SORACOM Conference “Discovery” 2017 レポート – B2 つながるで新しい価値を創造するスタートアップ #discovery2017 #soracom
こんにちは、菊池です。
2017年7月5日(水)に開催されたSORACOMのカンファレンス、「SORACOM Conference "Discovery"2017」に参加しました。
本エントリは、B-2セッション、「つながるで新しい価値を創造するスタートアップ」の聴講レポートです。
セッション概要
登壇者およびセッション概要は以下の通りです。
レポート
まずは、モデレータの芹澤氏から、スタートアップでは限られたリソースを使っていかに競業優位性を築くかが重要ということで、2つのスタートアップの紹介がありました。
WAmazing株式会社 代表取締役社長 加藤 史子氏
- 訪日外国人旅行者向け観光プラットフォーム
サービス紹介
- SIMカードを提供
- 出国前に事前にスマホアプリをインストールしておく
- 成田空港でSIMを入手し、アクティベートを実施
- できること
- GPSと連携したタクシーの手配
- 旅行先でのアクティビティを予約・購入
- データ通信の追加購入
- コンセプトは世界中の人たちと日本の隅々までの魅力を出会わせる
- サービスを知ってもらうには?
- 通常は現地(出国前)でのセールスが有利だがリソースが限られる
- WAmazingではインバウンドが中心
- 無料の魔法を使ったことで多くのユーザを確保
- SIMを無料で提供した
- 5日間、500MBまで無料で利用可能
- 訪日外国人旅行者が困ったことのトップは、フリーWifiが少ないこと
- 日本には無料Wifiが少ない
- Wifiでは場所固定
- そこでモバイルインターネット環境を提供した
- 成田の到着ロビーに設置のマシンで無料でSIMを入手できる
- 羽田、関空にも年内に設置予定
- 香港・台湾でもサービス開始(旅行者の4人に1人が香港・台湾)
- 無料で提供することで、口コミで拡散する
- 海外で口コミ拡散
- プレスリリースしただけで、FacebookなどのSNSで拡散された
- 旅行カテゴリのアプリで4位
- 観光資源とのマッチングをやりたい
- 出国前に事前にやっておくこと
- アプリのインストール
- 個人情報の登録
- 入国・出国日の登録
- クレジットカード認証
- 観光商材をお勧めする
- 手の中の観光エージェント
事業のビジネスモデル
- 3つのビジネスモデル
- 通信事業(MVNO)
- 通信容量の追加販売
- 決済事業
- 旅行事業
- 交通、観光など
- 通信事業(MVNO)
- 訪日外国人市場
- 8兆円の市場
- 2016は2403万人
- 2020には4000万人になる
- 日本は観光資源に恵まれている
- 温泉の数が世界一
- ミシュランの星付きレストランの数は東京が世界一
- 観光産業を21正規日本の基幹産業にします
- サービスをローンチできたのはSORACOM Airがあったから
- 開発スタート2016年11月
- スタートをいかにスピーディにできるかが重要
- 非常に短い時間でMVNOサービスを提供可能になった
- MVNO
- 今までは「安さ」にフォーカスされていた
- 今後はサービス価値を付与し、差別化が必要
- SORACOM Airは参入障壁を大幅に下げてくれる
- 価値提供に集中できる
- ユーザの課題発見、解決に注力できる
- MVNOを提供しているが、真にやりたいのは観光マッチング
- SIMの提供は本質的にやりたいことではない
- WAmazing はSORACOM Airがあったから素早くローンチできた
最後に、芹澤氏からの質問
- スタートアップが自分たちの価値提供にフォーカスできるのは非常に嬉しいこと
- Q:新しい取り組みは?
- A1:Androidへの対応
- 開発期間は3ヶ月でとにかく急いでいたため、IOSのみの提供になった
- しかし、アジアはAndroidユーザが中心
- 8/1にAndroid提供開始予定している
- Androidで提供開始することで、本格的にマーケティングができる
- これまではAndroidユーザが使えなくて、評判下がるのリスクがあるため本格的なマーケティングを避けていた
- A2:追加していきたい機能
- 宿泊施設の予約
- ショッピングやオプショナルツアー
- ワンストップで観光を提供できる環境を目指していきたい
KAKAXI, Inc CEO 大塚 泰造氏
- 食べる人と繫がった農業へ
- 食べ物には、目に見えない生産者情報が存在
- 産地、販路、どうやって誰が作ったか
- 流通の過程で抜ける情報を届ける
- 過去40年で、農地面積は増えず、生産性は2倍に
- 食べ物に対する要望が多様化
- 物の価値
- 情報の価値
- オーガニック、トレーサビリティなど
- 食の透明性はお金を払っても知りたい情報になっている
- 21世紀の農業は、質と量が同時に求められている
- デバイスで解決する
- テクノロジーが農地に入ることで、一次産業は情報産業になる
- KAKAXIで農地を可視化する
- 生産者は生産管理に使える
- 消費者には安心、安全を提供
- マシンを利用した農地の未来
- 生産者:五感で認知、経験で判断、作業
- マシン:センサーで認知、AIで判断、ロボットが作業
- 全ての食品からその由来を辿れる世界を目指す
KAKAXIとは
- 世界最小のカメラ付き気象計
- 特徴
- 小型・軽量で10分で設置可能
- センサ内蔵
- ソーラーパネル搭載
- カメラ搭載
- 3G通信(SORACOM Air)
- 雨量計オプション
- 構想は2013年頃から
- IoT 、3Dプリンタなどが使えるようになり、簡単に試作ができるようになった
- 2016年量産開始
適用事例
- カナダ、Compass Group
- 食堂を運営している会社
- 食料調達のポリシーが厳しい(8割の食材を半径xマイルから調達)
- カナダの畑から情報を届ける
- 沖縄カカオ生産
- 常に沖縄にはいない
- 遠隔から見えるようにする
- データ管理
- レタス農場@佐賀
- 画像を撮り溜めて毎日の作業記録
- Nespresso
- コンセプト:生産現場まで繋げる
- NYのショールームで生産現場が見える
SORACOMの活用
- ありがとうSORACOM
- 3G化すると決めたものの、ちょうどいいサービスがなくて困っていた
- SIMを変えずにグローバルで使えることがとても便利
- 世界中のSIMを一括管理、接続状態も見える
- APIがわかりやすくて便利
最後に、芹澤氏からの質問
- Q:SORACOMへのフィードバックは?
- A:とても助かっている
- 会社の本拠地はUS
- 現地キャリアは高く少ない台数には向かない
- 価格体系もオープンでない
- SORACOMはとてもやりやすい
- あえていうなら、国による価格差が大きい(最大10倍も)
- 平準化すると嬉しい
- 農業分野だと、南米、アフリカなど、非対応の地域もあるので、カバレッジの拡大に期待
感想
2社とも、特徴的な製品とビジネスモデルを持っており、スタートアップの少ないリソースの中でSORACOMをうまく使ってサービス・プロダクトを提供していました。IoTでは製造業での活用事例が多く聞かれますが、WAmazing様のような観光産業への利用は非常に興味を引かれました。
また、モデレータの芹澤さんからの言葉で、SORACOMのサービスを活用することで「スタートアップが自分たちの価値提供にフォーカスできるのは非常に嬉しいことです」とおっしゃっていたのが印象的でした。