運用者にオススメの一冊!「運用☆ちゃんと学ぶシステム運用の基本」!!
こんにちは オペ部 園部です。
ゴールデンウィークに読んだ本の中で、オススメしたい一冊を紹介させてください!
その本とは 「運用☆ちゃんと学ぶ システム運用の基本」 です!
(引用: システム運用の人たち10職種のおシゴト、解説しちゃいます!─『運用☆ちゃん』Incident 002)
本書は、リクナビ NEXT ジャーナル( CodeIQ MAGAZINE) にて連載されていた内容に解説が追加され書籍化された本となります。
Amazon 「運用☆ちゃんと学ぶ システム運用の基本」
マンガでのストーリー展開のためスムーズに読み進めることができますし、随所に散りばめられた運用あるあるは「あー、わかる!」と言ってしまいます(心の中で)。それだけでも十分楽しめますが、私がオススメしたい理由としては章末に追加された解説部分です。
「運用の仕事内容・価値」「運用エンジニアのキャリアパス」といった内容について、各章末で記載されています。
運用業務に従事しているとある種の倦怠感や不安を感じることはないでしょうか?
(自分はこのままでいいのか。でもどうすればいいのか。あぁつまらない...など。)
(もちろん本書を読むことで、全てが解決する訳ではありませんが)
現在運用業務に従事している方々は、共感や気付きが得られるのではないかと思います。また運用担当者以外の方にも運用の実態を知っていただきやすい内容なのではないかと思います。
あらすじ
妖精「運用☆ちゃん」と、システム運用担当者 海野 遥子(うんの ようこ)が体当たりで、システム運用の「いろは」を伝えてくれます。
著者
沢渡あまね(@amane_sawatari)さん
湊川あい(@llminatoll)さん
お二方とも、多くの書籍執筆やイベント登壇をされているため、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
目次
章 | タイトル | Incident(ストーリー) |
---|---|---|
1 | 運用のお仕事とは? | 01 「システム運用」って、どんなお仕事なの? 02 システム運用10職種のお仕事 |
2 | 運用・運用者について知って置いてほしいこと | 03 運用車のモチベーションを下げる悪魔のフレーズ 04 運用以外の人も知っておいてほしい「運用観点」 |
3 | 運用設計について知ろう | 05 「運用設計」ってなに? 06 「業務運用」ってなに? 07 社内の「引越し」を制する者は、運用を制する |
4 | 運用業務の広がり | 08 運用者よ、上流工程に参画せよ! 09 クラウド時代の運用者の歩き方 10 「DevOps」ってなに? |
5 | 日々の成長〜ITサービスマネジメント | 11 適切なコストと労力で、ITサービスを提供し続けるには? 12 これがITサービスマネジャーの仕事だ! |
6 | 運用の醍醐味 | 13 現役システム運用・管理者に聞く! 運用のお仕事の醍醐味 |
個人的にはCHAPTER3とCHAPTER5が内容も濃く、お気に入りです。
CHAPTER 1 〜運用のお仕事とは?〜
まずは、運用業務とはどういったものがあるのかを取り上げられています。
以下の図をベースに、「運用統制」「ヘルプデスク/サービスデスク」「業務運用」「システム運用」 の各役割とそれぞれの主なタスクが紹介されています。
(引用: システム運用のオシゴトって、どんなことをしているの?『運用☆ちゃん』Incident 001)
こうして俯瞰図で見ると、改めて運用業務エリア(役割)の広さを再確認することができます。
個人的にも、「システム運用」と「業務運用」を分けることは大切だと考えています。
他にも、システム運用に関連する10職種のエンジニアが取り上げられます。
CHAPTER 2 〜運用・運用者について知って置いてほしいこと〜
運用者のモチベーションを下げる悪魔のフレーズと題して、10つのフレーズが紹介されています。
(定番の「運用でカバー」もランクインしています)
列挙するだけなら運用者が2人以上集まれば、10個くらいあげることは出来るのではないでしょうか。
本章末の解説では、「悪魔のフレーズを言われないようにするには?」というテーマが言及されています。
運用担当者側が気をつけるべき内容として3つがあげられています。
- 「悪気なく」運用の仕事が見えない
- 「悪気なく」開発の仕事が見えない
- 「悪気なく」運用の自己肯定感が低い
実体験として、自身(運用サイド)の説明不足・他者(開発者やビジネスサイド)への理解不足で、スムーズに進めることが出来なかった苦い思い出が蘇り、今後も気をつけていこうと身が引き締まる思いになります。
そして、続いて 運用観点 の重要性が取り上げられています。
※ 解説の中で紹介されていた 「PageSpeed Insights」 がとても良さそうでした。
CHAPTER 3 〜運用設計について知ろう〜
本書内では運用設計とは、CHAPTER 1 で紹介された「運用統制」「ヘルプデスク/サービスデスク」「業務運用」「システム運用」を対象とした設計と定義されています。
書籍内では「システム運用」と「業務運用」について以下が解説されていますが、とても参考となるものが多いです。
- 4つのポイント
- When: いつ運用設計をするか?
