はじめてのマネジメント:AIと組み立てた1on1

はじめてのマネジメント:AIと組み立てた1on1

初めてのマネージャー業務で、グロースリード一人が職種の異なる3人の部下を担当することになりました。その中で、1on1をどう設計するか、AIとの壁打ちを通じて考えたプロセスを紹介します。
2026.08.23

はじめに

2026年7月から、マネージャーになりました。これまで部下を持ったことは一度もなく、チームリーダーも10年ほど前に1年くらいやっただけです。そんな自分が、それぞれ職種の違うメンバー3人を担当することになりました。私はグロースリードですが、部下はエンジニア、デザイナー、プロジェクトマネージャーです。

クラスメソッドでは1on1を定期的にやっています。これまで色々なマネージャーに担当してもらいましたが、進め方は本当に人それぞれで、決まった型があるわけではありません。

自分が1on1をやるにあたって、どういう時間にしたいかを自分で決めるところから始めました。本投稿は、その設計をAI(Claude)を壁打ち相手にしながら組み立てた記録です。

そもそも1on1とは

まず一般的な定義からおさらいすると、1on1は、上司と部下が1対1で定期的に行う対話のことです。業務の進捗管理ではなく、部下の成長支援・信頼関係づくり・悩みや課題を早めに拾うことが目的とされています。

クラスメソッドの社内資料では、1on1はこう位置づけられています。

  • 最低でも月1回以上の実施を推奨
  • メンバーの状況把握・相談対応・フィードバックの場

頻度の下限(月1以上)は決まっていますが、それ以上の進め方は各マネージャーに委ねられています。私は、メンバーの状況に応じて週1回または隔週で実施しています。

どんな場にしたいかを決める

型がないので、まず「この時間を根本的にどういう場にしたいか」を決めました。

1on1は、メンバーが主役の場にしたいと思いました。メンバーが安心して本音を出せて、自分で考えて決められ、業務に前向きに集中できるようになる時間にしたい、と考えました。

  • メンバーが主役だから → できるだけ業務報告の場にはしない
  • 自分で決められるように → 話すテーマは基本、本人に選んでもらう
  • 安心して本音を出せるように → まずは信頼と、場のルールづくりを優先する(特に最初のうちは)

正直に書くと、始めた時点でのメンバーとの信頼関係は、自己評価で5割くらいでした。なので初回は、成長支援よりも「安心して話せる土台づくり」に全振りすることにしました。

AIと組み立てた:設計の壁打ち3場面

上の方針を具体に落とすところで、AI(Claude)に壁打ちしてもらいました。実際のやりとりから3つ紹介します。

① 職種の違うメンバーと、どう向き合うか

相談:専門が違っても力になれるのか
私のチームはそれぞれ職種の違うメンバーで構成されていて、専門領域の細かいところは、正直、私よりも本人のほうが詳しいです。そういう相手に1on1で相談されたとき、自分がちゃんと力になれるのか、少し不安です。

AIの提案

  • メンバーが不安になるのは、上司が専門を知らないことそのものより、知らないのに知ったかぶりをされることのほうです。だから、専門的な判断は本人を信頼して任せる、と誠実に伝えたほうが関係はうまくいきます。もちろん、相手の仕事を理解しようとする姿勢は持ち続けたうえで。
  • マネージャーの役割は、専門を肩代わりすることではなく、メンバーが力を発揮できるように環境を整え、正当に評価されるよう調整し、障害を取り除くことです。そこは職種が違ってもフラットに貢献できます。

どう活かしたか
初回では、「専門の深いところは、一番詳しいあなたに任せたい。私はそのぶん、評価や調整、働きやすさの面で力になります」と伝えました。分からないことは知ったかぶりせず、興味を持って質問し、専門領域の助けが必要であれば、適切な人に助けてもらえるよう動くのが私の仕事だと理解してもらいました。

② 30分という短い時間をどう使うか

相談:30分で何を話すか
役割の明示、相手の嫌なこと、知っておくべき事情、キャリアの話……と、盛り込みたいことが増えてきました。「今後どうなりたいか」や「いま深く悩んでいること」のような話は、目標管理面談や別の時間を設けて話したほうがよいでしょうか。

AIの提案
その通りで、全部は入りません。話を3つのレイヤーに仕分けるとよいでしょう。

  • 初回で握ること(土台・ルール系)
  • 目標管理面談でやること(目標・キャリアの重い話)
  • 毎回の1on1で回すこと(日々の伴走)

どう活かしたか
まず、初回とそれ以降で話すことを分けました。初回は相手の理解と、ルールや流れの合意に絞り、「重い話は別の場でやる」と決めたことで、土台づくりに集中できました。

