Amazon MWAAとServerlessのコスト構造の違いを比較してみた

Amazon MWAAとServerlessのコスト構造の違いを比較してみた

2025.11.30

こんにちは。サービス開発室の武田です。

Amazon MWAA Serverlessがリリースされましたね!従来のMWAAとの大きな違いのひとつが料金体系です。Serverlessの方が圧倒的にコストは安くなりそうですが、逆転することはあるのか?具体的なシナリオで試算してみました。

料金体系の違い

まずはMWAA ServerlessとMWAAの料金体系の違いを整理しておきます。

従来のMWAA

  • 環境インスタンスの稼働時間に対する課金
  • 追加Worker、追加Scheduler、追加Webサーバーの課金
  • メタデータベースのストレージ課金

MWAA Serverless

  • タスク実行時間に対する従量課金
  • 最小課金単位は1分、秒単位で課金
  • 初期費用やコミットメントなし

料金表(東京リージョン)

東京リージョン(ap-northeast-1)の料金はそれぞれ次のようになっています。

MWAA Serverless

項目 料金
AWS Managed Tasks $0.104/時間

従来のMWAA

項目 Small Medium Large
環境インスタンス $0.49/時間 $0.74/時間 $0.99/時間
追加Worker $0.055/時間 $0.11/時間 $0.22/時間
追加Scheduler $0.055/時間 $0.11/時間 $0.22/時間
追加Webサーバー $0.028/時間 $0.055/時間 $0.11/時間
メタデータベース $0.10/GB-月 $0.10/GB-月 $0.10/GB-月

※メタデータベースのサイズはDAG数、タスク履歴の保持期間、XComの使用量などにより変動します。AWS公式の料金例では、一般的なワークロードで10GB、大規模ワークロード(200 DAG × 20タスク × 6ヶ月保持)で40GBが示されています。次の試算では、各シナリオの規模に応じた想定値を使用しています。

シナリオ別に試算してみた

では、具体的なシナリオでコストを試算してみます。

シナリオ1: 開発・テスト環境(低頻度実行)

1日10回のワークフロー実行、各タスク平均2分、月間300タスクという想定で計算してみます。

Serverlessの場合、タスク実行時間は次のとおりです。

300タスク × 2分 = 600分 = 10時間
月額: 10時間 × $0.104 = 約$1

一方、従来のMWAA(Small環境)だと次のようになります。

環境インスタンス: 744時間 × $0.49 = $364.56
メタデータベース: $0.50
月額合計: 約$365

Serverless約$1、従来版約$365。これは圧倒的な差ですね!開発環境ならServerless一択でしょう。

シナリオ2: 日次バッチ処理(中頻度実行)

1日1回の日次バッチで50タスク/回、各タスク平均3分とすると月間1,550タスクになります。

項目 Serverless 従来版(Small)
タスク実行 / 環境インスタンス $8.06 $364.56
メタデータベース - $1.00
月額合計 約$8 約$366

日次バッチでもServerlessの方がかなりお得ですね。

シナリオ3: 高頻度実行(本番ワークロード)

1時間ごとの実行で100タスク/回、各タスク平均2分だと月間74,400タスクです。これくらいになると本番ワークロードっぽいですね。

【Serverless】
タスク実行時間: 74,400タスク × 2分 = 148,800分 = 2,480時間
月額: 2,480時間 × $0.104 = 約$258

【従来版(Large環境、Worker 5台を2時間/日追加を想定)】
環境インスタンス: $736.56
追加Worker: $68.20
メタデータベース: $2.00
月額合計: 約$807

高頻度でもまだServerlessの方が安いですね。

シナリオ4: 超高頻度・長時間実行

さて、ここからが本題です。5分ごとの実行、200タスク/回、各タスク平均5分という超高頻度のケースを見てみます。月間1,785,600タスクというかなり極端な例です。

【Serverless】
タスク実行時間: 1,785,600タスク × 5分 = 8,928,000分 = 148,800時間
月額: 148,800時間 × $0.104 = 約$15,475

【従来版(Large環境、追加Worker 10台を常時稼働、追加Scheduler 1台)】
月額合計: 約$2,377

ここまでくると逆転しますね。超高頻度では従来版の方がお得です。

損益分岐点はどのあたり?

試算結果から、おおよその損益分岐点を考えてみます。

Large環境の従来版MWAAの最低月額は約 $737(環境インスタンスのみ)です。MWAA Serverlessで同額になるのは次の計算になります。

$737 ÷ $0.104/時間 = 約7,087時間のタスク実行時間

月間で約7,100時間以上のタスク実行時間になると、従来版MWAAの方がコスト効率は良さそうです。1日あたりに換算すると約230時間ですね。かなりヘビーに使わないとこの域には達しないでしょう。

コスト以外の注意点

料金だけでなく、運用面でも違いがあります。

Serverlessは各タスクでコンピュートをプロビジョニングするため、タスク開始までに多少時間がかかることもあるでしょう。遅延に敏感なワークロードでは注意が必要ですね。

一方、従来版MWAAは使っていない時間も環境が稼働し続けるので、アイドル時間のコストが発生します。また、環境サイズの選定やWorker数のチューニングなど、運用面での判断も必要になってきます。

まとめ

MWAA Serverlessは、低〜中頻度のワークロードで大きなコストメリットがありますね。開発環境や日次バッチ処理のようなユースケースでは、従来版と比較して数十分の一のコストになることもありそうです。これはかなりインパクトがあります。

一方、超高頻度で長時間タスクを実行し続けるワークロードでは、従来版MWAAの方がコスト効率のよいケースもあります。

ご自身のワークロードに合わせて試算してみてください。参考になれば幸いです。

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