Amazon Connect でオペレーター側のネットワークが瞬断したときの通話と録音の挙動を確認してみた

Amazon Connect でオペレーター側のネットワークが瞬断したときの通話と録音の挙動を確認してみた

Amazon Connect のソフトフォン通話中にオペレーター側の Wi-Fi が瞬断した場合、通話や録音がどうなるのかを検証してみました。実際に Wi-Fi を切断してから復帰させ、その挙動を確認した結果をお話しします。
2026.07.06

はじめに

Amazon Connect のソフトフォンを使っているとき、オペレーター側の Wi-Fi やネットワークが一瞬切れた場合、通話がどうなるのか気になっていました。

特に確認したかったのは、次の点です。

  • 通話中にオペレーター側のネットワークが瞬断すると、その場で電話は切れるのか
  • いったん聞こえなくなったあと、ネットワーク復旧後に音声は自動で再開するのか
  • 録音や文字起こしは、その間どう扱われるのか

今回は、Amazon Connect の公式ドキュメントで確認できる内容を整理しつつ、実際にソフトフォン通話中にオペレーター側の Wi-Fi を一時的に切断して挙動を確認してみました。

なお、本記事は特定の検証環境で確認した結果を整理したものです。Wi-Fi の切断時間、ブラウザ、端末、ネットワーク機器、Amazon Connect 側の設定によって挙動が変わる可能性があります。

また、本記事はソフトフォン利用時の検証であり、desk phone 利用時の挙動は対象外です。

先に結論

今回の検証では、Amazon Connect のソフトフォン利用中にオペレーター側の Wi-Fi を一時的に切断しても、通話全体が即切断されないケースがありました。

一方で、Wi-Fi 切断中はオペレーター側で相手の音声が聞こえなくなったり、オペレーター側の音声が Amazon Connect に届かなくなったりするように見える挙動も確認しました。

整理すると、単純に「通話が切れるか、切れないか」だけではなく、瞬断中にどちらの音声が Amazon Connect まで届いていたように見えるか、という観点で見ると理解しやすそうです。

今回確認した範囲では、相手側の音声が Amazon Connect に届いていたように見えるケースでは、オペレーターが一時的に聞けていなくても録音や文字起こしに相手側の発話が反映されていました。一方、オペレーター側の音声が Amazon Connect に届いていないように見えるケースでは、その区間のオペレーター側の録音や文字起こしは残っていませんでした。

ただし、ネットワーク復旧後に常に音声が再開するとは考えない方がよさそうです。今回の検証では復帰できたケースを確認しましたが、復帰は保証されるものではなく、実際の運用では通話断や片方向音声として扱うべき場面もあると考えられます。

公式ドキュメントで確認したこと

ソフトフォン利用時はブラウザと Amazon Connect 間の音声経路が重要になる

Amazon Connect の Contact Control Panel(以降、CCP)では、エージェントがログインすると、シグナリング、メディア、Web アーティファクトのために各エンドポイントへ接続します。ソフトフォン利用時は、オペレーターのブラウザと Amazon Connect 間のメディア接続が通話品質に直結します。

https://docs.aws.amazon.com/connect/latest/adminguide/ccp-connectivity.html

公式ドキュメントでは、インバウンド通話について、顧客からの通話は Amazon Connect のエンドポイントで受けられ、エージェントが応答したタイミングで、Amazon Connect からエージェントへのメディア接続が確立されると説明されています。

また、ブラウザウィンドウを閉じた場合の挙動として、次の説明があります。

the call remains connected

通話自体は接続されたままです

https://docs.aws.amazon.com/connect/latest/adminguide/ccp-connectivity.html

同じ箇所では、ブラウザを開き直して再ログインしても、メディア接続は再確立できないことも説明されています。つまり、ブラウザ側の音声経路が失われた場合、通話自体が残っていても、元の音声経路が必ず戻るとは限りません。

ただし、この説明は「CCP を実行しているブラウザウィンドウを閉じた場合」の挙動です。Wi-Fi 瞬断そのものの詳細な再接続条件を説明したものではありません。そのため、Wi-Fi 瞬断については、今回の検証では復帰後に音声が再開するケースを確認できたものの、常に元の会話状態へ戻ると期待するのは避けた方がよさそうです。

録音はエージェント側と顧客側の音声チャンネルが分かれる

Amazon Connect の録音仕様では、エージェントとの対話中に、顧客、エージェント、またはその両方の録音を選択できます。また、エージェントとの対話では、エージェントの音声は右チャネル、顧客や会議参加者などの着信音声は左チャネルに保存されると説明されています。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/about-recording-behavior.html

この仕様を踏まえると、録音を確認する際は「オペレーターが聞けていたか」だけでなく、「Amazon Connect にどちらの音声が届いていたか」を見ることが重要そうです。

一方で、文字起こしについては、今回確認したドキュメントだけでは、ネットワーク瞬断中の欠落区間がどのように扱われるかまでは断定できません。そのため、本記事では文字起こしの挙動については「今回の検証環境ではそのように見えた結果」として扱います。

通話断の調査では DisconnectDetails が参考になる

通話切断が発生した場合は、問い合わせレコードの DisconnectDetails が調査に役立ちます。

公式ドキュメントでは、PotentialDisconnectIssue に検出理由として AGENT_CONNECTIVITY_ISSUE または AGENT_DEVICE_ISSUE が設定される場合があると説明されています。AGENT_CONNECTIVITY_ISSUE は、エージェント端末と Amazon Connect 間のネットワーク接続に問題があり、通話切断につながったことを示唆します。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/troubleshoot-call-disconnects.html

ただし、DisconnectDetails は通話切断時の情報であり、通話自体が切断されずに一時的な無音や片方向音声として発生した事象まで、これだけで判断できるとは限りません。

