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[アップデート] AWS Transform の移行評価機能に What-if シナリオ分析や Cloud Value Framework 統合などが追加されました
いわさです。
AWS Transform の移行評価(Migration Assessment)機能は、オンプレミスのインフラ情報をもとに AWS への移行コストを分析し、TCO 比較レポートを自動生成してくれるものです。
以前、こちらの記事で紹介しています。
従来は「サーバーインベントリをアップロードして EC2 のライトサイジング結果と TCO を出す」という使い方が中心で、「リージョンを変えたらどうなるか」「一部のサーバーを除外したらどうなるか」といった What-if 分析や、コスト以外の観点での移行価値の評価は出来ない状態でした。
今回のアップデートで、What-if シナリオ分析、シナリオ比較、Cloud Value Framework の統合など、多くの機能が追加されました。
今回はこの中から、シナリオ作成・比較と What-if 分析を中心に確認してみたので紹介します。
従来の機能と今回の新機能の整理
今回のアナウンスでは多くの機能が列挙されていますが、移行評価機能自体は 2025 年 5 月から存在しており、以前から出来ていたことと今回新しく追加された機能が混同しやすいので整理しておきます。
従来から出来ていたこと
- サーバーインベントリのアップロードによる EC2 ライトサイジング
- 購入モデル(オンデマンド / RI)やライセンスオプション(BYOL / LI)の比較
- チャットでの質問応答(評価結果に対する質問)
- EBS コスト分析
- ストレージ(SAN / NAS / ファイルサーバー / オブジェクトストレージ)の分析
- PDF レポートの出力
- 対応フォーマット:RVTools、Migration Evaluator、MPA 形式、NetApp DII
今回新しく追加された機能
アナウンスの内容と実際にコンソールで確認した内容をもとに整理します。
- What-if シナリオ分析: 「サーバーを除外したら?」「ストレージ最適化インスタンスだけにしたら?」のような仮定ベースの分析
- シナリオの作成・比較: 異なる前提条件で複数シナリオを作成し、並べて比較
- カスタマイズ可能な前提条件の拡充: リージョン、リソース使用率、サービスマッピング、インスタンスタイプ除外など
- 対応フォーマットの拡充: CMDB データ、AWS Transform Discovery Tool エクスポート、各種パートナーディスカバリーツール
- TCO 分析対象の拡充: Amazon FSx、Amazon S3、SQL Server on EC2、仮想デスクトップ
- Cloud Value Framework 統合: コスト削減だけでなく、スタッフ生産性、運用レジリエンス、ビジネスアジリティ、サステナビリティの観点で移行価値を評価
- 出力フォーマットの拡充: PPTX(PowerPoint)、XLSX(Excel)が追加
- チャットベースでのインベントリ生成: 環境情報をチャットで伝えるだけでインベントリファイルを自動生成
新しい Migration Assessment を使ってみる
では早速、新しい移行評価機能を試してみましょう。
ジョブタイプの選択
AWS Transform コンソールでワークスペースを開き、Migration のジョブを作成しようとすると、従来の「Assessment」に加えて「Migration Assessment (new)」という選択肢が表示されていました。
今回のアップデートに合わせて追加されたものだと思われます。

「Migration Assessment (new)」を選択して進めます。
ジョブが作成されると、ジョブ名が「MigrationAssessmentV2」となっていました。
従来版が V1、今回追加されたものが V2 という位置づけのようですね。
チャットベースでの評価開始
V2 では開始方法として、ファイルアップロード、ディスカバリーコレクターの利用、環境の概要をチャットで伝える、の 3 つが提示されます。

今回はインベントリデータを持っていないので、チャットで環境の概要を伝える方法で試してみます。
以下のようにサーバー構成を入力しました。
I have 50 Windows servers with an average of 8 CPUs and 32 GB RAM, and 30 Linux servers with 4 CPUs and 16 GB RAM. Estimate my AWS costs.
すると、サーバーの内訳とスペックを整理した概算サマリーが表示され、この内容でインベントリファイルを生成するか確認されました。

承認すると、インベントリファイルが自動生成されてバックグラウンドで評価が開始されます。
なお、従来の V1 で同じプロンプトを試したところ、概算見積もりは出力されずファイルアップロードに誘導されました。
公式ドキュメントには以前から「Rough estimation with limited data」の記載がありましたが、少なくとも V1 のコンソールでは動作しないようです。

シナリオの作成
初期評価が完了したら、異なる前提条件でシナリオを作成してみます。
チャットでリージョンを指定するだけで、そのリージョンでの評価シナリオが作成されます。
Create a new scenario with all workloads in us-east-1

バージニア北部リージョンでの評価シナリオが作成されました。
初期評価(東京リージョン)とは別のシナリオとして管理されます。
シナリオの比較
2 つのシナリオが揃ったので、比較してみます。

Scenario 1(東京)では EC2 のコスト比較が表示され、3 年 RI で 38% 削減($119,338 節約)という結果がでていました。
一方で、Scenario 2(バージニア)では Cloud Economics Assessment の結果が表示され、年間 $670,409 のビジネス価値が算出されています。
ただし、今回の検証では US East のシナリオで EC2 のコスト計算が走らなかったため、リージョン間のコンピュートコスト比較は直接できませんでした。
本来であれば同じ条件でリージョンだけ変えたシナリオを並べることで「東京とバージニアでどれくらいコスト差があるか」を比較できるはずですが、なんでだろう指示の仕方かな。
移行先リージョンの選定や、コスト最適化のためのリージョン比較といったユースケースで活用できそうですね。
What-if 分析
続いて、What-if 分析を試してみます。
例えば「移行対象を段階的に絞り込みたい」「まずは Windows だけ先に移行して Linux は後回しにしたい」といったケースで、対象を変えた場合のコスト影響を事前に確認できます。
今回は Linux サーバー 30 台を移行対象から除外してみました。

除外対象のサーバーと関連するストレージが自動的にスコープから外れ、新しいシナリオとして評価が実行されます。

このように、移行対象の条件を変えた場合のコスト影響をすぐに確認できます。
移行をフェーズ分けする際に、各フェーズのコスト感を事前に把握できるのは便利ですね。
さいごに
本日は AWS Transform の移行評価機能に What-if シナリオ分析などが追加されたので確認してみました。
従来は「インベントリをアップロードして TCO を出す」というシンプルな使い方が中心でしたが、今回のアップデートでシナリオ比較や What-if 分析ができるようになり、移行計画の初期段階での意思決定に使いやすくなった印象です。
チャットで環境情報を伝えるだけでインベントリを自動生成して評価を開始できるのも、データが手元にない段階でのクイックな試算に便利ですね。
Cloud Value Framework の統合についてはシナリオ比較の中で一部結果が表示されましたが、今回は深く検証できていないので別途確認してみたいと思います。









