
Zendesk 2025 年 7 月最新アップデート完全ガイド - AI 機能強化と新機能を実際の画面で解説
はじめに
Zendesk が 2025 年 7 月にリリースした最新アップデートでは、 AI 機能の大幅な強化とセキュリティ機能の向上が実施されました。特に注目すべきは、個人情報の自動編集機能、Generative replies の正式リリース、そしてオートアシスト機能の進化です。本記事では、実際の UI のスクリーンショットとともに、各機能の詳細を解説します。
対象読者
- Zendesk の管理者および運用担当者
- カスタマーサポートチームのマネージャー
- 新機能の導入を検討している管理者
参考
サポート
PII 自動編集機能
Advanced Data Privacy and Protection (ADPP) アドオンの利用者が、チケットトリガーを使用してチケットコメント内の個人情報 (PII) を自動編集できるようになりました。Zendesk 内で個人情報がいつ、どのように保護されるか制御できるようになり、また、手動での編集作業が不要になりました。
活用場面
- コンプライアンス要件への自動対応
- ヒューマンエラーによる個人情報漏洩リスクの軽減
- 運用効率向上
オートアシスト機能の強化
Copilot アドオン機能であるオートアシストが強化され、関連する手順書やヘルプセンター記事が利用できない場合でも、類似の解決済みチケットに基づいて提案を行うようになりました。また、リッチテキストエディタを使用してオートアシストの提案内容を編集できるようになりました。
活用場面
- 過去事例に基づく提案文章生成
- 提案内容をカスタマイズして、より適切な回答に人間が調整
Zendesk Suite
Microsoft Exchange コネクタ
Zendesk Suite のトライアル版に Microsoft Exchange コネクタが含まれるようになりました。このコネクタにより、 Microsoft Exchange ベースのメールサーバーを Zendesk Support インスタンスに直接接続できます。
活用場面
- 新規顧客のメール設定の簡素化
- 既存のメールインフラを活用しながら Zendesk を導入可能
- トライアル期間中の迅速な環境構築
Agent Home でのトライアルタスク管理
Zendesk Suite のトライアル版において、トライアルタスクの進捗が確認できるようになりました。「?」ボタンをクリックして表示します。
活用場面
- セットアップ作業の見落とし防止
- チーム全体での進捗状況の可視化
オブジェクトとルール
新しいチケットトリガーアクション
メッセージングとオムニチャネルルーティングを使用するアカウント向けに、新しいチケットトリガーアクションが利用可能になりました。
チケット > メッセージングセッション
チケットのメッセージングセッションを終了するアクションです。
以下のようなシナリオが想定されます。
- チケット急増時の管理
- 営業時間外のチケット送信への対応
- セッション終了時のメッセージングチケットのレポート作成
チケット > ルーティングチャネルの設定
チケットのルーティングチャネルをメッセージングからメールに変更するアクションです。
以下のようなシナリオが想定されます。
- チャネル間でのチケット振り分けの自動化
- 容量管理の最適化
- 営業時間やチケット量に応じた柔軟な対応
メッセージングと AI エージェント
Unity SDK での複数会話機能
Unity SDK チャネルで複数会話機能が利用可能になりました。
活用場面
- エンドユーザーが複数の問い合わせを並行して進行
- 問い合わせの種類に応じた適切なチャネル選択
Generative replies 機能の正式リリース
AI agents - Advanced アドオンのメール AI エージェント向けに、Generative replies 機能が正式リリースされました。 AI エージェントをナレッジに接続することで、メールの質問に対し事実に基づいた対応を自動的に行います。
接続可能なナレッジは以下の通りです。
- Zendesk ヘルプセンター
- その他サポートされているヘルプセンター
- ウェブサイト
- CSV ファイル
活用場面
- メール対応の完全自動化
- 一貫性のある高品質な顧客対応
Zendesk QA
レビュアー匿名化機能
管理者とアカウントマネージャーが Zendesk QA 全体でレビュアー名を非表示にできるようになりました。非表示になると、レビュアーのロールが表示されるすべての Zendesk QA エリアでレビュアー名が非表示になります。
活用場面
- エージェントによるレビュアー特定の防止
- レビュアーへの個人的な感情の影響の排除
- 評価プロセスの透明性・公平性の向上
Zendesk WFM
新規ユーザー自動追加設定
Zendesk で新しいユーザーが作成された際に、新しいチームメンバーを自動的に追加するかどうかを設定できるようになりました。
活用場面
- 大規模組織での新規メンバー管理の自動化
- 手動でのメンバー追加作業の削減
ナレッジベース
AI 翻訳機能
多言語対応に設定されたヘルプセンター向けに、記事エディター内で記事の AI 翻訳を直接生成できるようになりました。デフォルト言語で記事を作成した後、 AI 翻訳機能を使用して任意の言語に記事を自動翻訳できます。
活用場面
- 多言語ヘルプセンターの効率的な運用
- 翻訳作業時間の大幅な短縮
- 一貫性のある多言語コンテンツの提供
- グローバル展開時のコンテンツ作成支援
レポート
カスタムオブジェクトレポートの強化
カスタムオブジェクトの拡張レポート機能により、標準オブジェクトとそれに関連するカスタムオブジェクトフィールドのレポートが提供されるようになりました。例えば、カスタムオブジェクトに「チケット」オブジェクトを指すルックアップフィールドがある場合、「Support - チケット」や「Support - 更新履歴」などのデータセットでそのフィールドを見つけることができます。
活用場面
- カスタムデータと標準データを統合した分析
- 複雑なビジネス要件に対応したレポート作成
- 運用データの可視化
ユーザーセッションとページ効率レポート
ユーザーセッションとページ効率レポートのデータセットとダッシュボードにより、質問に効果的に対応するためのコンテンツの特定、および、新規チケット作成の動機となるコンテンツの特定が可能になりました。
活用場面
- ヘルプセンターコンテンツの効果測定
- ユーザー体験の改善点特定
アプリおよびインテグレーション
Salesforce 統合の機能拡張
複数 Zendesk アカウント対応
Salesforce のチケットビューにおいて、Zendesk アカウントのチケットが表示されるようになりました。営業担当者はドロップダウンメニューで Zendesk アカウントを切り替えることができます。
プレビュー機能の追加
Zendesk Support 向け Salesforce アプリの設定時にプレビュー機能が利用可能になりました。アプリレイアウトが視覚的に分かりやすくなりカスタマイズ時の操作感が向上しました。
ダークモード対応
Salesforce および Workday アプリでダークモードが利用可能になりました。
API 管理機能の改善
管理センター > アプリおよびインテグレーション の API セクションをアップデートしました。各種設定を個別のページに移動しました。
項目が整理されたことにより、 API および OAuth アクセストークンをより分かりやすく管理できるようになりました。
おわりに
Zendesk 2025 年 7 月のアップデートでは、 PII 自動編集や Generative replies などの AI 機能が強化され、主にカスタマーサポートの自動化周りの機能向上が行われました。また、 Microsoft Exchange 連携や AI 翻訳機能など、既存システムとの統合や多言語対応における簡素化も注目すべき点です。これらの新機能を段階的に導入することで、運用効率の向上と顧客満足度の両立を実現できるでしょう。