
Anthropic公式のClaud Cowork Legalプラグインを試してみた
Claudeに2026年1月に実装された新機能であるCoworkでは、さまざまなタスクに利用できるプラグインが公開・共有されています。
そのラインナップとして、先日「Legal」というCoworkプラグインが追加されました。
法務業務の自動化に利用できる、ということですが、実際どんなことができるのか、触って試してみたのでご紹介したいと思います。
【注意】
当記事はあくまでLegalプラグインの概要を紹介するものであり、現時点(2026年2月)で実務への利用を推奨する目的の記事ではありません。
2026年2月現在Claude Coworkはリサーチプレビューであり、動作にはリスクが伴うことがAnthropicからも警告されています。
また、ご紹介するLegalのプラグインについては、上記で紹介した概要ページにて以下のように弁護士による出力のレビューを行うよう
最初に:Claude Coworkとは
簡単に言うと、PC上の操作(ファイルやブラウザなどの操作)をAIに任せて業務を自動化できるツールです。
2026年2月8日現在は「リサーチプレビュー」の段階であり、以下の条件でのみ利用が可能となっています。
- Claudeの有償プラン((Pro、Max、Team、Enterprise)を契約している
- Mac上のClaude Desktopをインストールしている
注意事項:セキュリティについて
インストールされているPC上の操作をAIが行う、という特性もあり、プレビュー版である現段階では独特のリスクを伴います。
リスクを軽減するためCoworkはPC内のVM上で動作し、安全のためデフォルトでは権限はかなり制限されています。許可する権限を増やすと行えることは増えますが、そのぶんリスクが増えるため、どの程度の権限を許可するかは慎重に検討してください。
安全に使用するための情報が下記のようにAnthropic公式ページで紹介されているため、こちらをご一読することを推奨します。
Legalプラグインについて
Coworkはプラグインに対応しており、導入することですでに定義された自動化タスクを簡単に利用することが可能です。Anthropic公認のプラグインについては下記から確認が可能です。
今回紹介するLegalプラグインもこのCoworkプラグインの一つで、Anthropic自体が作成した公式のものとなります。
どんなものか、概要ページをClaude自身に要約してもらったものを下記引用しておきます。
- 企業の法務チーム向けのプラグインで、契約書レビュー、NDA審査、コンプライアンス業務を自動化
- 商事法務、プロダクト法務、プライバシー・コンプライアンス、訴訟支援チーム向けに設計
- 契約条項のチェックや修正提案、NDAの事前スクリーニング、ベンダー契約の状況確認、よくある問い合わせに対するテンプレート回答生成機能などを提供
- 各組織の交渉方針やリスク許容度に合わせて設定可能で、全ての出力は弁護士による確認が必要
最後の「全ての出力は弁護士による確認が必要」(原文では"All outputs should be reviewed by licensed attorneys.")は重要で、自動化はするが専門家がきちんとその出力を確認する必要はあるよ、というベンダからの念押しですね。AIは現状万能というわけではない、という認識のもと利用しましょう。
ともかく、契約やリスクのチェックなどを行ってくれるものだということですね。
インストールすると、プラグインで定義されたコマンド・スキルが利用できるようになります。Claudeに利用できるコマンドを簡単にまとめてもらいました:
コマンド一覧
| 名前 | 概要 |
|---|---|
| /review-contract | 契約書をレビュー。条項ごとに乖離点を指摘し、修正案を生成し、ビジネス上の影響を分析する |
| /triage-nda | NDA契約を基準に基づいてトリアージ。GREEN(承認)、YELLOW(要弁護士レビュー)、RED(重大な問題)の3段階で分類する |
| /vendor-check | Coworkが接続されているシステム全体でベンダーとの既存の契約ステータスを確認。NDA、MSA、DPA、有効期限、主要条項などを報告 |
| /brief | 法務業務のためのコンテキストに応じたブリーフィング。daily(デイリーの報告)、topic(特定の法的質問に関する調査)、incident(緊急事態への迅速な対応)の3つのモードをサポート |
| /respond | よくある問い合わせタイプに対して、設定済みのテンプレートから回答を生成。データ主体要求、証拠保全、ベンダー質問、NDA要求などに対応 |
普通の契約書のレビューから、NDAのチェック、ベンダーとの契約ステータスの確認、問い合わせ対応までいろいろと対応しているようですね。
具体的にどんな風に動くのか、とりあえずインストールして試しに動かしてみましょう。
インストール
Coworkプラグインのインストールは、Claude DesktopのUIから行えます。
Claude Desktopを起動し、「Cowork」へ移動→「+プラグインでカスタマイズ」を選択します。

