Amazon Connect 公式ブートキャンプをやってみよう! – STEP 3「新規問い合わせ時のコールバックの実装」

「ステップ・バイ・ステップ」でAmazon Connectを使ったコールセンターシステムの構築方法を解説します。(連載記事全6回の第4回目)
2021.10.08

みなさん、こんにちは!
福岡オフィスの青柳です。

AWSから公開されている「Amazon Connect Bootcamp」を題材に「ステップ・バイ・ステップ」で構築方法を解説する連載記事の第4回目です。

今回は、エージェントから顧客に対して折り返し電話を掛ける「コールバック」を実装します。

今回の構築範囲

今回は、図で「赤線」で囲まれているフロー、すなわち

  • Flow 6:「新規問い合わせ」

の処理を作り込んでいきます。

「コールバック」実装のための準備

フローの構築の前に、今回のステップで初めて登場する「コールバック」を実装するために必要な準備を行います。

コールバック用の「キュー」を作成する

最初のステップ「STEP 0:準備編」にて、いくつかの「キュー」を作成しました。 その際に「『キュー』とは、顧客から掛かってきた電話をオペレーターが順番に対応できるようにするための『待ち行列』のこと」であると説明しました。

実は、顧客に対して電話を掛ける「コールバック」にも「キュー」が存在します。

顧客に対してコールバックの必要性が生じた際に、コールバック指示を「キュー」に投入します。 コールバックの対応が可能なエージェントが順次「キュー」から指示を取り出して、顧客へのコールバック発信を行うという仕組みです。

それでは「コールバック用キュー」を作成しましょう。

画面左側のメニューから「ルーティング」→「キュー」の順に選択します。 「キュー」画面で右上の「新しいキューの追加」をクリックします。

キューの情報を入力します。

  • 名前: CallbackQueue
  • 説明: コールバック
  • オペレーション時間: BusinessHours

コールバック用のキューは、以下の設定も行う必要があります。

  • 外線発信者ID番号: (取得済みの電話番号を選択する)

ここで設定した電話番号を使って電話の発信が行われます。

ルーティングプロファイルの修正

次に、作成した「コールバック用キュー」に入ったコールバック指示が、エージェントに割り振られるようにする必要があります。

キューをエージェントに割り当てるのは「ルーティングプロファイル」の役目でしたね。

今回コールバックを行うのは「サポート部門」のエージェントですので、サポート部門エージェント向けのルーティングプロファイルにキューを追加します。

画面左側のメニューから「ユーザー」→「ルーティングプロファイル」の順に選択します。

「ルーティングプロファイル」画面で、一覧の中から「SupportRoutingProfile」をクリックします。

既に「InquiryQueue」「SupportQueue」の2個のキューが登録されています。

その下の空いている行に、新たに「コールバック用キュー」を登録していきます。

「名前」欄のプルダウンから「CallbackQueue」を選択します。

その他の項目は以下のように設定します。

  • チャネル: 「音声」のみにチェック
  • 優先度: 1
  • 遅延(秒): 0

キューの設定を追加しましたら、「保存」するのを忘れないようにしてください。

フローの構築

「コールバック」実装の準備ができましたので、フローの構築を行います。

Flow 6「新規問い合わせ」

フローの全体図はこのようになります。

図の(2)、(9)に相当するブロックは、前回までのステップにて作成済みです。

今回は(1)および(3)~(8)のブロックを追加します。

(1) 「操作」-「顧客の入力を取得する」

すぐにエージェントと会話がしたいのか、それとも、コールバックを希望するのか、選択を促します。

項目が多いため、前半と後半に分けます。

  • プロンプト: 「テキスト読み上げまたはチャットテキスト」→「テキストの入力」の順に選択
  • テキスト: 「このままオペレーターとお話しをされたい場合は1を、折り返しのお電話をご希望される場合は2を、押してください。」と入力
  • 解釈する: 「テキスト」を選択する

「1」「2」のいずれかのキー操作を受け付けるようにします。

  • 入力方法: 「DTMF」タブを選択
  • タイムアウトの設定: 「5秒」と入力 (適宜調整してください)
  • オプション: 「別の条件を追加」をクリックして、以下の値を入力 (2回繰り返す)
    • 「1」
    • 「2」

