技術者視点から見た東京ゲームショウ2014
今年もやって来ました東京ゲームショウ2014
日本最大のゲームの祭典「東京ゲームショウ2014」が2014年9月18日から21日まで、千葉の幕張メッセで行われました。 例年同様、ビジネスデーでゲームショウに潜り込む事が出来ましたので、技術的な観点から東京ゲームショウをレポートします。 今回は、少し写真多めに、お届けできればなと思います。
注目度が一番高かったOculus
技術者視点〜シリーズでも何度か登場しているOculusのブース。ただ、今までのファンが主導で行ってきた体験会(Oculfes)との違いは、米Oculus VRが初めて日本でブースを構える形となる点であり、今回のゲームショウでもビジネスデー・パブリックデー問わず注目を集めていました。
Oculusブースで展示されていたのは2種類。 1つがユニティちゃんが「Unite in the sky」にあわせて踊るデモ、もう一つがSF-MMO「EVE Online」からスピンアウトされた対戦型ゲーム「EVE:Valkyrie」。 どちらのデモがプレイできるかは決められず、空いた席に順番に案内される形でした。私はユニティちゃんのデモへ割り当てられることになりました。
ユニティちゃんが踊るゲームは名前から察することもできると思いますが、ゲーム開発エンジン「Unity」で開発されたもの。3Dモデルである「ユニティ」が仮想ステージ上を縦横無尽に動き回ります。ユニティ・テクノロジーズが総力を上げて作った力作です。 これがまた不思議なもので、実際のアイドルであれば目の前で自分のために歌うといったことはなかなかないが、Oculusを使うことで、自分を見ながら歌ってくれるのである! 視点をグルグルと移動してみても違和感は少ない。(残念ながら、座席に座っての鑑賞だったので、移動した時の感じもプレイしてみたいものです。) なお、音声自体は現在はステレオのみで、鑑賞位置によって音声の聞こえ方が変わるといったことは無いそうで、「やがては対応したい」とのこと。
EVE:Valkyrieは「Unreal Engine4」で作成されたマルチプレイシューティングゲームであり、実際にブースでも2対2の対戦を行うことが出来た。Oculus Riftだけでなくソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアのVR機「Project Morpheus」でも動作が可能となっているそうです。今までのでもでは、通信対戦等はなくただ単に宇宙空間を飛んでいるだけだったものが、今回から2対2の対戦が行えるようになったという話を聞きました。(人気すぎて2つともプレイするのは厳しかったことだけお伝えします。)
現在のOculusについて、ブースにいた知人に話を聞いてみました。 『Oculusはまだ、茶道で言うところの、お茶を点てて振る舞う茶事のような状態で、それぞれにちゃんとしたオペレーターがついて、ひとつひとつ丁寧に使い方を説明しないと嗜む事ができない。今回のデモをお金をとったと考えると、大体5000円ぐらいかかるんじゃないかな?(もちろん試遊なのでお金はざっとした計算ですが。)それを、自動販売機でお茶が買えて、好きなときに好きな場所でペットボトルとかで気軽に楽しめるように、つまり家庭で楽しめるようになるにはもう少し時間がかかる。そこに持っていくのは課題。 また、今のOculusの状態は、まだまだハードウェアに注目が行ってて、結局その上のコンテンツは何なのかまではいまいち浸透しない。テレビで、街頭で物珍しくみんなが囲んでいたあの状態で、その中のコンテンツはニュースなのか、バラエティなのか、はたまたスポーツ番組なのかは意識されてないのと似ている。広まってコンテンツを作らなければならない。 価格としてはなかなか下がらないが、例えば飛行機のファーストクラスに乗る人が、12時間のフライトの間にこれ(Oculus Rift)をつけることで周りを気にすることなく専有することが出来て、それに対してチケット代が100万から101万になってもそんなに気にしないでしょ、だけど一般はそうはいかないけど。 Unityもつい昨日、無償版の「Unity Free」で開発できるようにするという発表をした(注:20日に開催されたOculus Connect conferenceのキーノートスピーチで発表されました)し、開発の敷居が下がってくる。その中でいかに良質のコンテンツを作れるか、なんちゃってなアプリを無くせるかが開発者にとっては重要なところです。』
また、その他のブースでもOculusを利用したソフトウェアのデモが行われていました。 電撃ブースでは3Dのモデルを360度眺めることができる「PLAYGIRLS」などのソフトが試遊できました。 Samsungブースでは、Oculusと共同開発を進めているヘッドマウントディスプレイ「Samsung Gear VR」の展示と試遊が出来、先述の「ユニティちゃん TGS2014デモ」の体験などが出来ました。 ゲームスクールコーナーのアーツカレッジヨコハマブースでも学生の作ったOculus Riftソフトが試遊でき、注目を集めていました。
注目作品「モンスターハンター4G」
技術者でなくても誰しもが知っているゲーム「モンスターハンター」の10月発売の最新作。 「双剣」や「チャージアックス」の新アクションが追加されていますが、これまでと変わらない操作性なので、モンスターハンター4をプレイしていた人なら違和感なくできるかと思います。 Nintendo3DSから発売されるので当然3D表示はできるのですが、ブースでプレイしているユーザーを眺めた限り、半数以上の人が3DSをオフにしてプレイしているようでした。
PS4のリモートプレイが可能なXperiaブース
SONYが展開しているスマートフォン「Xperia」も、例年と同じくブースを展開しています。 XperiaといえばAndroid端末でも日本で割と売れている部類に位置しています。 今回は、Xperia Z3 Tabletに、PlayStation4のコントローラーを付けてリモートプレイをするといった展示がされていました。 他のAndroid端末との差別化を行うには、こういった付加価値を付けなければ今後は生き延びていかないのかもしれません。
他にも、IFA2014で発表されたレンズスタイルカメラQX1や、Smart Watchの展示なども有りましたが、実際に触れる物がなかったのがちょっと残念です。
その他
昨年から登場したデジタルサイネージ。 今年も出展企業の協力により配布物の情報や列の並んでいる状況がひと目で分かる形になっていました。 Samsungブースには、先述したSamsung Gear VR以外にもサイドが曲面になっているエッジスクリーンが搭載された「GALAXY Note Edge」も試遊できました。このサイドスクリーンもいろいろプログラムできるそうなので、面白いソリューションできるかもしれませんね。(ただし、Note Edge専用になってしまいますが。) 他にも、色々と志向を凝らしたブースも散見し、色々とプロダクトを想像するのにいいかんじでしたね。
最後に
東京ゲームショウでは、アミューズメント方向の発表がたくさんありがちですが、細かいブースをみてみると、新興国からのブース出展があったり、専門学校生による出店があったりと、これからのアプリ開発のヒントになりそうなものもたくさんあります。 もちろん、ビジネス的にも進歩しそうなジャンルもありますし、挑戦的なジャンルもあります。 こういった技術は生で触れて感じるのが一番ですね。協力:ANP
おまけ
一部の人がたくさん撮って来いって言うから、ゲームショウの華であるコンパニオンさんを撮ってきました。