CDOとしてクラスメソッドにジョインした枌谷です
2021年10月に、クラスメソッドのデザイン組織を作るためにCDO(Chief Design Officer)としてジョインした枌谷です。
通常はウェブ制作会社ベイジの代表として経営やマーケティングなどを行っていますが、クラスメソッドでは主にデザイナーを中心としたデザイン組織作りを行っていきます。
このDevelopers IOでも、クラスメソッドのCDOとして活動する中で生まれた、デザインや組織に対する考え方を発信していこうと思います。
さて、私のCDOとしての最初に行った仕事は、メンバーへの自己開示です。外から招かれた人物が組織のトップに配置されるというのは、期待と裏腹に不安も大きいはずですよね。それをできる限り払拭しないと、最初の滑り出しで躓くと思ったわけです。
そこで10月8日に行ったキックオフの冒頭で、単なる自己紹介ではなく。どういう思いでデザイナーと言う仕事を選び、どんな風にここまで歩んできて、その結果どんな価値観を持った人間になっているか、ということをなるべくお話しするようにしました。
その内容を加筆したものをここでご紹介しつつ、最初の記事とさせていただきます。
社会人以前
- 小さな頃から絵を描くのが好き、漫画や歴史が好き、体育は大の苦手、というもやしっ子
- 高校時代はモラトリアム、親友といえる友達もおらず、勉強もせず、空虚な毎日
- 偏差値30台と低すぎて当然浪人し、予備校でがんばって立教大学に入学
- 大学の専攻は日本近世史、ゼミでは鎖国について勉強
- デザインへの縁は一切なかったものの、音楽や芸術への憧れは強かった
- 社会人になるのが嫌で、お金を稼ぐことや商業主義的な活動に嫌悪感があった
- 若い頃はかなり人見知り、知らない人が苦手で、総じて世の中を斜に構えて見ていた
- 世の中は就職氷河期で、就活に失敗し、就職浪人をした
私にとって社会人に出るまでの学生時代はそんなにいい思い出がありません。社会人になってやっと人生が回りだした感じ。今つまらない思いをしている学生さんには「社会人が楽しい可能性一杯あるから絶望しなくていいよ!」と伝えたい気持ちでいっぱいです。
NTTデータ時代(1997年~2001年)
- 就職浪人時代の就活はうまく行って、無事NTTデータに入社
- 営業の仕事は絶対にしたくないと思っててSEを希望していたのに、営業に配属されてしまった
- 周りは優秀な人が多く、世渡り下手だと思ってた自分は常に何かに劣等感を覚える毎日
- その反面「量産型の社会人になりたくない」というプライドも高かった
- 言われた仕事はするがそれ以上のことはせず、プライベートでの勉強も一切しなかった
- 26歳で「このまま60歳まで行く人生は嫌だ」と思い、キャリアをリセットしたくなる
- 自分の会社を作りたい、どうせならその時一番興味があったデザインで起業したい、と思う
- 26歳~28歳まで、NTTデータの仕事をしながら通えるスクールで、デザインの基礎を学ぶ
社会人になっても最初の頃は、学生時代の斜に構えた意識から抜けられず、社会人を否定したいのに保守的な大企業で働いている自分との認知的不協和が解消できませんでした。でもデザイナーになったら、強い苦手意識があった営業力やコミュニケーション力に頼らず、自分の腕だけで、平凡で何者でもない地味な人生が変わると思っていました。
制作会社時代(2001年~2007年)
- 28歳で実務未経験のデザイナーとして、10人弱の広告会社に転職
- ウェブ担当は事実上一人、未経験なのに教えてくれる人ゼロの環境
- 営業もやる何でも屋、年収半分、徹夜三昧、それでも楽しかった
- 広告賞を取るような華やかなデザイナーになりたかった。デザイン=視覚表現だった
- Flash全盛期、Flasherとして活躍しようとしていた(ActionScriptも3.0までやった)
- 1社目では難しいと判断、2003年に30人くらいの制作会社に転職
- そこでディレクターに回されて望むような仕事ができず、原点に戻って独立を考える
20代後半でウェブデザインと出会い、やっと自分が生きる道が見つかった感じがしました。なりたかったデザイナーにもなれて、仕事もとても楽しかったです。寝ても覚めてもデザインのことばかり考える毎日でした。ただし、自分が理想とするデザイナーには全然近づけませんでした。
フリーランス時代(2007年~2009年)
- NTTデータを辞める時の「35歳までに独立する」という目標に原点回帰
- 前職の社長には嫌われて辞めたので、顧客をゼロから開拓
- フリーランス時代の名刺の肩書はアートディレクター/デザイナー
- 相変わらず賞を獲るデザイナーを目指してたが、徐々に自分はその方向じゃないと思い始める
- フリーランスとしての年商は初年度1300万、次年度1800万とかなり好調
- 自由で楽しかったので自分の会社を作るという起業意欲は減退してしまった
- ある社長に「枌谷さんビビってたら起業できないよ」と言われて、奮起して起業を決心
フリーランスはのんびりしてて、プレッシャーもストレスも少なくてとても楽しかったです。人生で一番穏やかな時期だったかもしれません。一方でスキルアップもキャリアアップもしにくく、過去に獲得した遺産で食いつないでる感もありました。自分が倒れたら収入もなくなるし、持続性のある働き方には思えませんでした。
