[アップデート]Amazon Connectのフローに、SMS送信用のブロックが追加されました

[アップデート]Amazon Connectのフローに、SMS送信用のブロックが追加されました

Clock Icon2024.10.18

はじめに

Amazon Connectのフローに、新たにSMS(ショートメッセージサービス)送信用のブロック(ブロック名称「メッセージを送信」)が追加されました。

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2024/10/amazon-connect-initiate-outbound-sms-contacts/

このブロックを利用することで、Amazon Connectから顧客の携帯電話にSMSを送れるようになります。

AWSドキュメントでは、この新機能の利用シーンとして以下の3点を挙げています。

  1. 音声での問い合わせを、SMS 問い合わせ(SMS チャット)に切り替える
  2. 終話後、簡単なアンケートや、Web ページへのリンクを送信する
  3. ケースやステータスに応じて、顧客が返信して詳細を問い合わせることができるようSMS チャットを開始する

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/send-message.html

これらのシーンのうち、Amazon Connectでよく利用されるのは、2点目の「なんらかのメッセージをSMS送信する」という片方向(単方向とも呼ばれる)の送信だと思います。
対して、1点目と3点目は双方向でのコミュニケーションが可能です。

従来、Amazon Connectのフローで片方向のSMS送信を行う場合、以下の記事で説明しているように、AWS Lambda関数を呼び出すブロックを用意し、その Lambda 関数内で SNS サービスを使用して SMS メッセージを送信する必要がありました。

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-connect-lambda-send-sms/

今回のアップデートにより、Lambda関数の実装なしでSMS送信が可能になりました。
SMS送信用のブロックを設定するだけで済むため、コード開発が不要になるなどのメリットがあります。ただし、後述するように、コストなどの注意点もあります。

「メッセージを送信」ブロックを確認する

「メッセージを送信」ブロックを使用するには、以下の項目を設定する必要があります。

  • 送信元電話番号
    • メッセージの送信元の電話番号
  • 送信先電話番号
    • メッセージが送信される電話番号
  • メッセージ
    • 送信されるメッセージ
  • フロー
    • 作成されたアウトバウンドコンタクトを処理するAmazon Connectフロー
  • コンタクトへのリンク
    • 作成されたアウトバウンドコンタクトを、フローを開始したインバウンドコンタクトにリンク可能

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これらの設定項目のうち、「フロー」と「送信元電話番号」については、以下で詳しく解説します。

フロー

どのようなフローを設定すればよいか解説します。

「メッセージを送信」ブロックを利用すると、受信者にはSMSが送信されますが、StartOutboundChatContact API によってチャット問い合わせが開始される仕組みになっています。

したがって、SMS メッセージの送信後に受信者とエージェント間で双方向のコミュニケーションが必要な場合は、通常の問い合わせと同様に、キューへの転送などを含む問い合わせフローを指定する必要があります。

一方、単に片方向のSMSメッセージを送信するだけで、エージェントとのやり取りが不要な場合は、メッセージ送信後すぐに問い合わせを終了する簡潔なフローを設定します。

送信元電話番号

「メッセージを送信」ブロックを使用するには、有効な送信元電話番号を取得し、設定する必要があります。

送信元電話番号の取得方法は以下のAWSドキュメントに手順が記載されています。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/setup-sms-messaging.html

注意点として、「メッセージを送信」ブロックで使用できる送信元電話番号は、双方向メッセージングが有効化された電話番号に限定されます。

この制限は、SMS送信の目的がアンケート送付のような一方向のSMS送信であっても適用されます。

日本においては、送信元電話番号としてショートコードのみが利用可能です。そのため、この機能を使用するためには、必ずショートコードを取得する必要があります。

日本におけるショートコードの取得に関する料金と推定プロビジョニング時間は、以下の通りです。

  • セットアップ料金 (1 回限りの料金)
    • 1,750 USD
  • 月額料金
    • 1,150 USD
  • 推定プロビジョニング時間
    • 12 週間

https://aws.amazon.com/jp/sns/sms-pricing/

これらの料金と時間を考慮すると、簡単に検証環境で利用できる金額ではなく、また利用開始までに相当な時間を要します。そのため、筆者は検証目的でのショートコード取得を断念しました。

まとめ

今回のアップデートでは、ノーコードでSMS送信可能なブロックが追加されました。

ただし、料金と利用開始までにかかる時間には注意が必要です。

片方向でのSMS送信(例:「アンケートのURLをSMS送信する」)を実装したいケースで、ショートコードの料金が予算に合わない場合は、「メッセージを送信」ブロックではなく、代わりに冒頭で紹介したLambda関数を使用したSMS送信方法を選択することをお勧めします。

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