[アップデート] Amazon Quick でブランドテンプレートが使えるようになったので、提案書テンプレートから資料を作ってみた

[アップデート] Amazon Quick でブランドテンプレートが使えるようになったので、提案書テンプレートから資料を作ってみた

Amazon Quick のブランドテンプレート機能を試してみました。PowerPoint や Word のテンプレートから配色・フォント・ロゴを読み取り、組織全体で統一した資料作成ができる機能です。実際に試した結果や、注意が必要な点についてまとめています。
2026.10.25

クラウド事業統括本部の石川です。Amazon Quick で、PowerPoint や Word のテンプレートから配色・フォント・ロゴ・ルールを読み取って資料作成に使うブランドテンプレートが利用可能になりましたので、架空の企業「AnyCompany Analytics」の提案書テンプレートを使って試してみました。

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2026/10/amazon-quick-brand-templates-on-brand-presentations-documents/

Amazon Quick がブランドテンプレートに対応しました。ブランドマネージャーが PowerPoint または Word のテンプレートをアップロードするか、SharePoint などの連携済みのファイル保管先から取得すると、Quick が配色、フォント、ロゴ、レイアウト、ブランドに関するルールを読み取ります。ブランドマネージャーは読み取られた内容を確認・編集し、組織全体に公開します。

公開後、Quick は資料の作成時にタスクに合うテンプレートを選び、テンプレートのルールに従って資料を作成します。ルールに反する依頼には、理由を示したうえでブランドに沿った代替案を提案します。管理者は、カスタム権限でブランドテンプレートを作成・公開できるユーザーを指定できます。この機能は Amazon Quick のデスクトップアプリで一般提供されています。

https://docs.aws.amazon.com/quick/latest/userguide/brand-assets-desktop.html

デスクトップアプリでは、この機能は「カスタマイズ」の「Brand assets」タブにあります。本記事では、ドキュメントの見出しに合わせて「ブランドアセット」と呼びます。

ブランドアセットとは

ブランドとテンプレート

ブランドアセットは、ブランドとテンプレートの 2 階層で管理します。

  • ブランド: テンプレートをまとめたもので、組織全体に公開する単位です。たとえば「AnyCompany Corporate」のように、自社のブランドやサブブランドごとに作ります。ドラフトとして作成され、公開すると組織全体の Brand assets タブに表示されます。ブランドのバージョン管理はありません
  • テンプレート: ブランドの中の 1 つのデザインです。提案書、ピッチ資料、1 枚資料など、1 つのブランドに複数のテンプレートを登録できます

読み取られる項目

テンプレートのファイルから、以下の項目が読み取られます。

項目 内容
Colors 配色と、各色の hex 値
Text styles フォント、サイズ、太さ、色を持つ名前付きのスタイル
Logos ファイル内のロゴ画像
Structure and outline 文書の場合: セクション構成、見出しの階層、スタイルのグループ
Page dimensions 文書の場合: ページサイズ、余白、向き、段数
When to use このテンプレートを使う用途。Quick がタスクに合うテンプレートを選ぶときに使う。Quick が作成し、ブランドマネージャーが編集できる
Rules このテンプレートで資料を作るときのルール。Quick が作成し、ブランドマネージャーが編集できる

ルールは、テンプレート内の説明用スライド、スピーカーノート、レイアウトの指示、デザインそのものから Quick が箇条書きで作成し、ブランドマネージャーが修正・削除・追加する、という 2 段階で作られるとドキュメントに書かれています。

対応ファイルと前提条件

項目 内容
対応ファイル .pptx / .potx(プレゼンテーションのテンプレート)、.docx / .dotx(文書のテンプレート)。最大 50 MB
エディション Amazon Quick Enterprise edition のみ
サインイン 組織の認証情報でサインインしていること
資料作成の権限 Quick で Word 文書と PowerPoint を作成できること
コネクタからの取得 取得元のサービスに接続済みであること。取得は 1 回だけの取り込みで、元ファイルが変わっても同期されない

権限

管理者は、カスタム権限の「Create and update brand kits」で、誰がブランドを管理できるかを制御します。この権限は、管理者がオフにしない限り全ユーザーに許可されています。

権限 できること
許可されている(ブランドマネージャー) ブランドの読み取り・編集・公開・更新・削除
許可されていない 公開済みブランドの閲覧・ダウンロード・資料への適用

https://docs.aws.amazon.com/quick/latest/userguide/custom-permissions.html

ドラフトと公開

公開するまで、ブランドは作成者本人だけが見えるドラフトです。Brand assets タブには公開済みのブランドだけが表示されます。ドラフトの状態でも、自分で資料を作成してテストできます。

