Control Towerのコントロール、何から設定する?

Control Towerのコントロール、何から設定する?

AWS Control Towerのコントロールは1,600個以上もあり、初めてみた方は何から手をつければいいのか分からないのではないでしょうか…。 というわけで本記事では、コントロールの分類方法と優先順位を整理して、実装に向けた考え方をまとめました。
2026.10.30

はじめに

皆様こんにちは、あかいけです。
突然ですが、Control Towerのコントロール、多すぎないですか…?

2026年10月30日時点のコントロールカタログを見ると、次のとおり合わせて1,613個のコントロールがあります。

  • 予防的コントロール:69個
  • 発見的コントロール:1,309個
  • プロアクティブコントロール:235個

スクリーンショット 2026-10-30 21.52.39

こんなの、初めて見た人はどれから手をつければいいかわからず、路頭に迷ってしまいますよね…???

というわけで今回は、Control Towerのコントロールを何から設定すればよいのか、考え方と優先度を整理してみます。

前提条件

本ブログでは以下の前提でお話しします。

  • Control Towerのランディングゾーンが有効化済み
  • ランディングゾーンのバージョンが4.0

https://docs.aws.amazon.com/controltower/latest/userguide/key-changes-lz-v4.html

コントロールの全体像

Control Towerにおけるコントロールは、AWS環境に対するガバナンスのルールを、AWSが管理する形で提供してくれる仕組みです。

たとえば次のようなルールが、あらかじめ用意されています。

  • rootユーザーでの操作を禁止する(SCP)
  • S3バケットへのパブリックな読み取りアクセスを検知する(AWS Configルール)

これらのコントロールの多くはAWSのベストプラクティスに基づいており、CISやNISTといったコンプライアンスフレームワークとの対応付けも用意されています。
そのため、ガバナンスのルールを一から設計しなくても、必要なコントロールを選んで有効化するだけで、ある程度ベストプラクティスに沿った環境を作れるわけですね。

https://docs.aws.amazon.com/controltower/latest/controlreference/controls.html

そしてコントロールを有効化すると、動作に応じて次の場所にリソースが作られます。

  • 予防的コントロール:AWS OrganizationsのポリシーとしてOUにアタッチされる
  • 発見的コントロール / プロアクティブコントロール:OU配下の登録済みアカウントにデプロイされる

ct-controls-overview.drawio

コントロールの分類

コントロールは、大まかに次の3つの軸で分類できます。
この軸を整理しておくことで、コンソールの一覧画面に並んでいる大量のコントロールが何をしてくれるのかが分かるようになります。

動作による分類

1つ目の軸は、そのコントロールが何をするのかを表す動作(Behavior)です。

動作 実装方法 評価するタイミング
予防的(Preventive) SCP、RCP、宣言型ポリシー API呼び出しの時点でブロックする
発見的(Detective) AWS Configルール リソースが作られたあとに検知する
プロアクティブ(Proactive) CloudFormation Hooks プロビジョニングの前に判定する

https://docs.aws.amazon.com/controltower/latest/controlreference/control-behavior.html

各動作のコントロールが評価を行うタイミングを、リソースが作られるまでの流れに沿って並べると次のようになります。

ct-controls-timing.drawio

注意したいのは、プロアクティブコントロールはCloudFormation Hooksで動くため、CloudFormationを経由しない操作は基本的に評価されない点です。そのため上記の図の通り、マネジメントコンソールやTerraformからの操作はHooksを通りません。

ガイダンスによる分類

2つ目の軸は、AWSによる推奨度を表すガイダンス(Guidance)です。
動作とは独立した分類であり、「予防的かつ選択的」といった組み合わせになります。

ガイダンス 位置付け
必須(Mandatory) Control Towerが作成したリソースを保護するためのもの。無効化できない
強く推奨(Strongly recommended) マルチアカウント環境のベストプラクティスに基づくもの
選択的(Elective) 企業環境で制限されることが多い操作を追跡、制限するもの

なお必須コントロールは、ランディングゾーン3.3以前は一律に適用されていましたが、4.0からは有効化した機能に応じて適用されるように変わりました。

  • AWS ConfigやCloudTrailのサービス統合を有効化すると、それらのリソースを保護する必須コントロールが適用される
  • OUを登録する(ベースラインを適用する)と、そのOUに必須コントロールが適用される

https://docs.aws.amazon.com/controltower/latest/controlreference/mandatory-controls.html

オーナーによる分類

3つ目の軸は、そのコントロールを誰が管理しているかを表すオーナー(Control owner)です。
オーナーによって、デプロイされるリソースの実体をどのサービスが管理するのかが変わります。

オーナー 識別子の例 内容
AWS Control Tower AWS-GR_REGION_DENY、CT.CLOUDFORMATION.PR.1 Control Tower自身が提供するコントロール
AWS Security Hub SH.で始まるもの Service-Managed Standard: AWS Control Towerとして提供される発見的コントロール。AWS基礎セキュリティのベストプラクティス(FSBP)のサブセット
AWS Config CONFIG.で始まるもの 統合Configコントロール。Configマネージドルールが500以上登録されている

