[レポート] MDS202: クラウドと消費者へのライブビデオフィードの最適化 #reinvent
はじめに
清水です。AWS re:Invent2019にてセッション MDS202 「Optimizing live video feeds to the cloud and the consumer」を聴講してきたのでレポートします。
セッションの概要は下記になります。
Viewers want more content on more devices, with top quality and low, broadcast-like latency allowing them to enjoy the action without delay. They also demand features such as enhanced graphics and real-time stats that go beyond traditional TV offerings. Learn how Discovery delivers live cooking classes with America’s favorite chefs on its Food Network Kitchen platform, and multi-language/multi-market sports on its Eurosport platform. This talk explores how today’s top content providers like Discovery are serving audiences with media solutions, machine learning, and core services from AWS.
スピーカーは下記のお三方です。
- Khawaja Shams - VP of Engineering, AWS Elemental, Amazon Web Services
- Igor Brezac - Senior Principal Engineer, Discovery
- Julian Daddy - Director, Digital Video Platform Strategy & Operations, Discovery
レポート
ライブビデオフィードの現状や課題点
まずはAWS ElementalのKhawaja Shamsさんからライブビデオフィードについての現状や課題点についての紹介がありました。
- これまでのTV放送以外にも、いろいろな場所やデバイスでビデオ再生できるようになっている
- いくつかの課題点
- バッファリングや再生の時間差
- TV、自宅でのインターネット視聴、外出先でのインターネット視聴の順に時間差が発生する
- TVだと1秒未満から4秒以内、対して外出先でのインターネット視聴なら20秒以上の遅延は発生する
- スケールに対する課題
- バッファリングや再生の時間差
- ライブ配信はおそろしい世界!(いろんな障害に注意しないといけない)
- プレイヤーの帯域幅の変動
- パッケージャーのインフラ障害
- エンコーダのインフラ障害
- ネットワーク接続状況
- 現場のネットワークやカメラ
AWSで実現するライブ配信アーキテクチャ
AWSで実現するライブ配信アーキテクチャを参考に、AWSの各サービスや重要技術についての解説です。
- AWS Elemental MediaConnect
- ライブチャンネルのソースをMediaLiveに入力する際に利用できる
- AWSを介したロバストで柔軟性のある映像伝送に
- AWSアカウント感でのセキュアなコンテンツのシェア
- メトリクスやアラートでの容易な運用
- 低コスト、高品質なIP伝送
- AWS Elemental MediaLive
- Output locking
- AWS Elemental MediaPackage
- 冗長化した入力
- スケール可能なオリジン
- 多様な再生デバイス
- Adaptive bitrates
- Quality-defined variable bitrate control(QVBR)
- AV1
- AVCとの比較
- AVCとの比較
AWSでのライブ配信事例
- スポーツ配信の事例
- サーズデーナイトフットボール
- AWS Elemental MediaTailorの利用やトランスコーディング
- サーズデーナイトフットボール
- Chunked CMAF (Ultra Low Latency/ULL) の事例
- Chunked CMAFを使うことで超低遅延(Ultra Low Latency/ULL)の配信を実現
- 遅延は3秒以内ぐらい
- 左が生、右が配信されている映像。3秒以内の遅延を実現
- 実際の事例として、日本のフジテレビのFIVB ワールドカップバレーボール2019
- 2nd Screen用のストリームとしてCMAF-ULL配信
- エンコーダ: Videon EdgeCaster
- AWS Direct Connect
- AWS Elemental MediaStore
- Amazon CloudFront
- Encodingについて
- Videon EdgeCasterを利用
- 低遅延エンコーディングとDASH CMAFパッケージングとMediaStoreへの配信が可能
- Videon EdgeCasterを利用
- 2nd Screen用のストリームとしてCMAF-ULL配信
Discoveryでの事例
続いてDiscoveryのお二人から事例の紹介です。
- オポチュニティ
- ターゲット視聴者にあわせたライブおよびVODの配信
- 文化や言語を超えて適切に翻訳される世界的なブランド価値
- 放送技術とOTT技術を活用したグローバルソリューション
- Food Network Kitchen(FNK)
- ライブでの料理の授業
- 1週間あたり1日上限8授業
- 構想からローンチまで10週間
- スタジオやリモートプロダクションサイト
- Amazon Alexaのコントロールやインタラクション