③ 何を話したら意義のある時間になるのか

相談:どうすれば話を引き出せるか
研修で「テーマは本人に選んでもらうといい」と教わりました。でも「何でも好きに話して」だと、慣れないうちは選びにくいはずです。だから、私が毎回いくつか候補を用意して、その中から選んでもらおうと思っています。1on1の性質を踏まえて、どんな候補がいいでしょうか。

AIの提案

  • 候補はあくまで呼び水で、本人が話したいことを上書きしないようにします。順番は「まず本人に話したいことを聞く → なければ候補から選ぶ」です。
  • 候補は「最近の調子」「困っていること」あたりを定番にして、残りは入れ替えます。選択肢が多すぎると、逆に選べなくなります。

どう活かしたか
まず本人に今日話したいことがあるか振って、なければ用意した候補から選んでもらうようにしています。現状テーマは7個用意していて、とくに本人から話したいことがなければ、以下から選んで話してもらっています。

  • 最近のモヤ(困ってるわけじゃないけどモヤること。困ってることでももちろんOK)
  • 最近うまくいったこと、手応えがあったこと
  • 最近、成果としては見えづらいけど頑張ったこと
  • 最近やってみたい・挑戦してみたいこと
  • とにかく愚痴りたい
  • 考えがまとまらないから整理したい
  • 雑談したい・仕事に関係ないことを喋りたい

初回に、実際に話したこと

上の設計を踏まえて、初回はだいたいこの順番で話しました。

  1. この時間の宣言:1on1は進捗報告じゃなくて、あなたのための時間。基本はあなたに喋ってもらうことが多くなる
  2. 自分の役割:私は評価や調整、働きやすさの面で力になる
  3. 守秘の設計:基本はここでの話は私だけに留める/人事、ハラスメントに関する話題は例外/それ以外は本人が選ぶ
  4. 自己開示と相手を知る:自分がされて苦手だったマネジメント(例:細かく管理されると動きにくい)、メンバーが苦手・またはやりやすいマネジメントは何か
  5. 運用の合意:頻度、テーマは基本本人が選ぶこと、重い話は目標管理面談でやる

メンバーのタイプやキャリアによって、言い方や頻度は変えました。新人のメンバーには「一緒に整理していく」、経験のあるメンバーには「任せる」に寄せています。1on1の頻度は、現状、毎週のメンバーと隔週のメンバーがいて、本人に決めてもらいました。

自分の弱点と、気をつけていること

1on1をやるにあたり人事部からの研修があるのですが、その中で自分の弱点に気づいていました。承認したり質問したりするのは得意なほうですが、相手の話を最後まで黙って聞くのが苦手で、つい自分の言葉で要約したり、課題を特定して解決に飛びたくなります。また、メンバー全員と同じ案件に入っているわけではないので、会話の場があると連絡事項を伝えたくなってしまいそうという危惧もありました。

そのため、以下に気をつけています。

  • できるだけ連絡事項の場にしない:どうしてもそうなる時はありますが、必然性がないときはしません。
  • 相手にたくさん喋ってもらう:まとめたくなるのをこらえて、まずは聞いて、自分の言葉でまとめてもらいます。でもこれは正直まだ苦手で、練習中です。
  • 「解決したいのか、聞いてほしいのか」を確認する:人によっては、すぐ解決策を出されること自体が負担になるので、先に確かめます。実際、「解決してほしいのかな?」と思って聞いていたら「今は動かないでほしい、ただ聞いてほしい」と言われたことがありました。
  • できるだけ本人に決めてもらう:「これは自分で決めていいことなんだけど」と一言添えます。

やってみて:よく選ばれるテーマ

テーマを選んでもらう運用にした結果、いまのところ一番多く選ばれているのは「成果としては見えづらいけど頑張ったこと」です。もちろん「案件の進め方を相談したい」「目標を掘り下げたい」と言われることもあります。

これは地味ですが、大事だと思っています。成果としては見えづらい頑張りは、言ってもらわないと褒められませんし、こちらからは見えないからです。聞いてみると「他のメンバーにも使ってほしいツールを試していた」といった話が出てくることもあり、そういうときはチームのSlackで共有します。1on1で拾った個人の工夫が、チーム全体に広がることもあります。

まとめ

まだ始めて2ヶ月ほどなので、うまくいっているのか自信はないのですが、メンバーからはポジティブなフィードバックをもらっています。新人マネージャーなのでまだ手探りですが、また工夫したことがあればまとめたいと思います。


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