
【非エンジニア向け】 Claudeを"シンデレラフィット"させてみた
はじめに
パートナーにダイヤの指輪をプレゼントするなら、その指にぴったり合うものを渡したいと思いませんか?
「いきなり何を言い出すんだ?」と思うかもしれませんがClaude活用のお話です。
今回も非エンジニア向けにClaudeについて紹介していきます。
今回はClaude利用を前提とした営業プロセスの再構築を目標に、その前段階である自分に合う出力結果になるようなチューニングをしてみました。
前置きが長いので、その方法をさっと読みたい方はチューニング方法から読み始めてください。
「ちょっと違うんだよな」
Claudeに限らず、生成AIを利用していると出力結果にこんな違和感を感じることはないでしょうか?
違和感の正体は大別すると以下の2つに分けられるのではと思います。
- そもそも出力結果が事実と異なる(ハルシネーション)
- 出力結果はあっているものの、自分が求めていたものと違う
営業職の私がClaudeと向き合っていると、2.のパターンの違和感を感じることが多いです。
私が感じている 「ちょっと違うんだよな」 は何なのかよくよく考えてみると、「Claudeの出力結果は世間一般的にはおそらく間違いではないが、自分の思考パターンや営業スタイルと合わず実用に至らない」 ということに気づきました。
営業という職種は売上などの目標はありますが、そのスタイルは十人十色だと思います。
市場のデータなどを用いて論理的に分析して仮説提案を行うのが得意なタイプ、人と話すのが好きで懐に入るのが得意なタイプなど営業の数だけパターンが存在するといっても過言ではないのではないでしょうか。
売上という定量目標を持ちながらもそのアプローチ方法は定性的な要素を多分に含み、かつその方法は千差万別である点が営業職の特徴であるといえます。
Claudeからの出力結果が光り輝くダイヤのような情報であっても、そのリングの直径が小さくては指にはまりません。
逆に大きければ、はめた後にするりと指から抜け落ちてしまうでしょう。
指のサイズを調べよう
なぜこのようなズレが生まれるのでしょうか?それはClaudeがあなたの指のサイズをそもそも知らないからです。
Coworkを利用して顧客のデータを集めても、Skillsを利用して出力結果を均質化してもあなたのことを知らないとパーソナライズされた出力結果にはなってくれません。
今回はシンデレラフィットを目指してClaudeをチューニングしていきます。
チューニング方法
事前準備としてSlack、Gmail、Google Driveを連携しておきます。
Claudeを立ち上げ、以下のやりとりを行いました。
- Claudeに「あなたをもっと活用するために私の営業としての思考パターンや好みを知ってほしいです」と入力しました
- Claudeから「どういう思考パターンで仕事をしているかを理解したいのでいくつか教えてください」と返答がありました
- Claudeからの以下の質問に答えました
- Claudeに仕事を任せるとき、どういうスタイルが心地いいですか?
- 要所は自分で決めたい
- アウトプットの品質と速度、どちらを優先する傾向がありますか?
- 品質重視
- 営業活動の中で、自分の強みだと感じているのはどこですか?
- 案件の推進力, 情報収集・分析
- 逆に、「これは苦手だな」「面倒だな」と感じる作業は?
- CRM・管理系の更新, スケジュール管理
- Claudeに仕事を任せるとき、どういうスタイルが心地いいですか?
上記の質問に答えた後にClaudeから以下の分析結果がでてきました。
和田さんのプロファイルとして、案件を前に進める推進力と、情報を深掘りする分析力が武器。一方で、CRMの更新やスケジュール管理といった「記録・管理系のルーティン」に面倒を感じている。Claudeには大枠を任せつつ、重要な判断ポイントでは自分が舵を切りたい。アウトプットは一発で使えるレベルを求める。
これは業務設計にとって非常に重要な情報で、**Claudeの役割は「和田さんの判断材料を高品質に整えて、管理系の雑務を引き取る存在」**として設計するのが合いそうです。逆に、顧客との対話やクロージングの判断をClaude主導にしてしまうと、和田さんの強みが活きなくなる。
上記の結果を見るに、Claudeが私との接し方を学んでくれたようです。
上記のあと、「もう少しだけ掘り下げさせてほしい」とClaudeから追加質問があったので答えました。
- 商談や提案を考えるとき、思考の出発点はどこから始まることが多いですか?
