーなど、プロジェクトで進捗を確認する機会は多いものです。
そしてそこで実際に行われていることは、本当に進捗の確認だけだったりします。
- 予定通りです
- かなり早く進んでいます
- だいぶ遅れています
意味ありません。ガントチャート見ればわかることを口頭で述べ合う意味なんてないと思いませんか?
意識の高いプロジェクトになると、遅れた場合のリカバリー方法も一緒に提案するとか、そういうことも行われますが枝葉です。
進捗会議は進捗を確認する場ではありません。PMが障害を認識するための場
です。
それも先回りして障害を取り除くための気づきを得る場です。PMとしてはなるべくメンバーが邪魔される前に障害を取り除きたいからです。
なので、進捗会議で一番問われているのはメンバーの進捗ではなく、PMがちゃんと障害を取り除けているかなのです。
次のプロジェクトに繋げる大切さ、メンバーの幸せを願う大切さ
進捗会議で進捗の悪いメンバーを吊し上げて、恐怖で縛り、急がせる。そういうプロジェクトも残念ながら存在します。3
そういうプロジェクトのPMというのは、最大限見えていたとしても、そのプロジェクトの成功までしか見えていません。その次のプロジェクト、プロジェクト関係者のその後、メンバーの人生など大切なものは見えていません。見ようともしていません。さて、そんな目の前のプロジェクトの成功しか見えていない近視眼的なPMが、先回りして障害を取り除くなんてことができると思うでしょうか。おそらくできないでしょう。だから、私はこういうPMはPMの仕事をしていないと考えています。
プロジェクトに参加するということは学びの多い行動です。メンバーは様々なことを学び、吸収し、成長します。これは大事な成果物の一つです。
そのプロジェクトの成功しか見ていないPMというのは、この成果物を捨てているのです。
これは会社にとっても、お客様にとっても、メンバーにとっても、ひいては社会にとっても大きな損失だと思いませんか?
PMはメンバーや関係者の幸せを願う必要があります。
これは理想論とかお題目で言っているのではなく、極めてプラグマティックな方法論です。
なぜなら、「障害」の中身は多岐に渡り、その中にはメンバーの人生の問題も横たわっているからです。4
メンバーが幸せで、開発に集中できるようにすること。そのために何ができるかを考えて行動すること。それもPMの大切な仕事です。
まずは元気のないメンバーを誘って一緒に暖かいココアを飲むことから始めてみましょう。