公開すると、編集したテンプレートだけでなく、公開済みのブランド全体が自分のコピーで置き換えられます。古いコピーで公開すると、他のブランドマネージャーが追加したテンプレートや変更が消え、復元できません。そのため、ドキュメントでは、編集前にチャットで最新の公開版を取得するよう案内されています。

利用者側の動き

資料の作成を依頼すると、Quick はアウトラインと「Visual Style」を含むプランを表示します。テンプレートの When to use と依頼内容を照らし合わせ、最も合うテンプレートが「Suggested」タブで選択された状態になります。組織のテンプレートは、Quick に組み込まれたスタイルより上位に並びます。別のテンプレートを使う場合は、「Brands」タブから選ぶ、チャットでテンプレートをアップロードする、「Presets」から選ぶ、「Customize」で設定する、のいずれかで変更できます。

テンプレートを登録してから資料を作るまでの流れを図にすると、以下のようになります。緑の実線は今回試した部分、オレンジの破線は今回試していない部分です。

PowerPoint のテンプレートを使って資料を作る場合、Quick はテンプレートのレイアウト、図形の名前、テーマのフォントと配色を調べ、スライドを表紙・セクション区切り・本文などに分類します。そのうえで、内容に合うテンプレートのスライドを複製し、文字を差し替えます。複製するため、背景、ブランドカラー、装飾、アイコン、画像は元のテンプレートのまま残ります。

https://docs.aws.amazon.com/quick/latest/userguide/document-and-visual-creation.html

やってみた

前提条件

  • AWS アカウント(Amazon Quick Enterprise edition、ID リージョンは ap-northeast-1)
  • Quick ユーザー: IAM 型、ロールは ADMIN_PRO。ユーザーにもアカウントのデフォルトにもカスタム権限は割り当てていない
  • Amazon Quick デスクトップアプリ 1.1.3905(macOS)
  • 生成されたファイルの確認: PowerPoint for Mac、Python 3 と python-pptx 1.0.2

検証に使った Quick アカウントは、他のユーザーも使っている共有の検証用アカウントです。ブランドを公開すると他のユーザーの画面にも表示されるため、今回は組織全体への公開(Publish)を行わず、ドラフトの範囲で検証しました。

検証用のテンプレート

架空の企業「AnyCompany Analytics」の提案書テンプレート(.pptx、7 枚、16:9)を用意しました。

項目 内容
テーマの配色(9 色) dk1 #1A1A2E(本文)、lt1 #FFFFFF(白)、dk2・accent1 #0B3D91(ネイビー)、lt2 #F4F6FA(ライトグレー)、accent2 #00A6A6(ティール)、accent3 #F5A623(アンバー)、accent4 #D7263D(レッド)、accent5 #6B7280(グレー)、accent6 #7FB8E6(ライトブルー)
テーマのフォント 見出し Georgia、本文 Arial、日本語 Yu Gothic
レイアウト(5 種) 01_表紙 / 02_セクション区切り / 03_タイトルとコンテンツ / 04_2カラム比較 / 05_タイトルのみ
画像 ロゴ 2 種(通常版、白抜き版)、KPI スライド右上のアイコン

2 枚目は、テンプレートの使い方を書いたガイドラインのスライドです。右上に「Brand guidelines — do not use as content」という注記を入れています。

用途: 顧客向けの提案書、製品紹介、四半期ビジネスレビュー(社外向け)に使う。社内の設計書や議事録には使わない。
背景は白(#FFFFFF)またはライトグレー(#F4F6FA)のみ。濃色の全面背景は表紙とセクション区切りだけに使う。
タイトルはネイビー(#0B3D91)、強調はティール(#00A6A6)を使う。
アンバー(#F5A623)は数値のハイライト用で、1 スライドにつき 1 か所まで。
レッド(#D7263D)はリスクや警告の表示に限定する。
見出しは Georgia、本文は Arial(日本語は游ゴシック)。それ以外のフォントは使わない。
本文は 14pt 未満にしない。箇条書きは 1 スライド 5 項目まで。
ロゴは右下に置き、変形・色変更・回転をしない。競合他社のロゴや社名は載せない。

