[アップデート] Amazon Bedrock Guardrails に Tier の概念が追加され、パフォーマンス向上、日本語に対応した Standard Tier が登場しました!

[アップデート] Amazon Bedrock Guardrails に Tier の概念が追加され、パフォーマンス向上、日本語に対応した Standard Tier が登場しました!

Clock Icon2025.06.24

こんにちは!クラウド事業本部コンサルティング部のたかくに(@takakuni_)です。

Amazon Bedrock Guardrails に Tier の概念が追加され、パフォーマンス向上、日本語に対応した Standard Tier が登場しました!

Amazon Bedrock Guardrails supports model tiers, which give you performance and language options for content filters (text), prompt attacks, and denied topic policies

https://docs.aws.amazon.com/bedrock/latest/userguide/doc-history.html

What's New も出てきましたね。

https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2025/06/amazon-bedrock-guardrails-tiers-content-filters-denied-topics/

すでにブログが書かれていますが、私もこのアップデートについて執筆したくてたまらなかったので、書くことにしました。

https://dev.classmethod.jp/articles/bedrock-guardrails-contentfilter-tier/

アップデート内容

まずはじめに、今までの Amazon Bedrock Guardrails(Classic tier)では、英語、フランス語、スペイン語の 3 言語をサポートしていました。

ドキュメントを遡ると、次のような表現が行われており、他の言語に関しては未サポートである(効果がない)と記載されていました。

Important
Amazon Bedrock Guardrails supports English, French, and Spanish in natural language. Guardrails will be ineffective with any other language.

https://web.archive.org/web/20250427185009/https://docs.aws.amazon.com/bedrock/latest/userguide/guardrails.html

今回のアップデートで、新たに Standard tier が提供され、日本語を含む、最大 60 言語までサポートされました。

Standard tier と Classic tier の違い

詳細は以下に記載されていますが、Standard tier と Classic tier の違いについて触れていきます。

https://docs.aws.amazon.com/bedrock/latest/userguide/guardrails-model-tiers.html

忙しい方向けに表にすると、次のとおりです。

比較項目 Standard tier Classic tier
パフォーマンス より堅牢なパフォーマンス 確立されたパフォーマンス
言語サポート 広範な言語サポート 英語、フランス語、スペイン語のみ
クロスリージョン推論 サポートあり サポートなし
拒否トピックの文字数制限 最大1,000文字 最大200文字
コンテンツフィルターの精度 高精度 標準的な精度
プロンプト攻撃防御 高精度 標準的な精度
推奨用途 多言語対応が必要なアプリケーション、高精度が求められる場合 英語・フランス語・スペイン語メインのアプリケーション、移行準備期間が必要な場合
利用可能リージョン 複数のAWSリージョン 複数のAWSリージョン

パフォーマンス

はじめにパフォーマンスです。

ドキュメントによると、拒否トピックにおいて、Classic tier 最大 200 文字までサポートしていましたが、Standard Tier では最大 1,000 文字までサポートしました。

また、コンテンツフィルターの精度も Standard tier は Classic と比較して、より堅牢なパフォーマンスを提供していると表現されています。

Provides more robust performance compared to Classic tier and has more comprehensive language support. For example, protection against prompt attacks performs more consistently and reliably with Standard tier. Guardrails with Standard tier also use cross-Region inference.

https://docs.aws.amazon.com/bedrock/latest/userguide/guardrails-model-tiers.html#guardrails-tiers-key-differences

言語サポート

個人的に嬉しいのは、言語サポート部分です。マネジメントコンソールを見ると Standard tier では最大 50 言語サポートされたようです。(What's New では 60 言語でしたが、どちらが正しいのでしょうか。)

2025-06-24 at 13.52.08-Amazon Bedrock  ap-northeast-1.png

サポートされた言語は次に記載されており、さらにサポート具合が Optimized and supportedSupported で異なります。

Optimized and supported とは、どういった状況なのでしょうか。

Amazon Bedrock Guardrails は、Amazon Bedrock Guardrails 用に基礎モデル(Amazon 側で管理)を利用してチェックを行います。

その基礎モデルが、各言語に最適化されているかどうかで、さらにサポート具合(精度)が変わってきます。

ドキュメントでは、以下のような表現が行われています。

  • Optimized and supported – The underlying models supporting the particular policy are tuned and tested for the specific language.
  • 特定のポリシーをサポートする基礎となるモデルは、特定の言語用に調整され、テストされる。
  • Supported – The underlying models supporting the particular policy are tested but not tuned for the specific language.
    • 特定のポリシーをサポートする基本的なモデルはテストされるが、特定の言語用にチューニングされることはない。

https://docs.aws.amazon.com/bedrock/latest/userguide/guardrails-supported-languages.html

