[アップデート] AWS Elemental MediaLiveでシングルパイプラインオプションが利用できるようになりました!

AWS Elemental MediaLiveで単一のパイプラインのみで構成されるリソースが作成可能になりました。シングル構成である分、冗長構成よりも安価に利用できます。検証用途などで冗長化が必要ない場合に有益なオプションではないでしょうか。
2019.04.29

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はじめに

清水です。AWS Media Servicesの細かなアップデートを追っていくコーナーです。本エントリで紹介するのはこちら、AWS Elemental MediaLiveでシングルパイプラインオプションが利用できるようになりました。Multi-AZ構成の冗長化を必要としない場合により安価に利用できるオプションとなります。(2019/04/05にポストされたアップデート情報です。)

AWS Elemental MediaLiveでは2017/11のリリース当初から、Multi-AZで構成される2つのパイプラインを使用した冗長構成でリソースが作成されることがデフォルトでした。今回アップデートしたシングルパイプラインオプションを使用することで、このデフォルトの冗長構成ではなく、単一のパイプラインのみで構成されるリソースが作成可能になりました。シングル構成である分、冗長構成(シングルパイプラインに対してこちらはスタンダードと呼ばれるようになりました)よりも安価に利用できます。検証用途などでMulti-AZ構成の冗長化が必要ない場合に有益なオプションではないでしょうか。

なお、あくまで使用用途としては検証用途などMulti-AZ構成を必要としない場合にとどめましょう。ライブ配信を行う本番環境の冗長化構成としてベストなのは、ライブエンコーダやAWSへのネットワークまで含めての2系統化です。しかしコストなどの面からライブエンコーダなどは1系統のみという場合もあるかと思います。このような場合でもシングルパイプラインオプションを使わないスタンダード構成であれば、AWS側はMulti-AZで冗長化されているコールドスタンバイ状態で可動できます。(もし何かあれば、使用していないもう一方のパイプラインへと切り替えができます。)対して今回のアップデートのシングルパイプラインオプションでは単一AZでの稼働となります。

AWS Elemental MediaLiveのシングルパイプラインオプションを使ってみた

シングルパイプラインなInputの作成

まずはInputを作成します。Input typeはRTMP(push)で作成しました。Input destinationsの設定箇所、通常ではDestination ADestination B両方Application Name, Application Instanceを入力しますが、Destination Aのみの入力で進めてみます。

作成後、Endpointsが一つだけであることが確認できます。

また、AWS CLIのmedialive describe-inputコマンドでInputの詳細を確認してみると、InputClassの項目がSINGLE_PIPELINEになっていることがわかります。

 $ aws medialive describe-input --input-id 1234567
{
    "Arn": "arn:aws:medialive:ap-northeast-1:123456789012:input:1234567",
    "AttachedChannels": [],
    "Destinations": [
        {
            "Ip": "XX.XX.XX.XX",
            "Port": "1935",
            "Url": "rtmp://XX.XX.XX.XX:1935/name/instance"
        }
    ],
    "Id": "1234567",
    "InputClass": "SINGLE_PIPELINE",
    "MediaConnectFlows": [],
    "Name": "SinglePipelineOptionTestInput",
    "SecurityGroups": [
        "7654321"
    ],
    "Sources": [],
    "State": "DETACHED",
    "Tags": {},
    "Type": "RTMP_PUSH"
}

シングルパイプラインなChannelの作成

続いてChannelを作成します。マネジメントコンソールのCreate channel画面、Channel and input detailsの項目でChannel classが追加されていますね。デフォルトはSTANDARDですが、SINGLE_PIPELINEに変更します。

続いて、先ほど作成したInputClassの項目がSINGLE_PIPELINEになっているInputをアタッチしておきます。

またOutput groups設定箇所では、HLS group destination Aのみ設定できるようになっており、通常(つまりChannel classSTANDARDのとき)表示されるHLS group destination Bは表示されていませんね。

このHLS group destination Aで1箇所のみのDestinationを設定します。Channelのその他の項目については標準の(シングルパイプラインでないときと)変わりありません。Create Channelで作成します。

作成後、Egress endpoint、Destinationがそれぞれ1つずつであることが確認できます。

シングルパイプラインなMediaLiveでの配信

シングルパイプラインなMediaLiveのChannelが作成できたら、Startさせて実際に配信を開始してみます。InputのEndpointが1箇所のみであるので、当然ながらライブエンコーダの二重化などはできませんが、ライブ配信自体は通常通り行えます。

ChannelのHealth画面でPipelineが一つのみである点や、Alertsについても当然ながら1つのみが対象になっている点が少し新鮮ですね。

MediaLiveのシングルパイプラインチャンネルとスタンダードチャンネルの料金を確認してみた

シングルパイプライン構成とすることで、スタンダード構成よりも安価に利用できるとのことですが、どのぐらい安価になるでしょうか。AWS Elemental MediaLiveの料金ページを確認してみます。

以下、上記ページの2019/04/29現在のスクリーンショットです。

一例として、Input料金のAVC Inputs、 HD解像度、10Mbpsのオンデマンド料金を確認してみます。スタンダードであれば$0.414/hrのところが、シングルパイプラインであれば$0.2484/hrとなります。半額とは行かなくとも、4割引きほどで利用が可能です。

Channel料金についても一例として確認してみます。HD解像度、10Mbps、30fpsのオンデマンド料金で、スタンダードであれば$1.242/hrが、シングルパイプラインであれば$0.7452/hrとなります。こちらも4割引ほどで利用可能となっています。

まとめ

AWS Elemental MediaLiveで新しく利用可能になったシングルパイプラインオプションについて確認してみました。デフォルトでMulti-AZな冗長化構成が取られるスタンダード構成、ブロードキャスト級のライブ動画処理サービスとしては備わっていて当然と考えられますが、検証用途などではコールドスタンバイとなっているリソースが(コスト面含めて)もったいなくも感じていました。今後は検証用途など、Multi-AZ構成が必要ない場面ではシングルパイプラインオプションを活用し、安価に使用することができますね!ただ繰り返しになりますが、シングルパイプラインオプションの利用については、本当にMulti-AZ構成でなくて良いのか、コールドスタンバイ構成をとらなくて良いのかを確認して導入を行いましょう。引き続きAWS Elemental MediaLiveをはじめとしたAWS Media Servicesの機能アップデートに注目していきたいと思います。