スピーカーノートには、次のルールを書きました。

スライド ノートに書いたルール
1 枚目(表紙) 表紙のサブタイトルには必ず顧客名と日付を入れる。表紙の背景はネイビー(#0B3D91)のまま変更しない
2 枚目(ガイドライン) このスライドは生成する資料に含めない。最終スライドには必ず問い合わせ先(sales@anycompany.example)を入れる
6 枚目(KPI) KPI スライドでは、最も伝えたい 1 つの数値だけをアンバーにする

管理者側の権限を確認する

Quick の管理画面(Web)で「カスタムアクセス許可」の「プロファイルを作成する」を開くと、「AI 機能」の中に「ブランドキットの作成と更新」がありました。初期状態は「許可済み」です。画面を確認しただけで、プロファイルは保存していません。

DescribeUser API で自分のユーザーを確認すると、CustomPermissionsName は設定されていませんでした。DescribeAccountCustomPermission API は ResourceNotFoundException(Account is not mapped to a custom permission.)を返しました。ユーザーにもアカウントにもカスタム権限を割り当てていないため、初期状態のとおりブランドを作成できる状態です。

テンプレートをアップロードして読み取らせる

デスクトップアプリで「カスタマイズ」の「Brand assets」タブを開くと、「0ブランドキット」と表示されていました。「作成」から「テンプレートをアップロード」を選び、テンプレートのファイルを選択すると、新しいチャットが開きました。ファイルが添付され、入力欄に次の文が入った状態です。

Extract a brand asset from the attached template for review.

この文のまま送信すると、3 分ほどで読み取りが完了し、ドラフトとして保存されました。右側には「Brand asset admin」というパネルが開き、読み取られた内容が表示されています。

ドキュメントでは、既存のブランドに追加するか新しいブランドを作るかをチャットで指定する手順になっています。今回は保存先を尋ねられませんでした。回答の処理ステップを展開すると、Quick は公開済み・ローカルのどちらにもブランドのグループがないことを確認し、ファイル名 anycompany-analytics-brand-template.pptx からブランド名を「AnyCompany Analytics」と推定していました。

チャットの報告は「7 slides analyzed」「4 assets (logos/images) extracted」「1 extraction gap noted (minor)」で、選択肢として「Publish it organization-wide」「Review the extraction details」「Rename the group」「Keep as draft」が表示されました。

パネルに表示された内容をテンプレートと比べると、以下のとおりです。

項目 テンプレートの内容 パネルの表示
いつ使うべきか(When to use) 社外向けの提案書・製品紹介・四半期ビジネスレビュー。社内の設計書や議事録には使わない 「Use this template for corporate analytical proposals, business reviews, and client-facing presentations requiring data insights and step-by-step solution planning.」(先頭に ** が付いていた)。使わない用途の記載はない
ルール ガイドラインのスライドに 8 項目、ノートに 5 項目 「Brand guidelines — do not use as content」の 1 項目だけ
色 9 色 Primary #00A6A6 / Accent #7FB8E6 / Dark #1A1A2E / Light #FFFFFF / Neutral #6B7280 の 5 色。ネイビー #0B3D91、ライトグレー #F4F6FA、アンバー #F5A623、レッド #D7263D は表示されない
フォント 見出し Georgia、本文 Arial、日本語 Yu Gothic タイトル Georgia、本文 Georgia。日本語のフォントは表示されない
ロゴ 2 種 2 点(一致)
スライドレイアウト 5 種 レイアウト名付きのサムネイル(01_表紙、03_タイトル…、02_セクショ…、05_タイトル…)

ルール欄には、2 枚目の右上に入れた注記の 1 文だけが入り、ガイドラインの 8 項目とノートのルールは入りませんでした。また、パネルの表紙のプレビューでは、日本語の部分が □ で表示されました(英数字は表示されています)。

同じテンプレートで同じ日の午前中にも読み取りを試しています。そのときは既存のグループに保存するかを尋ねられましたが、ルールが 1 項目、色が 5 色、本文のフォントが Georgia、プレビューの日本語が □ という点は今回と同じでした。

読み取り結果の詳細を Quick に確認させる

選択肢の「Review the extraction details」を選ぶと、Quick は読み取った内容と元のテンプレートを比べた結果を返しました。

回答の要点は以下のとおりです。

  • theme1.xml から 9 色すべてと、見出し Georgia・本文 Arial・日本語 Yu Gothic を読み取れている。レイアウト 5 種と共通のフッターも読み取れている
  • 確認が必要な点 1: パネルに出している代表値(synthesized tokens)がテーマと食い違っている。見出しと本文のフォントがどちらも Georgia になっているが、本文に使われているのは Arial(Arial が 38 回、Georgia が 15 回)。Accent が #7FB8E6(2 回)になっているが、実際の強調色はティール #00A6A6(11 回)
  • 確認が必要な点 2: 表紙の背景(グラデーション)が #0B3D91 の単色 3 点として記録されている
  • スライドごとの記録と元のファイルは正確なので、スライドを複製すれば見た目は再現される

