AWS Media Servicesの2020年を振り返ってみる
はじめに
清水です。2020年も残りわずかとなりました。一昨年、昨年とこのタイミングでAWS Media Blogのエントリを元にAWS Media Servicesを振り返りを行っていました。
今年もAWS Media Servicesではいろいろなアップデートがあったし、振り返っておこう!と思ったのですが、AWS Media Blogで該当するエントリは今年はないようです。ということで少し趣向を変えて?AWS Media Services関連の2020年アップデート内容をまとめていきたいと思います。方法としては以下のAWS What's New公式ページから各サービスの2020年のアップデート情報をそのリンクとともにひたすらまとめていきます。
対象となるサービスはAWS Media Services公式ページに記載されている8つのサービスとしました。また各サービスでアップデートの個数をカウントしていますが、カウント方法(ポストで1つとするか、1つのポストで複数カウントとするか、などなど)で多少は変動するかと思います。あくまで目安としてお楽しみください。
AWS Elemental MediaConnect
- MediaConnectが香港リージョンで利用可能になりました
- フローごとに最大50の出力をサポートするようになりました(従来は20でした)
- MediaConnectでVPCを介した映像送受信が可能になりました
- 2つのライブソース間のフローへのフェイルオーバーをサポートしました
- CloudWatchのネットワークパフォーマンスメトリクスがMediaConnectのマネジメントコンソール上で確認可能になりました
- ライブビデオ共有時にMediaConnectの出力でエンタイトルメントの一時停止が可能になりました
- アウトバウンド帯域幅の予約が可能になり、長期契約によるコスト削減ができるようになりました
MediaConnectのアップデートは以上の7件となります。VPC対応やリザーブド価格の提供などなど、堅実に機能アップデートされている印象です。
AWS Elemental MediaConvert
- MediaConvertでMP3音声のみの出力が可能になりました
- HDRからSDRへのトーンマッピンングが可能になりました
- AV1エンコーディングに対応しました
- ジョブを別のキューで処理するキューホッピング機能が利用可能になりました
- FedRAMP(Federal Risk and Authorization Management Program/米国政府機関におけるクラウドセキュリティ認証制度)に準拠するようになりました
- VP8およびVP9コーデックでのWebM出力が可能になりました
- NexGuard forensic watermarkが利用可能になりました
- VP8またはVP9を使ったWebM DASH形式での出力に対応しました
- InSync FrameFormerなフレームレート変換が利用可能になり、フレームレート変換時にも高品質な出力が可能になりました
- Nielsen非線形audio watermarkが利用可能になりました
- Automated ABR(自動アダプティブビットレート)構成が利用可能になりました
AWS Elemental MediaConvertのアップデートは以上の11件になります。個人的にはMP3 Audio Only OutputやWebM出力など、これまでAmazon ElasticTranscoderでのみ対応してMediaConvertで非対応だった機能のサポートが興味深いところです。
AWS Elemental MediaLive
続いてMediaLiveです。LinkデバイスもサービスとしてMediaLiveに含まれているのですが、本エントリではAWS Elemental Linkの項目を別に設けてそちらにまとめています。
- 2つのライブInputソース間での自動フェイルオーバーがサポートされました
- AVC出力ならびにHDRからSDRへの変換の際により高品質なEnhanced Video Quality Modeが利用可能になりました
- フラグメント化されたMP4のID3タイミングメタデータとNielsen ID3パススルーをサポートしました
- Microsoft Smooth出力のセグメント調整を無効にする機能が追加されました
- 複数の音声トラックを持つTS入力から音声を選択することが可能になりました
- AWSソリューション「Live Streaming on AWS」でAWS Elemental MediaLiveとAWS Elemental MediaStoreを使った構成が選択可能になりました
- スケジュール機能の入力切り替えでInput cueが利用可能になりより迅速にInputの切り替えができるようになりました
- AVCコーデックでのUHD出力に対応し4K解像度を含めたABRライブ配信が容易に行えるようになりました
- AWS Elemental MediaLive adds AVC UHD outputs
- 2020/09/03
- AWS Cloud Digital Interface (CDI)が発表され、MediaLiveのInputとして利用可能となりました
- MediaLive StatmuxでMPEG-2エンコーディングがサポートされました
- MediaLive Statmuxでビデオ品質がすべてのコーデックで改善されました
- MediaLive Statmuxでチャンネル間優先度制御が利用可能になりました
