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とある引越の検死報告【追記改訂版】

2021.03.13

実は一回も元ネタに触れたことがないんですけど、一周回ってやってみたくなりました。タイトルで全てを語れるのはいいですね。なお、このタイトルにある「検死報告」は、ふりかえりの中で実施したアクティビティ「ポストモーテム」の日本語訳です。内容については記事中で説明します。

なお、本ブログの内容については本人に内容の確認を取っており、問題のない事柄のみ公開しています。

何が起こったか

ある同僚の引越しが炎上しました。荷出し二日前までほぼ梱包が進まず、ほぼ全てのアカンフラグを踏み抜きながら、心配になった社内の有志による遠隔サポートもあり、なんとか直前のリスケをせずに済んだという、プロジェクトXよろしくな状況です。

ふりかえりを企画

そのあまりのフラグ踏み抜きっぷりに加えて、社内には引越しを控えてる社員が他にもいたことがあり、この引越しの動向自体が非常に注目を集めておりました。また、本人もこの引越しで起こったこと、問題点の全容を把握できていなかったということもあり、いっぺんガチでふりかえりしましょう、ということに。私が内容を企画することにしました。

今回のふりかえりでは問題点を洗い出し、今後の改善点を本人だけでなくこの引越しの動向に注目していた他の社員にとっても学びがあるものになることを考えて、内容を構成しました。実際にやったことは後述しますが、今回は2時間で予定をとって、事象の把握と問題点と改善点を考えていくことにしました。

また、ふりかえりは希望者がオーディエンスとして参加できるようにしました。アウトプットを見てもらうだけでもいいですが、事象に向き合い、改善するサイクルを促すふりかえりのやり方を知ってもらうことも学びになると思い、ふりかえりそのものの反応も第三者として欲しかったからです。

ふりかえりの中でやったことは以下です。

  • タイムラインで出来事を整理
  • 出来事の影響などを思い出してみる
  • ポストモーテムを作る

当然、記憶が新しいうちにやった方がいいので、ふりかえりは荷出しが終わって、引越し先についた翌日に実施することにしました。17時と遅い時間からのスタートで本人も疲れているところだったと思いますが、気持ちの面でも必要なタイミングだったと思っています。

ここで「タイムライン」と「ポストモーテム」について説明します。

タイムライン

タイムラインはその名の通り、時系列で起こったことを並べていきます。今回は、引越しを決めてから(具体的には引越し先の物件が決まってから)荷出しが終わるまで、という期間で設定しました。

アウトプットとしては、ただ単純に事象を並べて行っているだけですが、その事象と一緒にその時の気持ちなども一緒に思い出します。それらを通じて、事実として何が起こったのか、を冷静に見ることのできる形で外だしします。

ポストモーテム

このブログのタイトルの由来です。直訳すると「検死」となります。

想定外のインシデントが発生した時に、細部を明らかにし、組織的な学習を行うための内部文書を作成する(その報告書もポストモーテムと呼びます)ことです。インシデントとその影響範囲、その中で行われたアクション、今後の改善策について話をしてドキュメントに起こしていきます。

ポストモーテムという名前でなくても似たような取り組みは、運用系だとしているのではないかと思います。

なぜこの構成にしたか

この引越しが社内で注目を浴び始めたのは荷出し二日前でした。これは私も一緒です。そのため、梱包から荷出しまでの炎上が表に出てからしか知らない人の方が多かったと言えます。根本原因はもっと前にあるはずで、その原因と対策を探るためには時系列で思い出した方が良いと思ったのでタイムラインを設定しました。

また、引越しってすぐにまたやることでもないですよね。来月に同じイベントがまたあるというのは稀です。であれば、アウトプットがドキュメントっぽく共有しやすい形になるやり方としてポストモーテムを選びました。それを他の人が参照することで得られることがあるのではないかな、と思ってます。

ふりかえり中

私が進行しながらふりかえりを進めました。

ふりかえり中は、フォーマットをこちらで用意しましたが、本人が事象や言葉を出していくことが重要なので、そのフォーマットに本人がこれから書くことを話しながら記載してもらうようにしました。また、オーディエンスについてはふりかえり中はなるべく口を出さずにいてもらうようにしました。

