[レポート] re:Invent 2019 EXPO で見つけた特化型運用・モニタリング製品/SaaS 4サービス #reinvent
ご存じの通り re:Invent 2019 では技術セッションだけでなく、 EXPO というスポンサーの展示会場もあります。
開催が北米と言うことで、ふだん(少なくともぼくの観測範囲では)あまり見ることがない企業・サービスも出店していました。この記事ではそういったサービスを 4つ、独断と偏見でご紹介します。
- LogicMonitor
- LogRocket
- Vivid Cortex
- IOPipe (New Relic)
LogicMonitor
特徴
- SaaS ベースの AIOps ・ IT インフラモニタリングプラットフォーム
- APM、インフラ、Synthetic
- AI による早期警戒(Early Warning)システム
- クラウドとオンプレ両対応のマルチプラットフォームモニタリング
- 全自動のデバイスディスカバリ
- AWS との連携:
- CloudWatch メトリクス
- OS メトリクス(コレクターの導入が必要)
- Kubernetes 対応
- API 対応:Terraform、Slack、Webhook などなど
- 無料トライアル:14 日
ガートナーの Magic Quadrant では Network Performance Monitoring and Diagnostics (NPMD) 製品と位置づけられている LogicMonitor。APM よりはインフラモニタリングに注力しているように見えます。AWS のみの環境よりはオンプレ・ネットワーク製品を扱っている環境で、アプリケーションとインフラ運用が分離している組織ではマッチするかも知れません。
12/4 にアナウンスされたばかりの Early Warning System for AIOps Solution もよく調べ切れていませんが、技術的に楽しそうな雰囲気がするので注視してみたいと思います!
LogRocket
特徴
- SaaS あり。オンプレミスでのホスティングも可能
- フロントエンドのユーザ操作・挙動を記録、デバッグやふるまい解析を実施
- 導入は JavaScript を数行埋め込むのみ(import 行、
LogRocket.init ()
) - 無料プランあり
LogicMonitor から一転して、こちらはフロントエンドの挙動解析に特化した製品です。ぐぐってみたところ日本語の記事も散見されるので、ぼくが知らないだけで国内でも知名度がありそうです。例えば Zendesk のフロントエンドだけを解析するなど、インフラ部分・アプリ部分の深いところの解析が必要ない場合は、こういった特化型のモニタリング製品がうまくハマるのかも知れません。
クライアントの実際のふるまいに異常があれば、それがバックエンドの問題を示していることも多いと思います。LogRocket は JIRA のようなチケットシステムや、New Relic や Sumo Logic のようなプラットフォームと連携することもできるそうなので、特にフロント部分を重点的に監視したい場合に有効な選択肢ではないかなと重いました。
- 参考:
Vivid Cortex
特徴
- データベースプロファイリング特化
- DB と通信するプロセスを横から観測、メトリクスとクエリを収集
- 対応データベースとしては、OSS 製品として MySQL(Amazon Aurora 含む)と PostgreSQL、Redis、MongoDB に対応
- 監視プラットフォームとの連携も強化中(らしい)
データベースのプロファイリングに特化したモニタリングツールです。DB のクエリ性能はシステム全体の性能に繋がるサービス・製品は多いでしょう。DB のチューニングを重点的に行わなければならないケースではこのような製品の検討も必要かも知れません。
なおブースで聞いたところでは、今後監視プラットフォームとの連携を強化していく。。。とのことでした。re:Invent 会期後の 12/11 に SolerWinds に買収された そうなのでそのことだったのかも知れませんが、別の製品の名前も聞こえた気がしたので、もう少し注視していてみたいと思います。
IOPipe (New Relic)
特徴
- AWS Lambda 特化のサーバーレスモニタリング
- リアルタイムかつ秒単位の解像度(レイテンシは公称3 秒以下)
- 組み込みには Lambda Layer を利用
- Serverless Flamework (SLS) や AWS Serverless Application Model (SAM) 等に対応
- '19/11 に New Relic に買収されており、親和性は抜群(のはず)
IOPipe は AWS Lambda に特化した APM 製品なのですが、今年の 11 月に New Relic に買収されています。re:Invent には独自にブースを出展していて、企業マップ上は「IOPipe」の名前だったのですが、行ってみたら New Relic となっていて最初は混乱しましたw
New Relic は既に独自の Lambda 監視機能(New Relic Serverless for AWS Lambda)を持っているので、おそらくは今後、IOPipe の機能を徐々にインポートしていく(既にその作業は始まっている)のではないかなと勝手に想像しています。下記マイグレーションガイドによると、Slack で連絡をすればフリートライアルが可能であると読めるので、興味があればコンタクトしてみるのも良いのではないでしょうか。
まとめ
主に知名度的な意味でここでは取り上げませんでしたが、ここで紹介した以外にも、 Instana や Sysdig、SignalFx、もちろん古株である Datadog や New Relic、Dynatrace、AppDynamics、Zabbix などなども re:Invent の EXPO には出展していました。
統合型もあれば機能特化型もあり、小規模スタートアップ向けから大規模エンタープライズ向けまで、システムモニタリング界隈はレッドオーシャンと言えるような群雄割拠の様相です。各社独自の特徴や技術を備えていますが、最近のキーワードとしては「リアルタイム」「AIOps」「サーバーレス」辺りが際立っているように感じています。
少し以前にあったような「モニタリング = 監視 = 運用担当のツール」という図式は崩れ、「モニタリング = 性能測定 = 開発のためのツール」そして「監視 = 測定データの中から障害を抽出する」という傾向が強くなってきています。前者のために必要なのは「莫大な量の測定データをリアルタイムで収集」ですし、そうして膨れ上がったデータを分析・解析するためのAI ・機械学習という流れかと思われます。組織や製品によって、ひとつのモニタリング製品に統合した方がいいのか、それとも複数併用したほうがいいのかは変わります。道具に振り回されることなく、皆さんのアプリケーションのためには何をどう使えば良いのか、是非検討してみてください。