AWS Well-Architected Framework がアップデート(2023年10月3日)されたので変更点を Well-Architected Tool で比較してみた

2023.10.04

いわさです。

今朝、AWS Well-Architected Framework がアップデートされたとアナウンスされました。

Well-Archtected Framework は定期的にアップデートされているのですが、前回は 2023 年 4 月 10 日に更新されています。

今回のアップデート内容を AWS ドキュメントの更新履歴からサマリを確認することが出来ます。

Major performance pillar restructure to bring number of best practice areas to five. Large update to best practices and guidance in the security pillar in Incident response (SEC 10). Major content changes and consolidation in operational excellence areas OPS 04, 05, 06, 08, and 09. Guidance updates throughout the cost optimization and reliability pillars. Minor updates to sustainability pillar risk levels.

引用元:https://docs.aws.amazon.com/wellarchitected/latest/framework/document-revisions.html

ざっくりいうとパフォーマンス効率の柱が大幅に構成が代わっており、以下についてはベストプラクティスとガイダンスの内容が変更されているようです。

  • SEC 10
  • OPS 04
  • OPS 05
  • OPS 06
  • OPS 08
  • OPS 09

先程公式ドキュメントの英語版を確認したところ、パフォーマンス効率の柱の設問が 5 つに更新されているはずなのですがまだ 8 つある状態でした。
そこで今回は AWS Well-Architected Tool から変更点を確認してみたので紹介します。

AWS Well-Architected Tool でレンズのアップグレード可能

AWS Well-Architected Tool 上では次のようにワークロードの Well-Architected Tool のバージョンを明示的にアップグレードすることが出来ます。
2023 年 6 月ごろに作成したワークロードでは次のように表示されていました。

柱の設問ベースで比較してみた

全体の変更点を把握したかったので、まずは設問ベースで2023年4月10日版と2023年10月3日版の比較を行ってみました。
全体の設問数でいうと、パフォーマンス効率の柱の設問数が変わっており、それ以外は変わっていません。

続いて設問内容を比較してみます。

運用上の優秀性の柱

こちらは 2 つの設問の日本語表記が少し変わっていますが、まぁほとんど設問内容に変わりはないです。

セキュリティの柱

こちらもいくつかの設問の日本語表記で若干の差分がありますが、設問内容に変わりはありません。

信頼性の柱

こちらも設問内容に変わりはありません。

パフォーマンス効率の柱

パフォーマンス効率の柱は新しく構成されていますね。
今まで 8 つの設問だったのが 5 つになっています。

コンピューティング、ストレージ&データ、ネットワークなどについて質問しつつ、その他について補足の質問をしている形式は大筋同じ感じですが、トレードオフ・モニタリング・新機能と言ったワードを使わずに「パフォーマンス効率高めるために何をしてる?」と言った質問がされるようになっています。

コスト最適化の柱

こちらも若干の日本語表記の変更のみですね。

持続可能性の柱

こちらは差分がありませんでした。

ガイダンスの確認

SEC 10. インシデントの予測、対応、復旧はどのように行いますか?

次のようにガイダンスとベストプラクティス情報を比較してみました。
左がアップデート前で、右がアップデート後のものです。

大筋では同じことを言っていると思いますが、より事前準備と訓練を重要視しているような記述になっていますね。

OPS 4. ワークロードにオブザーバビリティを実装する方法を教えてください。

ガイダンスの表現が若干変更されているのと、他の設問のベストプラクティスだった KPI 周りの項目がこちらに追加されています。

OPS 5. どのように欠陥を減らし、修正を容易にして、本番環境へのフローを改善するのですか?

これはベストプラクティスの日本語表記が少し変わっていますが、ほとんど変更されていない気がしますね。

OPS 6. どのようにデプロイのリスクを軽減しますか?

こちらはベストプラクティスの選択肢が減りました。

OPS 8. 組織でワークロードのオブザーバビリティを活用する方法を教えてください。

こちらもベストプラクティスの選択肢が減っており、KPI に関してはこの設問では触れられなくなりました。

OPS 9. オペレーションの正常性をどのように把握しますか?

こちらも OPS 8 と同様ですね。

その他

冒頭に記述した公式ドキュメントの改版履歴上は、上記以外にコスト最適化の柱&信頼性の柱の全体的なガイダンス更新や、持続可能性の柱のリスクレベルのマイナーアップデートについても言及されていますが Well-Architected Tool 上は大きな変更点は確認出来ませんでした。

ちょっと時間がかかりそうですがドキュメントレベルでの変更前後の比較もしておきたいですね。

さいごに

本日は AWS Well-Architected Framework が更新されたので、AWS Well-Arhicted Tool を利用して変更点を確認してみました。

色々と変わっているように見えますが、従来の考え方や概念が変わるようなアップデートではないですね。
Well-Architected Tool 上でレンズのアップデートをする際にはパフォーマンス効率の柱については構成が大きく変わっているので注意が必要そうです。