アジャイル品質パターンによる伝統的な品質保証(Quality Assurance) からアジャイル品質(Agile Quality)への変革 #scrumosaka
Scrum Fest Osakaとは?
2020年6月26(金)・27日(土)にScrum Fest Osakaがオンラインで開催されました。 Scrum Fest Osaka 2020@ONLINEは以下のようなイベントです。クラスメソッドではシルバースポンサーとして協賛を行いました。
Scrum Fest Osakaはスクラムの初心者からエキスパート、ユーザー企業から開発企業、立場の異なる様々な人々が集まる学びの場です。この2日間を通じ、参加社同士でスクラムやアジャイルプラクティスについての知識やパッションをシェアするだけでなく、ここで出会ったエキスパートに困りごとを相談することもできます。
CX事業本部の阿部です。
Scrum Fest Osaka Day2で参加したセッションについてレポートします。
アジャイル品質パターンによる伝統的な品質保証(Quality Assurance) からアジャイル品質(Agile Quality)への変革
本記事は、セッション「アジャイル品質パターンによる伝統的な品質保証(Quality Assurance) からアジャイル品質(Agile Quality)への変革」をレポートします。
スピーカー
早稲田大学 鷲崎 弘宜氏
セッション概要
アジャイル開発における品質保証は、特定の段階で特定の人々のみが取り組むというよりも、専門家を交えつつロードマップ策定から日々のモニタリングに至るあらゆる段階でチーム全体となって取り組む活動となります。本講演では、伝統的な品質保証(Quality Assurance)の考え方から、アジャイル品質(Agile Quality)へとチームや組織が変わっていくために必要なパターン集 Quality Assurance to Agile Quality (QA2AQ) の紹介を通じて、アジャイル品質の考え方と推奨される活動を紹介します。CodeZineにおいて有志によりQA2AQの各パターンを翻訳連載中です。https://codezine.jp/article/detail/12092
スライド
レポート
品質保証の話題をパターンの観点で取り上げたセッションです。
なぜパターンを取り入れるのか
鷲崎氏はまず、アリストテレスの考え方を引用します。
「品質は日常の反復的な行動である、という考え方に現れてくること(アリストテレス)」
また、そこからアジャイルの源流に目を向け、パターン+品質からきており、品質をパターンで表現することは自然であるとときます。
その考え方を踏まえ、鷲崎氏も参画する形で品質の考え方と推奨される活動のパターンとしてまとめました。このセッションでは、中心的なパターンを紹介していただいています。
なお、ここで出てくるパターンは、必ずしなければいけないということではありません。パターンはすべきものではなく、良い状態に頻繁に出てきているものであるからです。
これらのパターンを認識した上で、自分たちに合わせて取捨選択する姿勢が必要です。
これらのパターンの内容を見ると、実はそこまで真新しいことではないと思います。パターンはうまくいってることから探って行った良い指針のようなものなので、できているチームにとっては当たり前に感じることです。
中核パターン
- アジャイル品質プロセス
- 障壁の解体
上記のアジャイル品質プロセスは、アジャイルプロセスの一環として品質を理解して、テストをする方法を構築しましょう、というパターンです。どこかで一括でやるのではなく、関わる人全員で取り組んでいくのが良いとしています。
そして、それを進めるために、役割の壁などを超える必要があるので、次の「障壁の解体」というパターンがある、とのことです。
品質のアジャイルなあり方
- QAを含むOneチーム
- 品質スプリント
- プロダクト品質チャンピオン
- アジャイル品質スペシャリスト
- 品質チェックリスト
- 品質作業の分散
- 品質エキスパートをシャドーイング
- QAリーダーとペアリング
- できるだけ自動化
中核パターンをより具体的なアクションにして、チームに品質を溶け込ませるために取り組むことであると感じます。
品質の特定
- 重要な品質の発見
- 品質シナリオ
- 品質ストーリー
- 測定可能なシステム品質
- 品質の折込
- 着陸ゾーン
- 着陸ゾーンの再調整
- 着陸ゾーンの合意
品質は測定可能な特徴なので、測ることができるようにする、というのがパターンの中心です。どうやって測るようにしていくかと、どこに幅を持たせるかについて触れています。
セッションは質疑を途中で交えながら進んだのですが、この測定に関しては、大胆に仮定をおいて測ってみる、そこから改善する探索的な手法でも良い、と答えていたのが印象的でした。
品質の可視化
- 品質ロードマップ
- 品質バックログ
- システム品質ダッシュボード
- システム品質アンドン
品質特性をチームメンバーに気づかせるためのパターンです。そもそも改善するためにはそれが問題であると気づかなければアクションも起こせません。
まとめ
品質とスピード、役割などを対立軸にしないためのやり方が、活動レベルで表されていることは非常に有用に感じました。
テストももちろん専門性の高い仕事ですが、テストと開発で壁を作るのではなく、それらの専門性を持ったメンバーが早いうちから協業するのが良いという当たり前のことに改めて目を向けさせてくれました。
良い習慣というのに意識的にあるためのツールとしてのパターンの力に気づいたセッションでした。パターンはマニュアルではありませんので、ここから自分たちでどうするか議論が発展していけば良いのだと思います。