AWS FinOps Agentにオンプレミスのコスト表を渡して、AWSとのコスト比較ができるのかを検証してみた

AWS FinOps Agentにオンプレミスのコスト表を渡して、AWSとのコスト比較ができるのかを検証してみた

AWS FinOps Agentにオンプレミスのコスト表を渡して、AWSとのコスト比較ができるのかを実機で検証してみました。ファイルの読み取り精度、見積もりの妥当性、前提の明示などを詳しく確認します。
2026.10.21

はじめに

おはようございます〜
クラウド事業統括本部/プロフェッショナルサービス事業本部/運用イノベーション部の三ツ口寛太です(╹◡╹)

今回は、AWS FinOps Agentにオンプレミスのコスト表を渡して、AWSとのコスト比較ができるのかを試してみます🧑‍💻

オンプレからAWSへの移行を考えるとき、「AWSにしたら、コストはどう変わるの?」という質問は定番ですよね〜
そんな時のコスト試算をAWS FinOps Agentで実現できるのか、実機ベースで検証します!

2026年6月にプレビューが始まった「AWS FinOps Agent」は、AWSのコストを自然言語で調べたり、異常を調査したりできるサービスです。公式ドキュメントにオンプレミスとの比較の記載はありませんが、「コンテキストファイル」という、組織固有のファイルを読み込ませる仕組みがあります。ここにオンプレのコスト表を入れたら、比較してくれるのでは?と思ったので、試してみました!

この記事で分かること

  • AWS FinOps Agentに、オンプレのコスト表(コンテキストファイル)を渡して、比較を頼むとどうなるか
  • ファイルの数字を正しく使ってくれるか、AWS側の見積もりは妥当か
  • ファイルにない情報を聞いたときに、どう答えるか

こだわりポイント

  • オンプレのコスト表は、架空のデータを自分で作成(実在の企業や、機密情報は使いません)
  • AWS側の見積もりは、AWS Pricing Calculatorで手動の見積もりを作り、エージェントの答えと差を数字で比べる
  • 「できなかったこと」も、そのまま書きます

先に結論

  • ファイルの数字の読み取り:正確(合計959,000円と区分別の小計が一致)。ただし、回答中の計算に誤りが1つあった
  • AWS側の見積もり:Pricing Calculatorと比べて、合計の差は0.6%。ほぼ一致した
  • ただし、エージェントが示した削減率(−69.4%)は、人件費を含むオンプレと、含まないAWSを比べた数字。同じ条件にそろえると−57.5%
  • ファイルにない情報:数字は作らなかった(ただし理由は「ファイルにない」ではなく「FinOpsの範囲外」)
  • 結論:たたき台としては使える。ただし、金額を使う前に人の確認が必要

今回の検証環境

項目 内容
サービス AWS FinOps Agent
リージョン バージニア北部
データ 架空のオンプレ構成とコスト表(2ファイル)
通知連携 なし(Webアプリのみ)

検証の流れ

  1. エージェントを作成する
  2. コンテキストファイル(オンプレのコスト表と構成)をアップロードする
  3. プロンプトを順に試す
    →ベースライン、集計、AWSとの比較、前提が足りない質問、ファイルにない質問、レポート
  4. AWS Pricing Calculatorの手動見積もりと、答えを比べる

使用したデータ(架空)

オンプレは、Webサーバー2台とDBサーバー1台、NASという小規模な3層構成を想定しました。月額の合計は959,000円です。

onprem_cost_sample.csvの中身

onprem_system_spec.mdの中身

AWS側の構成(比較用)

項目 構成
Webサーバー EC2 m6i.xlarge(4vCPU / 16GiB)× 2台、EBS gp3 100GB × 2
DBサーバー RDS for MySQL db.m6g.2xlarge(8vCPU / 32GiB)、Multi-AZ、gp3 500GB
負荷分散 ALB × 1
バックアップ用ストレージ S3 Standard 2TB
インターネット向け通信 月間 1TB
リージョン 東京(ap-northeast-1)
購入オプション オンデマンド(割引なし)

