[レポート] 台帳データベースが必要な理由:BMW、DVLA、Sageのユースケース #BLC203 #reinvent
こんにちは。 DA部プリセールスエンジニアの兼本です。
本エントリでは、Amazon Quantum Ledger Database (QLDB) に関する3社のユースケースを紹介するセッション「BLC203 - Why you need a ledger database: BM, DVLA, and Sage discuss their use cases」のレポートをいたします。
セッション情報
登壇者
- Bruce McGaughy / Senior Software Development Manager , Amazon Web Services
- Andre Luckow / Head of Blockchain and Emerging Technologies , BMW
- Klaus-Michael Vogelberg / Chief Architect , Sage
- Matt Lewis / Chief Architect , DVLA
概要
セッション概要:
Why do you need an immutable ledger database? In this session, we dive into the problems that Amazon Quantum Ledger Database (Amazon QLDB) can solve, and we answer your questions about when and why you would use a ledger database. Customers BMW, the UK government organization Driver and Vehicle Licensing Agency, and Sage share their use cases for maintaining data integrity with Amazon QLDB.(抄訳)不変の台帳データベースが必要なのはなぜでしょうか?このセッションでは、Amazon Quantum Ledger Database(Amazon QLDB)が解決できる問題について詳しく説明します。BMW、英国政府機関の運転免許機関(DVLA)、およびSageが、Amazon QLDBを使用してデータの整合性を維持するための使用事例を紹介します。
動画
内容
QLDBのイントロダクション
2019年9月にQLDBが利用可能になり、銀行などの金融機関やeコマース、輸送物流、サプライチェーンやブロックチェーンといったシステムに必要とされる改ざんできないデータベースを簡単に構築できるようになりました。
こちらはQLDBの特徴を示したスライドです。
そして、まだプライベートプレビュー段階ですが、お問い合わせをいただいたユーザに対して、Amazon QLDB Streamingの提供も開始しました。
QLDBのジャーナルデータをKinesisのデータストリーム経由でLambda、AthenaやKinesis Data Firehoseによるリアルタイム分析、ElasticsearchやNeptuneなどのほかのデータベースに渡すことができます。
BMW社の利用事例:Amazon QLDBを自動車データの信頼できる検証可能な台帳として活用する / Leveraging Amazon QLDB as a trusted verifiable ledger for automotive data
BMW社ではACESというキーワードで将来の自動車システムを構築するプロジェクトを進めています。
- Autonomous(自律的)
- Electrified(電化)
- Connected(コネクティッド)
- Services(サービス)
自動車のバリューチェーンにおける挑戦のために、サプライチェーン、製造された自動車、AIによる自動運転などの情報をQLDBで接続するユースケースをご紹介します。
現在は自動車を購入する際にはローンを組み、自動車保険に加入します。購入後はメンテナンスのために工場や代理店を訪れるかもしれません。それぞれのシステムは連携していないので、自動車の所有者は手続きに非常に手間がかかります。
特に製造してから時間の経過した自動車の場合は、情報が断片化しており、どれが正しい情報なのかわからない場合もあります。
QLDBを軸にしたトレーサビリティを実現することで、製造された自動車を誰が所有しており、どこでメンテナンスを行い、洗車やオイル交換を行ったのかといった様々な情報を集約することが可能となります。 この情報はイミュータブル(不変)であり、スケーラブルで使いやすいものになります。
現在はPocを実施しており、ここから最小限のエコシステムを構築、最終フェーズではQLDBを中心に様々なシステムが繋がるエコシステムを提供したいと考えています。
Sage社の利用事例:オープントラストファブリックを介したB2B自動化の信頼危機の解決 / resolving the trust crisis in B2B automation through an open trust fabric
Sage社は会計処理を自動化するソフトウェアの開発企業です。桁が大きすぎて曖昧なのですが年間13億(件?)の請求書を処理しているとか。
そしてこれら大量の請求書はMLとAIを活用した自動化を図ることで、大幅な効率化を実現しています。サプライヤーと顧客の合意を得た場合はリレーションを構築することでキャッシュフローの最適化などを実現しています。
一方で、残念なことにシステムは入力されたデータを信頼することができません。当事者間の信頼は暗黙的で双方だけのナレッジに基づいたものだからです。
Sageでは既存のネットワーク内の信頼を促進する技術として、暗号化されたファブリック(織物)のような信頼関係ネットワークにマッピングしすることで、事業者が安心して接続、取引、処理を自動化できるようにしています。
Trusted Fabricでは、JSON形式のドキュメントのビジネストランザクションをシリアライズ化したドキュメントデータベースで管理し、以下を提供しています。
サプライヤーや顧客は請求書の信頼性をTrust Fabricによって評価することができます。
そしてこの基盤となるデータベースにQLDBを使用しています。プライベートなブロックチェーンでも同様の仕組みを構築できますが、コスト面、スケーラビリティ、そしてSQLクエリでアクセスできるという点でアドバンテージがあります。
DVLA(英国運転免許庁)における利用事例
DVLAは、イギリス国内の運転免許証と車両登録の管理などを行っています。
現在は以下のような形で登録したデータを改ざんできない仕組みを構築しています。
この仕組みは十分に機能していますが、さらなる挑戦として、QLDBを利用した以下のアーキテクチャを検討しています。
QLDBによって、データはイミュータブル(不変)なものとなり、スーパーユーザの操作履歴もジャーナルに記録されます。ジャーナルは暗号化され定期的に改ざんされていないことを証明するためのダイジェストを取得します。
また、JSONドキュメントやSQLクエリといったエンジニアが精通しているテクノロジを利用できることも重要です。
このセッションの冒頭で(プレビュー機能として)発表されたストリーミングを活用したデータストリーミングも非常に重要です。
そして、QLDBはサーバレスであるため、サーバのメンテナンスや運用を意識することなく、ビジネスの価値を向上する活動に注力できるようになります。
まとめ
いかがでしたか。QLDBの3つのユースケースについてご紹介をいたしました。
まだまだこれからのサービスですが、大規模な台帳データベースをサーバレスで構築できるというのは素晴らしいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。