WEB ブラウザで HPC クラスターを管理・構築できる AWS ParallelCluster UI の今 - 2025年版

WEB ブラウザで HPC クラスターを管理・構築できる AWS ParallelCluster UI の今 - 2025年版

Clock Icon2025.04.28

はじめに

AWS ParallelCluster UI は、コマンドラインの操作に慣れていない方や、GUI でクラスターを管理したい方のために Web ブラウザから管理できるユーザーインターフェースを提供しています。この記事では ParallelCluster UI を紹介します。

ParallelCluster UI全体像

ParallelCluster UI のリポジトリは、ParallelCluster とは別で管理されています。

https://github.com/aws/aws-parallelcluster-ui

昔話

ParallelCluster UI は、昔 ParallelCluster Manager という名前でした。

https://dev.classmethod.jp/articles/tried-aws-parallelcluste-manager/

AWS ParallelCluster 3.5.0 リリース時に ParallelCluster UI へ改名しました。ParallelCluster の正式な機能としてリリースされ、ParallelCluster のドキュメント内で導入方法が記載されるようになりました。

ParallelCluster UI でできること

ParallelCluster UI を使うと、以下のようなタスクを Web UI から実行できます。

  • クラスターの作成、変更
  • セッションマネージャー接続
  • Amazon DCV 接続
  • スポットフリートの停止・開始
  • ヘッドノードのログ確認
  • ParallelCluster UI のユーザー追加

コマンドラインを使わずにクラスターを管理できるため、AWS CLI や pcluster コマンドに不慣れな方でも直感的に操作できます。

構成図

以下は ParallelCluster UI の構成図は見当たらなかったので、ParallelCluster Manager のときの構成図を紹介します。基本的なアーキテクチャは現在の ParallelCluster UI でも同様です。

ParallelCluster Manager の構成図

画像引用: pcluster-manager/docs/static/architecture.png at main · aws-samples/pcluster-manager

AWS ParallelCluster API のフロントエンド

ParallelCluster UI は ParallelCluster API のフロントエンドにあたります。ParallelCluster API はpclusterコマンドで実行できる内容と近しい機能を提供しています。詳細は以下の API リファレンスを参照してください。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/parallelcluster/latest/ug/api-ref-v3.html

API バージョンと UI のバージョンは別

ParallelCluster UI と API のバージョン管理は別々に行われています。

ParallelCluster UI と API のバージョン対応

ParallelCluster UI 自体もアップデートされますが、重要なのは UI が使用する API のバージョンです。API のバージョンによって管理できるクラスターのバージョンが決まります。

制限事項と注意点

ParallelCluster UI を使う際には、いくつかの制限事項に注意する必要があります。

まず、管理できる ParallelCluster のバージョンには制約があります。下図のように、ParallelCluster API のバージョンが重要です。 基本的には API のバージョンと同じクラスターのバージョンしか管理できません。API より下のバージョンのクラスターであれば表示はできます。

ParallelClusterUIのバージョン対応表

推奨環境

クラスターのバージョンに合わせて、ParallelCluster UI を個別に作成するのが推奨構成です。

ParallelClusterUIの推奨構成

複数のバージョンの ParallelCluster クラスターを管理する場合、それぞれのバージョンに対応した ParallelCluster UI を個別に構築することになります。

複数 ParallelCluster UI 環境を運用するときのユーザー管理問題

ParallelCluster UI へログインするユーザー認証は AWS Cognito を利用しています。デフォルト設定は、各 ParallelCluster UI ごとに Cognito のユーザープールでユーザーを管理します。異なる ParallelCluster API バージョンのために複数の ParallelCluster UI 環境を作成すると、ユーザー管理は環境ごとに個別管理となってしまいます。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/parallelcluster/latest/ug/install-pcui-cognito-v3.html

対策

既存のユーザープールの利用も可能です。ParallelCluster を長く利用する計画がある場合は、次の対応がおすすめです。

  1. Cognito のユーザープールは事前に作成しておく
  2. 各バージョンの ParallelCluster UI に同じユーザープールを紐づける

このようにすることで、ユーザー管理が一元化され、運用負荷を軽減できます。

CloudFormation設定画面

詳細はドキュメントを参照してください。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/parallelcluster/latest/ug/install-pcui-cognito-v3.html

ParallelCluster UI 作成時の Tips

構築は用意されている CloudFormation テンプレートを実行するだけです。パラメータの指定で私が構築時に苦労した点をいくつか共有します。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/parallelcluster/latest/ug/install-pcui-v3.html

APIバージョンの選択

ParallelCluster API のバージョンは、ParallelCluster のバージョンと同じ値を入力すれば OK です。例えば ParallelCluster 3.13.0 を管理するための ParallelCluster UI をデプロイするときは3.13.0とパラメータを入力します。

ネットワーク設定

デフォルト VPC を削除している場合は、VPC ID とサブネット ID の入力が必須です。

設定例

以下は実際の CloudFormation スタックのパラメータ設定画面です。

CloudFormationのパラメータ設定

スタックのデプロイが完了したら、出力された URL を通じて ParallelCluster UI へアクセスできるようになります。

CloudFormationスタックの完了画面

まとめ

ParallelCluster UI は、AWS で HPC クラスターを管理する際の操作性を大きく向上させるツールです。コマンドラインが苦手な方や、Web ブラウザからクラスターの状態を把握したい場合に特に役立ちます。

バージョンの互換性に注意しつつ、ぜひ活用してみてください。

おわりに

「ParallelCluster に GUI の操作画面はないのですか」という質問をたまに受けます。今回、ParallelCluster UI に改名されてから久しぶりに検証してみました。

参考

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