[レポート]第3回 流通・小売・消費財業界 MeetUp #tableau
DI部の川崎です。
Tableauの業界カットのミートアップシリーズ、「第3回 流通・小売・消費財業界 MeetUp」が開催されましたので、レポートいたします。
今回のミートアップの目玉は、日本を代表する市場調査会社の2社が、データのエキスパートとして、どのようにTableauを評価しているのか、直接意見を聞ける、ディスカッションが聞ける、という点だと思います。よくぞ企画していただいた、と関係者の方々に拍手を送りたい気持ちで参加しました。
第3回 Tableau 流通・小売・消費財業界 ユーザー会(Meetup) (2018/10/10水)
アジェンダ
- 第1部
- (1) Tableauスキルアップ:Vizチャレンジ
- 第2部
- (2)ユーザ事例:「市場データの活用動向とTableauの価値」
- インテージ様およびマクロミル様 (参加者より事前に質問事項をお伺いしディスカッション形式にて進行)
- (3) Tableauアップデート
- (4) 懇親会
- (2)ユーザ事例:「市場データの活用動向とTableauの価値」
(1) Tableauスキルアップ:Vizチャレンジ
- ハンズオンでTableauスキルアップ
普段はハンズオンセミナーで実施されている内容を、ミートアップ向けに再現していただきました。
「カテゴリごとに、サブカテゴリの売上の分布を見せてください。色は利益の大きさで表現してください。」
「カテゴリ、サブカテゴリと、顧客区分の利益の一覧表を見たいのですが、単純なクロス集計表よりもわかりやすく表現できませんか?」
といったお題が出され、画面に映されたお手本を参考にVizを再現してみましょう、という内容でした。
約20名の参加者の方が、持参のPCでみっちり1時間、全8問のViz作成に取り組みました。わかりやすいVizを作成するためのコツを共有していただきました。
(2) ユーザ事例:インテージ 小金悦美さん:Tableau × 市場データで、迅速な意思決定を支援します
- 会社紹介
- 唯一無二のパネルデータ
- 生活者のデータを集める
市場データの活用 支援事例
- 事例1:BIツール導入で、全社的なブランド評価の仕組をつくる
- 課題
- 現場はデータ作成だけで疲弊している
- データソースが分散、タイミングが異なる
- マネジメント層は、最新の状況がわからず苛立つ
- マーケと営業で見ている数字が違う、会議で違う数字が出てくる
- 人事ローテーションで、ノウハウが引き継がれない
- 解決策
- 監査指標を体系化、関連するデータをBIに統合管理
- 自社データに加え、市場データを搭載
- 役割に応じて、立場が違っても同じデータを見る
- 課題
- 事例2:BIツール導入で、支店でのデータ活用格差是正
- 課題
- 支店によって、データ利用の格差
- 教育コストがかかる
- 間違ったデータ活用がされてるケースも
- 解決策
- 本社主導でBIツール導入、支店別にレポート構築
- 操作が簡単でみんなが使える
- データ活用が定着
- 課題
- 事例3:BIツール導入で、散在する広告データを一覧可視化→広告ROI改善
- (最近はやりの事例)
- 課題
- デジタル広告増加、数字はエージェンシーごとに異なる
- 横並びで評価できない
- 管理できない
- 解決策
- BIツールに、広告データのリアルタイム可視化
- 代理店とも画面共有
- キャンペーン実施中にデイリーでアクション(予算割当や対象セグメント変更)
- 事後評価 → ライブモニタリングへ
- 今、何がおきているか、結果に対して、すぐに打ち手が出せる
- デジタル化の恩恵で、これまで(Excelなどで)レポート作成に時間がかかっていたのが、瞬時に結果が把握できるようになった
- だからこそ、ライブモニタリング
- (ライブモニタリングに対応できるように)事前のデータ設計が重要
市場データの活用:BIツール導入にまつわるいろいろ
- BIツール導入 意思決定前
- ☆ 目的の明確化、PJT全体設計
- ☆☆☆ 組織形成、役割分担
- 稟議申請、経営承認
- 意思決定後の導入プロセス
- ☆☆ 目的決定、目的変数の決定
- ☆ データ収集、データ整形
- 可視化、パラメータ調整
- BIツール導入後の運用プロセス
- ☆ データ収集、データ整形
- 可視化、パラメータ調整
- 失敗例
- メンバーを巻き込み過ぎて、頓挫
- ニーズが絞れない
- → 少人数でまずやってみる
- IT側 ⇔ ユーザー側
- どういう人を巻き込むか、が重要
- 若手メンバーが、両者の架け橋になることも
- メンバーを巻き込み過ぎて、頓挫
- 運用設計ができてるか
今後、BIツールの活用が増えると思われる領域
- ①広告宣伝領域
- ②エリアマーケティング
- ①広告宣伝領域
- Before(Tableau以前):
- キャンペーン終了後、Excelで集計
- After:
- ライブモニタリング
- デジタル化され、BIツールと相性がいい
- 事例
- TVデータ:Media Gauge
- スマートTV
- 郵便番号設定
- マーケ利用許諾をとったスマートTVのログデータ
- TVデータ:Media Gauge
- Before(Tableau以前):
- ②エリアマーケティング
- 地図で可視化
- 日本の県別はもちろん、グローバル視点で国比較のニーズも高まる
- 事例
- 県別での興味関心実態調査の可視化
- モバイル空間統計