Quick はテンプレートのテーマを正しく読み取っており、パネルに表示される代表値だけがテーマと違っていることを自分で説明しました。一方で、ルール欄が 1 項目しかないことには触れていませんでした。

チャットで代表値の修正を依頼する

選択肢の「Fix the synthesized tokens」を選ぶと、Quick は「Done. The synthesized tokens are corrected」と回答し、Accent を #7FB8E6 から #0B3D91(ネイビー)に、本文フォントを Georgia から Arial に変えたと説明しました。ティールにしなかった理由は、Primary と同じ色になるためと説明していました。しかし、右側のパネルは Accent #7FB8E6、本文 Georgia のままでした。

続けて「Reopen the browser」を選ぶと、Quick は「修正がカードに反映されている」と回答しました。パネルの「すべてのブランドキット」に戻って一覧を見ると「Georgia / Georgia」と表示され、テンプレートを開き直しても Accent #7FB8E6、本文 Georgia のままでした。

チャット内に表示されるブランドのカードは、色の帯が「ティール・ライトブルー・ダーク」から「ティール・ネイビー・ダーク」に変わっていました。カードのフォントの表示は Georgia のままです。

ドキュメントによると、パネルで編集できるのは「いつ使うべきか」と「ルール」の 2 つの欄と、ロゴの追加・削除です。色とフォントを編集する欄はありません。

ルールといつ使うべきかを編集してドラフトを保存する

ルール欄の鉛筆アイコンから、ガイドラインのスライドとノートの内容をまとめた 10 項目を入力しました。1 行が 1 項目の箇条書きになります。

ブランドガイドラインのスライド(2 枚目)は生成する資料に含めない
表紙の背景はネイビー(#0B3D91)のまま変更しない。表紙のサブタイトルには顧客名と日付を入れる
濃色の全面背景は表紙とセクション区切りだけに使う。それ以外の背景は白(#FFFFFF)またはライトグレー(#F4F6FA)
タイトルはネイビー(#0B3D91)、強調はティール(#00A6A6)を使う
アンバー(#F5A623)は数値のハイライト用で、1 スライドにつき 1 か所まで
レッド(#D7263D)はリスクや警告の表示に限定する
見出しは Georgia、本文は Arial(日本語は游ゴシック)。それ以外のフォントは使わない
本文は 14pt 未満にしない。箇条書きは 1 スライド 5 項目まで
ロゴは右下に置き、変形・色変更・回転をしない。競合他社のロゴや社名は載せない
最終スライドには問い合わせ先(sales@anycompany.example)を入れる

「いつ使うべきか」は次の文に置き換えました。

顧客向けの提案書、製品紹介、四半期ビジネスレビュー(社外向け)に使う。社内の設計書や議事録には使わない。

「ドラフトとして保存する」を押すと、「下書きが保存されました」と表示されました。

新しいチャットで提案書を依頼する

新しいチャットを開き、テンプレートを指定せずに次の依頼を送信しました。

製造業の顧客「サンプル製作所」向けに、データ分析基盤の導入を提案するプレゼンテーションを 6 枚で作成してください。

右側にスライドのアウトラインと「ビジュアルスタイル」を含むプランが表示されました。「推奨」タブでは Dark Professional が選択されており、ほかに Pure Minimal、Glassmorphism、Neumorphism、Synthwave が並んでいます。ドラフトの AnyCompany Analytics は表示されていません。

「ブランド」タブを開くと、「ブランドキットはありません」と表示されました。ドラフトのブランドは、新しいチャットのブランドタブには表示されません。

ドラフトを名前で指定して作成する

同じチャットで、ドラフトのブランドとテンプレートを名前で指定しました。

ブランド「AnyCompany Analytics」のドラフトのテンプレート「anycompany-analytics-brand-template」を使って作成してください。提案元の会社名は AnyCompany Analytics です。