ちなみに前述のとおりCoworkは初期状態ではセキュリティのためかなり制限の強い状態になっているため、プラグインをインストールするにも若干の設定変更が必要です。ここでは試しに動作させるための最低限の設定変更について紹介します。
ネットワークアクセス設定の変更
初期状態ではネットワークアクセス自体が無効となっているため、プラグインを追加しようとしても以下のようにエラーが表示されます。

ネットワークアクセスの設定は上記エラーメッセージからリンクされている「機能設定」から変更が可能です(もしくはメニューから[設定]-[機能]-[コード実行とファイル作成]セクションへ移動)
ネットワークアクセス自体は「ネットワーク外部通信を許可」を有効にすることで可能となりますが、それに加えて「ドメイン許可リスト」という設定があります。「パッケージマネージャのみ」としておくと、一般的にパッケージマネージャーとして利用されるサービス(npm, PyPI,Githubなど)+手動で明示的に追加した場所のみにアクセスを制限できるとのことなので、とりあえずこの設定にしておきます。

マーケットプレイスへのAnthropic公式リポジトリの追加
上記設定で最低限Githubなどにアクセスは可能となりますが、Coworkでプラグインを追加するには、それに加えてプラグインを配布するリポジトリを追加する必要があります。
Anthropic公式のCoworkプラグインのリポジトリは以下なので、これを追加しましょう。
anthropics/knowledge-work-plugins
Claude DesktopのCoworkの画面「+プラグインでカスタマイズする」で遷移する「プラグインを参照」のメニューから「Githubからマーケットプレイスを追加」を開き、anthropics/knowledge-work-pluginsを入力すれば追加できます。
プラグインのインストール
上記でAnthropic公式のCoworkプラグインのリポジトリが追加できたら、リポジトリに登録されているプラグインのリストが一覧で表示されるはずです。リストから「Legal」を見つけてインストールしましょう。
[画像4]