やってみた

1. エージェントを作成してファイルをアップロードする

早速AWS FinOps Agentを作成していきます🧑‍💻

2026年10月時点では東京リージョンが選択できなかったため、バージニア北部で作成します。AWSリソース/Webアプリのアクセスは、どちらも「Auto-create a new role」で作成し、Jira/Slackは今回は使わないのでスキップしました。

エージェントが作成されたら、Webアプリを開き、「Context files」ワークスペースから2つのファイルをアップロードします。

なお、コンテキストファイルはそのエージェントにアクセスできる全員から見えるため、機密情報や個人情報は入れないよう、公式ドキュメントに書かれています。今回は架空のデータなので問題ありませんが、実際に使うときは注意が必要です。

2. P0:ファイルを指定せずに比較を頼む

オンプレミス環境とAWSのコストを比較してください。日本語で回答してください。

ファイルの存在を教えていないのに、エージェントは自動でファイルを読んで、オンプレのコスト(959,000円)を引用して比較してくれました(アップロードした後に実行したため)。公式ドキュメントの「次に質問へ回答するときなどに、自動的に使われる」という説明どおりです。

AWS側は、EC2 m5.xlarge × 2、RDS db.m5.2xlarge(Single-AZ)などで月額 約20.4万円(オンデマンド)、結論は「オンプレより約79〜83%安い」でした。

P0の回答内容全文
On-Premises vs AWS Cost Comparison
Exchange rate used: 1 USD = ¥150 | Region: Asia Pacific (Tokyo)

On-Premises Monthly Costs (from your document)
Category    Item    Monthly (JPY)
Hardware depreciation    Servers (3), Network, NAS    ¥150,000
Facility    DC rack + electricity + internet    ¥235,000
Maintenance & licenses    HW maintenance + OS + DB license    ¥254,000
Operations    Backup, monitoring, staff allocation    ¥320,000
Total        ¥959,000
AWS Equivalent (Tokyo Region)
Mapped to equivalent specs: 2× EC2 m5.xlarge (Web, 4vCPU/16GB) + RDS db.m5.2xlarge MySQL Single-AZ (DB, 8vCPU/32GB) + EBS/S3/data transfer.

Component    On-Demand    1-Year RI (No Upfront)
EC2 m5.xlarge × 2    ¥53,568    ¥42,984
RDS db.m5.2xlarge MySQL    ¥101,520    ¥70,351
EBS gp3 100GB × 2    ¥2,880    ¥2,880
RDS storage 500GB (gp2)    ¥9,000    ¥9,000
S3 backup ~5TB    ¥18,750    ¥18,750
Data transfer out 1TB    ¥17,100    ¥17,100
CloudWatch    ¥1,500    ¥1,500
Total    ¥204,318    ¥162,565
Summary
Scenario    Monthly Cost    vs On-Prem
On-premises (total)    ¥959,000    —
On-premises (excl. staff ¥270K)    ¥689,000    —
AWS On-Demand    ¥204,318    −78.7%
AWS 1-Year RI    ¥162,565    −83.0%
Key Observations
AWS is dramatically cheaper on infrastructure cost alone. Even on-demand, AWS runs at ~¥204K vs ¥959K on-prem — a saving of ~¥755K/month (~¥9M/year).

The biggest on-prem cost drivers are staff (¥270K) and DB license (¥150K). On AWS, the DB license is included in RDS pricing — no separate Oracle/SQL Server fee for MySQL. Staff costs may also reduce since AWS eliminates hardware management tasks.

The on-prem DB has no redundancy (backup only). Migrating to RDS gives you automated backups, point-in-time recovery, and easy Multi-AZ upgrade — at a fraction of the current cost.

Important caveats on this comparison:

AWS costs here cover infrastructure only — migration costs, AWS support plan, and any additional managed services are not included.
S3 pricing ($0.025/GB) and data transfer ($0.114/GB outbound) were sourced from AWS public documentation, as the pricing API call for those services did not return results in this session. Verify current rates at the AWS Pricing Calculator.
The ¥150/USD exchange rate is an assumption — actual costs will vary with FX.
On-prem hardware is 2 years into a 5-year depreciation cycle; the remaining 3 years of sunk cost (¥4.56M) is not recovered by migrating.
Bottom line: If you're evaluating a migration, the infrastructure cost case strongly favors AWS — especially once the DB license and hardware maintenance costs are eliminated. The real question is migration effort and the remaining depreciation on existing hardware.