参考までに、日本語のサポート状況は以下の通りです。(Standard Tier の中でも、かなり良い立ち位置なのではないでしょうか)

  • コンテンツフィルター
    • 最適化サポート
  • プロンプト攻撃
    • 最適化サポート
  • 拒否トピック
    • 最適化サポート
  • ワードフィルター
    • 未サポート
  • センシティブインフォメーションフィルター
    • 未サポート
  • コンテキストグラウンディングチェック
    • 未サポート

クロスリージョン推論

先日、Amazon Bedrock Guardrails でクロスリージョン推論がサポートされました。Standard Tier では、この機能の利用が必須となっています。

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-bedrock-guardrails-cross-region-inference/

ドキュメントでは、「サポートされている/されていない」と言った表現がされていますが、マネジメントコンソールで操作したところ、正しくは「Standard Tier ではクロスリージョン推論が必須で、Classic Tier でもクロスリージョン推論をサポートしており、任意で設定可能。」のようです。

2025-06-24 at 14.08.52-Model tiers for guardrails policies - Amazon Bedrock.png

Key differences between model tiers

マネジメントコンソール

2025-06-24 at 14.11.15-Amazon Bedrock  ap-northeast-1.png

注意事項

その他、多言語化された Amazon Bedrock Guardrails を利用するにあたっての、注意事項は以下のとおりです。

  • サポート言語表に記載されていない言語は引き続き効果がない
  • サポートされている/最適化サポートされている言語であっても、事前にテストを実施することが推奨されている

日本語のチェックを行いたい人向け

内容重複しますが、 Amazon Bedrock Guardrails で日本語のチェックを行いたい場合は、以下を意識すると良いと思います。

最適化サポート

先ほどのとおり、日本語は最適化サポートの言語です。

コンテンツフィルター、プロンプト攻撃、拒否トピックにおいて、一定の効果が期待できます。

事前にテストを実施すること

とはいえ、事前にテストを行うことが推奨されています。

We strongly recommend that you test the intended languages for your guardrails use case. Guardrails are ineffective with languages that aren't supported.

Languages supported by Amazon Bedrock Guardrails - Amazon Bedrock

先日、Amazon Bedrock Guardrails では検出アクションに Detect モードをサポートしました。

AWS WAF でいう、 Count モードのような役割で、どんな動作になるのかを事前にチェックできます。

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-bedrock-guardrails-support-detect-mode/

この機能を利用して、Amazon Bedrock Guardrails が機能要件にマッチするのか、事前に検証いただくのが良いかと思いました。

やってみた

簡単ではありますが、ガードレールを作成し、日本語で悪意のある攻撃を行ってみます。

マネジメントコンソールからガードレールの作成を行います。コンテンツフィルター内に Tier の設定画面がありますね。Classic と Standard で選べられるようです。今回は、コンテンツフィルターのプロンプトインジェクションに関して、ブロックを設定します。

2025-06-24 at 14.36.54-Amazon Bedrock  ap-northeast-1.png

続いて拒否トピックです。UI を見るにコンテンツフィルター、拒否トピックのそれぞれで Classic, Standard のティアの切り替えができるようです。(今回は設定しませんでした。)

2025-06-24 at 14.37.19-Amazon Bedrock  ap-northeast-1.png

具体的な攻撃内容は控えますが、画面の通り日本語の内容を認識して、プロンプトインジェクションを検知している様子がわかります。

2025-06-24 at 14.45.34-Amazon Bedrock  ap-northeast-1.png

料金

Amazon Bedrock 自体の Pricing ページにはまだ記載がないようでした。

https://aws.amazon.com/bedrock/pricing/?nc1=h_ls

Pricing API から料金表を探してみましたが、見つかりませんでした。

Coming Soon なのか、ティアによって利用費が変わらないのか、要チェックですね。

https://pricing.us-east-1.amazonaws.com/offers/v1.0/aws/AmazonBedrock/current/ap-northeast-1/index.json

まとめ

以上、「Amazon Bedrock Guardrails に Tier の概念が追加され、パフォーマンス向上、日本語に対応した Standard Tier が登場しました!」でした。

ついに、日本語対応が行われ、本格的に利用が加速するのではないでしょうか。非常に楽しみです。

このブログが参考になれば幸いです。クラウド事業本部コンサルティング部のたかくに(@takakuni_)でした!

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