
Zendesk 2025年9月アップデート: AI 機能強化でカスタマーサポート業務を自動化
はじめに
Zendesk が 2025年9月にリリースした最新アップデート は、AI 技術を活用したカスタマーサポートの自動化と効率化に大きな焦点を当てています。特に注目したいのは、 オートアシスト機能の拡張 、AI 翻訳機能の強化 です。これらの機能強化により、エージェントの作業負荷軽減と顧客満足度の向上が実現できるようになりました。
対象読者
- IT 管理者およびシステム管理責任者
- カスタマーサポート部門の責任者およびマネージャー
- Zendesk の導入を検討している企業の意思決定者
- カスタマーサポート業務の効率化を検討している組織
参考
Support 機能の AI 強化によるエージェント業務効率化
オートアシスト機能がマクロも提案するように
今回のアップデートで注目したいのは、オートアシスト機能の拡張です。従来のオートアシストは限定的な提案機能に留まっていましたが、新機能では既存のマクロをプロシージャに組み込むことが可能になりました。チケット対応中適切なタイミングでマクロが自動提案されるようになり、これによって一貫した対応品質を維持できるようになります。
管理センター > ワークスペース > エージェントツール > マクロ からマクロを作成します。
Guide からプロシージャを作成し、/(スラッシュ)
を入力してマクロを入力します。
インテリジェントトリアージによる推奨
AI 推奨機能が拡張され、従来の意図ベースの推奨に加えて、エンティティ、センチメント、言語に基づく推奨が可能になりました。エージェントは顧客の状況をより理解し、適切に対応できるようになります。
- エンティティベース推奨: 顧客の属性や製品情報を基にした推奨
- センチメント分析: 顧客の感情状態を分析した対応方針の提案
- 言語ベース推奨: 使用言語に応じた適切な対応方法の提案
リッチテキスト機能がメッセージングでも利用可能に
Web およびモバイルメッセージングチャネルで RTF (リッチテキストフォーマット) オプションが利用できるようになりました。これまでメールチャネルと内部メモに限定されていた RTF 機能が、より広範囲のチャネルで使用できるようになります。
太字、斜体などの書式設定により、顧客により分かりやすい回答を提供できます。
Knowledge 機能の強化
2025年9月25日からクイック回答が標準機能に
2025年9月25日以降、Suite および Knowledge の全顧客に対してクイック回答機能がデフォルトで有効化されます。顧客の問い合わせ内容を AI が解析し、ナレッジベースから最適な回答を自動生成します。
エージェントは生成された回答をそのまま使用するか、必要に応じて編集して提供できます。この機能を使用したくない場合は、8月26日から9月25日の猶予期間中に無効化できます。
AI 翻訳で除外語句を指定可能に
AI 生成翻訳において、大文字小文字を区別した除外語句の設定ができるようになりました。A
ブランド名、製品名、専門用語などを元の言語で統一して表示できます。多言語サポートを提供する企業にとって、ブランドの統一性と専門用語の正確性を保てるようになります。
オムニチャネルルーティングとワークフローの改善
部門スペースとの統合が簡単に
オムニチャネルルーティングと部門スペース機能の統合が改善されました。特別な設定なしに連携でき、チケットは適切なブランドに所属するエージェントのみに自動割り当てされます。
トライアル顧客向けワークフロー設定ウィザード
Zendesk Suite のトライアル顧客向けに、トリガーと自動化の設定ウィザードが導入されました。ワークフローの自動化導入が簡単になり、応答時間の短縮と手動作業の削減ができます。
その他の機能強化
メッセージングトリガーの条件が拡張
メッセージングトリガーの条件に以下が追加されました。
- 顧客ページ URL
- 顧客の国
- 顧客 IP
顧客の地理的位置や閲覧コンテキストに、より基づいた対応ができるようになります。
外部 OAuth 管理が一元化
新しい外部 OAuth クライアントページにより、外部 OAuth を使用するアプリやインテグレーションを一元管理できるようになりました。セキュリティ管理とアクセス制御がより効率的に行えます。
Copilot でオートアシスト利用状況を分析
Zendesk Copilot の分析ダッシュボードにオートアシスト使用状況データのタブが追加されました。AI 機能の利用状況と効果を数値で把握できます。
まとめ
Zendesk の 2025年9月アップデートは、AI 技術を中心とした機能強化が特徴的です。オートアシスト機能や AI 翻訳機能の強化により、エージェントの作業効率向上と顧客体験の改善を同時に達成できる環境が整いました。
これらの新機能を活用するには、段階的な導入計画と適切なトレーニングが重要です。特に AI 機能については、既存のワークフローとの統合を慎重に検討し、組織に合わせたカスタマイズを行うことで価値を最大化できるでしょう。