ふりかえりの内容については、本人もじっくり取り組んでくれて、次につながるアクションにできたと思います。

ここからは、ふりかえりの中で起きたことからわかってきた問題点や、その後のポストモーテムでの改善点に着目して内容を紹介していきます。

タイムラインで把握できた問題

タイムラインを見ていきましょう。

2月6日から引越しが始まり、3月11日に荷出しが完了するまでの流れです。一部正確に日付を思い出せない事象もありましたが、依存する部分の前後関係の把握については問題ありません。

これを見ると、手続き系に関してはほぼ問題なく引越しの前に事前に完了しています。その一方で、荷造りに関しては2月18日に段ボールが来てから3月8日までほぼ着手できていません。今回の引越しについては、なぜ荷造りが進まなかったのかという点に注目するのが良さそうだ、とわかってきました。

計画を立てて実行する習慣をつける

では、次に荷造りに関する部分に注目したポストモーテムを見てみます。

報告の部分については、発生したインシデントに対してその時に個人として一番しんどかったことを出してもらい、それを解消する方法を考えました。

特に注目すべきポイントは「段ボールを広げるスペースが無くて、それを作る方法を考えるのが面倒だった」というところです。少し深堀すると、計画を立てることを先送りにした結果、残り日数と現状の差が切迫するに連れて考えることが億劫になり、現実逃避を通じてそれがさらなる先送りに繋がっていっているのがわかりました。それが焦りに繋がり、引越し直前に膨大な作業量として積み上がった構造です。

そのため、見積もりをして計画を立て、それを進行状況に応じて修正するということを習慣づける形での改善項目を一緒に考えました。

ふりかえり中に気をつけたこと

オーディエンスはいるものの問題と当事者が一対一であるので、言葉のチョイスによって「問題VS私たち」が崩れやすいというか本人が精神的に追い込まれやすい状況になるな、と感じました。ふりかえりは詰める場ではなく、事象に対して前向きなアクションを起こしていくための場です。そのため、本人が責任を感じすぎてネガティブな気持ちで終わるわけには行きません。そのため、責任を人にするのではなく、今向き合っている我々で問題を解決するのだ、という場の作り方が必要になります。

今回に関しては、普段チームでやる場合のふりかえりよりは自分の中で言い換えが多かったように感じます。チームの時と一対一の時の差についてはまだ言語化できていないんですが、一対一だと、この場の作り方が難しいな、ということは感じました。これは自分にとっても発見でした。

また、改善事項については、なるべく具体的なアクションに繋がるように出してもらいました。話の流れから「こういうことですか?」という言い換えはしましたが、なるべく本人の言葉での改善項目になるようにしたつもりです。

オーディエンスの反応と質疑応答

オーディエンスは見てるだけにしてもらっていたので、その代わりに社内にSlackのスレッドを立ててそこに感想などを書いてもらっていました。オーディエンスの反応も概ね良く、自分の自信も少しつきました。

最後にオーディエンスも交えて質疑応答をしました。ふりかえりそのものではなく、主にタスク管理の仕方などについての質問が多かったです。

今回の改善項目が引越しそのものによらない事柄になったことも踏まえて、その時に「次にこの目標(引越しではないもの)に対して、アクションをやってみよう」という提案が出たのも良かったと思います。

所感

やはり実践が一番得られるものが多いですね。急いで構成を考えて準備したところはありますが、じっくり話してもらうことで多くの学びが得られたと思います。社内向けにこのふりかえりの内容は録画したんですが、Slackでのオーディエンスの反応と自分の喋っているところを後から見返してみて、誘導が強すぎるところがあったな、というところを確認できたのも良かったと思います。この点については、もっと当事者の言葉を待つのでも良かったかな、と反省しています。

ちなみに、最後は「自分も部屋の片付けはできない」というところで落としました。今回の改善内容は大いに参考にさせていただきます。なぜ俺に刺さる?

それはそうと、アート引越センターは素晴らしいです。荷出しの日の手際の良さは感動しました。