Amazon Route 53 で新しくサポートされた HTTPSリソースレコードで HTTP/3対応をDNSレベルで最適化してみた

Amazon Route 53 で新しくサポートされた HTTPSリソースレコードで HTTP/3対応をDNSレベルで最適化してみた

Amazon Route 53が新たに4つのDNSレコードタイプ(HTTPS、SVCB、SSHFP、TLSA)のサポートを開始しました。 本記事では今回サポートされたHTTPSレコードの実際の設定方法と検証結果を紹介します。
Clock Icon2024.11.01

2024年10月30日、Amazon Route 53で新しい4つのDNSレコードタイプ(SVCB、HTTPS、SSHFP、TLSA)のサポートが発表されました。

今回、新しくサポートされた HTTPSリソースレコード の設定と、確認を試みる機会がありましたので、紹介させて頂きます。

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2024/10/amazon-route-53-https-sshfp-svcb-tlsa-dns-support/

Route53レコードタイプ

追加されたレコード

  • HTTPS - 安全な接続のための構成情報をクライアントに配信
  • SVCB - サービスエンドポイントへのアクセス拡張機能情報
  • TLSA - TLSサーバー証明書/公開キーの関連付け(DNSSEC必須)
  • SSHFP - SSHキーフィンガープリントの指定(DNSSEC必須)

従来からのレコード

  • A - IPv4アドレスとAWSリソースへのルーティング
  • AAAA - IPv6アドレスとAWSリソースへのルーティング
  • CNAME - 別のドメインおよびAWSリソースへのルーティング
  • MX - メールサーバーの指定
  • TXT - メール送信者の検証とアプリケーション固有の値
  • PTR - IPアドレスとドメイン名のマッピング
  • SRV - アプリケーション固有のサーバー識別
  • SPF - 非推奨
  • NAPTR - DDDSアプリケーション用
  • CAA - ドメインのSSL/TLS証明書作成のCA制限
  • NS - ホストゾーンのネームサーバー
  • DS - 委任署名、DNSSECの信頼チェーン確立用

Route53

作成画面

HTTPSレコードの値として
1 . alpn=h3,h2
を設定したレコードを追加しました。

HTTPSレコードを作成

レコード一覧

DNSレコード一覧

設定パラメータの説明

HTTPSレコードの値 1 . alpn=h3,h2 の内訳:

  1. SvcPriority (1)

    • 優先度を示す値(1-65535)
    • 数値が小さいほど優先度が高い
    • 0を設定した場合エイリアスモード。今回は1を指定してサービスモードで利用
  2. TargetName (.)

    • 「.」は自身を示し、A/AAAAレコードを参照する指定
  3. SvcParams (alpn=h3,h2)

    • ALPNはプロトコルネゴシエーションのパラメータ
    • h3: HTTP/3プロトコル(優先)
    • h2: HTTP/2プロトコル(フォールバック)

確認

drill コマンドを含む ldnsutils パッケージが利用可能な Ubuntu環境を利用しました。

  • AMI: ubuntu/images/hvm-ssd-gp3/ubuntu-noble-24.04-amd64-server-20240927

drill コマンド

「ldnsutils」をインストール

sudo apt-get update
sudo apt-get install ldnsutils

パス確認

$ which drill
/usr/bin/drill

追加したHTTPSレコードを確認

$ drill https dev.classmethod.jp
;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, rcode: NOERROR, id: 18896
;; flags: qr rd ra ; QUERY: 1, ANSWER: 1, AUTHORITY: 0, ADDITIONAL: 0
;; QUESTION SECTION:
;; dev.classmethod.jp.  IN      HTTPS

;; ANSWER SECTION:
dev.classmethod.jp.     60      IN      HTTPS   1 . alpn=h3,h2

;; AUTHORITY SECTION:

;; ADDITIONAL SECTION:

;; Query time: 13 msec
;; SERVER: 127.0.0.53
;; WHEN: Thu Oct 31 15:30:32 2024
;; MSG SIZE  rcvd: 61

まとめ

Amazon Route 53 で新しくサポートされた HTTPSリソースレコードを利用する事で、HTTPSレコードに対応したブラウザからの接続時のネゴシエーションの最適化が期待できます。

また、将来的に HTTPSレコードの普及が進むことで、ZoneApex で CNAMEが利用できない制限の回避として、エイリアスモードとしたHTTPSレコードが利用できる事にも期待したいと思います。

参考

https://aws.amazon.com/jp/blogs/networking-and-content-delivery/improving-security-and-performance-with-additional-dns-resource-record-types-in-amazon-route-53/

https://eng-blog.iij.ad.jp/archives/12882

https://dev.classmethod.jp/articles/dns-https-svcb-resource-record/

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