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iOS 8リリースされたらiOSアプリ開発会社にどんな影響があるか予想してみた

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こんにちは!おおはしりきたけです。さて、日本時間の6月3日にWWDCが開催されましたね。昨日の話題はすっかりSwiftで持ちきりでしたね。WWDCで発表されたiOS 8 が秋にリリースされる予定ですが、SwiftよりもiOSアプリ開発会社として私としては、iOS 8新機能の方が気になっています。既にAppleのサイトにはiOS 8のPreviewが公開されています。リリース後どのような影響があるのかを独断と偏見で予想してみます。

iOS 8について

今回、WWDCでは以下の発表がありました。

  • Photos.
  • Messages.
  • Details make the experience.
  • Our smartest keyboard ever.
  • Family Sharing.
  • iCloud Drive.
  • Health.
  • iPhone, iPad, and Mac. Connected like never before.
  • Spotlight.
  • SDK
    • Touch ID
    • PhotoKit
    • Camera API
    • HealthKit
    • HomeKit
    • CloudKit
    • SpriteKit
    • SceneKit
    • Metal
    • Swift
  • iOS 8 makes a more powerful business partner.

iOS 7の時は大幅なデザイン変更がありましたが、今回デザインについては大きな変更はありません。しかし、上記を見ると色々と新しい機能が追加されていますね。AndroidのOSのシェアについて最新のKitKatは全体のわずか9%といったAndroidの悪口を言っていましたが、上記の機能を見て、Androidにますます近づいているな〜と思いました。実際に日本でのシェアこそiOSが高いですが、世界でのシェアはAndroidの方が高いので、似せてくるのも必然なのかなと思っています。以下は、カンター・ジャパンが公開している各国のOSのシェア状況です。

kantar_jp_whatsnew_2014_05_07_NewsRelease_140508_ComTech_pdf

 

出典:カンター・ジャパン

Touch ID

どんな機能?

touchid iPhone5sで搭載されている、指紋認証の機能Touch IDがサードパーティアプリにも開放されました。Touch ID導入後はパスコード利用が8割以上に増加したということで、非常に利用されている機能になります。また、指紋データは、システムに保護されたまま、システムを経由してiCloud Keychainに保存された情報をアプリに返すということなので、安全に利用できます。

どのような利用シーンがあるか?

非常にシンプルな機能ですが、セキュアでかつ簡単に認証できるということで、閲覧頻度の高い情報を頻繁に確認したいというような用途で利用されることが想定されます。例えば、移動の多い経営者が逐一店の売上を見たいけど、いちいちID/Passwordでの認証が面倒なのでTouchIDを利用しすぐに売上状況を確認したいというようなアプリケーションなど、セキュアでかつ簡単にという今まで相反していたものがToouchIDでできるようになったと思います。

CloudKit

どんな機能?

cloudkit従来は、サーバサイドに開発者が各自組み込んでいたロジックや認証、ストレージ、検索などをiCloudが肩代わりしてくれるということで完全にmBaaSですね。今のところは無料ということですが、リミットありです。料金については、今後明らかになると思います。

どのような利用シーンがあるか?

Apple純正のmBaaSということで、iOSアプリだけなら利用価値は高いのではと思います。ユーザー認証やちょっとしたデータのやりとりなどは確実にmBaaSを利用したほうが開発効率の面でメリットありますし。iCloudを利用できるというのは面白いですね。但し、Androidなどは絶対に対応しないでしょうし、iOS限定のサービスになるので、Parseなど他のサービスと比べると実際業務で利用できるかというのは疑問です。

HomeKit

どんな機能?

homekitHomeKit はネットワーク経由で外部機器と連携する家電向けに、iOS端末とやりとりする共通の規格を与えるためのフレームワークで、iOS端末から家電、照明、鍵、カメラ、各種スイッチなどを管理できる機能で、個別のリモート操作やグループ化のほか、Siri での音声操作も可能です。

どのような利用シーンがあるか?

残念ながら現在のところ日本の家電メーカーの名前はありませんでしたが、日本の家電メーカーは既に独自でスマートホームなどをやっていますし、Apple純正となると様々なメーカーが、早々に参戦してくるのではないかと思っています。 日本ででている家電向けアプリは家電メーカーが出しているものが多く、その家電メーカーのものしか扱えませんでしたが、HomeKitを利用することで、各社の家電を一つのアプリで操作できるようにすることも可能だと思うので、ユーザーにとっては良い方向になるのではないでしょうか。 レシピアプリ&HomeKitやエコアプリ&HomeKitなどの連携もできそうですし、Siriを利用することで、家と会話しているような体験もできるかもしれません。 開発側からすると、テスト大変だなぁという感じですが。。。HomeKit対応の家電が置いてあるようなレンタルテストルームなんていう商売も始まるかもしれませんね。

HealthKit

どんな機能?

healthkitあなたの健康も管理できます。そう、iPhoneならね。ということでHealthというアプリとHealthKitというAPIが提供されました。HealthKitは、健康、フィットネス関連アプリ同士の連携や情報共有を実現するものです。それによってユーザーは、自分の健康状態をより包括的に管理できるようになります。

どのような利用シーンがあるか?

