AWS Media Servicesの2019年を振り返ってみる

2019.12.31

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はじめに

清水です。2019年も残すところわずかとなりました。昨年はこのタイミングでこんなエントリをまとめていたのですが、今年も同様にAWS Media Blogで2019年のAWS Media Servicesを振り返ったエントリが投稿されていました。

本エントリではこちらのBlogをもとに、本Developers.IOに投稿されたエントリへのリンクもまとめながら、AWS Media Servicesの2019年を振り返ってみたいと思います。なお題材にしているブログエントリの投稿日が2019年12月2日であり、re:Invent2019の情報を含んでいない点にご注意ください。

なお、re:Invent2019ではAWS ElementalチームがTwitch Launchpadで過去1年のレビューを行ったそうです。以下のTwitchのサイトでアーカイブを視聴することができます。(2019/12/04 16:10 PSTにライブストリーミングしていたそうです。)

品質の向上

AWS Media Serviceでは新しいオーディオおよびビデオテクノロジーをサポートするための機能を常に追加して、最先端を維持できるようにしています。

AWS Elemental MediaLive

まず、AWS Elemental MediaLiveではStatistical Multiplexing (Statmux)出力をサポートする、衛生、ケーブル、地上ネットワークを介したブロードキャスト配信用のマネージドで可用性の高いmulti-program transport stream (MPTS)が提供されました(Statmux for MediaLive)。

またMediaLiveではHDRを使用した4K/UHD、HEVCストリームのサポートも追加されました。HEVCによるエンコードには多くの利点があります。UHDビデオにはH.264(AVC)を超える高度なコーデックが必要ですが、UHDでなくHDの高フレームレート(HFR:High Frame Rate)やHDRコンテンツでも、圧縮効率の面でHEVC恩恵を受けることができます。さらにHDRとHFRが不要な場合でも、HD、SDコンテンツでメリットを得ることができます。HEVCはAVCより30〜50%効率的であるため、ストレージとコンテンツ配信ネットワーク(CDN)のコストが大幅に削減されます。つまり、配信コストを削減しながらビデオ品質を向上させ、次世代のUHDおよびHDRコンテンツへの飛躍に備えることができます。

AWS Elemental MediaConvert

AWS Elemental MediaConvertではオーディオサポートが拡張され、最大64個のオーディオトラックに対応しました。またDolby Atmosフォーマットも追加されています。既存の4K/UHD解像度、HDR10およびHLG HDRサポートに加え、最大8K/UHDコンテンツのエンコード、Dolby Vision for HDRでのビデオ処理にも対応しました。

ビデオワークフローの改善

2019年を通して、AWS Media Servicesではタグ付けやCloudFormationなどのAWSツールとの統合が強化されました。

AWS Elemental MediaConvert

AWS Elemental MediaConvertでは高速トランスコーディング機能が追加され、ファイルベースのビデオトランスコーディングジョブの処理速度が最大で25倍高速化することができるようになりました。またトランスコーディングジョブの優先度設定、進行状況ステータスの確認、S3サーバサイドエンクリプション機能なども追加されました。

AWS Elemental MediaPackage

AWS Elemental MediaPackageではVODコンテンツ向けのJust-in-Timeパッケージング機能がサポートされました。またLive to VOD機能も追加されています。さらにすべてのリージョンで40%-60%の値下げが行われました。

より多くの標準規格のサポート

AWS Elemental MediaConnect

re:Invent2018でリリースされたAWS Elemental MediaConnectでは、まず7月にZixi pullに対応しました。Zixi pullを使うことでより多くの市販の統合レシーバー/デコーダをサポートできるようになりました。また9月にはRIST: Reliable Internet Stream Transportプロトコルをサポートし、オンプレミスにストリームを戻す際のデバイスサポートが拡大しました。

AWS Elemental MediaConvert

AWS Elemental MediaConvertでは、HTTPおよびHTTPSソースからのビデオファイルの取り込みオプションが追加されました。従来はAmazon S3のみがソースとして指定可能だったたため、S3以外にソースがある場合はいちどS3上にファイルをコピーする、といった処理が必要でしたが、これが不要になりました。またMediaConvertではInternet Media Subtitles and Captions (IMSC) 1.1 text profile captionがサポートされ、キャプションとサブタイトルフォーマットのサポートが拡大しました。

さらにMediaConvertにはIMF (Interoperable Master Format)パッケージの取り込み機能が追加されました。IMFを活用することで、資産の保管と管理のコストを削減し、ファイルベースコンテンツのB2B配信ワークフローを簡素化することができます。

より多くの収益化オプションの提供

他のAWS Media Servicesと同様、AWS Elemental MediaTailorもサービスの改善を続けてきました。MediaPackageとの連携でDASHエンドポイントのマニフェスト作成方式がアップデートされ、より多くのデバイスでライブストリームをサポートできるようになりました。さらに9月にはMediaTailorにコンテンツ所有者がストリーム開始前にpre-roll広告を挿入できる機能が追加されました。この機能により、ライブストリームの先頭をパーソナライズされた広告で上書きし、広告マーカー/SCTEを挿入するための機材を必要とせずにストリーム開始時に広告を挿入することが可能になりました。

ライブビデオのレイテンシー低減

まとめに入る前に、AWS Elemental MediaStoreについても忘れることはできません!2019年のアップデートでチャンク形式のオブジェクト転送をサポートし、超低レイテンシー(Ultra-Low Latency)なビデオワークフローを実現できるようになりました。チャンクオブジェクト転送を使用してセグメント化されたオブジェクトを配信する場合、ビデオセグメントは小さなチャンクに分割され、セグメント全体が配信される前に再生が可能になります。

より多くのAWSリージョンで利用可能に

最後に、利用可能リージョンの拡大も続けています。16の新しいAWSリージョンでAWS Media Servicesが利用可能になりました。すべてのAWS Media Servicesが利用可能なAWSリージョンの完全なリストについてはAWS global region tableを参照しましょう。

まとめ

昨年に引き続き、AWS Media Blogに投稿されていたWhat Was New for AWS Elemental Media Services in 2019のエントリをもとに、AWS Media Servicesの2019年を振り返ってみました。個人的に昨年2018年から引き続きとはなりますが、2019年もAWS Media Servicesに注目して機能アップデートを追い、可能なアップデートをブログに書くようにしていました。しかし取りこぼしたもの、ブログにできなかったものなどもたくさんあったなぁという感想です(振り返りができてよかった!)。また今年2019年はMedia系の新サービスはリリースされませんでしたが、各サービスで大きなアップデートから小さな(かゆいところに手が届くような)アップデートまで、たくさんのアップデートがなされていたのだと改めて感じました。2020年も引き続き、AWS Media Servicesの新機能、機能アップデートに注目していきたいと思います。2019年よりもたくさんアップデートされるといいな!