(2) 「終了/転送」-「キューへ転送」

「1」の「このままオペレーターと話したい」が選択された場合、顧客の電話を「(コールバックではない) 通常のキュー」に入れます。

(こちらのブロックは前回までのステップで作成済みですが、説明の流れの都合上、再掲します)

  • 「キューへ転送」タブを選択

(3) 「操作」-「顧客の入力を保存する」

「2」の「コールバックを希望」が選択された場合、こちらのルートに入ります

今回は、折り返し先の電話番号をキー操作で入力してもらうことにします。

「本人確認」の「誕生日」入力で使用した「顧客の入力を保存する」ブロックを使います。

項目が多いため、前半と後半に分けます。

電話番号の入力を促すアナウンスを流します。

  • プロンプト: 「テキスト読み上げまたはチャットテキスト」→「テキストの入力」の順に選択
  • テキスト: 「ご連絡先の電話番号を入力してください。」と入力
  • 解釈する: 「テキスト」を選択する

「誕生日」の入力では「カスタム」を選択しましたが、今回は、電話番号の入力に特化した、ズバリ「電話番号」を選択します。

  • 顧客の入力: 「電話番号」→「ローカル形式」の順に選択
  • 国コード: 「+81」(日本) を選択
  • 最初のエントリ前のタイムアウト: 「10秒」と入力 (適宜調整してください)

「ローカル形式」を選択すると、日本国内で電話を掛ける時の番号入力を受け付けます。 (つまり「03-XXXX-XXXX」とか「090-XXXX-XXXX」といった形式です)

一方、「E.164」を選択すると「+81-3-XXXX-XXXX」などの国際電話を掛ける時の入力として受け付けるようになりますので、気を付けてください。

(4) 「設定」-「コールバック番号を設定する」

コールバックを行うには、予め「コールバック番号を設定する」ブロックで発信先の電話番号を指定しておく必要があります。

  • タイプ: 「システム」を選択する
  • 属性: 「保存済みの顧客の入力」を選択する

指定する電話番号を、タイプ「システム」の属性「保存済みの顧客の入力」から取得する、という設定を行っています。

「保存済みの顧客の入力」には、一つ前の「顧客の入力を保存する」ブロックで顧客が入力した値、つまり電話番号が格納されています。

これで、顧客がプッシュボタンで入力した電話番号に対してコールバックを行う準備ができました。

(5) 「操作」-「プロンプトの再生」

前のブロック「コールバック番号を設定する」でコールバック先の電話番号が正しく設定されると、こちらのブロックに遷移します。

  • プロンプト: 「テキスト読み上げまたはチャットテキスト」→「テキストの入力」の順に選択
  • テキスト: 「ご指定頂いた電話番号へ、折り返しお電話差し上げます。しばらくお待ちください。」と入力
  • 解釈する: 「テキスト」を選択

今からコールバックを行う旨をアナウンスして、(7)「キューへ転送」へ進みます。

(6) 「操作」-「プロンプトの再生」

ブロック(4)「コールバック番号を設定する」で設定しようとした電話番号が正しくない場合 (桁数がおかしい等)、あるいはAmazon Connectから発信できない電話番号であった場合は、こちらのブロックに遷移します。

  • プロンプト: 「テキスト読み上げまたはチャットテキスト」→「テキストの入力」の順に選択
  • テキスト: 「入力された電話番号が正しくありません。」と入力
  • 解釈する: 「テキスト」を選択

電話番号が正しくない旨をアナウンスした後、(3)「顧客の入力を保存する」に戻ります。 (つまり、再度、コールバック先の電話番号の入力を求めます)