(2) ユーザ事例:マクロミル 盛良太さん 市場データの活用動向とTableauの価値
- Tableauを使い始めて2年
- (所属部署の)データアーキテクトグループを2018年7月に初期メンバー3名でスタート
- 会社紹介
- ネットリサーチ
- デプスインタビュー、グループインタビュー
- パネルネットワーク
- ビジネスアナリティクス部(2つのグループ)
- データコンサルティングG
- データアーキテクトG
- 調査結果のデリバリーをTableau Serverで提供
- 閲覧者ごとに画面を用意するのは大切
- インタラクティブ、データ更新
- スプレッドシートで、全通りつくるのはコスト高
- 探索型に強み
- Tableauの用途
- お客様へのデータデリバリー
- データの傾向確認 / ディスカッション
- 社内データの可視化(ex. Office365データ)
- CS調査のデモ
- Tableauで可視化することで得られるメリット
- 1) 時系列でのデータ比較
- 2) 他データと統合
- 3) データのドリルダウン機能
- 4) 可視化
- 導入時の壁
- データ設計の壁
- 正解がない
- アウトプットから逆算、設計(粒度、ユースケース)
- それが難しい場合は、プロトタイプ展開
- Excel・紙文化の壁
- 導入担当者が思う「イケ」てるダッシュボードは、理解されない
- 見慣れないものは理解されない
- トップダウンで改善するのが理想的
- Excel帳票をちょっと良くするアプローチがうまくいった事例も
- 慣れの問題、そういうアプローチもアリ
- 導入担当者が思う「イケ」てるダッシュボードは、理解されない
- 定期調査
- 一気に改善
- ちょっとずつ改善
- 組み合わせて対応
- データ設計の壁
ディスカッション
事前のアンケートで寄せられた質問、それから会場の参加者からの質問に、それぞれお答えいただきました。
- 質問1
- 調査結果の可視化
- 従来:
- 専用アプリ、Excelで納品
- Tableau化のメリット:
- Tableau化のデメリット:
- 従来:
- Tableau化のメリット:
- マクロミルさん:
- 手元で深掘りできる
- プロトタイプ作成過程で、すりあわせが可能
- インテージさん:
- ライブモニタリング
- データ更新
- データのデリバリーはメリットが大きい
- (従来のようにデータ更新のメールが何通も届いてもやってられない)
- 意思決定、データソース
- 比較、
- 一元管理
- コスト
- マクロミルさん:
- Tableau化のデメリット:
- マクロミルさん:
- 初期コストかかる
- スポットの調査などは、スプレッドシートでさっさと解決する
- インテージさん:
- コストバランスの感覚が必要
- 導入、運用
- 導入して損はない
- マクロミルさん:
- 調査結果の可視化
- 質問3
- 1)市場データの価値を高める工夫について
- 2)データ設計について
- インテージさん:
- 1)
- 構築
- 一元管理
- ブランド、営業視点
- 設計にこだわり
- だれが、何のために使うのか
- ストーリー
- 見やすいデータ
- 2)
- 導入のタイミングで整理
- 一回やってみて、違った場合も
- 修正、ライトに対応(アジャイル的に)
- 1)
- マクロミルさん:
- 1)
- 2)
- お客様の技術レベルに合わせて、
- ローデータ、集計データを組み合わせる
- 初心者には、集約データの方が扱いやすい
- バランス感覚が必要
- 一回で終わらない
- (質問4 メモが取れなかったので割愛します)
- 質問5
- DX(デジタル変革)にどう向き合っているか?
- インテージさん:
- ライブモニタリングの支援
- インテージ=データ屋
- データ収集、集計得意、得意分野を活かす
- スマートTVの事例
- ビッグデータをマーケテイングに活用
- きちんとデータにしていく
- 落とし穴:間違ったデータ
- IoTの事例も増えていく見込み
- マクロミルさん:
- リアルタイム、正確に
- デジタル化は、それだけではない
- スマートに働く、手作業を減らす
- 質問6
- データの専門家として、Tableauを選択した理由
- マクロミルさん:
- 要件によって使い分けは必要
- 計算フィールドなどはTableauの強み
- インテージさん:
- フィルタや、データの加工
- 調査データとの相性
- API連携、進んでいる部分を活用
- 複数のBIツール、それぞれ特長がある
- MediaCaugeも適材適所で利用
(3) Tableauアップデート
Tableau 2018.2 での新機能について、ご紹介いただきました。
- Tableau 拡張機能ギャラリー(→ 事例:Show Me More)
- ジオコーディングデータの更新(→ 日本の7桁の郵便番号に対応)
- 並べ替えのネスト
- 透明なフィルター、ハイライター、パラメーター
- 空間データの結合
まとめ
日本を代表する市場調査会社の2社が、ともにTableauをプラットフォームとして推進されている状況がよく理解できました。データのエキスパートとしての、適材適所での活用事例は非常に刺激になりました。
データデリバリーのデファクトスタンダードとして、Tableauの活用を進めていただけば、今回のミートアップの対象である流通・小売・消費財業界においても、データからより大きな価値を生み出す機運が高まっていくことは間違いないと思います。
機会があれば、次回以降も参加していきたいと思います。