ベイジ時代(2010年~)
- 2010年1月に1人で起業、10月にオフィスを作って、初めて人を雇う
- 当初予定では10人以下の経験者ばかりの少数精鋭組織を目指していた
- 2012年にBtoBに強いと言い出し、2014年には業務システムのUIを手掛け始める
- 広告賞への憧れと決別してから、市場での自分のポジションを探す癖がついた
- 10人以下の会社のつもりが、2017年に10人、2020年に20人、2021年に30人まで増加
- ベイジのデザイナーは現在8名。ほとんどが20代で、ほとんどが実務未経験で入社
- デザイナー、エンジニア、ライター、ディレクターがそれぞれ同数で在籍する組織を目指す
最初からそうだったわけではありませんが、自分自身がNo1にもなれずトップ集団にも入れずという全然キラキラしてないキャリアを歩んできたので、自分と同じように人生を変えるためにデザインに興味を持ったごく普通の人たちができるだけ長くデザインの仕事を続けられて、そこにやりがいを見つけられるような、そんな組織を目指すようになりました。
組織に対する考え方
組織を束ねる人が、どんな組織観を持っているかはとても重要ですよね。一糸乱れぬ軍隊のような組織を目指しているのか、はたまたセルフマネジメントを基本とするティール組織を理想としているのか、それによってメンバーの心構えや振る舞いも変わってきます。というわけで、ベイジという会社の経営を通じて培われた、今の私の組織観です。
- 持続性が大事
- 無理を強いる取り組みは持続しないのでよくない
- 楽しさや意義を感じる必要がある
- 全員有能なスター組織を目指すのは現実的ではない
- 部分最適ではなく全体最適を優先する
- 短期視点ではなく中長期視点で考える
- 役割の明確化は大事だけど、過度なセクショナリズムは逆効果
- トライ&エラーは当たり前、最初からうまく行かない
- 満場一致には必ずしもならない中で方針決めるの大事
- 大事なことは何度も言う、浸透するまであきらめない
- 仲良しである必要はないが、共感と尊重は大事
- 市場や業界や社内に認められる組織であることは大事
プライベート
福岡移住
来年の4月に福岡に移住する予定です。今ちょうど家を建て始めたところです。
私は大阪出身で、10歳の頃に親の転勤で埼玉に移住し、社会人以降はずっと東京暮らしです。そのため私自身は福岡には直接縁がないのですが、妻が福岡出身で、コロナになってリモートワークが当たり前になり、以前から住んでみたかった福岡に移住することを決めました。場所は南区で、最寄り駅は西鉄平尾駅です。福岡にお越しいただいた際にはお気軽にお声がけください。また、機会があればクラスメソッドの福岡オフィスにも遊びに行かせてください。
猫
2匹の兄弟猫と暮らしています。白い方が通称ふぅちゃん、茶色い方が通称豆男(まめお)です。
妻のインスタアカウントのフォロワーが10万人くらいいる関係で、ときどき猫系のイベントで写真を使っていただいたり、
たまーに雑誌に取り上げていただいたりしています。
テレビで取り上げていただいたこともありました。
勢いあまってLINEスタンプも自作してしまいました。
モフモフの輪郭の鬼切り抜きで数日死にました…
という感じの、かなりの親バカ(猫バカ)です。
音楽
大学時代から音楽にハマり、最盛期は毎月10枚近くCDを買ったり年間50本以上ライブに行ったりの生活をしていました。CDも3500枚くらいまで溜まっていったのですが、デジタルダウンロード&ストリーミングの流れに抗えず、売り払ったり譲ったりしました。
音楽のブログもちょくちょく書いてて、音楽記事でバズらせるのが一つの目標です。この『ボヘミアンラプソディ』の記事は、映画の人気とシンクロし、公開5日目で20万PVほどのトラフィックになり、自分史上一番バズった記事になりました。
最近は仕事関係の文章を書く事が多く、ここにほとんど時間をさけていないのが現状です。落ち着いたら音楽記事も色々と書いていきたいところです。
- 新型ハードコア「ニューコア」は2020年代のロックのメインストリームになるか?
- テイラー・スウィフトはなぜ成功したのか?[マーケティング徹底解説]
- Apple/Spotify/AWA等、音楽ストリーミング主要6サービスを徹底比較
- ONE OK ROCKは本当にアメリカで成功できるのか?
Spotifyのプレイリストも、カバーアートをきちんとデザインしたのをいくつかアップしています。
ちなみに演奏は全くできません。
これから
CDOの活動をしながらクラスメソッドにデザイン文化を根付かせて市場での影響力の拡大をお手伝いしつつ、私の会社であるベイジも事業を大きくし、デザインを必要とする企業やデザイナーに対して、今以上に貢献していければと思っています。また、ベイジでも自社サービスを立ち上げたいとずっと思っているのですが、クラスメソッドと一緒に事業を作ったりもできるといいな、とも思っています。
皆様これから長いお付き合いになると思いますが、どうぞよろしくお願いします!