
日報の末尾に生成AIで出力した豆知識を添えている話
こんにちは。人事グループ・組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。
入社してからずっと毎日の業務の開始時にWIP日報を作成し、仕事を進めながら完了したタスクにチェックを入れるようにしています。
少し前から人事内で日報を共有するようになり、自分以外のメンバーも日報を見る機会が増えたため、AIを活用して一工夫してみることにしました。
この記事では、日報の末尾に生成AIで出力した豆知識を添えている話を紹介します。
ChatGPTのプロジェクト機能で豆知識を生成する
ChatGPTには任意の指示を設定するプロジェクト機能があります。
Using Projects in ChatGPT | OpenAI Help Center
プロジェクトに以下のような指示を設定しました。
日報を送信するので、日報の内容に関わる理論、概念などの豆知識を1つ教えてください。
もらった結果は豆知識として日報の末尾に追加します。
・一度紹介した豆知識は2回以上紹介しないようにしてください。
このプロジェクトに日報の内容を入力すれば、豆知識が出力として得られます。このように同じ目的で繰り返しChatGPTとやりとりする場合、プロジェクト機能が便利です。
参考として自分がまとめている日報の内容
- その日の業務の内容 : その日に取り組んだミーティングや個別タスクなど
- よかったこと : その日の業務においてよかったことがあれば記載
- 課題 : その日の業務において課題があれば記載
- 雑感 : 主に自分向けというよりは日報を共有する人たち向けに自分の考えやちょっとした出来事をゆるく記載
- 豆知識 : ChatGPTによって生成された、当日の業務に関連するちょっとした知識
効果
豆知識には以下のような効果があります。
- 自分が今日取り組んだ業務に関わる新たな知識を知ることができる
- 自分が今日取り組んだ業務に関して既知の知識とのつながりを再認識できる
- 自分は知っているが自分以外の人に役立つ知識を共有できる
出力された豆知識の例
スパン・オブ・コントロール
「スパン・オブ・コントロール(Span of Control)」とは、1人の上司が直接マネジメントできる部下の人数のことです。一般的には、5〜7人程度が適切だと言われますが、業務の性質や部下の成熟度によって最適値は異なります。スパンが広すぎるとマネジメントが形骸化し、狭すぎると階層が増えすぎて組織が硬直化するリスクがあります。組織階層の設計においては、このバランスが非常に重要です。
ノームの形成理論(Norm Formation Theory)
集団内で共有される価値観や行動指針(=ノーム)は、初期の繰り返しや影響力のある人物の行動に大きく左右されるという社会心理学の理論です。たとえば、昼礼で「CLPの重要性」が語られ、それがリーダー層によって一貫して実践されることで、やがてそれが集団全体に“当たり前”として浸透していきます。
組織開発においてカルチャー醸成を進める際には、誰が、どのように、どれだけの頻度でその価値観に触れるかが重要なポイントになります。
ウィックド・プロブレム(Wicked Problem)
“ウィックド・プロブレム(Wicked Problem)”の考え方
これは、「正解が一つではない」「問題の定義自体が困難」「取り組むたびに問題の性質が変わる」といった特徴を持つ、特に複雑で対処が難しい問題を指します。組織文化や人の価値観、関係性などが絡む課題は、まさにこのウィックド・プロブレムに該当しやすいです。
このような問題に対しては、「小さく試す」「関係者と対話を重ねる」「試行錯誤を前提とする」など、シンプルな解決策を求めるのではなく、継続的な関与と柔軟な対応が求められます。
NotebookLMと「パーソナルナレッジマネジメント(PKM)」
NotebookLMは、個人のドキュメントやメモを読み込み、要約や質問応答をしてくれるツールですが、これに関連する理論として「パーソナルナレッジマネジメント(PKM)」という考え方があります。
PKMとは、自分自身が必要とする知識を収集・整理・活用するための方法論を指します。主な要素は「Seek(探す)」「Sense(意味づける)」「Share(共有する)」の3ステップで、個人の成長と知識の深化を助ける仕組みです。NotebookLMのようなツールを活用すると、PKMの「Sense」の部分、つまり情報を自分にとって意味のある形で再構成するプロセスが大きく促進されます。
コンティンジェンシー理論(Contingency Theory)
組織開発においてよく使われる「コンティンジェンシー理論」は、「最適な組織構造やリーダーシップの形は一つではなく、状況(環境や人材、戦略など)に依存する」という考え方です。
たとえば、「定期的な称賛の場」が効果を発揮するかどうかも、チームの文化や成熟度によって異なります。パターンカタログのように複数の手段を持っておくことは、この理論に基づいた柔軟な組織運営につながります。