[レポート] ドコモのデータ活用戦略- Tableauによるデータドリブン経営への挑戦:Tableau Data Day Out 東京 #tableau
こんにちは。DI部/奈良県民のtamaでございます。
2月28日(水)に、Tableau Data Day Outが開催されました。当エントリでは、お客様基調講演 「ドコモのデータ活用戦略- Tableauによるデータドリブン経営への挑戦 」について、レポートしてきたいと思います。
Tableau Data Day Outの詳細については、以下をご覧ください。
目次
- セッション概要
- 開会のご挨拶
- セッションレポート
- データドリブン経営の目的
- リアルタイムマネジメント基盤の構築(基幹システムのデータ整備)
- データ活用環境の整備
- 風土改革
- なぜTableauなのか
- (NTTドコモにとって)Tableauとは
- まとめ
セッション概要
セッション概要は以下の内容となります。
セッション概要:
昨今、ビジネス経営界隈で「データ活用戦略」という言葉がよく取り上げられています。実際に、データの活用による経営戦略が、既存ビジネスを破壊している側面があります。そんな中、我々NTTドコモも、データ活用に大きく舵を切っていくことになりました。本講演では、どのようにデータ活用戦略を取り入れ、「データドリブン経営」にシフトしていったかをお話したいと思います。
開会のご挨拶
ドコモ長谷川氏の発表の前に、Tableau Japan社長の浜田氏から、開会の挨拶がありました。
今回のDataDayOutは、約2000名の参加者が集まっているとのことでした。今でこそ、日本におけるTableauはこれほどまでにユーザーが集まる製品となりましたが、2013年の日本法人設立時には、100名集めるのにも一苦労するほど小さな組織だったことを述べられていました。(他にも社員数、ユーザー数、オフィスの敷地面積など、全ての面において、今とは比べ物にならないほど小規模だったこと、それが2018年になって圧倒的成長を遂げられたのは、ユーザー及びパートナーの皆さんのおかげであること等が話されました)
Tableau Japanの組織の話から、Tableauという製品の特徴(定期的なアップデート、限りなく少ない不具合、売上の3割を開発に投資、など)が一通り紹介された後、基調講演の登壇者であるNTTドコモ長谷川氏へバトンタッチされました。
セッションレポート
データドリブン経営の目的
- NTTドコモのメインテーマとして、「お客様一人ひとりを理解し、絆をさらに深める」というものがある。
- このテーマは、もちろん「データ活用」にも求められていること
- ドコモショップを例にとって説明する
- 通常、エンドユーザーのドコモショップ来店頻度は、2年に1回程度のもの。(機種変更)
- ただそれで良しとするのではなく、お客様一人ひとりに、どのようなサービスをどのようなタイミングで提供すれば、理解する必要がある。
- これを行うにはデータ活用が必須である
- ドコモショップの実態は代理店(「本社/支社」→「CS会社」→「支店」→「代理店」)
- つまり、ドコモ自体はお客さんと直接コンタクトしていない(できない)
- お客様を理解するためには、なおさらデータが必要になってくる
- つまり、ドコモ自体はお客さんと直接コンタクトしていない(できない)
- 実際、トップ層のコミットメントで「データ活用」を掲げている
- 今まではサービス毎にデータがバラバラに管理されていた。
- この状態で(お客様理解のための)データ活用を行うのは難しい
- データの一元化を図る必要がある
- 今まではサービス毎にデータがバラバラに管理されていた。
- データドリブン経営を行うためには、以下3つを実行する必要があると考えた
リアルタイムマネジメント基盤の構築(基幹システムのデータ整備)
- 現在のデータ分析基盤の紹介(リアルタイムマネジメント基盤)
- DWH、会計人事、顧客、料金など、全てのシステムが連携されている
- サーバ数:4620台
- データ量:63140TB
- 大量のトランザクションが常に動いている環境
- DWH、会計人事、顧客、料金など、全てのシステムが連携されている
- リアルタイムマネジメント基盤の変遷
- 1997年、CRMシステムの「ALADIN」が稼働
- 2002年、データの分析活用に着手
- 現在は100名を超えるメンバーがデータ分析活用に着手している
- 2017年、顧客エンゲージメントの強化を実施
- そもそもリアルタイムマネジメントとは
- 業務、データ、金、物の流れが一致したマネジメント
- 現実の経営の姿がリアルタイムに把握できる
- 各システムのDBを完全に同期
- お客様単位(いつ、どこで、どのようなお客様が、どんな注文をしたか)でデータを管理している
- このようなデータを活用するには「データ整備」が重要
データ活用環境の整備
- 一部の分析プロフェッショナルが活用する時と、全社メンバーが活用する時とでは、必要な環境は全く異なってくる
-
データ活用の目的は「サービスの創造・進化」
- データの収集
- DMPで一元管理
- データの分析
- DMPには大量のデータが格納されていく
- 最新技術の活用
- これまでは、分析技術が頭打ちとなって、データ活用のサイクルを回すことができなかった
- データの収集
- ハードウェアとソフトウェアの技術進歩
- データアナリスト人材の不足を、MLやAIの技術で補完