気づいたこと

  • 日本語を指定したのに、英語で回答されました(P1では「英語のみ対応」という断り書きも付きました)。
  • オンプレの数字と足し算は正確でした。ただし、「残りの償却費 約4.56百万円」は、150,000円 × 36か月 = 5,400,000円のはずで、誤りです。
  • ファイルにない前提(S3バックアップ「約5TB」、DBはMySQL)を置いていました。為替・単価は、前提として明記されていました。

3. P1:ファイルの内容を集計させる

コンテキストファイルの onprem_cost_sample.csv と onprem_system_spec.md を読み、オンプレの月額コストを区分別の小計と合計で表にしてください。

結果は、完全に一致しました。12項目すべての月額・計算根拠・費用の性質と、区分別の小計(150,000/235,000/254,000/320,000円)、合計959,000円が、CSVの内容どおりでした。

P1の回答内容全文
On-Premises Monthly Cost Breakdown
初期投資の償却 (Hardware Depreciation)
項目    計算根拠    月額(円)    性質
サーバー本体(Web用2台・DB用1台)    総額5,400,000円 ÷ 60か月    ¥90,000    固定費
ネットワーク機器(スイッチ・FW)    総額1,200,000円 ÷ 60か月    ¥20,000    固定費
ストレージ装置(NAS)    総額2,400,000円 ÷ 60か月    ¥40,000    固定費
小計        ¥150,000    
設置・環境 (Facility & Infrastructure)
項目    計算根拠    月額(円)    性質
ラック利用料(データセンター・1ラック)    月額契約    ¥150,000    固定費
電気代    月額実績の平均    ¥25,000    変動費
インターネット回線    月額契約(帯域確保型)    ¥60,000    固定費
小計        ¥235,000    
保守・ライセンス (Maintenance & Licenses)
項目    計算根拠    月額(円)    性質
ハードウェア保守契約    年額960,000円 ÷ 12    ¥80,000    固定費
OSサブスクリプション(3台)    年額288,000円 ÷ 12    ¥24,000    固定費
データベースのライセンス・サポート    年額1,800,000円 ÷ 12    ¥150,000    固定費
小計        ¥254,000    
運用 (Operations)
項目    計算根拠    月額(円)    性質
バックアップソフト・メディア    月額    ¥30,000    固定費
監視ツール    月額    ¥20,000    固定費
運用担当者の人件費(配賦)    0.3人月 × 900,000円    ¥270,000    固定費
小計        ¥320,000    
合計
区分    月額(円)    構成比
初期投資の償却    ¥150,000    15.6%
設置・環境    ¥235,000    24.5%
保守・ライセンス    ¥254,000    26.5%
運用    ¥320,000    33.4%
合計    ¥959,000    100%
Note: I only respond in English, but the table content is reproduced exactly as it appears in your document. The largest single cost driver is operations (¥320,000 / 33.4%), of which ¥270,000 is staff allocation — this is typically the first cost that reduces after a cloud migration.

ただし、区分名の英訳が付き、末尾にまた「英語でしか回答できない」という断り書きが付きました。「人件費は、移行後に最初に減りやすい」という一般論も添えられましたが、これはファイルから出た結論ではなく、エージェントの意見です。

感触としてはなかなか良い感じですね!

