【レポート】Alexa for Businessによる組織での音声スキルの管理とデプロイ #reinvent #BAP308
Alexa for Business
このセッションは、キーノート2日目に発表されたAlexa for Businessについて概要や事例を紹介する内容です。2018年は、いたる所で音声が使われ始めるとされていますが、これは家の中だけではありません。このセッションでは、いくつかの事例を用いて具体的な活用方法に触れています。以下、目次です。
- Alexa for Businessの概要
- ブライベートスキルをAlexa for Businessに配布する
- 登録ユーザーによるスキルの作成。Capital Oneの事例
- 共有デバイスのためのコンテキストを意識したスキル
- スキルの有効化。WeWorkの事例
セットアップ方法が違う
Alexa for Businessは、多数の部屋で多数のAlexa対応デバイスを設置することを考慮して、一度にセットアップできる画面が用意されています。
また、新しい利用者を招待するメールがあったりと、始めやすい環境やツールが用意されています。
ハードウェアを伴う仕組みは、利用者が迷い無く、早く簡単に始めることができるかが重要ですね。Alexaにはこのような仕組みが揃っています。
スキルの配信
Amazonアカウント配下で再生したスキルをAWS配下のAlexa for Businessで活用するために、SMAPIというCLIが用意されています。
流れとしては、作成済みのスキルをJSON形式でダウンロードして、設定をプライベートモードにして更新をし、Alexa for Businessのアカウントに配信します。CLIで完結するので、自動化も簡単ですね。最後に有効化します。
有効化したスキルを特定の利用者に使ってもらうために管理コンソールから招待メールを送りましょう。
Capital Oneの事例
Capital Oneの社員の方が登場して、自社での活用について語ってくれました。彼らは新興の銀行としてよく事例に出てきます。モバイルとクラウドファーストで、新しいことにどんどんチャレンジしている印象です。音声インタフェースについても積極的に活用をしているようです。音声という新しいインタフェースを用意するにあたって、以下のようなことを考えたそうです。
ユーザー体験の再確認、ハンズフリーのデータ分析、よりインタラクティブな会話、仮想的なレポート作成アシスタントなどです。
Capital Oneは、TOC(テクノロジー運用センター)と呼ばれる、API群があります。AlexaからこのAPI群にアクセスするために、OAuthに対応したAPIゲートウェイと、TOCコマンドセンターというAlexaのカスタムスキルを用意しました。これにより、利用者のアカウント情報と連携した情報の収集や指示をすることができます。
例えば、ブリーフィング情報の収集と再生、銀行レポートの作成、インシデントの確認などです。これらは、パブリックスキルとして一般の利用者向けで、対面での接客を想定して設計したものです。
今後、Alexaスキルのビジネス利用を考えたときに、3つの実現方法があると考えていました(Alexa for Businessが出る前)。1つ目は、パブリックに公開されるスキル、2つ目は、AVSを利用したモバイルアプリ、3つ目は、公開前の作成中スキルの関係者向けベータ配布です。いかにビジネス向けのAlexaの登場を待ち望んでいたのか分かりますね。
部屋の特定
Alexaスキルが個人IDを特定するためにOAuthを用いますが、Alexa for Businessでは、オフィスのセキュリティ内にある会議室に入った誰もが利用できるスキルが想定されます。つまり、個人IDまでは特定せずに共通のID/PASSで良いけど、部屋IDが欲しくなるはずです。
Alexa for Businessには、resolveRoom APIが用意されています。部屋ID、部屋名、個別パラメータを取得することができます。
また、多くの会議室がある場合、ひとつずつスキルを追加していては面倒です。そこで、スキルグループにまとめます。このグループを部屋に追加します。これにより、ある部屋では、スキルグループ内のスキルが利用できます。
WeWorkの事例
続いて、WeWorkの事例です。WeWorkは、オフィスの開発と運営を行う新興企業です。世界中にシェアオフィスを展開しています。海外で法人を設立した際に内見をして説明を受けましたが、とてもスマートな管理を行っています。彼らは、AV機器、IT技術、物理セキュリティ、IoT化などに注力をしているようです。
今回、WeWorkが作成したプライベートスキルは、以下の3つです。
- 会議室の予約
- Zendeskチケットの確認
- 照明コントロール
会議室の予約は最もポピュラーな使い方ですね。空いている部屋の確認、予約、延長など声だけで利用できます。
Zendeskを用いたコミュニティサポートについては、よくある質問に自動で答えたりできます。例えば、テレビが壊れたとか、部屋が暑いとか、電話が繋がらないとかです。
これらのプライベートスキル利用によって分かったことがあります。既に存在するAPIとAWS Lambda連携によって、高速な開発が可能で、リソースのスケーリングを考慮する必要が無く、Amazon CloudWatchを用いてデバッグが容易で、デバイスへの配備と管理がとても簡単だったことです。このため、利用者からのフィードバックを即座にスキルに反映させることができます。
今後の活用として、AV機器の操作、電話、ビデオ会議での活用をはじめ、商談スペース、フロントデスクへ、配膳室への設置を考えているそうです。
まとめ
Alexa for Businessがオフィスでの活用を考慮して様々な便利な仕組みを予め用意していることと、それを活用している企業の生の声というか、ビジョン実現のために、新しいことを早くトライアルして修正を繰り返す文化的なものの紹介でした。そして、この改善のサイクルを高速化するAWSのサービスの数々という、先進的な企業の試行錯誤が詰まったセッションでした。