- Who : 誰が運用設計をするか?
- What: 設計すべき運用項目は?
- How : どのような体制で運用するか?
- 成果物
- 継続的な改善の必要性
- 業務運用担当者が敏感になっておきたい3つのポイント
- 年間スケジュール / 業務イベント
- ユーザの動向
- 事業の変化
運用設計において何をどの程度行うのか。そして組織やサービスにより最適な内容が異なることも体系化が難しい要因ではないかと感じています。 とはいえ全てを自前で作成していくのではなく、AWS Well-Architected フレームワーク や 非機能要求グレード、ITIL などの既存の有用なフレームワークを活用することが鍵となるのではないでしょうか。
またストーリーの欄外で紹介されています みんなが知っておくべき運用設計のノウハウ は、私もおススメです。(そしてなぜか安い...)
CHAPTER 4 〜運用業務の広がり〜
一度現場から離れ、海外やクラウドなどの流れの中で運用(運用担当者)についてストーリーが続きます。
(引用: 「運用でカバー」では、プロジェクトが崩壊する!運用者よ、上流工程に参画せよ!―『運用☆ちゃん』Incident 008)
- ITサービスマネジャーと上流工程への参加の重要性(by USA 企業 Rajesh(たぶん架空の人物) さん)
- The projects will NOT proceed without approval by IT Service Managers.
(運用責任者の承認なしにプロジェクトは次工程へは進めません)
- The projects will NOT proceed without approval by IT Service Managers.
- クラウド時代の運用担当者とSRE(by アイレット 木檜さん・羽鳥さん)
- 運用を中心に、ITサービスを安定して提供するための工夫と改善を繰り返す役割
- DevOps (by DevOps エバンジェリスト 長沢さん)
- Dev(開発)とOps(運用)を明確に分けないカルチャー
運用エンジニアを取り巻く環境は変化しているのは、皆さんも感じているかと思います。
SRE、CRE、DevOpsなど、以前と違った先細りしていない複数のキャリアパスが広がっています。
(いい時代に生まれたものだと思います)
とはいえ、これらにすぐにジョブチェンジ出来るかと言われると機会・環境・スキルなどから現実的には厳しいのではないかというのが海野 遥子さん同様、私も思います。
CHAPTER 5 〜日々の成長〜ITサービスマネジメント〜
ここからは運用業務を DeepDive していきます。 ITサービスマネジメント(ITIL) と各ライフサイクル要素について説明されています。 ITIL自体は以前からあり活用されている企業も多いと思いますが、分量などから取り掛かりにくい印象はないでしょうか。 (私はどこから理解していけば良いのかわかりませんでした...)
そんな方には、以下の書籍はおススメです。
v4 の内容も追加されているものとしては、こちらが良いかと思います。
(引用: 【マンガ】適切なコストと労力で、ITサービスを提供し続けるには?―『運用☆ちゃん』Incident 011)
そして、IT サービスマネジメントを回す IT サービスマネージャの存在と必要な5つの要素を解説されています。 こちらは多くのページを活用して丁寧に解説されており、IT サービスマネージャのみならずエンジニア・マネージャの方でも参考となる内容ではないかと思います。
- わかりやすく伝える力
- フレームワーク応用力
- ナレッジ管理力
- 関係構築力
- 提言力
CHAPTER 6 〜運用の醍醐味〜
最終章では、実際に現役システム運用・管理者への2つのヒアリング内容が紹介されています。
- Q1. システム運用業務の「醍醐味」や、「これが身に付いた!」を教えてください。
- Q2. システム運用業務していてよかったことを教えてください。
さいごに
タイムリーなことに、昨日 運用☆ちゃんデプロイイベント が開催されていたようです!
冒頭に記載した私が感じたことがあるようなモヤモヤしたものを今まさに感じている方にとって、本書が解決の糸口となれば同じ運用業務に従事する者として、幸いです!