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[新機能] Amazon S3 Tablesの自動レプリケーションに対応しました
クラウド事業本部の石川です。Amazon S3 Tablesがレプリケーションサポートを発表になりましいた。
Amazon S3 Tablesは、S3上に格納されたApache Iceberg のデータに対するメタデータ管理をAWSがフルマネージドで提供するサービスですが、クロスリージョンやクロスアカウントへのレプリケーションをサポートしました。
Amazon S3 Tablesの自動レプリケーションとは
従来、データレイクのテーブルを別リージョンや別アカウントにレプリケートする場合、汎用S3ストレージ上のIcebergのメタデータ同期、オブジェクトレプリケーション、更新の追跡などを自前で構築・運用する必要があり、複雑で手間がかかっていました。
自動レプリケーション機能は、Amazon S3 Tables上でIcebergテーブルの一貫性のあるリードレプリカを自動で、かつ簡単に維持することを可能にします。
Amazon S3 Tablesの自動レプリケーションで可能になること
Amazon S3 Tablesのレプリケーションサポートは、ソーステーブルに加えられたすべての更新を、指定された宛先(デスティネーション)のテーブルバケットに自動で複製し、一貫性を維持します。
- 完全な一貫性の維持
- データのオブジェクトだけでなく、Apache Icebergのスナップショット親子関係を維持したまま、時系列順にすべての更新が複製されます。宛先レプリカテーブルでもソースと同じくIcebergのタイムトラベルや監査要件をサポートします。
- 設定の簡素化
- AWS Management Console、API、またはAWS SDKを通じて、ソースのテーブルバケットと宛先のテーブルバケットを指定するだけで設定が完了します。
- 自動同期
- 一度設定すれば、S3 Tablesサービスが継続的に更新を監視し、通常数分以内にレプリカテーブルに反映されます。
- 多様なレプリケーション
- クロスリージョンやクロスアカウントへのレプリケーションをサポートします。
- 独立した設定
- レプリカテーブルは、ソーステーブルとは独立した暗号化ポリシーや保持ポリシーを持つことができます。
利用者は面倒なカスタム同期ロジックの構築から解放され、フルマネージドの仕組みでデータの一貫性と可用性を高めることができます。
ユースケース
自動レプリケーション機能は、以下の実務的な課題を解決し、データアーキテクチャに柔軟性をもたらします。
- グローバルデータセットの構築と低遅延クエリ:
- 地理的に分散したチームや拠点がデータを利用する場合、データソースに最も近いリージョンにレプリカを配置することで、クエリレイテンシーを最小限に抑え、分析パフォーマンスを向上させます。
- データ保護とディザスタリカバリ(DR):
- 本番環境とは別のリージョンやアカウントにリードレプリカを保持することで、万が一のリージョン障害やオペレーションミスが発生した場合のDR対策として機能します。
- コンプライアンス要件への対応:
- 特定の国や地域のデータ主権、セキュリティ監査などのコンプライアンス要件に基づき、データを特定のリージョンやアカウントに複製・隔離する必要がある場合に役立ちます。
- データ共有と分離:
- データの書き込み元(ソースアカウント)と、分析やBI利用を行う先(分析アカウント)を分離し、セキュリティとコスト管理を容易にするクロスアカウントデータ共有基盤として活用できます。
他との比較・使い分け
S3 Tablesのレプリケーションは、Icebergテーブルの一貫性をサービスに委ねる点において、従来のS3 CRRや自前実装とは一線を画します。Icebergの先進的な機能(タイムトラベルなど)をレプリカ側でも確実に利用したいデータエンジニアにとって、これが最善の選択肢となります。
| 機能 | S3 Tables 自動レプリケーション | Amazon S3 CRR (クロスリージョンレプリケーション) | カスタムIceberg同期ロジック |
|---|---|---|---|
| 対象 | S3 Tables (Icebergテーブル) | S3オブジェクト全般 | Icebergテーブル(自前実装) |
| メタデータ同期 | 自動で一貫性を維持 | 非対応 (データオブジェクトのみ複製) | 自前で実装・運用が必要 |
| タイムトラベル | レプリカ側で利用可能 | 利用不可 | 自前実装の品質に依存 |
| 運用負荷 | 極めて低い (設定のみ) | 低い (オブジェクトレベル) | 高い (構築・監視・障害対応) |
| 推奨ユースケース | IcebergテーブルのDR、グローバル分析基盤、データ共有 | Icebergではないファイルデータの複製、S3バケット全体のDR | 特殊な要件や低コスト追求時のみ |
制約事項
本機能を利用する上で留意すべきいくつかの制約事項があります。
-
リードオンリー
- 宛先(デスティネーション)に作成されるレプリカテーブルはリードオンリーです。データ更新は必ずソーステーブルに対して行う必要があります。
-
同期遅延
- 更新は通常「数分以内」に複製されますが、ニアリアルタイムではありません。大量のデータ更新があった場合や、リージョン間転送の状況によっては遅延が発生する可能性があります。
-
料金体系
- 宛先テーブルにおけるストレージコスト(S3)
- レプリケーション実行時のS3 TablesへのPUTリクエスト料金
- テーブル更新(コミット)およびオブジェクト監視の料金
- クロスリージョンレプリケーションの場合、S3から宛先リージョンへのデータ転送費用
最後に
Amazon S3 Tablesのレプリケーションサポートは、Icebergテーブルの運用における課題であったデータの一貫性を維持したIcebergテーブルのグローバル展開とDR対策を、フルマネージドで実現する画期的なアップデートです。AWSデータエンジニアにとって、データの一貫性維持という課題から解放され、ビジネス価値の高い分析基盤の設計・改善に集中できる環境が整いました。
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