このうち、Security HubとAWS Configがオーナーのコントロールには、次のような特徴があります。

  • Security Hubがオーナーのコントロール(SH.)
    • Control Towerから有効化すると、Security Hub側に「Service-Managed Standard: AWS Control Tower」という標準が作成され、そこに追加される
    • Security Hubのコンソールから直接無効化するとControl Tower側がドリフト状態になるため、有効化と無効化はControl Towerから行う
  • AWS Configがオーナーのコントロール(CONFIG.、統合Configコントロール)
    • Configのマネージドルールを、コントロールカタログから検索して有効化できる
    • Security Hubの標準に含まれないチェックを足したいときの選択肢になる

https://docs.aws.amazon.com/controltower/latest/controlreference/security-hub-controls.html

https://docs.aws.amazon.com/controltower/latest/controlreference/config-controls.html

コントロールとOUの関係

ここまでで、コントロールそのものの分類を整理しました。
次は、コントロールを適用する単位であるOUについて、継承の仕組みとOU構成の考え方を整理します。

コントロールの適用単位について

前提として、コントロールはOU単位で有効化します。
SCPやRCPを自分でアタッチする場合はアカウントを直接指定できますが、コントロールはアカウント単位で個別に有効化できません。

つまりOU構成がそのままガバナンスの適用単位になります。
なのでコントロールを検討する前に、まずOU構成を決めておく必要があります。

OU構成そのものについては、AWSが公開しているベストプラクティスが参考になります。

Pasted image 20261030221400

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/organizations/latest/userguide/orgs_manage_ous_best_practices.html

ネストしたOUへの継承

OU構成を考えるうえで必ず押さえておきたいのが、ネストしたOUへの継承の有無がコントロールの動作ごとに異なる点です。

動作 ネストしたOUへの継承
予防的 継承される。上位OUで有効化すると、配下のOUとアカウントすべてに適用される。
発見的 継承されない。OUごとに個別に有効化する必要がある。デプロイ先は登録済みアカウントのみ。
プロアクティブ 継承されない。OUごとに個別に有効化する必要がある。デプロイ先は登録済みアカウントのみ。

https://docs.aws.amazon.com/controltower/latest/userguide/nested-ous.html

たとえばWorkloadsOUで予防的コントロールと発見的コントロールを有効化すると、配下のProdOUへの適用は次のようになります。
(この違いを知らないとWorkloadsOUだけで発見的コントロールを有効化にして配下のWorkloads/ProdOUには適用されない…みたいな事故が起きます)

ct-controls-nested-ou.drawio

なおこの継承は、SCPの上限対策にも使えます。
Control Towerのランディングゾーン配下のOUには、1つのOUあたり10個までというSCPの上限があります。
下位OUそれぞれで予防的コントロールを有効化するのではなく、上位OUでまとめて有効化すれば、その分の枠を節約できます。

https://docs.aws.amazon.com/controltower/latest/userguide/limits.html

OU構成の考え方

以上を踏まえると、OU構成とコントロールのかけ方は次のように整理できます。

ct-ou-structure.drawio

実際の組織ではこれ以外にもOUがあると思いますが、統制のかけ方はどのOUも似たり寄ったりです。そのため、基本となる次のOUの考え方が決まれば、ほかのOUのかけ方も自ずと決まっていくでしょう。

  • Root
    • 組織全体に適用したいコントロールを有効化する
  • Workloads OU
    • ワークロード全体に共通で適用したいコントロールを有効化する。ただし配下のOUに継承されるのは予防的コントロールだけなので、発見的コントロールとプロアクティブコントロールは配下のOUでも個別に有効化する
  • Dev/Stg/Prod OU(Workloads配下)
    • 環境ごとに強度を変えたいコントロールを、それぞれのOUで個別に有効化する
  • Sandbox OU
    • 検証用途なので、自由度高め
  • PolicyStaging OU
    • 新しいコントロールを本番に出す前に試すため、普段は利用しない

コントロールを設定する優先順位

さて、冒頭でも触れた通りコントロールはとにかく数が多いので、優先度の高いものから何を使うか決めていきましょう。
なお必須コントロールはそもそも強制的に有効になっているため、検討対象から外してOKです。

順番 対象 おすすめの初期設定
1 予防的コントロール リージョンの制限など、実行を禁止したい操作に絞って有効化する。それ以外の「強く推奨」「選択的」は運用開始後に検討する
2 発見的コントロール Security Hub CSPMでFSBPを全アカウントに有効化し、足りないチェックだけをコントロールカタログから追加する
3 プロアクティブコントロール CloudFormationやCDKでのデプロイが中心で、デプロイ前に設定を厳格にチェックしたい場合に有効化する
4 コントロールでカバーできない領域 SCP、RCP、宣言型ポリシー、カスタムConfig Rulesで補う

こうして並べてみると、初期構築の段階でコントロールの一覧から自分で選ぶものは、実はそれほど多くありません。

1. 予防的コントロール

予防的コントロールは、違反につながる操作をAPI呼び出しの時点で止められる、最も強い統制です。
ただしその分、想定より広い範囲に影響しやすく、次のような点に注意が必要です。

