スクラムの「完成の定義」を人事領域でも意識して業務の品質を上げたい
こんばんは。僕です。
はじめに
組織開発室では、スクラムガイド等を参考にして、日々の業務にスクラムのやり方を取り入れています。
スクラムにおける作成物には、プロダクトを作り上げるのに必要なタスクに対する「完成の定義」(Definition of Done、DoD)というものが含まれます。「完成の定義」を明確にすることにより、業務プロセスの標準化を通じて一貫した品質が確保され、信頼性の高い成果物を提供することに繋がります。
人事関連の業務にも、標準化や一貫性の求められる場面は多くあります。この「完成の定義」を、開発業務だけでなく、例えば人事領域にも応用することで、業務の品質を向上できないでしょうか。
開発業務以外に応用する簡単な例
ここでは、わかりやすい例として、スケジュール調整のタスクを考えてみましょう。
単にスケジュール調整をするだけでは「完成」とは言えません。他の予定があることを認識せずにスケジュールを組んでしまい、ダブルブッキングが発覚して再調整……というようなことでは、時間の無駄遣いになってしまいます。
このように、スケジュール調整では、社内外の様々なイベントや自分自身の休暇予定などに十分配慮することが求められます。そうして初めて手戻りのない「高品質な」スケジュール調整業務が達成できたと言えます。
ここで「完成の定義」を明記するとしたら、以下のようになるでしょう。
- 社内外の様々なイベントとダブルブッキングにならないよう配慮されていること
- 関係者個人の他の予定に配慮されていること
実際のスケジュール調整のタスクについては、当たり前すぎて、いちいちこうした定義をすることはないと思います。しかし、このようにタスクの完了に必要な要素を細分化して考えてみることで、実は日頃から「完成の定義」を意識しながらタスクをこなしているものだということがわかってきます。
人事領域における応用のイメージ
次に、人事領域における「完成の定義」のイメージについて、採用と人事評価の2つの具体的なケースで見ていきましょう。
採用
- 求人要件の定義
- 求人票に必要なスキルや経験が明記されていること
- 求人票の内容について、関係者全員の承認が得られていること
- 応募者の選考
- 全ての応募者の履歴書がレビューされていること
- 選考基準に基づいて適格な候補者が選ばれていること
- 面接の実施
- 面接スケジュールが確定していること
- 面接スケジュールが候補者と面接官に通知されていること
- 面接官にガイドラインと質問リストが準備されていること
- 内定通知
- 内定通知書が作成されていること
- 内定通知書が候補者に送信され、受領確認が取れていること
- 内定条件が双方で確認・合意されていること
人事評価
- 事前準備
- 評価基準と目標が明確に設定されていること
- 評価に必要な情報や関係者からのフィードバックが収集されていること
- 評価ミーティング
- 被評価者と評価者が評価面談を実施済みであること
- 評価シートが漏れなく記入されていること
- フォローアップ
- 次の評価サイクルに向けた目標設定が行われていること
- 必要なサポートが計画されていること
イメージがつくでしょうか。
成果物に該当するものが完成時点でどういう状態になっていることが求めらているのかについて、明記されていると思います。
さらに、このような内容が業務の関係者に共有されていることで、業務の透明性が高まり、何か間違いが起こりそうなときにも、軌道修正がスムーズになるという利点がありそうです。
おわりに
「完成の定義」は、業務プロセスの品質を向上させ、一貫した成果を提供するための強力なツールであると言えるでしょう。
人事領域のような開発業務以外の領域でも「完成の定義」を意識することで、日々の業務がより効率的に、そして高品質に遂行されることが期待できます。