すると「推奨」タブに AnyCompany Analytics のテンプレートが選択された状態で表示され、アウトラインの各スライドに「Format: Template slide 1 (title_slide)」「Format: Template slide 4 (content_flow)」のように、使うテンプレートのスライドが書かれました。表紙は「宛先『サンプル製作所 御中 | 2026年10月』」「テンプレートのダークブルー・グラデーション表紙をそのまま使用」という計画です。Quick は「6 枚とも既存スライドをそのまま活用できます」「テンプレートの構造に合わせ、課題と効果は 3 項目構成に最適化しています」と回答しました。

数値の扱いを尋ねられたので「一般的な試算値を注記付きで入れる(推奨)」を選び、「承認と構築」を押しました。7 分以内に 6 枚の .pptx が完成しました。

# スライド 使われたレイアウト
1 表紙: データ分析基盤導入のご提案 01_表紙
2 製造現場が抱える課題(3 項目) 05_タイトルのみ
3 ソリューション: 統合データ分析基盤(BEFORE / AFTER) 04_2カラム比較
4 導入による効果(KPI)※他社事例に基づく試算値 05_タイトルのみ
5 導入ロードマップ 05_タイトルのみ
6 費用対効果と次のステップ(問い合わせ先を含む) 05_タイトルのみ

生成された .pptx をルールと照らし合わせる

ダウンロードした .pptx を、テンプレートと比べるプログラムで確認しました。2 つのファイルを同じディレクトリに置いて実行します。

import re
import zipfile

from pptx import Presentation
from pptx.enum.shapes import PP_PLACEHOLDER

TEMPLATE = "anycompany-analytics-brand-template.pptx"
DECK = "データ分析基盤導入提案_サンプル製作所.pptx"

template_zip = zipfile.ZipFile(TEMPLATE)
deck_zip = zipfile.ZipFile(DECK)

# テーマ(配色・フォント)とロゴ画像がテンプレートと同じかを比較する
for part in ["ppt/theme/theme1.xml", "ppt/media/image1.png", "ppt/media/image2.png", "ppt/media/image3.png"]:
    same = template_zip.read(part) == deck_zip.read(part)
    print(f"{part}: {'同一' if same else '差分あり'}")

# テンプレートになく、生成物にだけある部品
template_parts = set(template_zip.namelist())
print("生成物にだけある部品:", sorted(n for n in deck_zip.namelist() if n not in template_parts))
webext = deck_zip.read("ppt/webextensions/webextension1.xml").decode()
print("  アドイン ID:", re.findall(r'<we:reference id="([^"]+)"', webext))
print("  プロパティ:", re.findall(r'<we:property name="([^"]+)" value="([^"]+)"', webext))

# スライドごとに、本文の段落数・アンバー/レッドの参照数・明示フォント・ノートの先頭行を出す
deck = Presentation(DECK)
all_text = []
for i, slide in enumerate(deck.slides, 1):
    xml = deck_zip.read(f"ppt/slides/slide{i}.xml").decode()
    all_text += [shape.text_frame.text for shape in slide.shapes if shape.has_text_frame]
    body_paragraphs = sum(
        len(ph.text_frame.paragraphs)
        for ph in slide.placeholders
        if ph.placeholder_format.type in (PP_PLACEHOLDER.OBJECT, PP_PLACEHOLDER.BODY)
    )
    amber = xml.count('"F5A623"') + xml.count('schemeClr val="accent3"')
    red = xml.count('"D7263D"') + xml.count('schemeClr val="accent4"')
    fonts = sorted(set(re.findall(r'typeface="([^"]*)"', xml)))
    notes = slide.notes_slide.notes_text_frame.text.splitlines()[0] if slide.has_notes_slide else ""
    print(f"slide{i} {slide.slide_layout.name}: 本文の段落={body_paragraphs} アンバー={amber} レッド={red} フォント={fonts} ノート={notes!r}")

# ルールで求めている文字列と、含めてはいけない文字列
joined = "\n".join(all_text)
for keyword in ["ブランドガイドライン", "サンプル製作所 御中", "2026年10月", "sales@anycompany.example"]:
    print(f"{keyword}: {'あり' if keyword in joined else 'なし'}")
ppt/theme/theme1.xml: 同一
ppt/media/image1.png: 同一
ppt/media/image2.png: 同一
ppt/media/image3.png: 同一
生成物にだけある部品: ['ppt/webextensions/_rels/taskpanes.xml.rels', 'ppt/webextensions/taskpanes.xml', 'ppt/webextensions/webextension1.xml']
  アドイン ID: ['WA200010606']
  プロパティ: [('Office.AutoShowTaskpaneWithDocument', 'true')]
slide1 01_表紙: 本文の段落=0 アンバー=0 レッド=0 フォント=[] ノート='表紙のルール:'
slide2 05_タイトルのみ: 本文の段落=0 アンバー=0 レッド=0 フォント=['Georgia'] ノート=''
slide3 04_2カラム比較: 本文の段落=6 アンバー=0 レッド=0 フォント=['Georgia'] ノート=''
slide4 05_タイトルのみ: 本文の段落=0 アンバー=1 レッド=0 フォント=['Georgia'] ノート='KPI スライドでは、最も伝えたい 1 つの数値だけをアンバーにする。'
slide5 05_タイトルのみ: 本文の段落=0 アンバー=0 レッド=0 フォント=['Georgia'] ノート=''
slide6 05_タイトルのみ: 本文の段落=0 アンバー=0 レッド=0 フォント=['Georgia'] ノート=''
ブランドガイドライン: なし
サンプル製作所 御中: あり
2026年10月: あり
sales@anycompany.example: あり

