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意思決定を記録に残して迷子を防ぐ
こんばんは。僕です。
はじめに
同じ仕事を長期間進めていると、「なぜこの決定をしたのか覚えていない」という状況に陥ることがあります。また、しばらく放置された業務を再開する際に、「この仕様は何を根拠に決めたのか」「なぜこの手順が必要なのか」を誰も説明できず、無駄な議論が発生することもあります。このような事態は、余計なコミュニケーションコストを生み出し、判断の遅れにつながります。
本記事では、シンプルで実施コストが低く、メンバーにとって負担になりにくいプラクティスについて考えてみます。
なぜ過去の判断を忘れてしまうのか
多くの場合、過去の判断が忘れられる理由は以下のようなものです。
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ドキュメントが存在しない
口頭での意思決定が多く、文章として記録されていない。 -
ドキュメントが断片的で探しづらい
メモや議事録が複数の場所に分散し、後から見つけにくい。 -
チームメンバーの入れ替わり
当初の意思決定に関わったメンバーが抜け、新しいメンバーが背景を把握できていない。 -
中断の期間が長く、議論の前提が薄れる
長期間中断されてしまうことで、当時の状況や判断材料が忘れ去られる。
シンプルな解決策:意思決定ログを導入する
こうした問題を避けるため有効な手法の一つとして、 意思決定ログ(Decision Log) が挙げられます。
意思決定ログとは、業務において重要な判断をした際に「なぜその判断を下したのか」「どの選択肢を検討したのか」を簡単に記録するものです。シンプルなフォーマットを用いることで、運用のハードルを下げながら、後から判断の経緯を振り返ることを可能にします。
意思決定ログの基本フォーマット
意思決定ログは、次のようなフォーマットがシンプルで扱いやすいでしょう。
日付 | 決定内容 | 検討した選択肢 | なぜこの判断をしたか | 関係者 |
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2025/06/05 | 評価基準を変更する | A: 現行基準を維持, B: 評価基準を改定 | Bを選択した理由: 透明性向上と評価の納得感を高めるため | 人事部、各部門リーダー |
2025/05/20 | 入社後オンボーディング研修を継続する | A: 現行研修を継続, B: 研修内容を簡素化 | Aを選択した理由: 初期学習の重要性が高いため | 人事、研修担当 |
このように、判断の経緯を簡潔に記録することで、後から「なぜこの決定をしたのか?」をスムーズに振り返ることができます。
意思決定ログの運用ルール
この方法を定着させるには、できるだけ簡単なルールを決めておくとよいでしょう。
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意思決定をしたら、誰かが必ず記録する
会議の議事録担当者が記載する、あるいはSlackやドキュメントツールでログを残す役割を決める。 -
一つの場所に集約する
Notion、Googleドキュメント、Wikiなど、チームがすぐに確認できる場所に保存する。 -
最小限の情報を記録する
長文を書く必要はなく、「何を」「なぜ」決定したのかを短くまとめる。
期待できる効果
このようなシンプルな記録を続けることで、次のようなメリットが得られます。
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過去の判断を素早く振り返ることができる
討議のたびに「なぜこうなっているのか?」という問いに時間を割かなくて済む。 -
無駄な議論やコミュニケーションを削減できる
決定の理由が明確になることで、同じ議論を何度も繰り返すことがなくなる。 -
新メンバーが早くキャッチアップできる
過去の意思決定の背景を短時間で把握でき、業務への適応がスムーズになる。
おわりに
日々の業務において、過去の意思決定を忘れてしまうことはよくある問題ですが、意外と簡単に対策できます。シンプルな意思決定ログを活用することで、判断の経緯を明確に記録し、余計な議論や無駄なコミュニケーションを減らすことが可能です。
この方法は、特別なツールを導入する必要もなく、すぐに実践できる点が魅力です。長期間の業務や、定期的にメンバーが入れ替わるチームほど、効果を実感しやすいでしょう。まずは、小さな意思決定から記録を始めてみてはいかがでしょうか。