Amazon S3 Files の料金体系を図解で整理してみた

Amazon S3 Files の料金体系を図解で整理してみた

2026.04.11

はじめに

Amazon S3 Files は結局 EFS と比べて安いのか、高いのか、課金体系がわからなかったので調べた結果をまとめました。

確認結果

S3 Files の課金ポイントを以下の図に整理しました。

S3 Files Prices(1) (1).png

S3 Files の構成を簡単に紹介

S3 Files は「高性能ストレージ」と呼ばれるキャッシュ層(ベースは EFS)であり、S3 バケットと、NFS クライアントの間に位置します。高性能ストレージはメタデータと、アクティブなデータのみを保持し S3 と定期的に同期する構成です。S3 側で直接ファイルを更新した場合はイベントをトリガーに同期します。

image.png

画像引用: Working with Amazon S3 Files - Amazon Simple Storage Service

S3 Files のストレージ料金

高性能ストレージの課金は、シンプルに高性能ストレージに置かれたファイルの容量のみが対象です。ここは EFS と同じ課金体系です。詳細は後述します。

項目 東京リージョン
高性能ストレージ $0.36/GB/月

高性能ストレージに置かれるデータは何かというと、S3 のメタデータ、S3 から読み込まれたファイルのデータ、NFS クライアントから書き込みをしたファイルのデータです。

sizeLessThan 閾値とデータの読み込み

S3 Files は S3 からメタデータをインポートします。

設定
最小値 0 バイト(データはインポートしないが、メタデータはインポートできる)
最大値 52,673,613,135,872 バイト(48 TiB)
デフォルト 131,072 バイト(128 KB)

参考: Customizing synchronization for S3 Files - Amazon Simple Storage Service

閾値未満のファイル(デフォルト 128KB 未満)は、アクセス時にデータが高性能ストレージへ読み込まれ、ストレージ料金と Read/Write 料金が発生します。一方、閾値以上のファイル(デフォルト 128KB 以上)は、S3 から直接ストリーミングされ、高性能ストレージにはデータが載りません。ストレージ料金は発生せず、S3 GET リクエスト料金のみです。

つまり、閾値によって S3 Files の利用料金が大きく変わることになります。

S3 Files Prices.png

データの期限切れ

高性能ストレージのデータは daysAfterLastAccess(1〜365 日、デフォルト 30 日)で自動削除されます。削除自体に課金は発生しません。オリジナルのデータは S3 バケットに保存されているので問題ありません。

S3 Files Delete.png

S3 Files のファイル操作料金

データの読み書き課金の見方は、S3 Files の高性能ストレージから見て読み込まれたか、書き込まれたかです。

データ読み取り

閾値未満のファイル(デフォルト 128KB 未満)を高性能ストレージから読み取る場合、$0.04/GB が課金されます。

S3 Files Prices(3).png

データ書き込み

高性能ストレージへの書き込みは $0.07/GB です。

S3 Files Prices(4).png

メタデータの操作

ls、stat、mkdir、rm、chmod などのメタデータ操作は 4KB/操作で Read 課金が発生します。

操作 課金種別 メータリングサイズ
データ読み取り Read ($0.04/GB) データサイズ(最小 32KB)
データ書き込み Write ($0.07/GB) データサイズ(最小 32KB)
メタデータ操作 Read ($0.04/GB) 4KB/操作
コミット操作(fsync/close) Write ($0.07/GB) 4KB/操作

参考: How S3 Files is metered - Amazon Simple Storage Service

閾値以上のファイルの読み取りは S3 から直接ストリーミング

sizeLessThan 閾値(デフォルト 128KB)によって読み取り経路と課金が変わります。閾値以上のファイルは、高性能ストレージを経由せず S3 から直接ストリーミングされます。この場合 S3 Files の操作料金は、メタデータの読み取りのみです。S3 GET リクエスト料金(約 $0.00037/1,000 リクエスト)は別途発生します。高性能ストレージはレイテンシ最適化、S3 はスループット最適化という棲み分けになっています。

S3 Files Prices(5).png

その他の関連費用

S3 Files の料金に加え、S3 自体の料金や関連するネットワーク費用も発生します。閾値以上のファイルは S3 から直接読み取るため、VPC 内からのアクセスではゲートウェイ型の S3 VPC エンドポイントを設定しておくのがおすすめです。NAT Gateway 経由だとデータ転送料金が上乗せされ、意図せず高額な利用費になる可能性があります。

費目 料金 備考
S3 標準 ストレージ $0.025/GB/月 保存してあるデータに対して発生(他のストレージ階層の価格は割愛)
S3 PUT/COPY/POST/LIST 約 $0.0047/1,000 リクエスト Export 同期、rename 時に発生
S3 GET/SELECT 約 $0.00037/1,000 リクエスト 閾値以上のファイル読み取り時に発生
EventBridge 通知 $1.00/100 万イベント S3 変更検知。通常は無視できるレベル
S3 Gateway VPC エンドポイント 無料 閾値以上のファイル読み取りで S3 に直接アクセスするため推奨

