スタートアップとメトリクスの上手な付き合い方(「データ分析を駆使したリーンスタートアップ」参加レポ)その4
こんにちは。 「ジェットコースター」って、よくよく考えたら本当にジェットで推進するやつなんかないことに気がついた @take3000 です。
「リーン・アナリティクス著者Alistair Croll氏による"データ分析を駆使したリーンスタートアップ"」に参加したメモを整形エントリーの4回目です。前回は、ビジネスのゴールに対してどのように改善を図っていったか、そもそも設定したゴールが正しかったのか、といったケースをAirbnb、Circle of Mom、qidiq から紹介しました。今回は、勉強会の参加者からの質問とその回答集です。
(Q)マーケティングの人で、リーンスタートアップを知らないひとにどう理解してもらえばいいのでしょうか?
(A)社内の起業家というのは変革をおこさなくてはいけないのだけど、大きな企業は変革を歓迎しません。典型的な例はロッキード・マーチンで、スカンクワークと言われていました。そこで、社員を隔離してジェット機を作ることにしました。自由に作っていいことにして、成功の定義をシンプルにしました。ルール破りは悪いことだけど、許可があればヒーローになります。組織の中で変革をおこすなら、誰かがルールを破ることに許可をだす必要があります。 ダニエル・マッキャラムは、みんなが仕事を嫌いう原因の人です。元々軍人で退役したあと、組織図を発明しました。イノベーションは組織図を破壊すること、イノベーションの敵は予測性です。 ロッキードでイノベーションができた理由は通常の組織から距離をおくことができたからです。 これにはまず高いレベルでの納得が必要です。だれかが許可しないといけません。あとリソースへのアクセスも必要です。お客様と話す権限も必要です。小さなチームをつくって変化に対応してイノベーションをおこしていいます。あと長い会議を避けることです。毎日10分くらいにします。データも四半期ごとの大きなデータではなく日々のデータを使います。 上手く作ったら会社に対して戻す必要があります。Walkmanも作ってから後でSONYが売れるようにしました。Windows NTも安定したら他の人が使えるようにしました。リソース(資金)にアクセスできるようにしないといけません。毎日お客様と話せる必要もあります。結果ベースで報酬を払うようにします。従来の会社ではこういったことをするのは困難です。みなさんの使命はイントレプレナー(社内起業家)として既存ビジネスとの共食いをするわけです。Microsoft は SaaS を Office 365 でやろうとしています。やったらソフトウェアの販売利益が下がります。 Blockbuster はDVDのレンタルをやっています。昔はいっぱいあったけど、最近は数が減りました。彼らは顧客の住所とレンタルの履歴をもっていました。それなのに Netflix のようなことができず破綻しました。自分達からそういったことをしたら、ほとんどの社員は職を失うけど、他の人がそれをやったらどうなるでしょうか。リーダーシップの中にも、自分の聞きたいことしか聞かない人もいるものです。 P&Gには良い事例があります。いつでも新しい石鹸を開発しようとしています。むかしは外部のデザイン企業に新しい製品企画を外注していたことがありました。ユーザーを調査したら、石鹸じゃなくてモップが必要だとわかり、Swiffer という紙モップを記開発したら5億ドルのビジネスになりました。このチームは既存市場を混乱させ破壊するために始められました。 The BCG Matrix(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)では通常、4種類の企業があります。dog(負け犬)は上手くいきません。成長もしません。question mark(問題児(problem child))は市場が急成長しているけどシェアが少ない。cash cows(金のなる木)は大きなシェアはもっているけど成長率が低い。ローソンやセブンイレブンが該当します。star(花型製品)は成長をしていてシェアもあります。皆さんの仕事は 、dogならを早く成長させることだし、question markならシェアをとることです。 大手企業のような考え方をし、再活性化をしましょう。