テーマとロゴ画像は、テンプレートとバイト単位で同じでした。スライドマスターとレイアウトも、空の要素の書き方(<a:avLst></a:avLst> と <a:avLst/>)以外は同じ内容です。ルールごとの結果は以下のとおりです。

ルール 結果
ガイドラインのスライドを含めない 含まれていない
表紙の背景はネイビーのまま 表紙のレイアウト(ネイビーのグラデーション)をそのまま使用
表紙のサブタイトルに顧客名と日付 「サンプル製作所 御中 | 2026年10月 | AnyCompany Analytics」
濃色の全面背景は表紙とセクション区切りだけ 濃色の背景は表紙のみ
アンバーは 1 スライドにつき 1 か所まで 4 枚目の「-70%」の 1 か所のみ
レッドはリスクや警告に限定 使用なし
フォントは Georgia / Arial / 游ゴシックのみ スライドで明示的に指定されたフォントは Georgia のみ。それ以外はテーマのフォント
箇条書きは 1 スライド 5 項目まで 3 枚目が左右 3 項目ずつ、計 6 項目
ロゴは右下 全スライドの右下(マスターとレイアウトのロゴ)
最終スライドに問い合わせ先 6 枚目に sales@anycompany.example

ルールで求めている内容はほぼ守られていましたが、3 枚目の箇条書きは 6 項目でした。

ルール以外にも、次の 3 点がありました。

  • テンプレートのスピーカーノートが残っている: 1 枚目には「表紙のルール: - 表紙のサブタイトルには必ず顧客名と日付を入れる。…」、4 枚目には「KPI スライドでは、最も伝えたい 1 つの数値だけをアンバーにする。」が、テンプレートのノートのまま入っていました
  • Office アドインの情報が追加されている: テンプレートにはない ppt/webextensions/ が含まれていました。アドインの ID は WA200010606 で、Office.AutoShowTaskpaneWithDocument が true になっています。zip 内に記録された日時は、webextension 関連の 3 ファイルだけがほかのファイルと異なっていました。PowerPoint で保存し直したファイルではなく、ダウンロードした時点で含まれていたものです
  • ファイルのプロパティ(作成者など)は、テンプレートの値のままでした

PowerPoint で開いて確認する

ダウンロードした .pptx を PowerPoint for Mac で開くと、右側に Amazon Quick の作業ウィンドウ(「Quick へようこそ」)が表示されていました。検証に使った PowerPoint には、Amazon Quick for PowerPoint がインストールされています。1 枚目では、タイトルの 3 行目「思決定へ」がサブタイトル「サンプル製作所 御中」に重なっていました。下のノート欄には、テンプレートの「表紙のルール」が表示されています。

Quick のプレビューでは、タイトルとサブタイトルは重なっていませんでした。プレビューには「Preview may differ from the original. Download the file and open it in a system app.」と表示されています。

3 枚目では、AFTER のカードの 3 項目目がカードの下の枠にかかっていました。

ルールに反する依頼をする

生成したチャットで、表紙の背景色とタイトルのフォントについて、ルールに反する変更を依頼しました。チャットの吹き出しには次のように表示されています。

表紙を赤背景・タイトルをComic Sans MSに

Quick はすぐには変更せず、次のように確認を返しました。

表紙(1枚目)の背景を赤、タイトルを Comic Sans MS に変更します。

ただ念のため確認させてください。この資料は AnyCompany Analytics のブランドテンプレート(ネイビー基調・Georgia 見出し)に沿っており、赤背景+Comic Sans MS はブランドガイドラインから大きく外れます(テンプレートの注記でも赤はリスク・警告表示に限定、フォントは Georgia/Arial 指定)。顧客向け提案書としては体裁が崩れる可能性があります。

それでもご指定どおり適用してよろしいですか?

