Amazon Connect フローに「記録分析と処理動作を設定」ブロックが追加されました
はじめに
Amazon Connectのフロー編集画面を開いた際、既存の [記録と分析の動作を設定] ブロックに以下の警告メッセージが表示されていました。
このブロックの新しいバージョンが使用可能です。新しい機能にアクセスするには、これを、ブロックライブラリの [記録、分析、および処理の動作を設定] ブロックに置き換えてください。

「とりあえず置き換えればよいのか」と思いきや、実は設定項目や挙動に重要な変更が含まれています。
本記事では、既存の [記録と分析の動作を設定] ブロックと新しい [記録分析と処理動作を設定] ブロックについて、新旧ブロックの違いと移行のポイントについて解説します。
ブロックの変更内容
まず、ブロックの名称が変更されています。
- 旧:記録と分析の動作を設定
- 新:記録分析と処理動作を設定
名前に「処理 (Processing)」が追加されているとおり、メッセージ処理に関する機能強化が主な変更点です。主な追加機能は以下の3点です。
チャットの機密データ自動編集 (インフライトメッセージマスキング)
チャットのメッセージが処理されている最中 (In-flight) に、クレジットカード番号などの機密データを自動的に検出し、マスキングする機能です。
これまではログ保存時のマスキングが主でしたが、リアルタイムの処理段階で秘匿化が可能になります。

現時点では、日本語チャットにおいては「マスキング」のみが利用可能です。
英語、フランス語、ポルトガル語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語については、クレジットカード番号や社会保障番号(SSN)などの機密データを自動検出し、[PII] や [CREDIT_CARD] といったプレースホルダーに置き換える機能がフルサポートされています。
カスタムメッセージ処理機能 (Lambda連携)
「メッセージプロセッサを設定」という項目が追加され、Lambda関数を使用したカスタム処理が可能になりました。
これにより、チャットメッセージに対してリアルタイムで「言語翻訳」を行ったり、「不適切な表現のフィルタリング (Profanity filtering)」を行ったりすることが可能になります。

タスクでの画面録画対応
旧ブロックでは「音声」「チャット」のみが画面録画の対象でしたが、新ブロックでは「タスク」チャネルにおいても画面録画の設定が可能になりました。

「チャネルを選択」項目に、タスクではなく画面記録を指定するのは違和感ありますが、この通りに設定します。
移行時の注意点:チャネル分岐が必須に
機能追加も重要ですが、既存フローを移行する上で最も注意すべきなのが チャネル選択の仕様変更 です。
旧ブロックの挙動
1つのブロックで「音声」「チャット」「タスク」すべての設定をまとめて行うことができました (または、設定した内容が全チャネルに適用されました)。

新ブロックの挙動
ブロックの設定画面で、対象とするチャネル (音声、チャット、タスクのいずれか) を明示的に選択する必要があります。

音声

チャット

タスク
さらに、ブロックの出力ブランチに チャネル不一致 (Channel Mismatch) が追加されました。
基本的な挙動として、もし「音声」用に設定したこのブロックに「チャット」のコンタクトが到達した場合、処理は行われず「チャネル不一致」ルートに進みます。

また、アクションで「記録と分析の動作を設定」を選択し、対象チャネルに「チャット」を選択した場合のみ、4つ目のブランチとして「インフライトマスキング設定に失敗しました」が表示されます。

フロー設計への影響と対策
これまで「音声・チャット共通のフロー」を作成し、1つのブロックで記録設定を行っていた場合、単純にブロックを置き換えるだけでは意図しない挙動 (チャネル不一致) になる可能性があります。
対策として、新ブロックを利用する場合は、[コンタクト属性を確認する] ブロックにて、音声やチャットで分岐させる対応が必要です。

具体的な設定としては、[コンタクト属性を確認する] ブロックの以下の設定にて、チャットと音声で分岐させます。

分岐先で、音声とチャットでそれぞれ [記録分析と処理動作を設定] ブロックを配置します。
旧ブロックは使い続けてもよいか
現時点では旧ブロックの使用も可能です。
しかし、旧ブロックには警告が出ており、ブロックライブラリには [記録と分析の動作を設定] ブロックは表示されず、新規フローでは利用できません。

[記録と分析の動作を設定] ブロックは出てこない

[記録分析と処理動作を設定] ブロックは出てくる
そのため、段階的に廃止 (Deprecate) される可能性が考えられ、今後の機能向上は新ブロックに対して行われます。
今回追加された「メッセージマスキング」等の新機能を使う予定がない場合でも、将来的なメンテナンス性を考慮し、新ブロックへの移行をお勧めします。
補足:分析設定のUI表記が実態に合わせて変更されました
新ブロックでは、Contact Lensの分析設定における選択肢の名称も変更されています。
旧ブロックの表記
- リアルタイムおよび通話後の分析
- 通話後の分析

新ブロックの表記
- リアルタイム分析
- コンタクト後の分析

以前の記事で検証したとおり、旧ブロックの「リアルタイムおよび通話後の分析」という設定は、以下の仕様でした。
- リアルタイム分析の精度でトランスクリプトが生成され、通話後に高精度な再分析は行われない
- 参考記事: Amazon Connectで「リアルタイムおよび通話後の分析」設定時、「通話後分析」の精度でのトランスクリプトは実施されません
旧表記の「〜および通話後の分析」という部分は誤解を招きやすい表現でしたが、新ブロックでは単に リアルタイム分析 という表記になり、実際の挙動 (リアルタイム精度のみが適用される) と一致するようになりました。
これにより、設定時の混乱が少なくなると考えられます。
まとめ
本記事では、新しく追加された [記録分析と処理動作を設定] ブロックについて解説しました。
主な変更点は以下のとおりです。
- 名称変更と機能追加 (インフライトマスキング、Lambda連携、タスク録画)
- 設定時にチャネル (音声、チャット、タスク) の明示的な選択が必須化
- チャネル不一致時の分岐ルート追加
- 分析設定のUI表記が実態に合わせて変更
特に既存フローを移行する際は、音声とチャットでフローを分岐させ、それぞれ個別にブロックを設定する必要がある点にご注意ください。