HealthとHealthKitがどのように連携するのか明確にはなっていないですが、各種健康アプリ、フィットネスアプリはHealthKit対応必須になりそうですね。HealthKitに賛同している機関として、大学病院など20以上の医療施設の名称があり、アメリカでは利用されていくと思いますが、日本は医療について制約が厳しいので、今後日本の医療機関がどう参入してくるのか気になります。先進的な大学病院とかよりも、田舎などで訪問医療をやっているような病院の先生がiPhone持って患者さんの状態を見ることができたりすると非常に便利な世の中になると思います。

IME

どんな機能?

quicktypeiOS 8では、QuickTypeといったIMEの改善が行われました。QuickTypeでは単語予測して候補を表示。文脈を判断して候補を表示する。また、今回驚いたのは、サードパーティ製のIMEなども利用可能になりました。※現時点でサードパーティ製のIMEの発表はありません。

 

どのような利用シーンがあるか?

開発側からすると、IMEによって入力できないパターンなどのバグが出てくるんだろうな〜というネガティブなイメージしか持てませんでしたが、利用者からすると自分の入力スタイルに合ったIMEが利用できるのは素晴らしいことがと思います。AndroidでIMEを出していたメーカーはもちろんIMEをリリースしてくるでしょうし、日本の学生はiPhone利用率が非常に高いため、ギャル専用のIMEなどターゲットに合わせたIMEなども出てくるかもしれませんね。

通知センター

どんな機能?

iOS 8では、通知センターでウィジェット機能が使えるようになりました。iOS 7でも通知センター上でスケジュールやカレンダーや株価などを確認することはできましたが、iOS 8では表示させる情報をカスタマイズできるということです。

どのような利用シーンがあるか?

今までの通知センターは、本当ただ通知のみしかできませんでしたが、テキスト入力やボタンでの操作が可能になり、通知センター上からアプリの操作が行えます。通知でアンケートなどを送り、通知センター上で回答してもらうというインタラクティブなやりとりもできたりしますし、タスク管理ツールなどで通知がきて、通知センター上で完了操作することもできそうです。

Extensibility

どんな機能?

iOSでは、アプリはサンドボックス上で独立して動作しています。Extensibilityは、iOSが中継することで、セキュアなままデータのやりとりや機能単位での呼び出しが可能になります。要するにAndroidのインテントと同じです。

どのような利用シーンがあるか?

Extensibilityがインテントと同じだとすると、アプリ間連携ができるようになるので、アプリを起動⇒ホームに戻る⇒別のアプリを起動といった不便だった操作が、アプリ間での連携でできるようになります。これにより、アプリ開発者そのアプリに拡張機能などをつけなくてもアプリ間の連携はができるため、わざわざ拡張機能を開発する必要がなくなります。

Swift

swiftWWDCの中でもSwiftが一番話題になっていました。なぜ今新しい言語なのか?という疑問もありましたが、Appleは更にiOS Developerを増やしたいということだと思います。既存のiOS開発は、ネイティブアプリの場合、Objective-Cが必須でした。他の言語と比べObjective-Cはちょっと独特な書き方なので、参入障壁が高かったのも事実です。弊社のSwiftのブログにも記載されていますが、Swiftには、複数の戻り値、クロージャ、ジェネリクス、タイプインターフェースといった現代的な機能がありますし、何より読みやすいです。Objective-Cで諦めていたエンジニアが、これならやってみようかな?という気になることで、さらなるiOS Developerを増えることが期待できると思います。 ただし、Swiftで書くことができるアプリは秋以降のアプリになりますし、Objective-Cと共存できるとはいえ、既存コードのメンテナンスはObjective-Cでやることは変わらないでしょうし、Objective-Cエンジニア、Swiftエンジニア、両方できるエンジニアという形になり、開発者を募集するときはiOSエンジニア(Swiftの方)みたいな形での募集をする必要がありそうです。

まとめ

今回のWWDCは、開発者にとっては、ビックリする内容だったのではないでしょうか。iOS 8で色々とあった制約もなくなりAndroidに近い形になり自由度があがりました。開発者よりの発表だったこともあり、 株式市場ではAppleの株価が下がるなどありました。確かにSwiftなどはそれ自体は大きな価値は無いのかもしれません、でもエンジニアがいきいきとアプリ開発できる言語だと思いますし、うちのエンジニアも楽しそうにSwiftの話しながら開発してました。エンジニアが楽しく開発することで、より良いアプリケーションの開発につながりますし、それがユーザー体験を上げていくことに繋がっていくのではないかと思います。これからのiOS開発が自由度が上がったので、大変にはなると思いますが、楽しくできればいいと思います。