AKIBA.swift主宰インタビュー後編:W田中のワーク・ライフ・コミュニティバランス #akibaswift
iOSアプリ開発言語Swiftについて毎月トークを行う勉強会AKIBA.swift。クラスメソッド発で始まったこのグループもどんどん洗練されたコミュニティへと成長し(?)、間もなくローンチから1周年を迎えます。インタビュー前編ではクラスメソッドのモバイルアプリケーションサービス部所属でAKIBA.swift代表、巷ではダンボールの人として知られる田中賢治、その隣で辣腕を振るう副代表の田中孝明が自己紹介を交えてSwiftの魅力を話してもらうような内容になりましたが、今回はAKIBA.swiftに軸を戻し、ふたりにコミュニティとしての振り返りや今後について聞きました。それではどうぞ!
仕事の中にタネが転がっている
――毎月コンスタントにAKIBA.swiftを開催して、おふたりともさまざまなテーマで話をしてるわけですが、どこから尽きることなくネタが生まれてくるんでしょうか?
田中孝明(以下コーメイ):仕事の中で「あっこれ話したい」ってものが出てくるとかが多いですね。
田中賢治(以下、タナケン):苦しみを感じるところに話のタネが転がってるんですよね。実務の中で圧倒的に苦しみを感じるので(笑)。以前話した脳汁ブシャーの話題も、実務でつらみを感じた部分をライブラリにしてテンション上げたって話で。もちろん勉強会から吸収できたいろいろなものを仕事のスキルにつなげるってのもちょこちょこあります。
――おふたりだけでなく、AKIBA.swiftではほかの発表者の方々も仕事からの話を?
コーメイあー、そうですね。実務の知見やノウハウを「俺こんなの見つけたぜー!」てドヤる人は…。
タナケン多いですね(笑)。
コーメイそういった話のほうが共感を得られるし、印象にも残ります。
タナケンあとAKIBA.swiftはモチベーションの高い人が多いんで、当然のようにライブラリを作って当たり前のように「ここに苦労して、ここがよかった」って呼吸するように話してくれる方々がいるので、そういう人の話は面白いです。
――そんな方々が積極的に集まって、AKIBA.swiftの雰囲気を醸成してるんですね。 #SIMIJIMI
コーメイまあそもそもAKIBA.swiftはフリートーク回が多すぎて(笑)。
――自由みがある(笑)。タナケンさん、自分にとってのAKIBA.swift神回はありますか?
タナケンうーん、最近自分が話したものはエモい感じのものが多くなっていけないなと思ってて(笑)。技術的なところで言えば初回の「Blending Culture in Twitter Client」ってやつですね。モダンなSwiftの描き方っていうテーマを噛み砕いて自己解釈して発表し直すっていうのがあって、それは楽しかったです。
コーメイtry!Swiftに出たお題を自分なりに解釈して、自分のTwitterクライアントに当てはめて「僕はこう解釈した、どうすか!」ていう内容で、それはタナケンの発表の中で僕も印象に残ってます。
ゆるふわコミュニティAKIBA.swift
――僕はクラスメソッドの業務の一環で自社のニュースを書いてますけど、タナケンさんのイベント登壇情報が毎週のようにコンスタントに出てるのを見てすげーなーって思ってます。
タナケン最近は外で話す機会が増えましたね。AKIBA.swiftはフランクに、手ぶらで行くような感覚。外に出るときはしっかり準備して出るんですよね。そう言うとぜんぜん何もしないでこっち出るような聞こえ方になるけど(笑)。
コーメイそういうハードルの低さが特色なんですよ、AKIBA.swift。 タナケン前日に開催告知しちゃう勉強会、それがAKIBA.swiftですもんね。
コーメイははは(笑)。こいつらならやりかねん、そんな感じですね。
タナケン「またあいつらか!」っていう(笑)。
――じゃあAKIBA.swiftの特徴はやっぱりそのユルさだ、と。
コーメイあとは地の利を活かしたというか、そういうジャンルの発言もユルされるような感じですかね。
――「あきばちほー」ならでは、ってやつですかね?