4. P2:AWSで同等構成を構築した場合と比較する

次のAWS構成(東京リージョン、オンデマンド)で構築した場合の月額費用を見積もり、オンプレの月額コストと比較してください。単価の出典と前提を明記してください。

(AWS側の構成の表)

結果は、月額 約293,098円(1,953.99ドル、1ドル=150円) で、オンプレの959,000円より約69.4%安い、という結論でした。単価の出典(AWS Price List APIのSKUと日付)も表で示してくれました。

区分 項目 月額(USD) 月額(円)
Compute EC2 m6i.xlarge × 2、EBS gp3 100GB × 2 381.28 57,192
Database RDS db.m6g.2xlarge Multi-AZ、gp3 500GB 1,357.83 203,674
Network ALB(固定料金、LCU 5想定) 46.94 7,041
Storage S3 Standard 2TB 51.20 7,680
Transfer データ転送アウト 1TB 116.74 17,510
合計 1,953.99 293,098
P2の回答内容全文
AWS月額費用見積もり(東京リージョン、オンデマンド)
単価一覧と出典
#    サービス    単価    出典・SKU    備考
1    EC2 m6i.xlarge (Linux)    $0.248/hr    AWS Price List API — SKU YS6Q9PHBX8A4B83R(2026-10-01)    オンデマンド、共有テナント
2    EBS gp3    $0.096/GB-月    AWS Price List API — SKU C8Y3GJZBQTH8T5JV(2026-10-01)    
3    RDS db.m6g.2xlarge MySQL Multi-AZ    $1.671/hr    AWS Price List API — SKU AJ2CBEHHQ29ZQPDT(2026-10-01)    Graviton2、ライセンス込み
4    RDS gp3 ストレージ Multi-AZ    $0.276/GB-月    AWS公開料金ページ(APIはMySQL gp3 Multi-AZのSKUを返さず)    Single-AZ $0.138 × 2倍
5    ALB(固定)    $0.0243/hr    AWS Price List API — SKU 98ZU8QNDMR4AS8FJ(2026-08-01)    
6    ALB LCU    $0.008/LCU-hr    AWS Price List API — SKU F2UQT6CZGM7BTWS8(2026-08-01)    
7    S3 Standard(最初の50TB)    $0.025/GB-月    AWS Price List API — SKU CCBFTMENTDWZHXHX(2026-10-01)    
8    データ転送アウト(最初の10TB)    $0.114/GB    AWS Price List API — SKU 9ESU2G5WSY6FMZR3(2026-06-01)    
AWS月額費用(区分別)
区分    項目    計算式    月額(USD)    月額(JPY)
Compute    EC2 m6i.xlarge × 2    $0.248 × 2 × 730h    $362.08    ¥54,312
EBS gp3 100GB × 2    $0.096 × 200GB    $19.20    ¥2,880
小計        $381.28    ¥57,192
Database    RDS db.m6g.2xlarge Multi-AZ    $1.671 × 730h    $1,219.83    ¥182,974
RDS gp3 500GB Multi-AZ    $0.276 × 500GB    $138.00    ¥20,700
小計        $1,357.83    ¥203,674
Network    ALB 固定料金    $0.0243 × 730h    $17.74    ¥2,661
ALB LCU(5 LCU想定)    $0.008 × 5 × 730h    $29.20    ¥4,380
小計        $46.94    ¥7,041
Storage    S3 Standard 2TB    $0.025 × 2,048GB    $51.20    ¥7,680
小計        $51.20    ¥7,680
Transfer    データ転送アウト 1TB    $0.114 × 1,024GB    $116.74    ¥17,510
小計        $116.74    ¥17,510
AWS合計(オンデマンド)        $1,953.99    ¥293,098
オンプレミスとの比較
月額(JPY)    差額
オンプレミス(合計)    ¥959,000    —
AWS オンデマンド    ¥293,098    −¥665,902(−69.4%)
参考:オンプレ(人件費¥270,000除く)    ¥689,000    −¥395,902(−57.5%)
前提・注意事項
項目    前提値    理由
月間稼働時間    730時間(365日×24h÷12)    AWSの標準請求換算
為替レート    1 USD = 150 JPY    固定仮定。実際の請求はUSD
ALB LCU    5 LCU/hr    社内向け3層Webシステムの軽負荷を想定。実トラフィックにより変動
RDS gp3 Multi-AZ単価    $0.276/GB-月    Price List APIがMySQL gp3 Multi-AZ SKUを返さなかったため、AWS公開料金ページの値(Single-AZ $0.138 × 2)を使用
含まれないコスト    AWS Supportプラン、Route 53、ACM、CloudWatch詳細モニタリング、移行費用    構成に明示されていないため除外
オンプレ人件費    ¥270,000/月(配賦)    AWSでは運用負荷が減少するが、ゼロにはならないため比較は参考値として提示
最大のコスト要因はRDS Multi-AZ(¥203,674 / 全体の69.5%)です。 Single-AZに変更すれば約半額になりますが、オンプレのDB冗長化なし構成からの可用性向上という観点では、Multi-AZは合理的な選択です。