(7) 「終了/転送」-「キューへ転送」

顧客が「コールバック」を希望し、コールバック先の電話番号の入力を受け付け、コールバック先として電話番号の設定に成功した場合、このブロックに到達します。

顧客からの電話をエージェントに繋ぐための「キュー」と同じ種類のブロックを使いますが、これをコールバック用キューへの転送のために使うには、以下のように設定します。

  • 「コールバックキューへの転送」タブを選択

コールバック用キューの場合、追加の設定項目があります。

「初回ディレイ」等の項目はデフォルトのままで構いません。

転送する「キュー」を指定するために、以下の設定を行います。

  • 作業キューの設定: チェックを入れる
  • 作業キュー: 「キュー別」→「キューの選択」の順に選択
  • キューの選択: 「CallbackQueue」を選択

通常のキューの場合、「キューへ転送」ブロック自体にはキューを指定する項目は無く、事前に「作業キューの設定」ブロックでキューを指定しましたよね。

しかし、コールバック用キューの場合は、キューを指定する方法が異なりますので、注意してください。

実際に電話を掛けて動作をテストする

さて、これで「STEP 3:新規問い合わせ時のコールバックの実装」の全ての設定が終わりました。

例によって、実際に電話を掛けてみて動作を確認しましょう。

その前に、もし動作テストで「携帯電話」を使おうと考えている方は、下記の注意点をご確認ください。

※ Amazon Connectから「携帯電話」に対して「発信」を行う場合の注意点について

Amazon Connectから携帯電話に対して発信を行う場合、「2021年8月以降」に作成したAmazon Connectインスタンスでは申請が必要となっています。

携帯電話を使用して動作テストの実施を考えている方は、上記ページを参考にAWSサポートへの申請を行ってください。

または、携帯電話以外の電話 (固定電話、「050」の番号を持つIP電話など) を使用してください。

なお、「携帯電話からAmazon Connectへの受信」に関しては、特に制約はありません。 (前回までのステップでは受信のみでしたので、影響は無かったのではないかと思います)

テストシナリオ:新規問い合わせメニューから「コールバック希望」を選択する

今回の動作テストでは「サポート部門エージェント」がコールバックを行うことになりますので、同部門に所属する「saburo」または「shiro」いずれかのエージェントでログイン・CCP起動の状態にしておきます。

電話を掛けて本人確認を行うまでの手順は割愛します。 (新規問い合わせのフローは、顧客の登録状況に依存しない処理です)

  • 「購入前のご相談は1を、新規のお問い合わせは2を、以前のお問い合わせについては3を押してください」のアナウンスが流れる
  • プッシュボタンで「2」を押す
  • 「このままオペレーターとお話しをされたい場合は1を、折り返しのお電話をご希望される場合は2を押してください」のアナウンスが流れる
  • プッシュボタンで「2」を押す
  • 「ご連絡先の電話番号を入力してください」のアナウンスが流れる
  • プッシュボタンで電話番号を入力する (例:030XXXXXXXX)
  • 「ご指定頂いた電話番号へ、折り返しお電話差し上げます。しばらくお待ちください」のアナウンスが流れる
  • 電話が切れる

ここまで上記の通りとなりましたでしょうか?

しばらくすると、エージェントのCCP画面に「コールバック着信」が通知されます。

さきほど「折り返し先の電話番号」で入力した番号が表示されていますね。

でも、これは顧客から電話が掛かってきた訳ではなくて、Amazon Connectが「この顧客にコールバックしてください」と指示をしてきているのです。

「通話を受信」をクリックします。

「接続中」表示に変わって、呼び出し音が鳴ります。

ほどなくして、折り返し先に指定した電話に着信があると思います。

顧客が電話に出ると、エージェントと顧客との間で電話が繋がり、会話ができるようになります。

これで、エージェントから顧客への「コールバック」の動作が確認できました。

もし上手く行かない場合には、フローの設定や、最初に設定した「キュー」や「ルーティングプロファイル」の設定を見直してみてください。

おわりに

今回は「新規問い合わせ時のコールバックの実装」の構築を行いました。

「そもそも、コールセンターから顧客への折り返し電話なんてできるんだ!」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。 (私も知りませんでした)

でも、Amazon Connectを使えば、いくつかの設定で簡単に「コールバック」が実装できることがお分かり頂けたかと思います。

次のステップは「STEP 4:既存問い合わせ対応の実装」です。 是非ご覧ください。