EFS との料金比較

S3 Files と EFS の主要な料金項目を比較します。ストレージ単価、読み書き課金は Elastic Throughput モードと同じ料金設定です。 S3 Files はメタデータ、閾値未満(デフォルト 128KB)のキャッシュデータ、書き込みを行い有効期限まで滞在中のデータのみが EFS と同じ価格のストレージに載っていることが違いです。

S3 Files Prices(6) (1).png

より現実的な設定での料金比較

EFS には IA/Archive ティア、S3 にも Intelligent-Tiering があります。「S3 Files + S3 Intelligent-Tiering」と「EFS Elastic Throughput」を、データの扱い方の違いも含めて比較します。非同期取り出しが必要なティア(S3 I-T Archive Access、Deep Archive Access)は除外します。

S3 Files では、すべてのデータは S3 バケット(I-T 高頻度)に保存され、一部のデータだけが高性能ストレージにキャッシュされます。EFS では、全データが Standard に置かれ、階層化で IA/Archive に落とす形です。

ストレージ単価の比較(東京リージョン)

データの扱い S3 Files + S3 Intelligent-Tiering EFS Elastic Throughput S3 が安い割合
アクティブデータのキャッシュ $0.36/GB-月(高性能ストレージ) —(なし)
高頻度アクセス $0.025/GB-月(I-T 高頻度) $0.36/GB-月(Standard) 93%
低頻度アクセス $0.0138/GB-月(I-T 低頻度) $0.02/GB-月(IA) 31%
アーカイブ $0.005/GB-月(I-T アーカイブインスタント) $0.01/GB-月(Archive) 50%

EFS は全データが Standard($0.36/GB-月)で課金されます。S3 Files は全データを $0.025(I-T 高頻度)で保存し、アクティブな分だけ高性能ストレージ $0.36 が追加でかかります。とくに大量に保存してあるデータのうち一部しか使わないワークロードでは、ここの差がそのままコスト差になります。基本 S3 が安いので比較対象にされる EFS には申し訳ないのですが。

試算: 1TB のデータがあったとする(アクティブ 10%・非アクティブ 20%・コールド 70%)

項目 S3 Files + S3 Intelligent-Tiering EFS Elastic Throughput
アクティブなデータ(100 GB) 100 GB × $0.025 = $2.50 100 GB × $0.36 = $36.00
キャッシュ(10 GB)※ 仮置き 10 GB × $0.36 = $3.60
非アクティブ(200 GB) 200 GB × $0.0138 = $2.76 200 GB × $0.02 = $4.00
コールド(700 GB) 700 GB × $0.005 = $3.50 700 GB × $0.01 = $7.00
合計 $12.36/月 $47.00/月

S3 Files が月 $12.36、EFS が月 $47.00 で 差は約 $35/月です。 効いているのは、アクティブな 100GB を I-T 高頻度($0.025)に保存できる点です。EFS Standard($0.36)との単価差だけで月 $33.50 の開きになります。実際にキャッシュされる量は sizeLessThan 閾値とアクセスパターン次第で変動します。今回の試算では仮置きの 10GB(アクティブなデータの 10%) としました。

閾値以上のファイルは S3 から直接ストリーミングされるため、アクティブデータに大きいファイルが多いほどキャッシュ費用は減り、差はさらに広がります。一方、小さなファイル中心の用途ではキャッシュが増えやすいため、EFS との差は縮まります。また、書き込み量次第で高性能ストレージに載る量が月間 100GB に届くと合計金額は EFS と並びます。書き込み量が多い場合は、daysAfterLastAccess の調整で高性能ストレージ上に保持している期間を制限するとコストが下がります。

まとめ

S3 Files の料金は 2 層構造で、全データを安価な S3 バケット(I-T など)に保存し、メタデータなど一部のデータは高性能ストレージにキャッシュします。高性能ストレージに課金される対象は以下の 3 種類だけです。

  • メタデータ
  • sizeLessThan の閾値未満のファイルのデータ(デフォルト 128KB)
  • 書き込み後に有効期限まで滞在するデータ

EFS の場合、全データが Standard($0.36)で課金されます。アクティブ比率の低いワークロードでは、月額差が数倍になることもあります。閾値以上のファイルは S3 から直接ストリーミングされるため、大きなファイルが多いワークロードや、コールデータが多いワークロードでは保存コストを抑えられます。小さなファイル中心の用途や、書き込みが多い場合は、sizeLessThandaysAfterLastAccess をワークロードに合わせて調整しましょう。

おわりに

大容量のデータを EFS で扱っている場合、保存コストだけみれば採用を検討したくなりますが、同期ラグやファイルロックの制約があるため手放しに S3 Files を勧められないのが実情です。コスト削減のために切り替えを検討する場合は、事前に十分に検証してください。

Dr. Werner 氏の S3 Files の記事が読み物として面白かったので紹介しておきます。

https://www.allthingsdistributed.com/2026/04/s3-files-and-the-changing-face-of-s3.html

人力図解はもう時代遅れだと感じつつも、長い時間かけて今回の図になりました。どなたかの参考になれば幸いです。

参考

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