Amazon Connectにおけるコード開発不要の留守番電話機能構成3選
はじめに
Amazon Connectでは、コード開発不要で留守番電話機能を実装できる方法がいくつか存在します。本記事では、AWS Lambdaなどのコーディングを必要としない3つの留守番電話構成方法を解説します。
以下の3つの方法について、それぞれのメリット・デメリットや実装方法を比較しながら紹介します。
- 自動インタラクション (IVR) 録音
- Amazon Lex
- Amazon Q in Connectセルフサービス
1. IVR録音
Amazon Connectの標準機能である「自動インタラクション通話録音」を使用した、最もシンプルな留守番電話の実装方法です。
Amazon Connect コンタクトフローの「記録と分析の動作を設定」ブロックにある「自動インタラクション通話録音」から容易に設定可能です。
詳細な構築手順については、以下のブログ記事をご参照ください。
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メリット
- 実装の容易さ: 他のAWSサービスとの連携が不要で、Connect標準機能のみで設定可能
- 録音時間: 特に制限がなく、長時間の録音にも対応(AWSドキュメントを確認した限りでは制限はなし)
- 追加コスト: 標準機能のため追加コストなし(S3バケットの料金はかかります)
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デメリット
- 文字起こし機能なし: 音声の録音はできますが、自動的に文字起こしする機能はない
2. Amazon Lex
Amazon LexボットをAmazon Connectフロー内で呼び出し、音声を録音する方法です。文字起こし機能も備えています。
設定方法としては、スロットタイプAMAZON.FreeFormInput
を設定したAmazon Lexボットを作成し、Amazon Connectフロー内で呼び出します。
設定方法としては、スロットタイプAMAZON.FreeFormInput
を設定したAmazon Lexボットを作成し、Amazon Connectフロー内で呼び出します。
詳細な構築手順については、以下のブログ記事をご参照ください。
- メリット
- 文字起こし機能: 録音と同時に文字起こしも保存可能
- デメリット
- 録音時間の制限: デフォルトでは15秒、上限緩和申請しても1分弱程度まで
- 上限緩和についてはこちらのブログを参照してください
- インテントトリガーの必要性: 「はい」などの特定ワードでインテントをトリガーする必要があり、失敗すると録音できない
- 追加コスト: Amazon Lex利用料が発生
- 録音時間の制限: デフォルトでは15秒、上限緩和申請しても1分弱程度まで
3. Amazon Q in Connect
Amazon Q in Connectのセルフサービス機能を活用した、より高度な留守番電話の実装方法です。
Amazon Q in Connectセルフサービスを設定し、お問い合わせ内容のヒアリングと録音を行います。
詳細な構築手順については、以下のブログ記事をご参照ください。
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メリット
- 文字起こし機能: 録音内容の文字起こしが可能
- 特定ワード不要: Amazon Lexのみの場合と異なり、インテントトリガー用の特定ワードが不要
- 拡張性: プロンプト設定次第で、お問い合わせ内容の要約やより自然な対話が可能
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デメリット
- 録音時間の制限: デフォルトでは15秒、上限緩和申請しても1分弱程度まで
- 上限緩和についてはこちらのブログを参照してください
- プロンプト設定の必要性: 基本的なプロンプト設定が必要
- 追加コスト: Amazon LexとQ in Connect両方の利用料が発生
- 録音時間の制限: デフォルトでは15秒、上限緩和申請しても1分弱程度まで
比較表
以下に3つの留守番電話構成方法の詳細な比較表を示します。
機能 | 1. IVR録音機能 | 2. Amazon Lex | 3. Amazon Q in Connect |
---|---|---|---|
実装の容易さ | 高(Connect標準機能のみ) | 中(Lexボットの設定が必要) | 中(Lexボットとプロンプト設定が必要) |
録音時間制限 | ほぼなし | あり | あり |
文字起こし | 不可 | 可能 | 可能 |
特定ワードの必要性 | 不要 | 必要(インテントトリガー用) | 不要 |
コード開発 | 不要 | 不要 | 不要 |
要約 | なし | なし | 可能 |
追加コスト | なし | Lex利用料 | Lex、Q in Connect利用料 |
まとめ
Amazon Connectで留守番電話機能を実装する場合、要件に応じて最適な方法を選択しましょう。
- 録音のみで良い場合: IVR録音機能
- 文字起こしが必要な場合: Amazon Q in Connect
Amazon Lexのみの場合、インテントをトリガーするため特定のワードを伝える必要があります。そのため、文字起こしが必要な場合は、Amazon Q in Connectがよいでしょう。
いずれの方法もコード開発不要で実装できるため、技術的なハードルが低く、迅速に導入できる点が大きなメリットです。ただし、録音時間や機能の制限を考慮して、自社のニーズに合った方法を選択することをお勧めします。