Aurora / RDSにて延長サポートを無効にした状態で標準サポート日が終了するとどうなるの?
先に結論
公式ドキュメントの記述を見つけるのに苦労したので忘備録として残しておきます。
延長サポートが無効な状態で標準サポート日が終了すると 強制的なメジャーバージョンアップグレードが行われます
以下公式ドキュメント引用
次の表は、メジャー エンジン バージョンが RDS 標準サポートの終了に達した場合に何が起こるかをまとめたものです。
RDS 標準サポート終了時の動作まとめ
RDS 拡張サポートステータス 発生する動作 有効 Amazon RDS では、RDS 拡張サポートに対して料金が発生します。 無効 Amazon RDS は、DB インスタンスまたはマルチ AZ DB クラスターを、
サポートされているエンジンバージョンにアップグレードします。
このアップグレードは、RDSの標準サポート終了日またはその直後に実施されます。
- RDS コンソールでは、RDS 拡張サポートのステータスは「はい」または「いいえ」で表示されます。AWS CLI または RDS API では、RDS 拡張サポートのステータスはopen-source-rds-extended-support 「または」で表示されますopen-source-rds-extended-support-disabled。
Amazon RDS 延長サポートとは
Aurora / RDS の各エンジン(MySQL、PostgreSQLなど)では、**メジャーバージョンの標準サポート終了後も最大3年間使い続けるための「延長サポート」**が用意されています。延長サポートを有効にしておくことで、以下のメリットがあります:
- セキュリティパッチの継続提供
- AWSサポート窓口の継続利用
- 急なメジャーバージョンアップを回避できる
料金表
延長サポート期間中は追加料金が発生します。
以下RDS有効化延長サポートの料金表です。怖いのがこれが1時間あたり、vCPU単位での料金ということですね。大きめのインスタンスサイズを使っているとかなりの金額になります。
※東京リージョン(ap-northeast-1)での料金
RDS for MySQL / PostgreSQL
インスタンスタイプ | 1 年目と 2 年目の料金 | 3 年目の料金* |
---|---|---|
プロビジョンドインスタンス | USD 0.12 / VCPU-時間 | USD 0.24 / VCPU-時間 |
Aurora
Aurora の場合はプロビジョンドインスタンスとサーバーレスで微妙に料金が違います。
インスタンスタイプ | 1 年目と 2 年目の料金 | 3 年目の料金* |
---|---|---|
プロビジョンドインスタンス | USD 0.12 / VCPU-時間 | USD 0.24 / VCPU-時間 |
Serverless v2 | USD 0.102 / ACU-時間 | USD 0.204 / ACU-時間 |
インスタンスサイズ別時間単位の料金表
上記の表からvCPU数に応じた追加料金になるのでインスタンスサイズ別で時間あたりの単価をまとめてみました。
「m5」などインスタンスクラス間の差はありません。
※下記表はAurora Serverless v2の料金は考慮していません。
インスタンスタイプ | vCPU数 | 1〜2年目の料金 (USD/時間) | 3年目の料金 (USD/時間) |
---|---|---|---|
small | 1 | 0.12 | 0.24 |
medium | 2 | 0.24 | 0.48 |
large | 2 | 0.24 | 0.48 |
xlarge | 4 | 0.48 | 0.96 |
2xlarge | 8 | 0.96 | 1.92 |
4xlarge | 16 | 1.92 | 3.84 |
8xlarge | 32 | 3.84 | 7.68 |
12xlarge | 48 | 5.76 | 11.52 |
16xlarge | 64 | 7.68 | 15.36 |
24xlarge | 96 | 11.52 | 23.04 |
32xlarge | 128 | 15.36 | 30.72 |
料金例
標準サポートが切れたAurora MySQL 5.7、「db.m5.xlarge」のインスタンスを1年間放置しておくと合計で以下の追加料金がかかります。
0.48 x 24時間 × 365 ≒ 4205 USD
1ドル150円とすると大体1年間で総額63万円程度ですね
Amazon RDS 延長サポート有効化の確認方法
コンソール画面
- RDS コンソールを開く
- 対象の DB インスタンスを選択
- 「設定」タブを選択し、セクションに「RDS 延長サポート」の項目を確認
AWS CLI
aws rds describe-db-instances \
--query 'DBInstances[*].{DBInstanceIdentifier:DBInstanceIdentifier, Engine:Engine, EngineVersion:EngineVersion, EngineLifecycleSupport:EngineLifecycleSupport}'
出力
[
{
"DBInstanceIdentifier": "test-db",
"Engine": "mysql",
"EngineVersion": "5.7.44",
"EngineLifecycleSupport": "open-source-rds-extended-support"
}
]
-
"EngineLifecycleSupport": "open-source-rds-extended-support"の場合は有効
-
"EngineLifecycleSupport": "open-source-rds-extended-support-disabled"の場合は無効
リリース終了日の把握
RDS エンジンのバージョン別のサポート終了日情報は、以下の AWS 公式ページから確認できます
各DBインスタンスがサポート終了間近のバージョンに該当しているかを、AWS CLIやコンソールから確認しましょう。
延長サポートの挙動まとめ
-
延長サポートの有効 / 無効はCLI等で途中で切り替え不可能 データベースの作成時・スナップショットからの復元時のみ選択可能
-
標準サポート期間が切れ、延長サポート対象のバージョンでデータベースの新規作成・復元する場合、延長サポートの有効化が必須 になる
※ MySQL 5.7は2024年2月29日で標準サポート終了済み
延長サポートが無効な場合
- 標準サポート終了日またはその直後に、RDSが 強制的に自動でサポート期間内のメジャーバージョンへアップグレードされる
延長サポートが有効な場合
-
vCPU 時間単位で追加料金が発生する
-
サポート切れメジャーバージョンを最大3年間そのまま継続利用できる
-
延長サポート最大期間終了日以降 強制的にメジャーバージョンのアップグレードが行われる
-
標準サポート期限切れのメジャーバージョンをアップグレードすると 自動で延長サポートが無効になるわけではない。
以下公式ドキュメントに以下の記述があります。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AmazonRDS/latest/UserGuide/extended-support-overview.htmlRDS 標準サポート終了日前に RDS標準サポートがまだ適用されているエンジンにアップグレードすると、Amazon RDS はエンジンを RDS 延長サポートに登録しません。
上記は単に追加料金の請求が止まるだけで設定が変更されることを意味していません。
以下は5.7.44 → 8.0.42へアップグレードした時の挙動ですが以前としてRDS延長サポートは「有効」のままです。
つまり変更後、延長サポートは「有効」のまま変わらないので、また「8.0」の標準サポート期間が終了すると追加料金が請求されます。
最後に
公式ドキュメントが散乱しており、かなり情報をまとめるのに手間取りましたので忘備録としてこのブログを残します。
延長サポート料金はかなり割高なので早めのアップグレード計画と、延長サポートの要否判断を行いましょう。