これでとりあえず利用できるようになりました。
セットアップ:プレイブックの作成
さて、プラグインのREADMEによると、Legalプラグインを効果的に利用するにはプレイブック(playbook)を設定することが推奨されています。契約にあたっての交渉の方針、リスク許容度、標準的な条件などを記述するもののようです。設定しなくても別に上記のコマンドなど動かすことはできますが、企業の方針を定義することでそれを踏まえた判断ができるようになる、ということでしょう。
このプレイブックファイルlegal.local.mdというファイル名で、作業するプロジェクトフォルダの.claude/下に保存するようです。内容のサンプルが上記のREADMEに記載されています。中身が英語なので、Claudeさんに各項目の日本語の説明を付けてもらいました。以下引用します。
# Legal Playbook Configuration
<!-- 法務プレイブック設定ファイル -->
## Contract Review Positions
<!-- 契約書レビューにおける組織の標準的な立場 -->
### Limitation of Liability
<!-- 責任制限条項 -->
- Standard position: Mutual cap at 12 months of fees paid/payable
<!-- 標準的な立場:相互に、支払済み/支払予定の料金の12ヶ月分を上限とする -->
- Acceptable range: 6-24 months of fees
<!-- 許容範囲:料金の6〜24ヶ月分 -->
- Escalation trigger: Uncapped liability, consequential damages inclusion
<!-- エスカレーション基準:無制限の責任、間接損害が含まれる場合 -->
### Indemnification
<!-- 補償条項 -->
- Standard position: Mutual indemnification for IP infringement and data breach
<!-- 標準的な立場:知的財産権侵害とデータ侵害について相互に補償する -->
- Acceptable: Indemnification limited to third-party claims only
<!-- 許容範囲:第三者からのクレームのみに補償を限定 -->
- Escalation trigger: Unilateral indemnification obligations, uncapped indemnification
<!-- エスカレーション基準:一方的な補償義務、無制限の補償 -->
### IP Ownership
<!-- 知的財産権の帰属 -->
- Standard position: Each party retains pre-existing IP; customer owns customer data
<!-- 標準的な立場:各当事者は既存の知的財産権を保持し、顧客データは顧客に帰属する -->
- Escalation trigger: Broad IP assignment clauses, work-for-hire provisions for pre-existing IP
<!-- エスカレーション基準:広範な知的財産権の譲渡条項、既存知的財産権に対する職務著作物規定 -->
### Data Protection
<!-- データ保護 -->
- Standard position: Require DPA for any personal data processing
<!-- 標準的な立場:個人データ処理にはデータ処理者契約(DPA)を必須とする -->
- Requirements: Sub-processor notification, data deletion on termination, breach notification within 72 hours
<!-- 要件:再処理者の通知、契約終了時のデータ削除、72時間以内の侵害通知 -->
- Escalation trigger: No DPA offered, cross-border transfer without safeguards
<!-- エスカレーション基準:DPAが提供されない、保護措置なしの国境を越えたデータ移転 -->
### Term and Termination
<!-- 契約期間と解約 -->
- Standard position: Annual term with 30-day termination for convenience
<!-- 標準的な立場:年間契約で、30日前通知による任意解約が可能 -->
- Acceptable: Multi-year with termination for convenience after initial term
<!-- 許容範囲:複数年契約だが、初期契約期間後は任意解約が可能 -->
- Escalation trigger: Auto-renewal without notice period, no termination for convenience
<!-- エスカレーション基準:通知期間なしの自動更新、任意解約条項がない -->
### Governing Law
<!-- 準拠法 -->
- Preferred: [Your jurisdiction]
<!-- 望ましい選択肢:[あなたの管轄地](組織に合わせて記入) -->
- Acceptable: Major commercial jurisdictions (NY, DE, CA, England & Wales)
<!-- 許容範囲:主要な商業管轄地(ニューヨーク州、デラウェア州、カリフォルニア州、イングランドおよびウェールズ) -->
- Escalation trigger: Non-standard jurisdictions, mandatory arbitration in unfavorable venue
<!-- エスカレーション基準:非標準的な管轄地、不利な場所での強制仲裁 -->
## NDA Defaults
<!-- NDA(秘密保持契約)のデフォルト設定 -->
- Mutual obligations required
<!-- 相互義務が必須 -->
- Term: 2-3 years standard, 5 years for trade secrets
<!-- 期間:標準は2〜3年、営業秘密の場合は5年 -->
- Standard carveouts: independently developed, publicly available, rightfully received from third party
<!-- 標準的な除外条項:独自に開発した情報、公開情報、第三者から正当に受領した情報 -->
- Residuals clause: acceptable if narrowly scoped
<!-- 残存条項:範囲が限定されていれば許容可能 -->
## Response Templates
<!-- 定型応答のテンプレート -->
Configure paths to your template files or define inline templates for common inquiries.
<!-- よくある問い合わせに対するテンプレートファイルへのパスを設定するか、インラインテンプレートを定義します -->
このサンプルをもとに、カスタマイズをします。
とりあえず、上記サンプルのうち、日本企業としてGoverning Law(準拠法)セクションは日本準拠にしておきたいので、Claudeに聞きつつ以下のように記述を変更してみました。日本語で記述しても問題ないと思うのですが、英語のサンプルへの追記なので英語で記述しています。
### Governing Law
- Preferred: Japanese law, Tokyo District Court
- Acceptable: Japanese law with arbitration in Tokyo, or major commercial jurisdictions (NY, DE, CA, England & Wales) for international contracts
- Escalation trigger: Non-Japanese law for domestic contracts, non-standard jurisdictions, mandatory arbitration outside Tokyo/major centers
ざっくり、準拠法は日本法・東京地方裁判所を原則とし、国際契約の場合はニューヨーク州やイングランドなど主要な商業管轄地も許容。ただし、国内契約で日本法以外が適用される場合や、非標準的な管轄地が指定される場合はエスカレーションする、というポリシーです。Claudeの提案をそのまま採用しています。
とりあえず最低限の編集はしたので、このプレイブックのファイルを保存しておきます。テスト用プロジェクトフォルダとしてcontract_testというフォルダを作成して、指定の通り.claude 配下にlegal.local.mdという名前で配置しました。
作業フォルダは、Coworkの画面下の「フォルダで作業」で指定ができます。当然ながら指定したフォルダの配下はClaudeがアクセス可能となるのでご注意ください。

