
【ブースレポート】AWSパブリックセクターブースで医療×AIの最前線を見てきました
こんにちは、公共井営業部の和泉です。
2026年6月25〜26日に幕張メッセで開催された AWS Summit Japan 2026 に参加してきました。
今回は AWSパブリックセクター 公共ヘルスケア&アカデミア のブースをレポートします。
ブースのテーマは 「ヘルスケアxAI:医療・介護の未来」。AI規制への対応、ゲノム解析の自動化、診察録の自動生成、研究費申請のアシスト、カンファレンス記録の自動化と、現場の課題を直接解決する5つのデモが揃っていました。
デモ展示① ガイドライン準拠のAI駆動開発(Kiro コーディングエージェント)
何ができるのか
医療情報システムの開発には、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(160ページ超のPDF)」「GCASガイド(デジタル庁の公共SaaS要件)」「電子カルテの標準仕様」など、大量の規制文書への準拠が求められます。
従来は「エンジニアがガイドラインを読み込んでAIに指示する」必要があり、理解のばらつきや曖昧な指示による品質差が課題でした。このデモでは、AWSのAI搭載IDE 「Kiro」 を使い、ガイドラインをAIが参照可能なナレッジとして事前に構造化し、開発標準やルールを「Agent Steering」に定義することで、AIが規制要件を踏まえた開発を支援するアプローチを紹介していました。
AIへ丸投げするのではなく「人間がレビューして承認し、AIが実行する」ループを回すことで、最終的な意思決定権は常に人間が持つ点が強調されていました。
使用技術
| サービス | 役割 |
|---|---|
| Kiro IDE | AI-ready なコーディング IDE。Agent Skills・Agent Steering によるコンテキスト管理 |
| Amazon Bedrock | Kiro のバックエンド推論基盤(Claude Opus 4.8) |
デモ展示② ゲノム解析パイプラインの自動化(Agentic AI × AWS HealthOmics)
何ができるのか
ゲノム解析研究では、バイオインフォマティクスのワークフローをAWS HealthOmics(フルマネージドのバイオインフォマティクス基盤)上で実行するためのパイプライン構築・移行・管理が必要です。
このデモでは、Kiro IDEに「AWS HealthOmics Kiro Power」をインストールするだけで、研究者が自然言語でパイプラインの移行・実行・エラー修正・結果可視化までを指示できることを実演していました。PacBioのWGS-WDLワークフローをHealthOmicsに移行し、テストジョブの実行・エラーの自動修正・解析結果のビジュアライズまでをコマンドを書かずチャットだけで完結させるデモとなっておりました。
使用技術
| サービス | 役割 |
|---|---|
| Kiro IDE(AWS HealthOmics Kiro Power) | パイプライン移行・実行・エラー修正・可視化をチャットで操作 |
| AWS HealthOmics | フルマネージドのバイオインフォマティクス実行基盤。WDL/Nextflow/CWL対応、GPU対応 |
| Amazon S3 | ゲノム解析結果の保存 |
| Amazon Bedrock | Kiro のバックエンド推論基盤 |
デモ展示③ 音声入力による診察録自動生成(Amazon HealthScriber Japan V2)
何ができるのか
医師は対面診療1時間につき、電子カルテ記入などの事務作業に約2時間かかっていると言われています。このデモでは、医師と患者の会話をリアルタイムで文字起こしし、SOAP形式(主観・客観・評価・計画)の診察録を自動生成する Amazon HealthScriber Japan V2 を紹介していました。
特に印象的だったのが AI文字起こし校正ツール です。音声認識が「熱は週に34回ほど」「375秒から38ぐらい」と誤認識した文章を、AIが医療文脈から「週に3、4回」「37.5度から38度」と自動修正してくれます。患者情報・訪問履歴はFHIRデータベース(Amazon HealthLake)に接続されたAIエージェントを介して参照でき、FHIR互換の患者情報や訪問履歴の生成も可能です。
使用技術
| サービス | 役割 |
|---|---|
| Amazon HealthScriber / Amazon Transcribe | 医師・患者会話のリアルタイム文字起こし |
| Amazon Bedrock / Amazon EC2 Custom LLM | 文字起こしの校正・SOAP生成・AIエージェント処理。医療専門家モデルも活用 |
| Amazon HealthLake | FHIR互換の患者情報・訪問履歴データベース |
| Amazon Bedrock Guardrail | 医療向けコンテンツフィルタリング |
| Amazon CloudFront / AWS WAF / Amazon Cognito | フロントエンド配信・セキュリティ・認証 |
デモ展示④ 研究計画調書の作成支援(Amazon Quick Desktop & Skills)
何ができるのか
科研費などの研究費申請には研究計画調書の作成が必要で、様式への記入・予算の算定根拠の作成など、研究者にとって大きな負担になっています。
このデモでは、Amazon Quick Desktop に「研究費申請スキル(spread-proposal-assistant)」を登録することで、AIが対話形式で研究者にヒアリングしながら、公募要領や研究計画調書の様式(xlsx)を読み込み、AWSコスト試算も含めた最終的なExcelファイルを自動生成する流れを紹介していました。
Kiro同様に SKILL.md(マークダウン1枚でエージェントを専門家に変える仕組み)を使うことで、プロンプトのようにコンテキストを毎回渡す必要がなく、必要なときだけロードする効率的なアプローチが実現しています。
使用技術
| サービス | 役割 |
|---|---|
| Amazon Quick Desktop | デスクトップAIエージェント。チャットUIでスキルを実行 |
| Amazon Quick Skills(SKILL.md) | 研究費申請のワークフロー・ヒアリング手順・AWS料金計算を定義したスキル |
| Amazon Bedrock | Quick のバックエンド推論基盤 |
研究者の目線で想像してみると
大学・研究機関のお客様からは「研究者がAWSを使いたいが、予算申請の書き方がわからない」という声をよく聞きます。このスキルはまさにその入口を広げるものだと感じました。
デモ展示⑤ 医師の会話からカンファレンス記録を自動作成(Amazon Quick Desktop & Transcribe MCP Server)
何ができるのか
病院のカンファレンス(症例検討会)では、複数の医師が症例を議論する様子を記録し、議事録を作成する作業が発生します。このデモでは、Amazon Quick Desktop に Transcribe MCP Server(ローカルMCPサーバ)を接続することで、医師の会話をリアルタイムで文字起こし(話者分離付き)し、会話終了後にWord形式のカンファレンス記録を自動生成する仕組みを紹介していました。
注目すべきは 「データを残さない」設計 です。音声はローカル処理でPCMのみをAWSに送信し、AWS側にデータは保持しません。Lambda・S3・VPCなどのサーバインフラも不要で、AWSはTranscribeだけ使う極めてシンプルな構成になっています。医療データのプライバシー要件を考慮した設計です。
使用技術
| サービス | 役割 |
|---|---|
| Amazon Quick Desktop | AIエージェント本体。カンファレンス記録生成スキルを実行 |
| Amazon Transcribe Streaming | 音声のリアルタイム文字起こし・話者分離・多言語識別 |
| Conference MCP Server(ローカル) | ローカルMCPサーバ。マイク音声取込→TranscribeへのHTTP/2送受信を担当 |
| canvas docx skill | Wordファイル生成 |
おわりに
今回のA040ブースに共通していたのは、「医療・研究の現場の業務負担を直接減らす」 という設計思想です。規制対応・診察録作成・研究費申請・カンファレンス記録——いずれも「なくせない作業」への現実的なAI活用でした。
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引用元:AWS Summit Japan 2026
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