CCoEがやることについてまとめてみた
CCoE ってよく聞く言葉ですが「何をしている組織なのだろうか」と思われている方の疑問を解決するためにまとめました。「CCoE とは」から始まり、「CCoE のやること(やっていること)」「立ち上げ時の検討事項」「CCoE の原則」について紹介します。
AWSのセミナー資料に加えて、大日本印刷、NTTドコモ、KDDIといった企業の取り組み資料を参考にしました。
CCoE とは
CCoE は社内のクラウド利用を推進・統制するミッションを持つ組織となります。
CCoE(Cloud Center of Excellence)についてまとめてみた のブログも合わせてご参照ください。
CoE (Center of Excellence)
特定の分野におけるトップレベルの人材やノウハウ、設備を集約した組織のことです。
CCoE (Cloud Center of Excellence)
CoE の Cloud 版です。クラウド利用に関するノウハウを集約し、そのノウハウを活かして組織全体を牽引する役目を担います。
CCoE のイメージ
CCoE のデザインパターンは色々ありますが、理解促進のために一例を紹介します。社内と社外の関係者と連携してクラウド活用の推進と統制を行います。
クラウド利用の統制が取れていない場合の影響
クラウド利用に関する統制がない場合は、次のような影響が考えられます。
- アカウントの契約方法が組織毎に異なり、誰も全体を把握できない状態となる
- セキュリティインシデントが発生した際の調査や再発防止の際に全アカウントの状況確認に時間がかかる
- コストの統制が取れていないので、全体最適化できずに無駄な支出が発生する
CCoE のやること(やっていること)
公開されているAWSセミナー資料や大日本印刷、NTTドコモ、KDDIの取り組み資料を基に CCoE がやること(やっていること)を一覧化しました。
注意が必要な点として、すべての企業に対して有効な絶対的な CCoE のスコープ/体制は無いことです。自社の特性に応じて、下表の内容をテーラリングする必要があります。
また、すべての項目を実施しなければいけないものでもありません。他の組織と役割分担したり、まずは始めやすいことから小さく始めて徐々に拡充していくことも大事です。
CCoE のやること(やっていること)一覧表
カテゴリ | 項目 | 取組内容 |
---|---|---|
情報収集 | クラウドの情報収集 | クラウド関連のイベントやユーザ会に参加、社外 CCoE との交流など |
サービスの検証 | 新サービスの検証、ノウハウの蓄積 | |
要望の収集 | 社内の要望(フィードバック)を収集して今後の改善に活用 | |
情報発信 | 社内イベントの開催 | 社外イベント報告会、社内事例を共有するワークショップの開催など |
社内ポータルの整備 | 社内のクラウド情報を集約するポータルサイトの構築と運用 | |
社内コミュニティの整備 | チャット、SNS などの情報交換の場を提供 | |
社外への情報発信 | オウンドメディア、イベント登壇、社外CCoEとの交流会など | |
統制 | ガイドラインの制定 | クラウドの利用や設計、セキュリティ対策、コスト管理方法などをまとめたガイドラインを作成 |
アカウント管理 | クラウドサービスのアカウントの一元管理 | |
ユーザー管理 | クラウドサービスのユーザーの一元管理 | |
セキュリティ/ログ管理 | セキュリティのガードレール(予防的統制、発見的統制)、マルチアカウントのログ集約などの設定 | |
コスト管理 | RI/SP の利用ルールの整備、費用計上の考え方整理、費用負担の考え方整理など | |
プロジェクト支援 | 社内コンサルティング | 社内のクラウド利用に関する相談対応、技術支援など |
マイグレーションの主導 | 社内システムのクラウド化に関する移行計画の策定、費用対効果の算出など | |
人的リソース支援 | プロフェッショナル人材をプロジェクトに派遣 | |
共通サービスの提供 | 共通設備 | 閉域接続回線、Proxy/DNS/NTPサーバ、データレイクなどの全組織が利用できる設備を一元提供 |
セキュリティサービスの提供 | マルウェア対策ソフト等のセキュリティ製品の選定、利用方針の決定、利用方法の周知など | |
人材育成 | トレーニング、研修の整備 | クラウド事業者公式トレーニングや社外研修の活用制度の整備 |
社内イベントの開催 | 定期的な勉強会、アイデアソン、ハッカソンなどの開催 | |
ビジネス化 | ビジネスとして展開 | 社内ノウハウを活かして、クラウドに関するコンサルティング、SI/MI、ノウハウ販売、ツール販売などのビジネス化 |
経営者へのインプット | 活動内容の報告 | 活動内容(計画と振り返り)の報告、今度の方向性の意識合わせなどを実施 |
CCoE の立ち上げに向けて検討すること
社内を横断する組織を立ち上げることに加え、社内のカルチャーの改革も必要になりますので、パワー(推進力)が必要になります。そのためには、経営者の明確な方針と推進の支援があることが前提となります。
立ち上げに向けてやること
- CCoE のスコープの決定
- スコープ達成に向けた中長期計画の策定
- マイルストーンの策定
- KPI の決定
- 予算の確保
- 費用対効果の試算
- 組織構成の検討、人材リソースの確保
- 必要な人材の検討(必要に応じて組織横断)
- サービス開発担当
- 開発者
- セキュリティ担当者
- 経理担当者 など
- 異動/採用で組織を作るかバーチャルチームで組織を作るか
- 必要な人材の検討(必要に応じて組織横断)
- CCoE 立ち上げ宣言(経営者もしくは幹部)
CCoE の原則
Create a Cloud Center of Excellence において、CCoE の原則が公開されています。
CCoE は発足させて終わりではなく、組織やビジネス環境の変化に合わせて常に変化(進化)していく必要があることが分かります。そのため、変化を前提とした組織設計が必要となります。
- The CCoE structure will evolve and change as the organization changes.
Treat the cloud as your product and application team leaders as the customers you are enabling.
Build company culture into everything you do.
Organizational change management is central to business transformation. Use intentional and targeted organizational change management to change company culture and norms.
Embrace a change-as-normal mindset. Changes in applications, IT systems, and business direction is expected.
Operating model decisions will determine how people fill roles that achieve business outcomes.
DeepL 翻訳の結果も掲載します。
- CCoE の構造は、組織の変化に合わせて進化し、変化していきます。
クラウドを自分の製品として、アプリケーションチームのリーダーを自分が実現する顧客として扱う。
企業文化をすべての行動に組み込む。
組織変更管理は、ビジネス変革の中心です。企業文化や規範を変えるために、意図的かつ対象を絞った組織変更管理を行う。
変化を常態化させる考え方を取り入れる。アプリケーション、IT システム、ビジネスの方向性の変化は予想されます。
オペレーティングモデルの決定は、ビジネスの成果を達成するために人々がどのように役割を果たすかを決定します。
まとめ
CCoE のやること(やっていること)と立ち上げのための検討事項をまとめました。自組織の特性に合わせてやることを決定し、常に組織やビジネス環境の変化に対応することが重要となります。これから CCoE の立ち上げを検討されているどなたかのご参考になれば幸いです。