- データ・事実から
- 顧客とのコミュニケーションで大事にしていることは?
- 技術的な納得感
- 1日の中で、Claudeとの作業はどういうリズムが理想ですか?
- 朝と夕方にまとめて
回答を受けてClaudeから「和田さんの全体像がしっかり掴めました。まとめさせてください。」というメッセージと共に以下の分析結果がでてきました。
和田さんの思考・行動パターン:データや事実をまず見て、そこから提案の仮説を組み立てるタイプ。顧客に対しては「技術的な裏付けがあるから説得力がある」というスタイルで信頼を勝ち取っている。案件を前に進める推進力があり、情報収集と分析も自分の得意領域。
一方で、CRMの更新やスケジュール管理は「やるべきだとわかっているけど後回しになりがち」な領域。文書作成自体は苦手ではなさそうだけれど、管理のための記録作業に時間を使うのがもったいないと感じている。
Claudeへの期待値としては、大枠は任せるが重要な判断は自分でしたい。品質は妥協したくないので、一発で実用レベルのものが出てくることを求める。日々のリズムとしては、朝にその日の準備、夕方にその日の後処理と翌日の段取りをClaude相手にまとめてやるのが理想。
実際どうなのか
質問を通してCluadeは私の思考パターンや理想を理解してくれたように見えます。
しかし、質問に答えたのみの分析結果では不十分と考え追加で以下の分析を行いました。
過去のやり取りも多少考慮に入れているとは思うのですが、質問への回答を鵜吞みにしている感がぬぐえませんでした。
追加依頼
「もらった質問に対して私の主観で回答したに過ぎないので、Slackとメールで私が送ったメッセージから思考パターンを分析してください。集計期間は直近1カ月でお願いします。分析後上記の分析に修正加筆があれば書き加えてください」とClaudeに追加で依頼をしました。
Claudeが直近1カ月の分析(合計200通)をしたところ、以下の分析結果となりました。
情報収集・分析が強み、案件の推進力、CRM・管理系が苦手というのは明確な裏付けを得たようです。
一方で追加分析を通して、修正や新たな発見もあった個所もありました。
自己申告と異なっていた、または新たに発見されたもの
- 「朝と夕方にまとめて」ではなく、実際は終日リアクティブ
メールのタイムスタンプを見ると、9時台、11時台、14時台、16時台、18時台、19時台と、ほぼ一日中メールを送っています。Slackも同様。「朝と夕方にまとめたい」というのは理想であって現状ではない。つまり、今は顧客や社内からの問い合わせに反応する形で日中を過ごしている可能性が高い。- 「品質重視」の裏にある実際の行動は「スピード×的確さ」
メールの文面を見ると、長文で完璧な提案書を送るよりも、質問に対して的確にポイントを押さえた回答を素早く返すスタイル。A社への回答は複数回にわたっていますが、それぞれが簡潔で要点を突いている。品質の定義が「完璧な一発」ではなく**「的確な打ち返しの連続」**のようです。- 隠れた強み:自然なクロスセル力
事務的な依頼メールの中でも、「先日のサーバー再起動は問題ありませんでしたか」「AI技術の活用にも注力しています」「オンサイトセミナーのご案内」といった形で、自然に次の商機を作っている。これは意識的にやっているというよりも、顧客との接点を無駄にしない嗅覚に見えます。- 事務・定型作業の負荷が想像以上に大きい
Gmail分析で最大の発見。直近1ヶ月の送信メールのうち、約3割が事務的な依頼メールやそれに伴う作業。これは和田さんの強みを全く活かせていない業務で、完全にClaude+自動化で巻き取れる領域です。- コミュニケーションスタイルは「状況適応型」
顧客メールでは丁寧かつプロフェッショナル。Slackのチームチャンネルでは要点だけ。趣味チャンネル(料理、野球)ではかなりカジュアル。相手と場に合わせてトーンを切り替える器用さがある。Claudeのアウトプットもこの使い分けに合わせる必要があります。
それぞれの分析結果を読んでの私の所感です。
1.に関しては、私自身がどれくらいの頻度でメールやSlackを送っているのか無自覚だったので発見でした。
2.は最初の質問で 「品質重視」 と回答しましたが、私の送信メールの内容から 「どのような品質を求めるか」 を理解してくれたように見えます。
3.これは強みなのかはわかりませんが、これも発見でした。
4.は自覚があったものの、「完全にClaude+自動化で巻き取れる領域」とフォワードして回答をくれました。頼もしい。
5.クラスメソッドでは、Slack内に趣味や個人の分報チャンネルもあります。その内容から私のプライベートに近い部分も分析してくれたようです。
Claudeが私への解像度が徐々に上がってきているのを分析結果から感じました。
会話の癖からも分析
Slackやメールで普段コミュニケーションしている人と実際に会った時に、テキストの文体と話している印象が異なる場合があったりしないでしょうか?