読み方の注意

  • 回答中の計算は、すべて合っていました(円換算で1円ずれる箇所のみ)。
  • 見出しの「69.4%安い」は、人件費270,000円を含むオンプレと、含まないAWSを比べた数字です。人件費を除くと**57.5%**になります。
  • オンプレのDBは冗長化なし、AWSはMulti-AZと、可用性の条件が違うものを比べています。
  • P0(約20.4万円)とP2(約29.3万円)の差は、主にDB構成(Single-AZ → Multi-AZ)です。また、RDSのストレージ単価(0.12ドル → 0.138ドル)や月間時間(720h → 730h)も、回答ごとにぶれていました。

Pricing Calculatorとの比較

同じ構成をPricing Calculatorに入力しました。RDSの「Database Insights」「RDSプロキシ」は、電卓の初期値で有効になっていたため、無効にした金額で比べています。

項目 エージェント Pricing Calculator 差
EC2(EBS含む) 381.28ドル 381.28ドル 0
RDS(インスタンス) 1,219.83ドル 1,219.83ドル 0
RDS(ストレージ) 138.00ドル 138.00ドル 0
ALB 46.94ドル 46.94ドル 0
S3 51.20ドル 50.00ドル −1.20ドル
データ転送 116.74ドル 105.34ドル −11.40ドル
合計 1,953.99ドル(293,098円) 1,941.39ドル(約291,209円) −12.60ドル(−0.6%)
  • EC2・RDS・ALBは、1セント単位まで一致しました。エージェントが「Single-AZの2倍」で出したRDSのMulti-AZストレージ単価(0.276ドル/GB)も、電卓と一致しました。
  • データ転送の差は、月100GBの無料枠を引いたかどうかです(電卓:924GB × 0.114ドル、エージェント:1,024GB × 0.114ドル)。S3の差は、2TBを2,000GBで入れたか、2,048GBで入れたかの違いです。
  • 電卓の初期値のままだと、Database Insights(73.00ドル)とRDSプロキシ(105.12ドル)が加わり、合計は2,119.51ドル(エージェントとの差は約8.5%)になります。エージェントの見積もりは、必要最小限の構成と読めます。

AWSネイティブのサービスなだけあって、この辺りの精度は流石ですね⭐️

5. P3:情報が足りない質問をする

5年間のTCOで比較してください。移行費用や、AWSへの移行後の運用人件費は不明なので、前提を置く場合はその旨を明示してください。

P3の回答内容全文
5年間TCO比較:オンプレミス vs AWS
前提一覧
#    項目    前提値    性質
—    為替レート    1 USD = 150 JPY(固定)    仮定。実請求はUSD建て
—    AWS月間稼働時間    730時間/月    AWS標準換算
—    オンプレHW償却終了    現在から3年後(導入5年目)に¥150,000/月が消滅    CSVの償却根拠より
—    オンプレHW更新    5年間更新なし(保守契約で延命)と仮定    更新が発生すれば追加費用
—    AWS単価変動    5年間オンデマンド単価固定と仮定    実際は値下がり傾向のため保守的
仮定A    AWS運用人件費    0.15人月/月(¥135,000/月)    不明のため仮定。感度分析あり
仮定B    移行費用    ¥2,000,000(Year 1一時費用)    不明のため仮定。感度分析あり
年度別TCO
年度    オンプレ年額    AWS年額    差額(AWS−オンプレ)    累積差額
Year 1    ¥11,508,000    ¥7,137,182 ※移行費用含む    −¥4,370,818    −¥4,370,818
Year 2    ¥11,508,000    ¥5,137,182    −¥6,370,818    −¥10,741,636
Year 3    ¥11,508,000    ¥5,137,182    −¥6,370,818    −¥17,112,454
Year 4    ¥9,708,000 ※償却終了    ¥5,137,182    −¥4,570,818    −¥21,683,272
Year 5    ¥9,708,000    ¥5,137,182    −¥4,570,818    −¥26,254,090
5年合計    ¥53,940,000    ¥27,685,910    −¥26,254,090    
AWS 5年間TCO内訳
区分    5年合計    構成比
インフラ費用(60ヶ月)    ¥17,585,910    63.5%
運用人件費(60ヶ月)【仮定A】    ¥8,100,000    29.3%
移行費用(一時)【仮定B】    ¥2,000,000    7.2%
AWS 5年合計    ¥27,685,910    100%
5年間削減額:¥26,254,090(48.7%削減)