- 今日、データ分析に長けた人材というのはなかなか見つからない。国内の教育も遅れていると言わざるをえない
- 大容量かつ超高速のデータ分析基盤の登場
- ハイスペックな基盤をすぐに手に入れることができるようになった(クラウド)
- 先進的なUXをもっているサービスの登場
- 我々はTableauがこれにあたると考えている
- データアナリスト人材の不足を、MLやAIの技術で補完
- データマートに活用可能なデータは存在していた
- 分析を進めるためには、中間テーブルの作成が必要
- 性能設計、開発、テスト…非常に時間がかかる
- データを求めてから実際にデータが届くまでに時間がかかりすぎては、分析の意味がない
- SQLも必要
- 吐き出されるのはcsvファイルのみ
- ここから可視化が大変
- とにかくユーザーがデータを活用するまで一苦労、これでは誰もデータを活用しようとしない
- 分析を進めるためには、中間テーブルの作成が必要
- TableauとインメモリDBで問題打破
風土改革
- これまで紹介した「リアルタイムマネジメント基盤」「データ活用整備」は、IT部門の主導で実現できた。
- データドリブン経営のためには、これまで勘と度胸で行ってきたビジネス自体もデータ中止のものに変える必要がある
- データ活用に必要なスキル
- システム知識
- データ知識
- 分析技術
- マーケティングマインド
- 業務知識
- 現場/市場感覚
- データの意味を正しく理解する必要がある
- カスタマージャーニーの観点などもいる
- システム知識
- 上記のスキルを持った人材を全国の拠点に派遣することは不可能
- 高度スキルを所持した人材は本社に集中配置している
- 機械学習を用いて最適なアルゴリズムを導出、各支社に提供。
- これだけでは不十分
- 業務プロセスに関しては、課題は現場に存在する
- 業務プロセスの改善にもデータ活用のスキルが必要
- 例えば、代理店の売上不振については、以下の分析が必要
- お客様の属性の分析
- 商圏分析
- 現場に寄り添いながら課題解決できる人材が必要
- 例えば、代理店の売上不振については、以下の分析が必要
- そこで、データ分析の事例を全国に共有
- 年4回、データ分析で課題解決した共有会を実施
- 毎回、200名〜300名が参加
- コンサル活動も実施
- コンサルと行っても、上から目線でアドバイスするわけではなく、各地域の課題に寄り添って、現場メンバーのデータ活用を補助
- 現場メンバーに拒否されたら、全てが水の泡となる。
- Tableau社内ユーザー会を実施
- ユーザーの自習環境も用意
- 社内Tableauポータルサイトも用意
- 実際のダッシュボードの展開も実施
- 代理店の売上やスタッフの活動データ
- 法人営業の実績
- マーケティングのキャンペーンや施策の実績
- スタッフ部門の会議資料の自動生成
- 会議のたびにデータを取りまとめる作業が必要だった(年間数億円の工数がかかっていた)
- Tableauで一度作成してしまえば、後は更新するだけ
- 「現場の改善意欲」が大事
なぜTableauなのか
- 「先行指標」の可視化をする必要がある
- 例えば財務データは「過去」のデータ
- 過去に戻ることは出来ない
- 経営は「先行データ」を見る必要がある
- ベストエフォート型経営→目標必達型経営へ
- 結果の経営ではなく、早期に問題発見、問題発生の手前で課題設定して解決する
- 現場毎で見たいデータは異なる
- 現場から「データを見たい」という要望は多い
- 現場に応じた可視化ができることが重要(Tableauが非常に向いていた)
- 業務効率のスピードアップ
- データを抜き出して資料を作成して…では遅い
- Tableauで作ったダッシュボードを直接見ながら打ち合わせすることで、意思決定を早くする
- 日報作成業務をゼロにする
- 自動更新(従来は、日報の作成に2時間かかってた)
- 課題が一目でわかる
- Tabelauは色々な可視化表現ができるので、特異点の発見が早い
- 「セルフBI」の効果
- 一種のエンドユーザーコンピューティング
- 現場が自分たちでデータを分析できる
- 会議中にライブ分析できる
- 全社員向けにセルフBIに関する研修を実施
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Tableau社主催の研修も取り入れている
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店舗販売ダッシュボード画面の紹介(実際のVizが映し出されました) * 九州の店舗状況 * ブレットグラフ * 折れ線 * ヒストグラム * 割合の棒グラフ
(NTTドコモにとって)Tableauとは
- 直感的にデータを理解できる
- PowerBIより強い
- データを見たい気持ちにさせる
- エモーショナルを掻き立てることも大事→「その気」にさせないとデータ活用はできない
- 視点を迅速に変えられる、多面的なデータ把握
- 手軽に画面が作れる
- 個々人のパフォーマンスを最大化していく武器
まとめ
「海外(グローバル企業)と渡り合うためにも、データ活用は絶対に必要」という言葉で、当講演は締めくくられました。
歴史ある大企業が、今後もビジネスを成長させていくために、経営から現場まで一気通貫でデータ中心に切り替えていく一部始終を知ることが出来、非常に貴重な講演だったと思います。