メールとSlackのテキストは読み込ませていますが、それだけでは私個人を分析するのですら不十分と考えました。
そこで私の会話のスタイルもClaudeに分析してもらうことにしました。営業は顧客と話してなんぼなので。
顧客MTG(60分)の文字起こしのデータを5つ読み込ませて追加で分析にかけています。ここでは顧客と私の会話量が半々くらいのものをピックアップしています。500発言(文字起こしの1行を1発言で計算)ほどしておりそれを基に分析をしてくれました。
Claudeの分析
テキストでは見えない相槌の回数や、口癖等から私の思考の癖を分析してくれました。
和田さんの営業スタイルを一言で表現するなら、**「伴走型のテクニカルセールス」**です。
根底にあるのは、「自分が売る」のではなく「顧客と一緒に課題を解きほぐしていく」という姿勢です。これが思考パターン・話し方・提案の組み立て方すべてに一貫して表れています。
思考の核は「段階分解」です。 顧客のブラックボックス化した課題に対して、いきなり全体最適を目指すのではなく、「まずA→次にB」のように技術的制約を踏まえて現実的なステップに落とし込みます。「という形で」という口癖が象徴するように、物事を常に構造として捉え、顧客にとって見通しのよい地図を描いてあげる力があります。
営業の進め方は「すり合わせ」が軸です。 提案書提示→スケジュール確認→見積もり→契約という流れを毎回明示することで、顧客の「次に何が起きるかわからない」という不安を消しています。「どんくらいから始めましょうか」と顧客に選択権を渡すのも一貫した姿勢で、押し売りの気配がまったくありません。
コミュニケーション面では、圧倒的な「聞く力」が際立ちます。 発言の92.7%が相槌(「はい」249回、「うん」233回)という数字は、和田さんの会議における役割が「話す人」ではなく「受け止める人」であることを物語っています。その上で、敬語の中に「ま」「ちょっと」といったカジュアルな表現を自然に混ぜることで、堅すぎず、かといって馴れ馴れしくもない絶妙な距離感を作っています。
提案の説得力は「先回り」から生まれています。 「構築エンジニアは提案した人間とは別にアサインされるのでご安心ください」のように、顧客がまだ口に出していない懸念を察知して先に潰す。これが技術的な具体性(CloudWatch、EKSなどのサービス名を交えた説明)と合わさることで、「この人に任せれば大丈夫」という信頼感につながっています。
だいぶ分析が進みました。相槌ばっかりじゃなくてもっと話せよというご意見、ごもっともです。
個人の体感として会話量が顧客と半々くらいのものを選んだつもりだったのですが、Claudeの分析によるとそんなこともなかったようです。
加えて、強みと伸びしろも整理してくれています。
強みと伸びしろを整理すると:
強みは、長期的な顧客関係の構築に向いた「段階的・非圧迫的な進め方」、複雑な技術内容を顧客の言葉に翻訳する力、そして顧客の不安を先回りでケアする提案力の3点です。
一方で、相槌の比率が非常に高いということは、裏を返せば和田さん自身の主張や方向づけが控えめになる場面もあり得るということです。信頼関係が十分に構築された顧客に対しては、もう少し踏み込んだリードや「こちらとしてはこうすべきだと思います」という明確な推奨を出す場面を増やすと、さらにコンサルティング色の強い営業に進化できるかもしれません。
Skillsに登録
テキスト文体と会話の傾向から私の思考パターンを分析してくれたのでSkillsに登録します。