タナケンはい、アニメがすきなフレンズがたくさん集まります(笑)。当然それだけじゃないんですけど。
コーメイその辺の話をしても許されるというか。例えばデブサミとかお金払って参加する大きなイベントで「たーのしー!」って話しても全然ウケないけど、ここなら温かく迎えます(笑)。
仕事・ブログ・コミュニティのバランス
――おふたりにぜひ聞いてみたいと思ったんですけど、AKIBA.swiftってどういうスタンスで運営してるんでしょうか? クラスメソッドで働くって、そもそもが一般的な仕事だけを仕事としない文化じゃないですか。いわゆる各部門に所属して会社として仕事する一方で「ブログ執筆も仕事のうち」というのをみんな社内認識として持ってて、AKIBA.swiftも一応はクラスメソッド発のもので、あとプライベートもあるし。仕事のカテゴリだったりオンオフを当の本人たちはどう住み分けてるのかなっていうのを聞きたいです。
タナケン僕はもともと「この会社いいな」と思ったところは、「ブログを書く」っていう文化やイベントに参加したり開催したりガンガンやってくのを歓迎するところで。あとはSwiftをやりたいっていうモチベーションがあったのですごくマッチしてたんですね。
――なるほど。
タナケンで、ブログもイベントも就職前からやっていたから…なんでしょう、仕事でもあるしプライベートでもあるんです。どっちも楽しいからやるんですね。いい意味で住み分け、境目がない。AKIBA.swiftを開催したり個人で発表したりだとかっていうのは区別は全然してないですね。
コーメイ僕は半分仕事で、半分は自分が好きだからやってます。会社の名前や「Developers.IO」ってブランドを使ってる以上は会社にとって不利益がないようにするっていうプレッシャーを持っていて。ユルくやりつつもそこは意識を分けています。クラスメソッドはブログを書くことや勉強会を開催することも業務として許されてる、というか大目に見られているじゃないですか。だからそこを享受しつつもアウトプットとしてしっかり出していかないとなって思っています。
――だからこそのアウトプット、になるんですね。
コーメイはい。あともう半分の理由としては、やっぱり好きっていうこと。アウトプットもインプットし続けることも好きなんですよね。このあいだ福岡の勉強会に登壇したんですけど、そういうコミュニティ活動実績を活かして別の地方の人たちと知り合ってさらにインプットの幅を広げるっていうことができて。そういうことが自分にとって面白いんですよ。
――AKIBA.swiftの機会を通じて何か新しい機会を得ることが面白い、と。
コーメイはい。
タナケン多いですね。僕がいっぱい登壇するのは自分のことを知ってほしいからでもあって。最近うれしいのが「ダンボールの人ですよね?」って言われる機会が増えたし、「ダンボールの人、クラスメソッドで仕事してるらしいよ」と言われたりとかして。自分の名前が広がるのもクラスメソッドの名前が広がるのも、そこ同士が競合するはずもないと思ってるんで(笑)相互作用でうまく働けばいいかなと思ってます。 コーメイもともとAKIBA.swiftはクラスメソッドという同じものだったのが、いつしか衛星のように切り離されて独自文化を形成しつつあります。でも当然クラスメソッドとつながってて、ブログメディア(Developers.IO)も活用して情報発信もするし。いろんなものが相互作用してますよね。クラスメソッドには“謝罪ファースト”って言われるような文化もありますしね(笑)。怒られるまではまず能動的になんでもやってみようと思います。
2年目のAKIBA.swiftは?
――まもなくAKIBA.swift1周年です。今後の展望は?