市場を活性化するために始めることもあると思います(筆者注:「大企業のような考え方をし」はスタートアップとは言え、一般的な中小企業のように市場に対してまったく影響力がないという思い込みではなくて、大企業のように市場に対して影響力を発揮できるように仕事をしようよ、というニュアンスです。多分)。 イントレプレナーが最初にやることは承認を得ること。承認が得られなければイノベーションを諦めることになります。 クライスラーのミニバンでは、ユーザーの調査をしたら上手く行くだろうと予測ができました。 顧客の課題を見つけ出すことです。 清掃製品なら匂いを変えて欲しい、ボトルを大きくして欲しいという意見もあるだろうけど、モップを売るのが正解になったケースもありました。 大手は Stickiness の段階でMVP(Minimum Viable Product:ユーザーに受け入れられる製品として可能な限り無駄がない状態のもの)を発売することはできないかもしれません。 Paypal は全ての州で許可されたわけではないけどリリースに踏み切りました。何故なら、失うものも少ないから。Visa だったら難しいでしょう。 Virality は、商品に盛り込むと良いでしょう。それをSocialにします。今はセールスチャネルのデジタル化が進んでいます。ビジネスプロセスのデジタル化です。構築しているものを電子化し顧客から伝えてもらうようにしましょう。 世界で一番人気のあるカメラはiPhoneです。電話のキラー・フィーチャがカメラになるなんて20年前は誰も知りませんでしたし、カメラがインターネットに繋がることが良いというのも想像できませんでした。 通勤について顧客にインタビューをするとしましょう。既存の顧客はきっと車の文句をいうでしょう。既存の顧客を怒らせることが、Stickiness の段階です。 Microsoft でサブスクリプションをやると営業が怒るかもしれません。 リーン・アナリティクスは社内起業家に向いています。社内起業家にはいろんな課題がありますが、Blockbuster と Netflix の例を出すのが良いと思います。
(Q)会社で法律関係のWebサービスをやっています。ユーザーはトラブルにあって法律家に相談していること公開したいとは思っていない。Viral しづらいけどアイデアはありますか?
(A)まず、第一に匿名性(は守られなくてはいけません)。成功事例を自分でTweetするとかはいいかもしれませんね(筆者注:Viral の要素を製品に盛り込むことが出来ず、顧客自身に伝えてもらうことができないため、自分でTweetしたらという話。もちろん守秘義務を守った上で差し障りない範囲で)。 2面性がある市場です。どんな業界でも売り手と買い手があり、この場合売り手が法律家です。 Viralでやって来る人たちが重要で、二通りの方法を通じて Viralを増やすことが可能です。匿名のままで、特にトラブルには巻き込まれてはいないけど関心を持っている人に事例を共有してもらう方法です。事例をコンテンツ化して、おもしろいと思った人がそれらをフォローし、そして他の人へ伝えるでしょう(メモは「匿名で選んで、トラブルに巻き込まれていなくても事例を共有してもらう。コンテンツのマーケティングがある。おもしろいと思ってフォローする人がいる」。) もしくは、あるお客様が満足してくれたとします。でもそれを友人に共有したいとは思わない。だから、本人に代わってTweetのも良いでしょう。 コンテンツ・マーケティングにフォーカスするのがオススメです。もしくは弁護士の方から事例を紹介する仕組みをつくるとかですね。
(Q)自動会社に努めていて電気自動車の開発を検討しています。お客様のニーズを探す方法はないでしょうか?
(A)これは簡単です。別の会社の例をみればいいのです。 Lit Motors はオートバイの製造販売をしています。二つのジャイロスコープを使って安定する仕組みをもっています。リスクは作れるかどうかではなく、お客様がやってきてくれるかどうかでした。オートバイはまだ完成してないけどショールームを作って模型を飾り、ビデオを流しました。インタビューをして開発前に顧客を見つけることが出来ました。 3つのショールームをつくるのはどうでしょう。銀座、原宿、秋葉原で10代の少女を起用して、お金を使うしかやることが無いオタクにアプローチしてみるとか(笑)。 Lit Motors は上手くやりました。
明日で最終回です。