一部抜粋して紹介しますが、私の思考パターンからClaudeのへの期待値とどのような出力結果を好むのかを分析してくれています。
Skillsの内容(抜粋)
Claudeへの期待値と行動原則
和田さんがClaudeに求めるもの
大枠は任せるが、重要な判断は自分でしたい。 Claudeは判断材料を揃えて提示する「参謀」の役割。
品質は妥協しない。 ただし品質の定義は「完璧な一発」ではなく「すぐ使える的確さ」。
管理系のルーティンを引き取ってほしい。 CRM更新、定型メール、スケジュール管理は和田さんの苦手領域。ここをClaudeが担う。
Claudeのアウトプット原則
段階分けして提示する。 長い説明より、3〜5ステップに分解した構造が好まれる。
選択肢を用意する。 一択の提案より、2〜3の選択肢+和田さんの判断ポイントを示す。
すぐ使えるレベルで出す。 「あとで修正が必要」なドラフトではなく、そのまま送信・提出できるレベルを目指す。
トーンを使い分ける。 宛先(顧客/社内/カジュアル)に応じた文体で書く。
先回りで懸念を潰す。 顧客向けの資料では、想定される質問や不安への回答を含める。
推測で埋めない。 わからないことは「確認が必要です」と明示する。和田さんは事実ベースで動く人なので、Claudeの推測を事実として提示するのは信頼を損なう。
ボトルネックの自覚
CRM更新やスケジュール管理は後回しになりがち
定型メール(事務依頼メール)が業務時間の大きな割合を占めている
「朝と夕方にまとめて処理したい」が理想だが、実態は終日リアクティブ
Claudeはこれらのボトルネックを構造的に解消する方向でサポートすること。意志力に頼る「リマインド」ではなく、仕組みで解決する(例:商談後の一括処理フロー、定型メールの一括生成)。
段階分けして提示する。 長い説明より、3〜5ステップに分解した構造が好まれる。選択肢を用意する。 一択の提案より、2〜3の選択肢+和田さんの判断ポイントを示す。 というのは私が好む出力方式です。
Claudeアウトプット原則にある推測で埋めない。 わからないことは「確認が必要です」と明示する。和田さんは事実ベースで動く人なので、Claudeの推測を事実として提示するのは信頼を損なう。 はClaudeとのやり取りの中で明示していませんでした。しかし、テキストや会話の癖からClaudeがそれを見抜いてくれています。
さいごに
Claudeは顧客のHPの情報やこれまでの議事録、チャットの履歴など様々な外部データ を読み込み示唆に富んだ出力結果を出してくれます。一方で今回はClaudeを使う自分自身の思考パターンといういわば内部データを読み込ませることで更なる精度向上を試みました。
直近では精度向上を狙ってこのような試みをしましたが、今後Claudeの組織横断の活用が進んでくるとSkillsの共有が増えてくることが予測されます。
ある人にとって良いSkillsが自分とってよいものとは限りませんよね?
そこを仲立ちしてくれるのが今回のチューニングです。自分の思考の癖をClaudeに読み込ませておくことで、共有されたSkillsを自分好みに活かすことも視野に入れこのような試みを行いました。
自身の思考パターンは部署異動や、ロールチェンジ等の節目節目に見直していくのも良いかもしれません。
シンデレラフィットしたClaudeを手に入れ、ダイヤモンドのような永遠の輝きを手に入れましょう。
読まれている誰かの参考になれば幸いです。