以上12個が、Linkデバイスを除くMediaLiveのアップデートとなります。続いてLinkデバイス(AWS Elemental Link)については以下にまとめます。
AWS Elemental Link
- ライブビデオソースをAWS Elemental MediaLiveに接続するデバイスAWS Elemental Linkがリリースされました
- LinkデバイスでMediaLiveがサポートされているすべてのリージョンに対応しました
- LinkデバイスのAWSアカウント転送に対応しました
- LinkデバイスがMediaLiveのStandard Channelに対応し冗長化構成が容易に取れるようになりました
- 1つのLinkデバイスが複数のMediaLive Channel入力として利用可能になりました
- Linkデバイスで8つの埋め込みオーディオチャンネルをMediaLiveに送信できるようになりました
- Linkデバイスごとに名前を割り当てられるようになりました
AWS Elemental MediaLive用のセットアップ済みライブエンコーダデバイスとして今年2020年の春にリリースされたAWS Elemental Link、リリース以降は対応リージョンの追加(2020/08ごろの東京リージョンサポートなど)といったアップデートのみでしたが、2020/11/11にドカン!とたくさんのアップデートがありましたね。アップデートの数としては合計7個となります。
AWS Elemental MediaPackage
- ライブエンドポイントでCDN認証が利用可能になりました
- クエリ文字列によるマニフェストフィルタリングをサポートしました
- タイムシフトならびにLive-to-VODマニフェストの最大長が24時間に延長されました
- MP4 VOD取り込み機能が強化されよりわかりやすい命名規則がサポートされました
- MediaPackageがストックホルムリージョンで利用可能になりました
- VODエンドポイントでCDN認証が利用可能になりました
- AWSソリューション「Live Streaming on AWS」でAWS Elemental MediaLiveとAWS Elemental MediaPackageを使ったQVBRエンコーディングが利用できるようになりました
- ライブワークフローでアクセスログ記録がサポートされました
- CloudFormationにMediaPackageリソースタイプが追加されました
以上9個がMediaPacakgeのアップデートとなります。CDN認証機能からCloudFormation対応など、こちらも堅実なアップデートが行われた印象です。
AWS Elemental MediaStore
- MediaStoreがCloudWatchメトリクスをサポートしました
- より低コストな低頻度アクセスストレージ階層MediaStore-IAが利用できるようになりました
- AWSソリューション「Live Streaming on AWS」でAWS Elemental MediaLiveとAWS Elemental MediaStoreを使った構成が選択可能になりました
MediaStoreは割と少なめ(?)の3つのアップデートとなりました。逆に機能としてはすでに充実しているのでは、とも考えられます。また個人的にはStrong Consistecyに対応したAmazon S3との棲み分けも気になるところです。
AWS Elemental MediaTailor
- Ad Break Suppression機能がサポートされ、DVRのようなタイムシフト再生時の広告表示が制御できるようになりました
- 広告の前後にビデオバンパーが挿入できるようになりました
MediaTailorのアップデートは2件となります。MediaTailorについてもより使いやすくなるよう機能拡張がなされているかと思います。
Amazon Interactive Video Service
- Amazon Interactive Video Service (Amazon IVS)がリリースされました
- 再生時の承認が必要なプライベートチャンネルが利用可能になりました
簡単にセットアップでき、超低遅延なライブ配信が可能なフルマネージドサービスとして2020年夏に登場したAmazon IVS、リリースから約1ヶ月後にプライベート配信も可能になる大きな機能アップデートがありました。
Amazon Kinesis Video Streams
- Kinesis Video Streamsでメディアクリップを簡単に取得するためのGetClipAPIが追加されました
- Kinesis Video StreamsのC言語用WebRTC SDKにクライアントメトリクスがサポートされました
最後はAmazon Kinesis Video Streamsです。こちらは2件のアップデートがありました。
まとめ
2020年のAWS Media Servicesを振り返るということで、What's New at AWSにポストされた内容をベースに各サービスごとアップデートをまとめてみました。個人的な集計によると8つのサービスで合計55個のアップデートとなりましまた。ただし、このWhat's Newにポストされた内容以外にも、AWS Developer Forumsにポストされた内容やドキュメント上でひっそりとアップデートされた内容も多くあるかと思います。ほんとにたくさんのアップデートがあったなぁと実感していますが、AWSはこれまで常に例年以上のペースでサービスアップデートをしてきたかと思います。2021年はどうなるのでしょうか!ワクワクしながら新年を迎えたいと思います。