[アップデート]Amazon SESのVirtual Deliverability Managerでメール個別の送信イベントが閲覧できるようになりました

[アップデート]Amazon SESのVirtual Deliverability Managerでメール個別の送信イベントが閲覧できるようになりました

Clock Icon2023.09.01

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初めに

これまでAmazon SESのVirtual Deliverability Manager(以降VDM)ではメールの配信に関して全体の受信イベント毎比率やIPS毎の到達率といった統計情報は見ることができましたがより詳細なログを確認する場合は送信イベントを別に記録する必要がありました。

これにより以前紹介したようなメールログの保持のために別のサービスを構築せずとも一定期間(最長30日)であればAmazon SESの機能内かつマネジメントコンソールでメール未着のトラブルシュートやエンゲージメント調査ができるようになります。

おそらくAmazon SES使ってる多くの人がこの機能が欲しかったんだというもので設定必須レベルものです。

これまで色々アップデート記事を書いてきましたが少なくとも個人的には多分その中で一番嬉しいアップデートです。

設定

今回追加の機能用の追加設定はございませんがデフォルトでVDM自体は無効となっているためまずは有効化する必要があります。

今回は元々無効としていたので検証のために有効化後いくつかメールを送信しています。

料金

料金はVDM自体の利用費はかかりますが今回の機能の利用自体には特別な追加料金はありません。

現時点では送信メール1000件あたり $0.07、VDM上でのクエリ1000件あたり$0.0005(5,000クエリ/月は無料)です。

Amazon SESでのメールの送信が1000通あたり$0.10ですので送信量が少ない環境なら絶対値的に見ればそんなに大きいものでもないかと思います。

確認

メッセージ個別の情報はVDMの「ダッシュボード」画面の「メッセージ」タブから確認することができます。

※ 英語表示していますが日本語にもちゃんと対応しています

体感ですが送信してから5~10分ほどでこちらに表示されるようになるみたいです。

ただ自分の試したときはなぜか表示が安定せずしばらく経った後でも画面更新をしても送信した一覧が表示されないことがありました。
一応Datepicker部分で絞り込み直すと表示されるようになったので、もししばらく表示されないことがあった試してみてください。

https://docs.aws.amazon.com/ses/latest/dg/vdm-dashboard.html
Selecting inside the date range picker, you can filter on messages you’ve sent within the last 30 days. If you don’t select a date range, your search will default to the last 7 days including the current day within your timezone.

検索可能な期間はVDMの他の統計と同様最大30日まで可能です。

より詳細を確認したい場合は該当のメール左側のチェックボックスを入れて「詳細を表示」をクリックしてください(「受取人」部分のリンクがmailto:なのは連続してみたい時ちょっと不便な感じはします)。

変更セットの送信イベントでAmazon S3等に保存している方式では1イベント=1ログとなる関係でメッセージ単位でイベントの詳細に追いたい場合メッセージID等から検索をかける必要がありましたが、VDM上ではメッセージID単位でイベントがまとまって見えるので追跡が非常に楽です。

「未解決」イベントとは一体...と思いましたが英語表記にしてみると「Open」でしたので開封イベントのようです。

検索はリストで表示されている項目に対して可能です。出てくる検索候補をクリックすると「配信イベント」のような実質選択式項目では候補が出てくるので結構優秀ですね。

「エクスポート」を実行すると上記の一覧で見える情報相当のものがCSVで取得可能です。

これまでのメール送信イベントの保存の仕組みは必要か?

以前Amazon Kinesis Data Firehose使ったログ配信を紹介させていただきましたが、今回のアップデートでそれが不要になった?と言われるとそれは基本的には「ノー」で必要になると考えています。

未着トラブル等の日常的な調査であればほぼ事足りるかと思いますが、例えばAmazon SESへの送信元となるIPや利用したSMTPユーザ等はみられないためこれらの情報が必要な場合はこれまで通りの方式でイベントを保存・取得する必要があります。

インシデントによる調査等が必要なった場合等にVDMの情報だけでは足りない可能性があるので、基本的には生の送信ログイベントは別で持った上で普段の直近の操作はVDMで行うというのが無難かと思いますので設定しておきましょう。

普段必要なくてもいざとなった時になくて困るのログです。

終わりに

これまでは月1ほどくらいしかメール未着等の調査がなかったとしてもKinesis Data Firehoseを組んでAmazon S3に配信したり、Amazon SNSやAWS LambdaCloudWatch Logsに...のような地味に手の込んだことが必要でしたが、これからは少し画面をぽちぽちしてVDMを有効化するだけで直近30日のイベントが見れるので非常に嬉しいアップデートです。

検索も比較的スタンダートな検索ボックスで検索可能ですので、送信イベントのフォーマットを理解して頑張ってAthenaやCloudWatch Logs Insight、取り出してgrep...といったことも必要なく直感的に可能です!やったー!

VDMはこれまで統計情報が見れるほどで万人が存在を認知しておく必要なかったものですが、今回のアップデートでAmazon SESを使うなら絶対に存在を認知して欲しい機能となりました。

前述の通りこれまで通りの送信イベントの保持の機構は推奨しておりますが、「触り初めで難しく...」という方や「そもそも設定しないとログがないの知らなかった追加構築は今ちょっと厳しい...」ということもあるかと思います。

VDMであればいくつかの有無効の選択肢を押すだけで10秒もあれば有効化できる設定ですので、特に本記事を見てそういったところに思い当たる環境の方は今すぐ有効化しておきましょう(追加料金はあるのでその点だけ注意)。

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