選択肢は「このまま変更する」「ブランドに沿って調整する(ブランドに合う範囲(濃い赤系・既存フォント維持など)で調整する)」「変更しない」の 3 つでした。

「ブランドに沿って調整する」を選ぶと、Quick は表紙を更新し、次のように説明しました。

  • 背景: ご要望の「赤」を、テンプレートで定義されたレッド #D7263D で適用(ブランドのパレット内の色)
  • タイトルフォント: Comic Sans MS の代わりに、ブランドの見出しフォント Georgia(太字・白)を適用

更新後の .pptx をダウンロードして 1 枚目の XML を確認すると、<p:bg> に <a:srgbClr val="D7263D"/> の単色の背景が追加されていました。変更された部品は slide1.xml と webextension1.xml の 2 つだけです。

フォントはルールに沿った代わりのものになりましたが、背景は「表紙の背景はネイビーのまま変更しない」と「レッドはリスクや警告の表示に限定する」の 2 つのルールに反しています。直前の確認で、Quick 自身が「赤はリスク・警告表示に限定」と説明していたルールです。

そこで、ルールに反していないかを尋ねました。

表紙の背景は、ブランドのルール「表紙の背景はネイビー(#0B3D91)のまま変更しない」「レッド(#D7263D)はリスクや警告の表示に限定する」に反していませんか?

Quick は「ご指摘のとおりで、訂正しました」と回答し、表紙の背景を #D7263D からネイビー #0B3D91 に戻しました。前回の判断について「『パレット内の色だから許容』とした私の判断は、色の定義と色の使用ルールを混同した誤りでした」と説明しています。

この回答では、タイトルのフォントについて「元の Arial に戻すこともできます」とも書かれていました。テンプレートの表紙のタイトルは、スライドマスターのタイトルのスタイルで見出しのフォント(Latin は Georgia、日本語は Yu Gothic)を使う設定で、Arial ではありません。

組織への公開と、公開後の候補表示

このステップは、共有の検証用アカウントで他のユーザーの画面にも表示されるため、本記事執筆時点では検証していません。
公式ドキュメントによると、公開するとブランドが組織全体の Brand assets タブに表示され、資料の作成時に When to use と照らし合わせてテンプレートが Suggested タブで選択されるとのことです。公開は公開済みのブランド全体を自分のコピーで置き換えるため、編集前にチャットで最新の公開版を取得する必要があります。

https://docs.aws.amazon.com/quick/latest/userguide/brand-assets-desktop.html

考察

読み取り結果は、ブランドマネージャーが確認して書き直す前提で使う

Quick はテンプレートのテーマから 9 色とフォントを正しく読み取っていましたが、パネルに表示される代表値は 5 色、本文フォントは Georgia で、テーマと違っていました。ガイドラインのスライドとノートに書いたルールは、2 回の読み取りのどちらでもルール欄に入りませんでした。いつ使うべきかも英語で作成され、「社内文書には使わない」という条件は入っていませんでした。

ドキュメントでは、説明用のスライドやスピーカーノートからもルールを作成すると書かれていますが、今回のテンプレートではルール欄に入りませんでした。テンプレートにルールを書いている場合でも、ブランドマネージャーがルール欄に書き写し、いつ使うべきかを社内で使われる言葉で書き直す作業が必要です。ドキュメントのトラブルシューティングにも、生成された資料がルールに従わない場合は、そのルールがソースファイルのデザインから読み取れるだけでなく、テンプレートに記録されているかを確認するよう書かれています。

色とフォントの代表値はパネルで編集できず、チャットで修正を依頼しても、パネルの表示は変わりませんでした。今回生成した .pptx はテンプレートのテーマをそのまま使っていたため、代表値の違いは生成結果に出ませんでした。代表値が使われる場面(テンプレートのスライドを複製しない作成方法など)があるかどうかは、今回は確認していません。

生成される資料の構成は、テンプレートの図形の数と種類で決まる

Quick はテンプレートのスライドを複製して文字を差し替えるため、ロゴ、配色、フッター、装飾はテンプレートと同じになりました。一方で、課題と効果の数はテンプレートのカードの数(3 つ)に合わせられました。ロードマップのスライドでは、補足の文字が 1 つ目のステップにだけあり、2 つ目と 3 つ目にはありません。テンプレートの「次のステップ」スライドで補足の文字を持つのが 1 つ目のステップだけだったためです。また、問い合わせ先用のカードが、5 枚目では「進め方」、6 枚目では「ROI目安」と問い合わせ先の表示に使われました。