実際に試してみた

今回、Amazon Connect のソフトフォン通話中に、オペレーター側の Wi-Fi を意図的に一時切断し、その後復帰させました。

検証では、次の 2 パターンを確認しました。

  • 相手側が話し続けている状態で、オペレーター側の Wi-Fi を切断する
  • オペレーター側が話し続けている状態で、オペレーター側の Wi-Fi を切断する

ここでは、通話相手を「相手側」、Amazon Connect の CCP を操作しているユーザーを「オペレーター側」と表記します。

ケース 1:相手側が話している途中でオペレーター側の Wi-Fi を切断した

まず、相手側がずっと話している途中で、オペレーター側の Wi-Fi を切断し、その後復帰させました。

このとき、Wi-Fi を切っている間、オペレーター側では相手の音声が聞こえませんでした。

その後、Wi-Fi 復帰後は通話音声が再び聞こえるようになり、通話を継続できました。

録音と文字起こしを確認すると、オペレーター側で相手の音声を聞けていなかった区間も、相手側の音声は録音と文字起こしに反映されているように見えました。

この結果から、少なくとも今回の検証では、オペレーター側の受話経路が一時的に失われても、相手側の音声が Amazon Connect に届いていた場合は、その音声が録音や文字起こしに反映されるケースがあると考えられます。

ケース 2:オペレーター側が話している途中でオペレーター側の Wi-Fi を切断した

次に、オペレーター側がずっと話している途中で、オペレーター側の Wi-Fi を切断し、その後復帰させました。

このときも、Wi-Fi を切っている間は通話音声を正常に扱えない状態になりました。

その後、Wi-Fi 復帰後は通話を再開できました。

一方で、録音と文字起こしを確認すると、Wi-Fi を切断していた区間のオペレーター側の音声は残っていませんでした。

この結果から、オペレーター側のネットワークが切断され、オペレーター側の音声が Amazon Connect に届いていなかったように見える区間については、その音声が録音や文字起こしに反映されないケースがあると考えられます。

検証結果から考えたこと

通話全体が即切断されるとは限らない

今回の検証では、オペレーター側の Wi-Fi を一時的に切断しても、通話全体が即切断されないケースがありました。この結果は、顧客側の通話とエージェント側のメディア接続が別の経路として扱われる、という公式ドキュメントの説明と整合しているように見えます。

ただし、公式ドキュメントで明示されているのは、ブラウザを閉じた場合や各通話種別における接続の説明です。Wi-Fi 瞬断時に、どの程度の切断時間なら復帰できるのか、どのタイミングで通話断になるのかといった詳細な条件までは確認できません。

そのため、実運用では「短い瞬断なら必ず戻る」とは考えず、戻る場合もあるが保証はされない、という前提で設計した方がよさそうです。

録音や文字起こしは Amazon Connect に届いていた音声を確認する観点が重要

今回の検証では、オペレーターが相手の音声を聞けていない区間でも、相手側の音声が録音に残っているように見えました。

これは、オペレーターのブラウザに音声が届いていたかどうかと、相手側の音声が Amazon Connect に届いていたかどうかが、必ずしも同じではないためと考えると整理しやすいです。

Amazon Connect の録音仕様では、エージェントとの対話において、エージェント音声と顧客側音声が別々のステレオチャンネルに保存されます。したがって、録音を確認するときは、どちらのチャンネルに音声が残っているかを見ることで、どちら側の音声が Amazon Connect に届いていたのかを切り分ける手がかりになります。

文字起こしについても、今回の検証では Amazon Connect に届いていたように見える側の発話が反映され、届いていなかったように見える側の発話は反映されていませんでした。

「聞こえていたか」だけで判断しない方がよい

今回の結果から、録音や文字起こしを確認するときは、オペレーターがその場で聞けていたかどうかだけで判断しない方がよさそうです。

トラブルシュートでは、次の観点で確認すると整理しやすくなります。

  • オペレーター側で相手の音声が聞こえていたか
  • 相手側でオペレーターの音声が聞こえていたか
  • 録音のエージェント側チャンネルに音声が残っているか
  • 録音の顧客側チャンネルに音声が残っているか
  • 文字起こし上、どちらの発話が欠落しているか
  • 対象通話が実際に切断されたのか、片方向音声や一時的な無音だったのか

このように分けて見ると、「通話が切れたかどうか」だけでは分かりにくい事象を整理しやすくなります。

ソフトフォン運用では安定したネットワークを前提にする

Amazon Connect のネットワークトラブルシューティングのドキュメントでは、可能な限り Wi-Fi ではなく固定イーサネットを使用することが案内されています。

Use fixed Ethernet (not Wi-Fi) wherever possible.

可能な限り、Wi-Fi ではなく固定イーサネットを使用します。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/network-ts.html

今回の検証でも、オペレーター側の Wi-Fi 瞬断によって、少なくとも一時的に音声経路へ影響が出ることを確認しました。

ソフトフォンはリアルタイム音声をブラウザ経由で扱うため、安定運用を考えると、可能な限り有線接続を前提にした方がよさそうです。

まとめ

今回、Amazon Connect のソフトフォン通話中にオペレーター側の Wi-Fi を一時的に切断し、通話、録音、文字起こしの挙動を確認しました。

今回の検証では、Wi-Fi 瞬断後も通話全体が即切断されないケースがありました。ただし、復帰後に音声が再開するかどうかは保証されないため、実運用では通話断や片方向音声の可能性を考慮した方がよさそうです。

録音や文字起こしは、オペレーターがその場で聞けていたかどうかだけではなく、Amazon Connect にどちらの音声が届いていたように見えるか、という観点で確認すると整理しやすいです。

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