感度分析①:AWS運用人件費(仮定A)
AWS運用工数    月額人件費    AWS 5年合計    削減額    削減率
0.10人月/月    ¥90,000    ¥24,985,910    ¥28,954,090    53.7%
0.15人月/月(基本ケース)    ¥135,000    ¥27,685,910    ¥26,254,090    48.7%
0.20人月/月    ¥180,000    ¥30,385,910    ¥23,554,090    43.7%
0.25人月/月    ¥225,000    ¥33,085,910    ¥20,854,090    38.7%
0.30人月/月(オンプレと同等)    ¥270,000    ¥35,785,910    ¥18,154,090    33.7%
感度分析②:移行費用(仮定B)
移行費用    AWS 5年合計    削減額    削減率
¥500,000(内製・小規模)    ¥26,185,910    ¥27,754,090    51.5%
¥1,000,000    ¥26,685,910    ¥27,254,090    50.5%
¥2,000,000(基本ケース)    ¥27,685,910    ¥26,254,090    48.7%
¥5,000,000(外部ベンダー活用)    ¥30,685,910    ¥23,254,090    43.1%
¥10,000,000(大規模・複雑)    ¥35,685,910    ¥18,254,090    33.8%
読み取りポイント
1. どのシナリオでもAWSが有利 移行費用が¥10,000,000・運用工数がオンプレと同等(0.30人月)という最悪ケースでも、5年削減率は33.7%(約¥1,800万削減)。

Year 1から黒字 移行費用¥200万を含むYear 1でも年間¥437万の削減。投資回収は移行完了直後から始まる。

コスト構造の変化に注意 オンプレはYear 4以降に償却が終わりコストが下がるが、それでもAWSより¥457万/年高い。ただし、Year 4〜5にオンプレのHW更新が発生した場合(新規購入¥900万想定)、オンプレのTCOはさらに跳ね上がる。

最大の不確実要因は運用人件費 インフラ費用(¥17.6M)は確定的だが、運用人件費(¥8.1M)は仮定A次第で±¥5,400万の幅がある。移行前に実際の運用体制を確認することが精度向上の最優先事項。

前提を表で一覧にして、「仮定A:AWS運用人件費 0.15人月/月」「仮定B:移行費用 200万円」のように、仮定であることを明記し、感度分析も付けてくれました。指示どおりです。

年度 オンプレ AWS 差額
Year 1 11,508,000円 7,137,182円(移行費用込み) −4,370,818円
Year 2〜3 11,508,000円 5,137,182円 −6,370,818円
Year 4〜5 9,708,000円(償却終了) 5,137,182円 −4,570,818円
5年合計 53,940,000円 27,685,910円 −26,254,090円(48.7%削減)

表の数字は、すべて再計算して一致しました。一方、回答の「読み取りポイント」には、次の誤りや不備がありました。

  • 「最悪ケース(移行費用1,000万円かつ0.30人月)でも削減率33.7%」は誤りです。33.7%は0.30人月のときの値で、両方を同時に最悪にすると**約18.8%**になります。
  • 「仮定Aは±5,400万円の幅」は桁が違い、実際は約±540万円です。
  • 「HW更新は新規購入900万円を想定」は、ファイルにない数字で、表の計算にも入っていません。
  • 移行しても消えない残りの償却費(約540万円)や、Savings Plansなどの割引は考慮されていません。

この辺りの算出された数字はしっかりとレビューにかける必要がありそうです。😕

6. P4:ファイルにない情報を聞く

データセンターの床面積と、電力契約のアンペア数は?

