
Zendesk アクションフロー × SendGrid API によるブランド別メールアドレスへのチケット転送
はじめに
本記事では、 Zendesk のアクションフローと SendGrid API を用いて、「チケットが作成された時にブランドごとに対応したメールアドレスへ転送する仕組み」を構築します。従来の Webhook とトリガーを使用した方法では、宛先アドレスが固定となる制約がありました。アクションフローを用いることで、ブランドに応じた動的な転送先設定が可能になります。
Zendesk アクションフローとは
Zendesk アクションフロー は、チケットやユーザーの状態変化に応じた複雑なワークフローをノーコードで構築できる機能です。従来のトリガーと比較して、フローチャート形式での設計や条件分岐による柔軟な処理が可能です。
SendGrid とは
SendGrid は Twilio が提供するクラウドベースのメール配信サービスです。高い配信率と REST API による柔軟な連携機能を備え、開発者にとって統合しやすい設計となっています。
対象読者
- Zendesk の管理者権限を持つ方
- 複数ブランドでの Zendesk 運用を行っている方
- チケット管理の自動化を検討している方
- SendGrid の基本的な設定経験がある方
参考
- Zendeskと外部システム間のプロセスを自動化するアクションフローの作成(EAP) | Zendesk help
- オートアシストやアクションフローで使用するアクションの作成
- Mail Send API Overview | Twilio SendGrid Docs
SendGrid の設定
本記事では SendGrid のアカウントがすでにあることを前提として解説します。
API Key の取得
SendGrid でメール送信を行うための API Key を取得します。
- SendGrid 管理画面 にログイン
- 左側メニューの Settings > API Keys を選択
- Create API Key で API Key を作成し取得
ドメイン認証の設定
送信元ドメインの認証を行い、メールの信頼性を確保します。
- 左側メニューの Settings > Sender Authentication を選択
- Domain Authentication 欄の Get Started をクリック
- 送信元に使用するドメイン (例:
yourcompany.com
) を入力 - 表示された DNS レコード (CNAME や TXT) を自社ドメインの DNS に追加
- DNS 設定の反映を待機
- SendGrid 画面で Verify をクリックし、認証完了を確認
コネクションの作成
Zendesk アクションがトークンを利用して SendGrid の API にアクセスできるようコネクションの設定を行います。管理センターで アプリおよびインテグレーション > コネクション を開きコネクションを作成します。
- 名前: 任意
- 認証タイプ: ベアラートークン
- トークン: 先の手順で取得した API Key
- 許可されたドメイン:
api.sendgrid.com
アクションの作成
SendGrid API を呼び出すアクションを設定します。管理センターで アプリおよびインテグレーション > アクション を開きアクションを作成します。
-
名前・説明: 任意
-
入力:
名前 説明 タイプ ticket_title チケットタイトル string ticket_requester_name チケットリクエスタ名 string to_address 宛先メールアドレス string ticket_requester_email チケットリクエスタのアドレス string ticket_description チケット本文 string -
API設定:
- リクエスト方法: POST
- エンドポイントURL:
https://api.sendgrid.com/v3/mail/send
- 認証: 先に作成したコネクション
- 本文:
{ "personalizations": [ { "to": [ { "email": "{{to_address}}" } ], "subject": "【Zendesk】{{ticket_title}}" } ], "from": { "email": "no-reply@yourcompany.com", "name": "{{ticket_requester_name}}" }, "reply_to": { "email": "{{ticket_requester_email}}" }, "content": [ { "type": "text/plain", "value": "{{ticket_description}}" } ] }
アクションフローの作成
ブランドごとの条件分岐を含むアクションフローを設定します。Zendesk 管理センター > アプリおよびインテグレーション > アクションフロー でフローを作成します。
- Trigger: Zendesk > Tickets > Lifecycle > Ticket created
- Branch:
- Condition:
- Varibale: Ticket created > brand_id
- Operator: Equals
- Value: ブランド ID
- Condition:
- Look up ticket:
- Ticket ID: Ticket created > id
- Look up user:
- User ID type: Zendesk user ID
- User ID: Ticket created > requester_id
- 作成したアクション:
- ticket_title: Look up ticket > subject
- to_address: 送信先のアドレスを入力
- ticket_description: Look up ticket > description
- ticket_requester_email: Look up uesr > email
- ticket_requester_name: Look up user > name
アクションフローを作成したら、 Activate します。
動作確認
アクションフローが正常に動作することを確認するため、テストチケットを作成しました。
メールが正常に転送されてくることを確認しました。
まとめ
本記事では、 Zendesk アクションフローと SendGrid API を組み合わせ、ブランドごとに異なるメールアドレスへチケットを転送する仕組みを構築しました。アクションフローでは、フローチャート形式により分岐などの処理がノーコードで設計できます。複数ブランドでの Zendesk 運用における効率的なチケット管理にお役立てください。