コーメイまだぼんやりとはしてるんですけど、「アキバから出る」っていうことを話しています。大阪に行ってNANIWA.swiftをやろうぜ、とか。AIDU.swiftを考えてもいますし、過去に実際Developers.IO FUKUOKAがあったときにひっそりHAKATA.swiftをやってみたりもして。
タナケンあ、そうなんだ。
コーメイまだ全然妄想ですけど、なんかそんな感じで地方に縛られず、概念的存在として(笑)AKIBA.swiftが回って地域のコミュニティを活性化させるみたいな動きが来期はできたら面白いなーって思っています。
タナケン僕もSENDAI.swiftみたいに地元凱旋したいなって思います。
――おお、どんどん地方に。
コーメイ地方に行って何かやるっていうのは印象に残りやすいんですよ。「クラスメソッドが来てる」って地元のコミュニティの人たちがわざわざ来てくれたとかがあって。それってもしブログ記事として上げてもPVは振るわないかもしれませんけれど、新たな認知を得られるのかなって。Developers.IOを通じてクラスメソッドを知ってくれている人たちには特に。
――クラスメソッド交流会あるあるの「いつもブログ読んでます」から始まるコミュニケーションですね。
タナケンそうそう(笑)。
コーメイそれですそれです。でもその会話が続くと、未だに「モバイルやられたんですか」「えっScalaを?」「サーバーサイドのエンジニアいたんですね!」みたいに言われるから、僕らが地方に行くのは会社の紹介にもつながると思うんですよね。ブログ本数の割合から「AWSの運用(だけ)をやる会社」に見られがちじゃないですか。だから地方化でそういうことを払拭していきたくて。
――おおーあざーす(※筆者はマーケティング部所属)!実際の話、Swift人口に関してはまだ首都圏一極集中状態ですか?
タナケンそうですね。僕が東京に出てきた理由の1つにはそれもありますし。
コーメイ全然いないわけじゃないんですけど、地方ではまだSwiftができる人を集めるのに一苦労なんです。自分の福岡時代でもSwiftに切り換えられずにObjective-Cを使い続けるってこと、やっぱりありましたからね。スイッチコストを意識して専用のエンジニアを集めるとなかなか…。地方で取り入れられてることはまだそんなにないです。
タナケン僕も仙台にいた頃、Swiftのこんなところあんなところを話したいを皆さんと話したかったけれど、そもそも知られていないからまずはハンズオン的なことをやらなきゃいけなくて、それ以降続かなくて…っていうことはありました。
――だからこそのAKIBA.swift全国ツアー!やるっきゃないやつですね。
タナケンや、全国ツアーとは一言も(笑)。
コーメイまあ、今のうちに開催場所を広げたいなと思っています。
タナケンそれに各地で「クラスメソッドに入ればUターンIターン支援してSwift開発ができるよ」って言えますしね(笑)。
さらにさらにコラボしていく
――タナケンさんはどうですか?野望とか。
タナケン前日に思いつきでやっちゃうような者ですから実はまだなんにも考えてはいないんですけど。
コーメイいやいやいや(笑)。
タナケンでもやっぱりコラボの機会はさらに増やしたいですし、知り合いが増えていくことで開発も仕事にも繋がるかもしれなくて。そういう広い範囲で親密な関係を作れたらいいなと思っていますね。それは僕ら自身でなくてもよくて、AKIBA.swiftを介して繋がってよりよい仲になっていけばいいなって思ってますね。
コーメイコラボは加速させていきたいです。
タナケン今なんかもSwiftのつながりの人たちと会わない人のほうが少なくなってきていて…。
――あら!絆ですね卍卍卍おじさんそう言うの大好きですが。
コーメイ青春ですねー。確かにタナケンの知り合いとかでご飯行こうみたいなのあります。
タナケンSwift系勉強会のメンバー合同でなんかやったりっていうのがあるんですよね。以前も「君の名は。」を観に行く会っていうのもやって。
――それは…勉強?(笑)
タナケン勉強です!Conpass立てて、合同勉強会を。
コーメイそうそう、継承の概念を勉強しに行こうっていう。前前前世からの(笑)。
という感じでインタビューはここまで。これからも彼らがSwiftのコミュニティを熱くゆるく盛り上げていく様子を皆さまぜひウォッチしてください。