- https://foodnetwork.com/kitchen
- Eurosport
- ES Player
- 55のマーケット
- 33のサイマルチャンネル
- 55のイベントチャンネル
- End to endの配信、エンドユーザ消費者への配信
- 6ヶ月間の開発を経てローンチ
- 長時間のDVR付きライブ配信
- 自動化されたLive to VOD
- はじめの1ヶ月間で500万ビュー
- Eurosport Playerデモ
- ES Player
- ビデオ配信プラットフォームの使命
- 社内のデジタル・ビデオ処理パイプラインの作成
- ブロードキャストワークフローとの統合
- メタデータ、ビデオ、メディアをコンシューマプロダクトと消費者にダイレクトに届ける
- ES Player
- 87のストリーミングチャンネルとイベントメタデータの配信(33のサイマルと55のイベントチャネル)
- FNK
- 全米からのライブ授業を配信するためのフレキシブルなデジタルチャネル(マルチプルソース)
- 主要技術
- メタデータの単一DBへの集約(すべてのアセット、イベントカタログ)
- クラウドにデータを確実に取り込むための高度な消去コーディングテクニック
- AWS MediaConnectで複数のソースを1つのストリームに
- AWS MediaLive
- エンコーディングとソースのスイッチング
- AWS MediaPackage
- マルチフォーマットサポート(HLS, DASH, SmoothStreaming)
- 瞬時にすべてのイベントをリプレイ可能に
- セグメントのハーベスティング
- DVRとFER(Full Event Replays)で配信、14時間
- すべてのチャンネルとイベントをDRMで暗号化
- Live Event Manager
- イベントチャンネルの管理、スタートストップ
- オリジンの保護
- 複数CDNの切り替え
- ES Playerのシステム構成
- Encoding Platform(AWS Media Services)
- AWS Elemental MediaConnect, AWS Elemental MediaLive, AWS Elemental MediaPackage, AWS Elemental MediaTailorの利用
- それぞれAPIでAsset管理機能との連携も
- Encoding Platform(AWS Media Services)
- Discovery: Eurosports VIDEOXPアーキテクチャ
- マルチリージョンとフル冗長化
- フランクフルトリージョンとアイルランドリージョンの利用
- Zixiを使ってMediaConnectに映像伝送
- マルチリージョンとフル冗長化
- Discovery FER & Harvesting 詳細アーキテクチャ
- モニタリングとオペレーションのコンソール
- スムーズなプラットフォームの運用のためにストリーミングの管理をリアルタイムで行うツールは重要
- 24/7でのオペレーションチームを作成
- CDN切り替え
- プレイバックURLのセキュリティレベルに寄る切り替え
- チャンネルコンポーネントのスタート/ストップ
- 自動化されたリージョン切り替えによる障害からの復元
- 手動オペレーションによるリージョ切り替えによる復元
- Amazon CloudWatchとMSAMによるモニタリングとアラート
- 3rdパーティ運用ツールへのアラート
- ビデオメトリックのモニタリング
- 実際のオペレーションコンソール
- MSAMタイルモニタ
- MSAM詳細
- MediaConnect Flow, MediaLive Input, MediaLive Channel, MediaPackage Channel, MediaPackage Endpointをそれぞれ監視
- ビデオメトリックのモニタリング
- 学んだ教訓
- AWSイベントチーム
- サポートと課題解決
- QAチームを早期に立ち上げ
- 2つとも技術的な問題は最小限で、早期に立ち上げが成功した
- ES Playerは6ヶ月
- FNKは10週間
- 断続的なパケット損失の監視は難しく、自動化はしていない
- ユーザの機能として
- フルイベントリプレイ(Full Event Replays: FER)はタイムシフトURLを使って1秒後に再生可能
- イベントの開始時間または終了時間の即時更新
- Live to VODワークフローの自動化
- AWSイベントチーム
- 今後の予定
- サーバサイドでの広告挿入(Server side ad insertion: SSAI)
- UHDコンテンツ
- クリップ、ハイライトの自動作成
- 機械学習でのメタデータ付与
- ライブフィードに対する自動での字幕付与、音声解説付与
感想
個人的にはre:Invent2019ではじめに受講したセッションでした。AWS Media Services、2017年11月のリリースから2年経ちましたが、Discoveryさんのような事例が増えていること、また開発までの期間が短いことが印象的でした。またDiscoveryさんの事例のでは、シンプルな(単一チャネルの)ライブ配信ではなく、より複雑ではなく多チャンネル配信、マルチソース配信でした、応用が広がっていますね。ライブ配信中のモニタリング、マネージメントシステムも仕組みとしてできているのがすごいなと思いました。そしてAWS Media Services全般の事例としては日本からフジテレビさんの事例(CMAF-ULL)が紹介されたのが印象深かったです。(re:Invent2019はじめのセッション、そしてセッション前の会場BGMにスマッシング・パンプキンズの「1979」、Weezerの「Beverly Hills」が流れテンションが高まっていた僕にトドメの一撃となりました!)
引き続きre:Invent2019、AWS Media Servicesなどメディア系のサービスに注目しながらレポートまとめていきたいと思います。