【レポート】Society 5.0におけるデジタルガバメントの姿 ~クラウドで実現する新しい社会基盤~ #AWSSummit
こんにちは韓です。幕張メッセで開催されている AWS Summit Tokyo 2019のセッションレポートをお届けします。
なお、このセッションは録音・録画禁止でしたので、メモと記憶から構成しているため不正確な可能性があることをご了承ください。
セッション概要
持続可能社会の実現にむけて、IoTやAIなどの新たなデジタル技術の利活用は待ったなしの状況です。それに伴い、行政サービスのデジタル化についてその見直しや再定義が急務となっています。一方で、「2025年の崖」に代表される情報システムの維持や継続のための様々な課題を克服していく必要があり、公的機関やクラウドの果たすべき役割は大きくなっています。我々に何ができるのか、長年政府のデジタル化に携わってきた識者とともにAWSが支えるクラウドの新しい未来と政府の今後の展望について語り合います。
登壇者:
- 内閣官房 IT総合戦略室 政府CIO上席補佐官 座間 敏如 様
- アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 ワールドワイドパブリックセクター 執行役員 パブリックセクター 統括本部長 宇佐見 潮 様
デジタルトランスフォーメーション
定義は「現実空間からセンサーとIoTを通じてあらゆる情報が集積(BigData)人口知能がビッグデータを解析し、高付加価値を現実空間にフィードバックするもの」。
政府としても IoT(モノ) だけでなく Internet of Being を目指し、「だれも取り残されない世界」を目指して努力している。
2025年の崖
「2025年の崖」とは?
- 2018年をピークに人材不足が顕在化してくる
- 特にデジタルトランスフォーメーションを推進する人が不足
- やりたいけど分からない、複雑・ブラックボックス、DX推進したくても現場サイドの抵抗も大きく課題
- 結果、社会的負荷が高くなる
行政における「2025年の崖」 - 2015年から対応を始めているが、デジタルガバメントへの正しい理解はまだ - 全ての行政サービスを政府がやるのはかなり無理があり、民間等と協力してする必要がある - 行政をどう推進していくかが課題 - 政府内部だけでなく社会全体で取り組む必要がある
行政情報システムの課題
- 日本はやっと取組み始めたところ
- アメリカ(2006)、イギリス(2011)、豪州・シンガポール(2016)、日本(2018)
- 死亡相続や引っ越しをモデルケースにワークショップで課題を検討している
- 国民との接点を増やすために様々な業界のメンバーを入れやっている
- しかし現場で何が起きているかが分からない
- 現場から遠い中央省庁は気付いてない。横ぐしでやらなけやなのに。
- 戸籍あつめから始まり、同じような手続きの連続、本人が居るのに押印
- 課題が多くまだ道半ば
いっぽうアメリカで事情は:
- アメリカのクラウドファースト
- 支出額x12、クラウド支出割合8%、IaasPassの割合75%
- クラウドファーストにはこだわらないが、普通の選択肢となっている。
クラウドの特徴と重点の置き方
クラウドの特徴は、コスト・カイゼン・イノベーションが主要なものであるが、行政における重点の置き方がコスト削減しか考えないというのはもったいない。
- 行政職員は家や外でスマホ使い最新テクノロジーに触れるいっぽう、オフィスで戻ると古いガチガチのシステムをつかっている
- このギャップをあきらめないようにしたい
- 今のイノベーション・エコシステムに(政府としても)追いついていきたい
今後のアプローチの仕方
- コンセプトベースで語るだけでなく、まず使ってみるのが大事
- かつて省庁を全体で利用すべく単一のシステムの構築に取り組んだが実質的に失敗したものがある。理由は「皆がこれを使う」という1システムのみに依存し、多様性が無かったから。
- クラウドを利用すると様々な取り組みが素早く低コストでできるため、複数サービスを作りストアのような形式になればいいと思っている。
レガシーをデジタルイノベーションするには
AWSを利用することは、即ちクラウド最適化(refactoring)であるように受け止められがちだが、rehost, replatform も十分にメリットがある。
HWの保守期限切れが課題となっている場合、ソフトウェアをわざわざ変更し莫大なテスト費用を支払うのは勿体ない。単純に移設を行い不要なテスト費用を抑えて、別のやるべき施策に投資すべき。
行政組織の課題
先進的な国々では行政サービスが立ち上がっている一方、日本ままだ道半ば。そのためには官民問わず取り組む必要があり、民間から積極的に人材を集めているところ。
その中で従来的な考え方を改めようという考えがでてきている
- 従量課金は調達の概念と齟齬がある
- WF型の開発はクラウドにそぐわない
そのためには以下のような取り組みをする必要がある
- IT推進の主導権を「われわれ(行政側)」がどう取り戻すか
- 自分が手を動かし汗を流しやってみるのが必要
- 自分たちで覚悟してやっていく必要がある
今がまさにそのときであり、クラウドを活用することで出来る可能性が広がる。
Amazonのイノベーションの起こし方
ここからはAWSによる講演となります
Amazonのイノベーション方程式
f(i) = (メカニズム*アーキテクチャ)^(カルチャー*組織)
顧客視点 = Working Backwards(Amazonは紙文化)
- サービスを開発する前にプレスリリースをまず書く
- FAQを揉む
- ビジュアライズ
業界に対する課題
- 官公庁に強いベンダ=そのお客さんにつよいだけ
- 期待しているのは色々なところの成果をマイクロサービス化して提案してほしい
- それをやるには組織や機能などをどうカットする?
- 政府側もベンダ棚卸しが必要
エコシステムを誰が管理する?
道のりは長い。どうプランニングする? 共食いすることなく共存する方策を練るのをITベンダに課されている
日本のベンダに期待すること
- AWSに期待されるのが大きい
- 日本の会社イベントだと同じ会社同士で名刺交換しているのをよく見る
- 日本は技術が高いと思われているが?
- 国外では日本の企業は何故ソリューションをもってきてくれないのか?と言われる。
- これは期待されている表れなので国内だけではなく国外に目を向けてほしい
- リードする側に回ってほしい
さいごに
長年政府の情報施策に関わってこられた方のお話だったので、突っ込んだところがあり大変面白く、心に響くところが多いセッションでした。