チーム構築ってどうしてる?形成期の「環境設定」と「ドキュメント」デザイン
1. はじめに
組織の立ち上げや体制変更のタイミングに、誰しも直面したことはないでしょうか。
メンバーの役割が曖昧だったり、チーム内の連携が希薄だったりすると、リーダーとして「何から手をつければいいのか」と頭を抱えることも少なくありません。
本記事では、IT会社で働く非エンジニアリーダーの視点から、仕事に必要な要素を抑えつつ、「環境設定」と「ドキュメント」の形に落とし込み、新しく立ち上がったチームを、チームとして機能させるために行った取り組みをご紹介します。
- この記事はこんな人向け:チームをまとめるリーダー・プレイヤー型ではないリーダー・リーダーになりたい方
- キーワード:組織体制・立ち上げ・組織変更
- これを読んだ後:組織立ち上げの際の参考の一助になれば幸いです
2. 前提条件:どのような組織・状況での話か
本稿で取り組みを紹介する前に、当時の状況をお伝えします。
1.組織構成
当時の組織構成は画像の通りです。

組織における人の役割名称(関係するところのみ)
- チームリーダー(以下TL) ...チームをまとめる人
- サブリーダー(以下SL) ...TLの補佐
- ユニットリーダー(以下UL)...ユニットをまとめる人
2. 他チームと異なる「異色の」組織の再編

このチームは、以下の点で特殊な状況にありました。
■ チーム構成の特殊性
- 各ユニットが異なる専門業務を担当
- ユニット間の業務関連性が薄く、横連携がほぼない
- 実質的には「3つの独立組織」の集合体
■ リーダーシップの特殊性
- 各ユニットの専門性が高く、ULに大きな裁量権
- TLである私は業務に直接関与しない「非プレイヤー型」
- 他のTLのような「現場に入るスタイル」ではない
■ 物理的距離の問題
- 2ユニット:東京オフィス勤務
- 私(TL):福岡で在宅勤務
3.状況の整理とそこから見えてくる課題
事実を整理すると以下の通りです
1.すでにある既存チームの編成だが、事実上の新規チーム
2.編成によって、新任ULを任された人ばかり
3.私は新しいユニットの業務内容について経験・知識が全くない
4.私は各ユニットの業務深くには入らない
5.物理的対応を行うユニットがあり、遠く離れた私(在宅)はユニットの業務が見えない
6.各ユニットの業務が、それぞれ職種の異なる専門業務であり、裁量権がある
7.ユニット間で業務上関連がほぼない
3.リーダーが関われる2要素と現状のフェーズを知る
状況が見えてきたときに思ったことはこんな感じだったと記憶しています。
1.新しい組織で不安になっている人ばかり(私も含めて)ではないだろうか
(信頼関係が構築されていない&業務内容も模索していく部分あり)
2.一見別々の業務をしているユニットがこのチームで一緒に働く意味って何?って思うんじゃないか
3.横連携がないユニット同士、どうチームとして機能させるべきだろうか
4.ユニットの業務に深くは入らないとはいえ、業務内容が全く分からないこの状況はなんとかしたい
ここで自分の状況はいったん脇に置き、先人の力を借りることにします。
現在の組織フェーズは世間で言うところのどこだろうと思い調べてみると、
心理学者のブルース・W・タックマンが、理想のチームへの成長過程を5つの段階に分けたプロセスがありました。