  • 本来必要なAPIまで拒否されると、リソースのデプロイやアプリケーションの実行が失敗する
  • 1つのOUあたり10個までのSCPの枠を消費する

そのため、明確に禁止したい操作や具体的な要件がなければ、初期構築ではリージョンの制限のように最低限必要なものだけを有効化しましょう。
それ以外の「強く推奨」や「選択的」の予防的コントロールは運用開始後に個別に検討し、リソース作成後に検知できれば十分なものは次の発見的コントロールに任せましょう。

以下はリージョン制限ができる主なコントロールです。

コントロール 適用範囲
AWS-GR_REGION_DENY ランディングゾーン全体
CT.MULTISERVICE.PV.1 OU単位。AllowedRegionsやExemptedPrincipalArnsで、許可するリージョンと例外のプリンシパルを指定できる

なおすでに使っているリージョンを塞ぐとそのリージョンのリソースを操作できなくなるため、有効化する前に利用中のリージョンを確認しておきましょう。

https://docs.aws.amazon.com/controltower/latest/controlreference/primary-region-deny-policy.html
https://docs.aws.amazon.com/controltower/latest/controlreference/ou-region-deny.html

2. 発見的コントロール

Control Towerの発見的コントロールとSecurity Hub CSPMのFSBPは、どちらもConfigルールを使ってチェックします。
そのため両方を無計画に有効化すると、同じ内容のチェックがControl Tower側とSecurity Hub CSPM側でそれぞれ実行され、Control Tower側のConfigルールの評価料金とSecurity Hub CSPMのチェック料金が二重にかかります。

そこで、次のように役割を分けておきます。

ct-detective-baseline.drawio

基本はSecurity Hub CSPMでFSBPを全アカウントに有効化し、これをベースラインにします。
Control Towerの発見的コントロールは、FSBPで足りないチェックがあるときにだけ追加すれば十分です。

またControl Towerの発見的コントロールを追加するときは、パラメータを指定できない点に注意しましょう。
本来パラメータで条件を調整するConfigルールもパラメータなしでデプロイされるため、判定が想定より厳しくなる場合があります。

3. プロアクティブコントロール

プロアクティブコントロールはCloudFormation Hooksで動くため、使うかどうかはデプロイ方法で決まります。

デプロイ方法 判断
CloudFormationやCDKが中心 デプロイ前にブロックできるので、有効な選択肢になる
Terraformが中心 CloudFormationを経由しないため、ほとんど機能しない

ただし、CloudFormationやCDKだけでデプロイしている環境でも、コンソールからの手動操作までは止められず、結局は予防的コントロールが必要になります。
そのため優先度は低めで、デプロイ前に設定を厳格にチェックしたい場合など、必要なときに使えば十分だと思います。

https://docs.aws.amazon.com/controltower/latest/controlreference/proactive-controls.html

4. コントロールでカバーできない領域

「このAWSサービスは組織として使わせない」のような固有の制限は、ドンピシャなコントロールが用意されていないことがほとんどです。

そのためそれらは、コントロール外で以下のような機能を使って実装する必要があります。

手段 設定場所 向いている要件
SCP AWS Organizations 特定サービスのAPIを組織全体で拒否したい
RCP AWS Organizations 組織内のリソースに対するアクセス許可の上限を決めたい
宣言型ポリシー AWS Organizations APIの拒否ではなくサービス側の設定そのものを強制したい
Config Rules AWS Config 既存のルールにない独自の設定チェックを行いたい

Control Towerのコントロールも、中身はSCPやConfigルールといった各サービスの機能です。
違いは、Control Towerがコントロールとしてラッピングしたものを使うか、元のサービスの機能をそのまま使うかだけです。

元のサービスの機能をそのまま使うときは、次の2点を意識しておくとよいです。

  • SCPやRCPは、要件ごとに分けずに1つのポリシーへStatementを足していくと、アタッチ数の上限(SCPは10個、RCPはRCPFullAWSAccessを含めて5個)を圧迫しない。ただし1つのポリシーにもサイズ上限(SCPは10,240文字、RCPは5,120文字)があるので、まとめすぎにも注意する
  • 宣言型ポリシーは、AWSサービスの設定そのものを強制する仕組み。IMDSv2の強制やAMI・EBSスナップショットのパブリック共有の禁止など、SCPやRCPでは制御しづらい設定は宣言型ポリシーで制御する

https://docs.aws.amazon.com/organizations/latest/userguide/orgs_manage_policies_declarative.html

さいごに

以上、Control Towerのコントロールを何から設定するか、優先順位を整理してみました。

一見するとコントロールの数は膨大ですが、本ブログで整理した分類や優先順位を意識すれば、コントロールの選定はグッと楽になるはずです。

次回は、個人的に設定をおすすめしたいアチアチなコントロールについて語っていきたいと思います。

これからControl Towerを触る方の参考になれば幸いです。


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