ローカルのプレイブックがちゃんと読み込めてるのか、念のためClaudeに確認してみました。ファイルも認識し、内部の記述も読み込めているようです。

【余談:作業フォルダのリセットについて】
ちなみに2026年2月現在、一度指定した作業フォルダはCoworkで新しいタスクを作成しても残り続けるようでした。Claude DesktopのUI上から明示的に解除する方法がちょっと分からなかったのですが、Claude Desktopを再起動するとUI上ではフォルダの指定がリセットされていました。作業フォルダを再設定したい場合などは再起動してみましょう。
契約書チェックのテスト
さて、ようやくセットアップできたので、試しに利用してみたいと思います。
まずは基本であろう契約書のレビューをやってもらいましょう。
テストなので、契約書はサンプルを利用したいと思います。
IPAがソフトウェア開発のモデル契約書を公開してくれているので、これを試しに使ってみることにしました。
上記ページの「<第二版>(ひな型)(Word:76 KB)」を利用します。このひな形は途中要件に応じて項目について複数案が提示されています。柔軟に利用できるひな形でありがたいですね。とりあえずこのテストでは全て「A案」を採用して文章を編集してみました。
このサンプルの契約書に対して、Legalプラグイン提供のコマンドを実行してみましょう。契約書のレビューのコマンドは/review-contractです。実際は、Claude Desktop上で下記のように実行しました。
/legal:review-contract [契約書ファイル名] 日本語で回答をお願いします
デフォルトだと英語で実行されそうだったので、いちおう日本語で回答するよう指示を加えています。
今回契約書のファイルは先ほど設定した作業用フォルダに配置しました。その場合は上記のようにファイル名を指定するだけでファイルを見つけて読んでくれました。もしくはPC内のファイルを個別にアップロードしても動作すると思います。
さて実行すると、まずは契約の詳細についてダイアログ上でClaude側から質問がありました。

参考までに今回実行した際の質問項目は以下のようなものでした。
- どちらの立場か(ユーザー側かベンダ側か)
- 契約の締結期限があるか
- 特に重点的にレビューしたい領域はあるか
- 取引の背景(新規取引先か既存取引先かなど)
上記の質問に回答すると、結果として以下のように、成果物として報告書のマークダウンファイルが作成されました。最初に重要なサマリーがまとめられており、その後に詳細が記述されている形式で非常に読みやすいです。

指摘事項として「納入物の著作権がベンダに帰属している」とありますが、これは意図的に入れ込んだ内容です。上で書いた元のひな形での「要件に応じた複数案」の一つとして「ベンダにすべての著作権を帰属させる」というのがあり、これをサンプルの契約書で採用していました。いっぽう「損害賠償の上限がブランク」という指定については、これは私のうっかりミスでした。元のひな形で「別契約に定める○○○の金額を限度とする」と具体的な額を記述する必要があったのに、見過ごしていました。こうした問題点を分かりやすく取りまとめて指摘してくれるのは良いですね!
またレポートの詳細を読むと、たとえば損害賠償の指摘では上で定義したプレイブックで「損害賠償の許容範囲は6-24ヶ月」と指定していることに触れており、きちんとその情報を読み込んでレビューしてくれていることが分かりました。自社のコンテクストを簡単に取り込める点はうれしいですね。
まとめ
ということで、Anthropic公式のClaude CoworkのLegalプラグインを軽く試してみました。
契約書のレビューを試しただけですが、この機能については自社のポリシーをまとめたプレイブックさえセットアップしてしまえば後はコマンドでファイルを指定すれば良く、非常に簡単に利用できる機能だな、という印象でした。2026年2月8日現在ではまだCowork自体がプレビュー版であり、Mac版のClaude Desktopでしか利用できないという制限もありますが、将来的にはバックオフィス業務の効率化に貢献してくれそうです。現時点ですでにFinanceなどのプラグインもあり、ほかにもバックオフィス業務のプラグインは随時追加されていきそうなので、今後もどんなものが登場するか引き続きチェックしていきたいと思います。
ではでは!