うん、うちのチームの現状は「形成期から混乱期の途中だな」と把握します。
また、私自身「報酬」「やりがい」「人間関係」は「仕事に必要な要素」だと思っています。
この3つの要素のうち、「報酬」は組織全体の制度に依存する部分が大きいのですが、
「やりがい」と「人間関係」は、リーダーが関わることができる部分だと考えました。
4.2要素×現状のすり合わせ
現状の状況が見えてきたときに感じた自分の思い(3.参照)に対する対応策が、以下とブレていないか・大事なポイントが抜けていないかなどを確認しました。
————————————————————————————————————————————————
- 「形成期・混乱期」にやるとよいとされている事項が入っているか
- 仕事に必要な3要素のうちの2要素「やりがい」「人間関係」につながりそうか
————————————————————————————————————————————————
1.新しい組織で不安になっている人ばかり(私も含めて)ではないだろうか(信頼関係が構築されていない&業務内容も模索していく部分あり)
→ 週報会の内容の見直し、1on1の実施、目標設定シート、上司とのMTG
2.一見別々の業務をしているユニットがこのチームで一緒に働く意味って何?って思うんじゃないか
→ チームである意味と役割の設定
3.横連携がないユニット同士、どうチームとして機能させるべきだろうか。
→ 週報会の内容の見直し、メンバーの実績紹介、AI活用の場の共有
4.ユニット業務に深くは入らないとはいえ、全く分からないこの状況はなんとかしたい
→ ユニット毎にユニットリーダーUL×TLMTGの設定、サービスカタログの作成、対応件数の実施、目標設定シートの作成
さらに詳しく見ていきます。
5.環境設定とドキュメント化
1.「新しい組織で不安になっている人ばかり(私も含めて)ではないだろうか」に対する環境設定とドキュメント化したこと
» 環境設定:週報会の内容の見直し
当初チームの週報会は、各ユニットが業務を報告する形式でした。
が、これを見直し、週報会の役割を「各ユニットが状況を報告し、相互で状況を共有するためのもの」から「必要最低限の共有と全員がコミュニケーションを行うことで、全員の人となりを知るための場所」に変更しました。
ユニット間の業務上の連携がないからこそ、コミュニケーションにほぼ全シフトした形にしました。
» 環境設定+ドキュメント:1on1の実施
1on1を行いました。1on1がなにかということも社内で特に明文化されていなかったので、1on1の本来の目的はなにかからUdemyで学び直し、何をする時間なのか、どのスタンスで参加するかをドキュメント化し共有した上で、メンバーと1on1の時間を取ることにしました。
私側から見えにくい、現場で起こることやご自身の不安を共有いただける場面に遭遇した時は、「(うぉー知らなかったありがとう!!)」という気持ちになります。
言っていただけること自体が、とてもありがたいことです。
» 環境設定:上司とのMTG
上司が忙しいのは重々承知の上で「自分も上司と相談できる時間を確保」します。
進捗の共有だけでなく、各ユニットの方向性が間違っていないかをすり合わせすることや、現状の課題感を上司と共有したり、相談したりすることで、一人でため込まないようにしています。
でも私の場合は上司がその場を設定してくれたので、ありがたかったです。
2.「一見別々の業務をしているユニットがこのチームで一緒に働く意味って何?って思うんじゃないか」に対してドキュメント化したこと
» ドキュメント化:チームである意味と役割の設定
このチームが存在する意味や他チームとは違う部分(ULの裁量権など)をテキストに落とし、週報会やゾーンの実績発表の場で共有しました。
3.「横連携がないユニット同士、どうチームとして機能させるべきだろうか」に対する環境設定
» 環境設定:週報会の内容の見直し
1.で前述のため割愛します。
» 環境設定:メンバーの実績紹介
ユニット同士の業務上の関連が薄いため、「他のユニットってどんなことしているんだろう」の状態を解消するために、チーム週報会内でメンバーの実績紹介を行っています。
これは、メンバー全員の成果を知っているTLだからできることです。
メンバーの成果を共有することで、他のメンバーはメンバーの成果やその背景にある業務を知ることができますし、メンバーは賞賛される機会を持つことができます。
これにより、相互理解(人間関係)ややりがいが向上するきっかけにもつながると思っています(不定期でなかなか実施できていないのですが)。
» 環境設定:AI活用の場の共有
業務上はバラバラのユニットでも、共通している部分があります。
それは会社として「AI活用」を進めている事。
この共通項を週報会に落とし込み、実際に手を動かしてAIを触ってみる時間を取っています(これも不定期で実施できていないのですが)。
4.「ユニット業務に深くは入らないとはいえ、全く分からないこの状況はなんとかしたい」に対する環境設定とドキュメント化したこと
» 環境設定:ユニット毎のUL×TLMTGの設定
ユニット毎に業務報告の時間を確保し、不明点はここで聞くようにしています。
ただ、あくまで主体的に動くのはULのため、ULが自走するために、業務に深く突っ込まないようにしています(つい深く聞いてしまうときもあります)。
» 環境設定+ドキュメント化:サービスカタログの作成
全社の取り組みとして対応業務(サービス)を一覧(カタログ)化しています。
全く業務内容が見えない状況は、これでぼんやりつかむことができました。
» ドキュメント化:対応件数の実施
定量的数値を確認するため、対応件数など出せるユニットは数値出しを記載するドキュメントを作成しました。
» ドキュメント化:目標設定シートの作成
各ユニット毎で四半期ごとの目標を記載するドキュメントを作成しました。
ただこれは改善がまだまだ必要なため、現在資料をアップデート中です。
6. まとめ
長くなりましたが、組織の「整備者」としてチーム立ち上げから今までにどのような環境設定をしたか、何をドキュメント化したかを共有しました。
特に私のように「リーダー自身が実務のプレイヤーではない」場合、直接手を動かして現場をカバーすることができないため、自分にできることは何か、の問いから生まれたものでもあります。
ですが、これまでやってきたことは全て、上司のサポートやメンバー皆さんの理解や協力があってこそできることです。
内容も当たり前ですが完璧でもないですし完成形でもないです。
むしろ私自身及ばない部分も多く、これからも悩みながら試行錯誤してやっていくのだと思います。
クラスメソッドオペレーションズ株式会社について
クラスメソッドグループのオペレーション企業です。
運用・保守開発・サポート・情シス・バックオフィスの専門チームが、IT・AIをフル活用した「しくみ」を通じて、お客様の業務代行から課題解決や高付加価値サービスまでを提供するエキスパート集団です。
当社は様々な職種でメンバーを募集しています。
「オペレーション・エクセレンス」と「らしく働く、らしく生きる」を共に実現するカルチャー・しくみ・働き方にご興味がある方は、クラスメソッドオペレーションズ株式会社 コーポレートサイト をぜひご覧ください。※2026年1月 アノテーション㈱から社名変更しました。