これはAWSコスト・FinOpsの範囲外の質問です。(以下、英語で)データセンターの運用チームか、コロケーションの契約書で確認してください。

  • 数字は出さず、作り話もしませんでした。
  • ただし理由は「ファイルに書かれていない」ではなく「FinOpsの範囲外」で、指示していないのに英語に戻っていました。

存在しない情報に対して作り話をしないという点では、期待通りでした!

7. P5:レポートにする

P2の比較結果を、経営層向けのHTMLレポートにまとめてください。前提と注意点も入れてください。

月額比較・5年間TCO・感度分析・前提一覧まで入った、日本語のHTMLレポートが生成されました。数字は、P2・P3と一致しています。

  • 依頼したのはP2の比較でしたが、P3の5年TCOも入っていました。注意事項には、P3では触れられていなかった「既存HWの残存簿価」「移行期間中の並行稼働コスト」も書かれていました。
  • ただし、見出しの「月額削減額 665,902円(−69.4%)」は「インフラ費用ベース」と書かれているのに、オンプレ側には人件費27万円が含まれています。条件のそろっていない比較が、そのまま見出しになっています。

全体としては非常に見やすくまとめられたレポートになっており、精査は必要なものの叩き台としては十分な完成度です!

結果のまとめ

観点 結果 補足
ファイルの数字を正しく使ったか ○ 合計・小計が一致。ただしP0で残りの償却費の計算ミスが1つ
AWS側の見積もりは妥当か ○ Pricing Calculatorと差0.6%。単価の出典も示した
前提を明示したか ○ P3で仮定A・Bを明記。ただし読み取りポイントに誤りが3か所
作り話をしなかったか △ 数字は作らなかった。理由は「範囲外」で、英語で回答
成果物の出来 ○ P5のレポートは見やすい。ただし見出しの−69.4%は条件が不揃い
回答の一貫性 △ P0とP2で単価・時間が違った。日本語指定でも英語に戻った

注意点

  • プレビュー版のため、画面や仕様は変わる可能性があります。オンプレとの比較は、公式ドキュメントに書かれた使い方ではなく、今回の結果は保証された機能ではありません。
  • コンテキストファイルは、エージェントにアクセスできる全員から見えます。機密情報や個人情報は入れないでください。
  • Pricing Calculatorは、RDSなどのオプションが初期値で有効な場合があります。比較するときは、入力内容を確認してください。

まとめ

  • ファイルの数字の読み取りと、AWS側の見積もり(電卓との差0.6%)は、たたき台として十分な精度でした。
  • 一方で、比較の前提(人件費の有無、DBの冗長化の違い)がそろっていない数字が、見出しになっていました。質問ごとの単価のぶれや、算術ミスもあったため、金額を使う前に人の目で確認するのが安心です。
  • ファイルにない情報は、数字を作らずに「答えられない」と答えました。

この記事が、FinOps Agentの活用や、オンプレからの移行のコスト検討を考えるきっかけになれば幸いです!

最後に

本日の写真はこちら!(ででん)

こちらは沖縄県の宮古島に行った時の写真です🏝️
あまり宮古島感のない写真ではありますが、空がとっても綺麗だったので思わず撮っちゃいました、。
素敵なところなのでぜひ行ってみてください〜〜

最後まで見てくださりありがとうございました〜!

参考


コスト最適化、打ちっぱなしで元通りになっていませんか

タグ付けも不要リソースの棚卸しも、施策は打てる。でも続ける仕組みがなければ、コストは数か月でじわじわ戻る。一度きりで終わらせず、FinOpsを組織に定着させる=CCoEの役割。最適化を回し続ける進め方を、無料資料にまとめました。

CCoE総合支援

FinOpsを定着させる資料をもらう

この記事をシェアする

AWSのお困り事はクラスメソッドへ

関連記事