ドキュメントにも、さまざまなレイアウト(表紙、プレースホルダーを持つ本文、セクション区切り)を含むテンプレートのほうが適していると書かれています。項目数の違うカードやステップのスライドをテンプレートに含めておけば、Quick が内容に合わせて選べるスライドが増えると考えられます。

社外に出す前に確認したい点

今回の生成物で、テンプレートのルールとは別に確認が必要だった点は以下のとおりです。

  • スピーカーノート: テンプレートのノートに書いたルールが、生成された資料のノートに残っていました。ルールはノートではなくルール欄に書き、テンプレートからはノートを削除しておくか、生成された資料のノートを確認してから共有する必要があります
  • 箇条書きの数: ルールの「5 項目まで」を超える 6 項目のスライドがありました
  • PowerPoint での表示: Quick のプレビューでは重なっていなかったタイトルとサブタイトルが、PowerPoint では重なっていました。ダウンロードしたファイルを PowerPoint で開いて確認する必要があります
  • Office アドインの情報: 生成された .pptx には、ID WA200010606 のアドインの作業ウィンドウを、ファイルを開いたときに表示する設定が含まれていました。WA200010606 は Microsoft Marketplace の Amazon Quick for PowerPoint の ID です。社外に送るファイルにこの設定を残すかどうかは、組織で決めておく必要があります

https://docs.aws.amazon.com/quick/latest/userguide/powerpoint-extension.html

  • ファイルのプロパティ: 作成者などのプロパティはテンプレートの値のままでした

ルールに反する依頼への応答

ルールに反する依頼には、What's New のとおり理由を説明し、選択肢を示してから変更しました。ただし、「ブランドに沿って調整する」を選んだ結果は、色をパレット内の色に置き換えただけで、背景の色に関する 2 つのルールには反していました。違反を指摘すると、Quick は誤りを認めて修正しました。

ドキュメントにも、生成された資料は共有前にブランドガイドラインと照らし合わせて確認するよう書かれています。Quick が「ブランドに沿っている」と説明した場合でも、最終的な確認は人が行う必要があります。

ドラフトをテストするときは名前で指定する

ドラフトは、新しいチャットのプランでは推奨タブにもブランドタブにも表示されませんでした。チャットでブランド名とテンプレート名を指定すると、推奨タブで選択された状態になりました。公開前にドラフトで資料作成を試す場合は、チャットでブランド名とテンプレート名を指定する必要があります。

今後に期待すること

  • テンプレート内のガイドラインのスライドやスピーカーノートからのルールの読み取り
  • パネルでの色とフォントの編集、またはチャットでの修正のパネルへの反映
  • 生成された資料からのテンプレートのスピーカーノートの除外
  • ドラフトをビジュアルスタイルのブランドタブから選べるようにすること
  • Web 版の Quick での提供と、ブランドアセットを操作する API

最後に

Amazon Quick のブランドアセットに PowerPoint のテンプレートを登録すると、テンプレートのスライドを複製した資料を作成できます。今回の検証では、テーマとロゴがテンプレートとバイト単位で同じ .pptx が作成され、表紙の顧客名と日付、最終スライドの問い合わせ先、アンバーの使用回数など、登録したルールの多くが守られていました。ルールに反する依頼に対しては、理由を説明して確認を求める動作も確認できました。

一方で、ガイドラインのスライドやノートに書いたルールはルール欄に入らず、ブランドマネージャーが書き写す必要がありました。生成された資料には、テンプレートのノートや Office アドインの設定が残り、PowerPoint で開くと文字の重なりもありました。ブランドに沿っていると説明された代替案が、別のルールに反していたこともあります。

自社のテンプレートを登録したい方は、まずドラフトの状態でルール欄といつ使うべきかを整え、チャットでテンプレートを指定して資料を作り、PowerPoint で開いて確認してから公開することをおすすめします。

参考文献

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2026/10/amazon-quick-brand-templates-on-brand-presentations-documents/

https://docs.aws.amazon.com/quick/latest/userguide/brand-assets-desktop.html

https://docs.aws.amazon.com/quick/latest/userguide/document-and-visual-creation.html

https://docs.aws.amazon.com/quick/latest/userguide/custom-permissions.html

https://docs.aws.amazon.com/quick/latest/userguide/powerpoint-extension.html

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